「…で、コレはお前の予想通りか?」
「ん?あひが?」
「……口の中の物を飲み込んでから喋れ。」
「んぐっ…千冬が食事中に話し掛けたんじゃない…」
「まぁ、それは私が悪かったがな……とは言えだ、入院患者の食う量じゃないだろ、それは。」
「ん…良いじゃない、そもそも私…一時的に腕が動かなくなった以外は、元々特に身体に異常無いんだし。」
「本当に一時的、だったな…まさか一週間で普通に動く様になるとは…」
「まだ、少し違和感は有るけどね…あ、要はその話?いやぁ…私もまさか、こんなに早く動かせる様になるなんて思ってみなかったんだけどね…」
「と、言いつつ…思い当たる理由は有るんだろう?」
「…そりゃあやっぱり、意地でも大会に出たかったから「本当にそれが理由か?」…そんな事で嘘吐く理由、有る?」
「嘘では無いんだろうが、お前の事だから…どうせ下らない理由がメインなんじゃないかと思ってな…」
いや、下らないって…
「ふぅ…いや、あの…病院で出される食事…物足りなくて…」
「つまり、お前の有り余る食欲が腕を回復させたと?」
「千冬…三大欲求の一つだよ?」
「外科の食事は…比較的多い筈なんだがな……と言うか、お前ほぼ食欲か睡眠欲以外無いだろ…」
……私、割といつも千冬に欲情してるんだけど…
「いやぁ…私の場合、誰か付いててくれないと食べられないし…量減らされちゃってさ…お腹減ったなぁ、とか毎日考えてたら…何か自然と腕が動く様になったんだよねぇ…」
と言うか、一週間だけなんだし…千冬が付いててくれたら良かったなぁって…まぁ腕も動かないし、そんな状態で千冬に横で無防備に寝られたりとかされたら…私が可笑しくなりそうだけど…
「お前の要望に合わせてたら、付きっきりになって業務に支障が出るんだから当然だろう……と言うか、まだ食うのか?」
「ん……千冬も食べる?」
まだ封の開けて無いコンビニ弁当を千冬に差し出す…
「要らん。お前の食べる姿見てたら食欲が無くなる…と言うか、良く病院の食事食った後で追加で食えるな…?」
「そんなに、私…食べ過ぎかな?」
「……殴って良いか?」
「……ごめん、千冬の腕力で殴られるのは…勘弁して欲しいなぁって…」
いや、まぁ…いきなりコンビニ弁当五個はさすがに多いかなって、私も思うけど…だってずっと物足りなくて…
「とにかく、私は要らないからさっさと食べてしまえ…長持ちしないんだからな……食ったらとっとと片付けて退院だ、荷物は纏めて有るのか?」
一週間掛けて治った次の日にはもう退院…本当に慌ただしい…いや、そうしたいって言ったのは私だけどさ…
「うん、バッチリ…と言うか、元々最低限の物しか持って来て貰って無いし。」
「ま、そうだがな…」
入院に必要な着替えなんかは全部私の部屋から千冬に運んで貰った……と言って、掛かっても三週間の予定だし…本当にほとんど着替えくらいしか持って来て貰ってない…
「と言うかお前…ほとんど足だけで色々どうにかしてなかったか?」
「んぐっ…いや、だって…この歳でオムツ着けたりするのはちょっと…病室のドアもトイレのドアも特に力入れなくても開けれるから、足で引っ掛けられば大丈夫だし…でも、売店使わせてくれないのはどうかと思うんだけど…」
「何も知らない通院患者も来るのに、足の指で商品摘んでるのは問題しか無いだろ…」
「まぁそうなんだけど……あ、そう言えば聞くの忘れてたんだけど…合宿所、どうなったの?」
「……本当に今更だな…閉鎖だよ。とは言え、今更大会を中止にも出来んからな…こっちで勝手に練習しろと言われたよ。」
「あー…やっぱり?」
「あの襲撃で合宿所内の施設のほとんどが死んだからな…いくら私たちは使わせて貰えなかったとは言え、私たちの日程が終わったら選手団が戻って来るからな…さっさと修理せんとならん。」
「ふぅ…ご馳走様でした……いや、だからってこっちでやれって…」
「まぁ…あっちは元々、私たちの後ろに束が居るのは分かってるからな…」
「それは、そうだけど…」
「と言うか、束のラボの方が寧ろ捗るからな…」
それも確かにそう…まぁ、変にアウェーな空間でやるより私も気が楽だし…
「と言うか食い終わったんだろ、行くぞ……そのゴミはここに置いて行くなよ?」
「分かってるって。」