親友の妹に転生しました   作:三和

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「亡国機業?」

 

この歳にして母さんから抱き着かれ、泣きながら説教されると言う(と言うか母さんって背こそ私とそう変わらないけど、かなりの童顔だから…傍から見たら絵面が…)

 

正直あまり嬉しくない出来事の後ヤケ食いしようとして、今度は千冬から頭上に拳骨を頂き…色々踏んだり蹴ったりの想いを抱いていた私(ほとんど自業自得だとは思うけどさ…)

 

それに加え、父さんは引き上げてくれたものの…母さんはこのまましばらくここに滞在する気満々らしく、さっきよりによって私の部屋にクロエ連れて向かった所…ちなみに母さんも仕事有る筈なんだけど…わざわざ休みを取ったみたい…兄さんもそうだけど、私の家族…皆フットワーク軽過ぎない?私なんて会社に休む理由伝えても結構渋られたのに…まぁ、兄さんと違ってあの二人は自分たちの会社の経営者なんだから休み取るのもそう難しくないのかも知れないけど…(いや、父さんは休まないんだから母さんも帰れば良いのに…)

 

そんなこんなで昔と変わらずパワフルな両親(特に母さん)に頭抱えつつ…そろそろ寝ようかなぁ……母さん居るけど…何て考えてた所に束に話が有ると言われてこうして千冬、兄さんと一緒に束の研究室に来た所(いや、兄さんこの場に必要なの?)

 

そしたらまぁ、何とも怪しげな話を聞かされる事に…(主に母さん暴走してくれたせいも有って、割と疲れてるから…早く寝たいんだけど…)

 

「……要は例の合宿所への襲撃、そいつらの仕業だって事?」

 

「さぁ?」

 

いや、言った本人にその反応されてもねぇ…

 

「いや、お前から言い出したんだろ?」

 

「元はと言えば束さんの意見じゃないもん…ネット漁ってたら出て来たんだけど…」

 

千冬から入院中に聞いたんだけど、あの襲撃事件…実は普通にニュースになったとか…まぁ、最も…具体的な内容はある意味面白いくらい伏せられてたみたいだから、そんな話出て来ても不思議は無いのかも知れないけどねぇ…

 

「それなら良く有る陰謀論の類じゃないか?そもそもそんな組織、実在するかも怪しいだろう」

 

ちなみに亡国機業とは…第二次世界大戦中に生まれ、50年以上前から活動している組織…その目的も理念も不明…いや、有りがちだけどさぁ…

 

「う~ん…一応さ、実際当時は本当に有ったみたいなんだよねぇ…」

 

「まぁ、その頃なら、そこまで不思議は無いけどさ…」

 

何せ日本ですら、スパイを派遣していた時代だからねぇ… とは言え、聞く限り特定の国の密命に基づいて動いてたと言う感じの組織じゃなさそう…それならそもそも何の為に有ったのかと聞きたい所だけど。

 

「でも、第二次世界大戦時代から有るなら…下手したら当時のトップも今はもう死んじゃってるんじゃない?仮に今も残ってたとしても組織自体は完全に形骸化しちゃってると思うけど…今更何の為に私たちの居る合宿所の襲撃する必要なんて有るの?」

 

もし、何らかの理由で今…大々的に事を起こしたいにしても普通にモンド・グロッソの会場の方を襲撃すべきだし、何ならもうちょっとしたらオリンピックに出場する筈の日本の選手団が合宿所に来ていた筈…そのタイミングで襲撃していたら、日本のオリンピック出場自体を潰すなんて事も出来ただろうけど…わざわざほぼ私たちしか居ない合宿所を襲撃する意味は無い……大体、ISを使うにしてもあの程度の練度で勝てると思ってたなら…私はともかく、あまりにも千冬を舐め過ぎ…そもそもISを兵器として見た時…その強さは数では無く、結局個人の腕なのは…嘗て白騎士を纏った千冬自身が既に証明しているのに…

 

「まぁ…束さんもそう思ってるしさ、実際名前が出て来たのもここ数年の記録見ても初めてだし、話半分で聞いてよ…」

 

……束らしくない…そんな不確定な話を今ここで持ち出す意味が分からない…何か有るの?

 

「束、君は…本当は確信してるんじゃないか?襲撃が実際にそいつらによって行われたと…」

 

「成程、確かにこのタイミングで…いきなり組織の名前が出て来るのが既に可笑しいですね…」

 

「一応大戦終結直後はしばらく活動してたみたいけど、少なくともその後はずっと名前が上がって無かったんだよねぇ…」

 

「…で、久々の活動がほぼ私たちしか居ない合宿所の襲撃?単なるテロ組織になってない?」

 

「実際、それが目的なんじゃないか?」

 

「え?」

 

「大戦時代に暗躍してたならその時には仕事が有った訳だ…そして大戦は終わった…だが、今もあちこちの国でまだ内戦や紛争は続いている…残った残党は傭兵としてそこに向かう事で資金を稼いでいた…しかし、これからはISが戦いの中心になっていくだろう…そうなると今まで通りの組織を維持して行くのは難しい…」

 

「何せIS一機有るだけで、戦いの形は否応無しに変わる…何ならこれから先…パワーバランスのズレによって内戦自体終結せざるを得なかったりもするか…とにかく、確実に普通の傭兵や軍人は活躍出来無くなるな…」

 

「じゃあ、これから先組織を存続させるには…テロによる武力介入からの紛争の長期化しか無いって事…?」

 

「そうなるな。」

 

それはまた何とも傍迷惑な話…巻き込まれる普通の人たちの事なんて考えても いない……いや、待って…

 

「あの…兄さん?話のスケールが大き過ぎてそのままスルーしそうになったんだけど…それなら合宿所の襲撃なんてする意味無くない?この程度で日本の政府は動かないから報復は無い…と言うかこの話、何処かの国がやったとか言う話でも出て来ない限りは…それこそ戦争の引き金にもならないよ?」

 

そう、今回の事件…仮に亡国機業の構成員が犯人だとして…バレてたらそもそも意味が無い…それこそ他の国の仕業だと政府に思い込ませる必要が有った…けど、今の所そんな情報が出ていた形跡も無いみたいだし…それに、今日まで襲撃事件の続報すら流れなかったみたいだから…今は完全に世論の興味も他に移ってるだろうし…

 

「まぁ…今のは単なる私の思い付きだからな…」

 

「……思い付きにしてはかなり大真面目に語ってた気もするけど…そう言う話、好きなの?」

 

「ああ。中々、面白かっただろう?」

 

「……いや、真顔で言われると冗談に聞こえないよ…」

 

実際私たちの空気は少し重めになってる…楽しそうなのは兄さんだけ…如何にも有りそうと言えば有りそうな話だったしね…

 

「まぁ、次に動くとしたら…」

 

「……モンド・グロッソの会場って言いたいの?随分ISにご執心だよね…それなら、今も内戦やってる国に傭兵として介入した方がまだ稼げるんじゃない?」

 

別に今現在は各国全てに十分な数のISが配備されてる訳じゃない…そもそも束がISの心臓部で有るコアを特定の数しか作らなかった…アレが無いとISは作れないからね……最も、逆に言うと…コアさえ所有してるならISは作れるんだけどさ…更に言えばさっきも話に出た通り、IS一機有るだけで戦いの形は変わる……でも忘れてはならない事の一つとして、各国のパワーバランス全てを塗り替えるのは私はもう少し先の話になるんじゃないかと思う…何せ、頂点に君臨してる千冬以外の人たちの腕なんてほとんど団子状態だろうしさ…

 

「今ならまだそっちの方が稼げる…と言うか、襲撃するにしてもあの程度の腕なら何人来ても同じでしょ。」

 

「確かにアレなら、襲撃は金の無駄だな…何せ、私やお前を含めた大会出場選手の方が確実に強い。」

 

千冬の言う通り、正直あの腕に負けるならそもそも大会自体出るレベルじゃないと思う……いや、ほぼ飛んで撃つだけで限界のレベルだったし、銃の狙いもめちゃくちゃで味方に当ててるのも居たから…本当に何しに来たのかと思う…大体、私と千冬は銃使わないからアレだけど、普通射撃の練習くらいはするもんじゃないの?

 

「まぁ、でも…警戒するに越した事は無いんじゃない?」

 

「それは束の勘?」

 

「そうだって言ったら信じるの?」

 

「……まぁ…束の勘なら、ね…」

 

勘なら根拠は無い…でも、その勘が有るから散々無茶な事やっても今日まで束は生きてこれたんだとも思うし……とは言え、千冬としては真面目に聞く気は無い様で…

 

「もう良いだろ?そろそろ休まないか?」

 

「まぁ、どっちみち今話しても仕方無い話だな…大会の日までまだ日が有る…」

 

「ま、そうだねぇ。」

 

とまぁ…そんな感じで話はお開きにして、私は束の部屋を出て自分の部屋までの道を千冬と歩く……あー…眠い…ここ最近は受けの特訓ばかりしてるからどうにも精神的に疲れるんだよねぇ……あ。

 

「千冬、今日千冬の部屋で寝ちゃ駄目?」

 

「何故…ああ、お前の母親が居たか…構わないが、ベッドは一つしか無いぞ。」

 

「いや、床で「それを私が許すと思うか?」……だよね。」

 

幸い二人寝れるスペースは有るけど、千冬と同じベッドに入るのはキツい…でも、母さんと寝るのは別の意味で辛い…と言うか、さすがにクロエも入れて三人だと狭い…てか、クロエも嫌がらなかったんだよねぇ…

 

「と言うか…二人はお前が来るの待ってるんじゃないか?」

 

「いや、あのベッド三人だと狭いって…そもそもの話、クロエは母さんに懐いてるしさ、二人っきりの方が良いんじゃないかと…」

 

「クロエがお前の母親に気を許してるなら、お前の事も慕ってると思うがな…」

 

「そうかなぁ…と言うか、クロエが束の所に居ないのが不思議で「お前、何か忘れてないか?」え?」

 

「お前の兄は今、何処に居ると思う?」

 

「……あ。」

 

そう言えば、兄さん束の部屋から出なかった様な…

 

「クロエは…分かるんだろうな…」

 

「と言うか、いつから?私の知る限り…まだそんな関係になってなかった気がするんだけど…」

 

「さぁな…私にも分からん…」

 

「ん~…まぁ、まだ一緒に寝てるだけの気もするけどね…」

 

「仮にそうなったら、嬉々として私たちに報告に来るだろうしな……束が。」

 

「兄さんが奥手って言うより、束が積極的過ぎるって感じだからね…」

 

色々面倒な事になりそうな気はするけど…それでも二人がそうなるなら友人として、妹として…私からは普通に祝福出来無くは無い。まぁ、そうなると…余計に二人から私への後押しが強くなりそうな所…今だってほとんど背中を蹴り飛ばされるくらいの勢いで押されてる気がするんだけど…もうこのまましばらくはお互いの事に集中しててくれないかなぁ……まぁ、今はそこら辺は置いておこうか…さて…

 

「で、千冬の部屋に泊まったら駄目かな?」

 

「……お前の母親が私の部屋に押し掛けて来ないと、自信持って言えるなら良いぞ?」

 

「……」

 

うん、間違い無く来るね…ハァ…仕方無いか。

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