千冬の剣を槍で受け止めつつ…その力の流れに逆らわずに槍を半回転させる…それだけで、千冬にカウンター気味の槍底…石突きの部分が飛んで行く…!
「チッ…」
悪態を吐きつつ…千冬が後ろに下がる…逃がさない…!
「ハァッ!」
「クッ…!」
後ろに下がる千冬に向かって突進しつつ、石突きを突き出し…当てる!
「くそ「まだ終わらないよ!」っ!」
槍を今度は自ら手元で半回転させる…穂先を突き出す!
「エイ!ヤァ!タァ!っ!…あー、もう!何で何回やっても当たらないかな!?」
「悪いが見えている!」
恐らく私自身もシュナイダーの補助が無く、肉眼だったらほとんど捉えられないだろうスピードでの三連突き……いや、まぁ…私だったら見えないってだけで千冬なら極端な話…生身でも避けられるだろうとは思ってた…ただ、毎回掠りもしないのはねぇ…ハァ…取り敢えず片手を前に出して千冬に止まって貰う…ふぅ…
「追撃出来るならまだ良いが…今のお前だとそこが限界の範囲か…後、課題はまだ有るがな…聞くか?」
「ハァ…ハァ…大体分かるけど…一応聞いても良い?」
「先ず、突く事や相手に叩き付ける事に全力を傾けているから…お前のスタミナが尽きるのが早い。」
「ハァ…ハァ…ふぅ…うん、それから?」
「……その三連突き、確かに見事な物だ…並の相手なら、初見だとほとんど反応も出来ずに食らうだろう…全く、ほとんどゼロの状態からこの短期間でそこまで練り上げるんだから…本当にやってられん…」
「お世辞は良いよ、問題点だけお願い。」
「本気で褒めてるんだがな…続けて言うと、速いだけならまだしも狙いも正確だ……が、結果的にお前の弱点はそこに有る…」
「読みやすいって事かな?」
「ああ。私の場合は慣れも有ってだんだん見えて来てしまうが…仮に見えなくても、何処に槍が飛んで来るか分かるなら当然…躱せてしまうな。そもそも、狙える場所が限られて来る問題も有るが。」
「……」
「まぁ…言ってしまえばまたお前の悪い癖が出ている…ある程度扱える様になったが為に、型に囚われて来ている…」
「そう言うけどさ、当たらないと結局意味が無いしね…」
「だから、躱されない様に速さと正確さを磨いてしまったと…これが仮に演舞の競い合いならお前は上位に食い込むし、何なら優勝出来るかもな…」
「うん、今それ言われてもあんまり嬉しくないかな…」
だって演舞をするのが目的じゃないし。
「そう焦るな、お前の武器になる部分もちゃんと育って来ている……まぁ、本来なら自分で気付けと言いたい所だが…時間もあまり無いし、お前ならこの場で言っても良いだろう。」
「それで、武器になるって…例えば?」
「私の剣を流し、私の力に逆らわず槍を半回転させてからの流れる様な殴打…アレは、私も本気でヤバいと感じた…お前は攻撃に加えて、受けの技術も上がって来てるのさ…専門的指導も無しでここまで行くんだから、仮に講師付けても余程の実力者でも無い限り逆に匙を投げそうだな…」
「あー…アレね…」
出来ると思ったからやってみただけで、 どうやったのかも正直良く分からないんだけど…
「その様子だと、狙ってやった訳じゃない様だな…」
「うん、出来そうだったからやっただけ…もっかいやれって言われても…多分、出来無い…」
頭で流れを何となく思い浮かべるだけなら出来る…でも、具体的なやり方が把握出来てる訳じゃない…
「それを狙って出来る様になれば…お前の敵はほとんど居なくなるだろうな…」
「千冬も無理なの?」
「ああも綺麗にカウンターで返されては、な…私も攻めにくい…まぁ、それでも…結局私に突っ込む以外の選択肢は無いんだが。」
「……う~ん…やっぱり無理そう…だってあの時って、特に何か考えてやった訳じゃないから…」
「ま、お前はそう言うだろうな…ただ、何度か言ったと思うが…元々、お前に私の様な力任せな攻撃は向いていない。」
「ん…そうだろうね…」
と言うか、私だってそもそも…千冬に力で勝てるとは思ってない。でも、戦ってる最中に色々考えて動くのって…昔から苦手なんだよねぇ…それで出した答えがアレだったんだけど。
「とは言え、どうせお前にそんな事を考えて戦えと言っても無理なのは分かっている…」
「いや、そもそも考えて動けって言われてもねぇ…」
何と言うか…戦ってる最中ってほとんど頭回らないんだよねぇ…
「お前は何だかんだ昔から私以上に負けず嫌いだからな、思考も闘争本能に塗り潰されるんだろうな…」
「良く分かるね…」
「……いや、これに関しては以前先生から聞いた…まぁ、後で私も分かる様になったがな…」
「柳韻さんからか…」
篠ノ之柳韻さん…あの人は私の理想の剣士…あの何が起ころうと決して揺らがない心構え…見に付ければ千冬にも追い付けるかもって、実は考えた事も有る……でも、結局無理だった…
「まぁ、頭で考えて出来無いなら…方法は一つしかないだろう?」
「うん。予想はつくけど、一応聞こうかな。」
「……お前がどんな時でも反射的に受けが出来る様になるまで、ただ只管私が攻撃をし続ける…それしか方法は無いだろうな。」
「ふぅ…そうなるよね…」
キツイだろうな…でも、私は千冬を超えるって宣言をした。あの言葉を嘘にしたくはない…だったら、逃げられないよね…ごめんね、シュナイダー…私の無茶に、もう少し付き合って。
『ええ、何処までもお供します。』
ふふ、ありがとう。さてと、じゃあ…
「ふぅ…良いよ千冬!始めて!」
「ああ!」