親友の妹に転生しました   作:三和

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「全くお前と言う奴は…」

 

「あー…ごめんね?」

 

あの後ISを解除してから少しして…私は腕を動かせなくなった…最初は痺れだけだったのが、終いに痙攣…治まりはしたけど…今はまともに腕を持ち上げる事も出来無い…

 

「私に謝っても仕方有るまい…で、結局神経や腱には問題無しか?」

 

「お医者さん曰く…一応目立った損傷は無いって話だよ…と言うか、説教はそろそろ勘弁して欲しいなぁって……束にも怒られたし…」

 

「今回は束が正しいし、私の方もまだ言い足りないくらいなんだがな…」

 

「いや、本当に勘弁…」

 

両親と兄さん同伴で束に怒られてるから、私は精神的にはもうボロボロ……既に帰宅した三人の内、兄さんを束が呼び出すのは元々仲が良いし分からなくも無い…でも束は私の両親が苦手なのにそっちも呼ぶくらいだから、本気で心配してくれたんだと言うのももちろん分かるけど…

 

「大体、作った束ですら最初に止めたと言うじゃないか…」

 

「初めに束に頼んだ時、了承してくれたんだけど?」

 

「……元々私の「雪片」ベースで刀剣型で装備を作ったら、後からお前が造りを変更してくれと言ったと聞いたがな…」

 

「いや…その…後から推進剤吐くだけだと不安になって…」

 

「で、アレか?短絡的にも程があるぞ…」

 

……普段脳筋気味な千冬に言われたくない…と、言いたい所だけど…それ言うと今の千冬は余計に怒るから止めておこうかな…

 

「私も「野太刀」とは言ったが、あんなに幅広だと最早西洋剣のそれだな…アレでは本当に叩き付ける事しか出来まい…何故あんな物を使おうとした?アレでは篠ノ之流も満足には使えまい…」

 

元は戦場で生まれた実戦剣術…それが篠ノ之流…実戦、と付くだけ有り、生き残る為に何でも使うがコンセプトのソレは…突き詰めると刀以外に徒手空拳や、何ならその辺に落ちてる物でも武器として使う何でも有りの古流剣術……ただ、あくまでも剣術で有り…基本的には刀を使うのが前提。

 

確かにISの補助有りでもまともに振れない剣を使うと篠ノ之流どころか、日本に有るほとんどの剣術は使えないかもね……でもね…

 

「勝てないからだよ…」

 

「ん?」

 

「篠ノ之流……いや、剣術で「織斑千冬」には勝てないからだよ。」

 

それがずっと千冬を見て来た私の結論…同格として扱ってくれるのは本当に嬉しい…でも、それ以上について行けない惨めさも私は感じてる…

 

「……お前も篠ノ之流の皆伝だろ?何処に差が有るんだ?」

 

「そう言われてもね…どうやっても勝てるビジョンなんて浮かばないよ、正直に言えばね…」

 

「……そう、か。」

 

私がそう言うとガックリと肩を落とす千冬…束はきっと突き詰めると千冬と同じ領域に到達するだろう…でも束にはその気が無く、束と同じく千冬にとって数少ない友人の一人だと自負してる私と千冬の間には到底埋めようも無い差が有る……でも、私は知っている…

 

「それでもさ…」

 

「何だ…?」

 

「やっぱり負けたくないし、悔しいじゃないそんなの…」

 

私は知っている…同格や格上の居ない千冬の感じる孤独を…理解はしきれないけど、それでもずっと私は彼女を見て来た…そして、それ以上に…

 

「高い山が身近に有るならてっぺんまで登ってみたいし、牙城なら着き崩したい…高い壁なら越えてみたい…とにかくチャンスさえ有るなら…私は簡単に諦めたくない。」

 

そう簡単に孤独になんてさせない。私が千冬をずっと見て来た様に、千冬にももっとこちらに目を向けて欲しい…だって本当に悔しいの…私自身奥手な自覚有るけど…千冬、私の気持ちに全然気付いてくれないんだもん…その癖束とは私以上に気安い仲だし…だから…私は彼女を倒したい……私の想いはそうでもしないと鈍感気味な千冬に伝わらなさそうだし。

 

初めは私の方が分かりにくいアプローチ掛けてたかなって思ってたけど…付き合いの長い束や、聡明な一夏君だけでなく、彼の友人の弾君や数馬君…弾君の妹の蘭ちゃんにも私の気持ちはバレバレだったんだから、本当に千冬が鈍いんだと思う…振られるなら仕方無いけど、千冬からは何の反応も無いまま…そろそろハッキリした答えも欲しくなる……もう学生じゃないし、将来の事も考えないとならないから…勝手な話だと思うけどいい加減千冬の気持ちを知りたい…ワガママかな…

 

「だから…私は挑むよ、身近に有る高い山に…どんな手を使っても。」

 

「……普段からそうなら説得力が有るんだがな…」

 

…千冬にそう言われて目を逸らす…あー…そうだよねぇ…

 

「そう言われても私、別に千冬みたいなバトルジャンキーじゃないし…」

 

「私も違うんだが…少なくとも自分をすり減らしてまで相手に勝とうとは思わないしな…」

 

「それは…千冬にとっての格上が居ないからじゃない?」

 

「そうかも知れんがな…」

 

師匠の柳韻さんすら千冬には試合ではもう勝てないって言ってたしね……まぁ、試合で無ければ勝てるって意味でも有るとは思うけど。

 

「まぁとにかく、私が千冬に勝つならああでもしないと無理かなぁって…」

 

「結果負け以上に酷い事になったがな…あまり無茶をするな……友人を失う事の方が私には辛いんだ…」

 

……千冬の方も自分の孤独を察せられてる事には気付いているのかな…それなら私のこの想いにも気付いて欲しいなぁ…

 

「善処はするけど、約束は出来無いかな…やるからには…どうしても勝ちたいから。」

 

「……ま、お前はどうせそう言うと思ったがな…」

 

……本当はさっさと私から気持ちを伝えれば自動的に結果はどちらかに転がる話でも有る…でもそれなら、少しでも爪痕を残した方が千冬が頷いてくれる気がする…なら…やっぱり千冬に勝ってから伝えるべきだと思う…

 

「だからさ…そんなに心配しないで…次はあんな無茶はしないからさ…」

 

ISの関節部分の補強を束にお願いしてみよう…やっぱりアレを使うのが一番勝てる可能性が高いと思うし…

 

「……アレは多分、大会のレギュレーションを通らないぞ?」

 

「え…?」

 

もしかして、使おうとしてるのバレてる…?

 

「何故バレた、と言う顔だな…それは置いておいてだ、そもそも私が絶対に通させる訳が無いだろう?」

 

「……ズルくない?」

 

「フッ…何とでも言え、お前が私を友人で有る以上に越えるべき壁だと思ってくれるならな……ちなみに壁は実は守る為にも有ると思わないか?」

 

「どうやっても越えれない塀は嫌だなぁ…」

 

「だから言ってるだろう…私は塀では無く、お前の壁だ…そう簡単に越えられては困る…と言うか、最低限ルールくらいは守れよ?」

 

「私に勝たせる気、絶対無いじゃん…」

 

「ズルしたり、私が手を抜いて勝ってお前が納得出来るなら…別に私は構わないがな。」

 

……そう言う意地の悪い笑顔浮かべても綺麗なの、本当にズルいと思う…

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