親友の妹に転生しました   作:三和

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「いやぁ…聞いた、ちーちゃん?」

「ああ…まさか、あいつがここまでの激情を秘めているとはな…」

私もあいつの事を良く知っている気では居た…だが、あそこまで強い言葉を吐くあいつを初めて見た…その対象が並行世界の自分ともなれば…怒る事も出来無いが複雑にはな……?…何故私が怒るんだ…?

「ふふふ…」

「何だ束…何が可笑しい?」

「いや、べっつにー。」

「しかし…あそこでヘタレたのは減点だな、あのまま酒の勢いで告白する事も出来た筈だ…仮にどう転ぶにしても…子供の頃から募らせていた想いに決着を着けるのはやはりあの場面をおいて他には無い…やはりあいつは、肝心な所で意気地が無いな。」

「わぁお!■くん厳しい評価!」

「いやあの…しかしですね、今後もチャンスは「それなんだがな…例えばあいつがあれだけの大口叩いて負けたら…これからの事も考えたら間違い無く告白どころじゃない。仮に勝てて千冬を代表から引きずり下ろし、同じ会社に入れたとして…逆にそこから恋愛関係になるのは難しくないか?忙しいだろうしな」う…」

「と言うか、多分だけど…このまま放っておいたら決勝戦、出来無いだろうね…」

「何故「ちーちゃん、何で私たちがここに居るのか忘れちゃった?」あ…」

「今回はあいつは出場者なだけでなく、向こうの君を助ける事を優先するだろうし、こちらのあいつと違い…フランスの方の親類とそう深い付き合いでは無いから大会すっぽかして向こうに戻る事は無いだろうが…多分、何かは起こるだろうな…」

「■くんもそう思うんだ?」

「勘、の様な物だがな…まぁあいつは知らないとは言え、そこを考えても今告白すべきだったと言えるだろうな…最も最悪、向こうの彼女に傷を残す事にはなってしまうが。」

「後々の影響も考えると、決定的な場面以外で私たちが介入する訳には行かないからね…」

「しかし…こちらでも政府の連中はクソか…」

「逆に聞きたいのだが…千冬、君の時も政府はそう言う理由で君を縛り付けていたのか?」

「ええまぁ…と言うか発端はどう考えてもお前だがな…束。」

「まぁ…あっちの私のやった事だからとか、私自身もやらかしてるし、責められるのは仕方無いと思うけど…でも…一つだけ良い、ちーちゃん?」

「んん?」

私の知る束ならゴネていた筈の発言をしたのに…意外と理性的な反応が返って来た事を驚きつつ…私は束の言葉を聞く事にする…

「今の私だから分かるんだけど…少なくともあっちの私は…ちーちゃんを苦しめようとしたつもりは無いと思うよ。まぁ…ちょっと考えが足りなかったのかな、とは思うけど。」

「ほう…と言うと?」

「私はちーちゃんの事をただ自慢したくてあいつらに話したけど…あっちの私は、ちーちゃんが有名になれば少しは生活が楽になるんじゃないかな、とか考えてたと思う…それとね、ちーちゃん…この世界でISが世に出る切っ掛けになった事件だけど…仕掛け人は、多分あっちの私じゃないよ。」

「何?」

「成程な。ISを世界に知らしめたいなら被害を甚大にしては元も子も無い…各国の首都にミサイルを飛ばすのは間違い無く、やり過ぎだからな…幸い、向こうの君が上手く立ち回ったから…被害は最小限になっていたが…」

「それ以上に■ちゃんと接して来て…変われた私だから分かる…やらないよ、あっちの私は…万が一、ちーちゃんや■ちゃんが死んだら嫌だろうし…」

「束…」

あいつはやはり凄い奴だ…私ですら持て余していたこいつをここまで変えてしまうのだから…

「しかし、そうなると…動くのはその仕掛けた連中、と言う可能性は有るか…」

「何で有ろうと…止めるよ。■ちゃんのせっかくの決意、台無しにされたくないからね。」

「だが、そっちは私たちがやるとして…あいつは向こうの私に勝てるのだろうか…」

「それは私たちの気にする事では無い…何より、君も見ただろう?こちらのあいつは私たちの知るあいつより確実に強い…勝たなきゃならん明確な理由も有る…信じてやろうじゃないか。」

「そうですね…」


*32

翌朝…目の覚ました私は…昨日の事が頭の中を駆け巡り、そのまま目の前の枕に突っ伏した。

 

「やっちゃった…」

 

うん、これからは酒の量はもう少し控える事にしよう…まさか…酔った勢いであそこまで無茶な事を口にするなんて…まぁ勢いに任せて千冬に告白するとか、押し倒したりしなかったのはいっそ、自分を褒めてやりたいくらいだけど…

 

「まぁ、でも…放っておけないよね、あんな千冬の姿を見たら…」

 

普段クールに見える千冬が、実は茶目っ気が有って明るい性格なのを私は知っている…そんな千冬が、あそこまで凹んだ姿を見せて来るなら、少しでも私が出来る事で助けたい、と思うものだ…

 

大好きであるとか言う前に…あの日、私を救い出してくれて…それから今日まで私が生きて来れたのは間違い無く千冬が居たからだ…本人には否定されるだろうけど、それは私にとって覆し様が無い事実だ。

 

「助けられるなら、そりゃ…助けてあげたいよね…」

 

烏滸がましい事を言ってるのは分かってる…でも最初に私を救ってくれた様に…私だって千冬を助けたい…ただ…

 

「本気の千冬に勝つって言うのは…ちょっとハードルが高いんじゃないかな…」

 

もう本当に何をやってるのかな、昨夜の私は…結局は私自身の事だし、酔って口をついた以上…間違い無くあれは私の本音なんだから完全に八つ当たりなんだけど…

 

「ハァ…ここまで来たら、やるしか無いよね…良し!」

 

パンっと両頬を叩いてベッドから起き上がる……痛い…ちょっと勢いが着き過ぎた…

 

「え~っと…今朝は何時集合だっけ……?」

 

渡された書類をボストンバッグから取り出して見てみる…集合は…6時…?

 

「…ほっ。」

 

ハッとして部屋の時計を見れば時刻は5時15分…まぁ間に合わなくは無いね…

 

「今から部屋のシャワー浴びて、着替えて外のグラウンド集合…合宿所の出口まで距離は有るけど多少余裕は有るかな…」

 

と言うか、朝食抜きで二時間の走り込みは…それはそれでどうなの…?って気がしないでも無いけど…まぁ食べてすぐ走ったら今度吐くし、それはそれで良いのかも…ただ、さすがに辛……あー…現実逃避してる場合じゃないね、急がないと。

 

「ハァ…ま、ああまで言ったんだから頑張らないとね…」

 

弱音を吐くのも、グチグチ言うのも終わってからする……今は目の前のメニューをこなす事に集中しよう…

 

 

 

「千冬!起きて!?」

 

「ん…む…」

 

とは言え、まさか集合時間五分前になっても千冬が起きて来なくて…こうして合宿所に戻って千冬を起こしに来てるなんて完全に想定外だ…千冬が朝に弱い方なのは良く知ってるけど…こんなんで前回一人だったのに、どうやって起きてたの…?

 

ちなみに後で聞いたら、たまたま目覚まし時計の電池が切れていたそうな…結局私は昨夜セットするのを忘れて、出番の無かった自分の目覚まし時計用に持って来ていた予備の電池を渡した。もう…しっかりしてよね、本当に…

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