親友の妹に転生しました   作:三和

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「亡国機業か…束。」

「うん、私たちの世界にも有るよ…ちなみに、学園祭で襲撃して来たオータムとか言う奴も構成員だね。」

「あー…あの女か…」

「と言うか、よりによって学園を襲撃し…いや、何で普通に学園に入れるんだ?」

彼の疑問は最もだ……正直、私も同感だが。

「普段は一応警備が厳重、と言う事にはなってますが…学園祭の時は招待状さえ持っていれば中には入れますから…」

「…で、襲撃者を中に入れてしまったと…ザル過ぎないか?」

「一応招待状は生徒の家族か、IS企業関係者…他には政府関係者と国際IS委員会の者しか招待状は手に入れられない筈なのですがね…」

まぁ、生徒が家族では無く"知人"に送る可能性も有るから何とも言えんが…さすがに普通は生徒関係者の素性の調査まで一々やらんからな…仮にやるとしたらよっぽど、その生徒自身に何か問題が有るときくらいだ…後は入ろうとする当人に怪しい所が無ければそのままパスされるだろう…招待状が正規の物なら、仮に盗んだ物でも入れる可能性は出て来てしまう…

「……私でも侵入出来そうな気がして来たな…」

この人は身体能力こそ、そう高くないが…それでも彼が仮に何らかの悪意を持って学園に侵入すれば手強い相手になるだろうな……私は浮かんで来た最悪の想像を振り払う…彼は今では嘗て(まぁ、一応今もそうだと私は思っているが…)親友で有った私よりも束の深い所に居る…つまるところ、彼が敵に回る…と言うのはそう言う意味に他ならないだろう…

「まぁ、貴方なら言ってくれれば…少なくとも一夏は招待状を送ってたでしょうけどね…」

なので、敢えて私は上辺だけの意味と捉えた事にして発言する…今それを想定するのは無意味だからな…個人的に敵に回したくない、と言う思いも有るが。

「しかし…私の様なむさ苦しい男が女子校に来るのは宜しくないだろう。」

……この人は何を言っているのか…

「束さんは行って欲しく無いな…■くんは絶対モテるだろうし。」

「正直、私個人としては招待状送りたくないのですがね…」

純粋に学園祭を楽しむ為に来ただけにしても、束とは別の意味で私は彼が学園に来るのを渋るだろう…何故なら…

「何せ貴方の場合、色々騒動を起こす予感しかしないので…」

それでも一夏が入学して以来、学園を中心に起きている事件よりは遥かに平和だろうがな…

「まぁ、どっちにしろ私は男だからな…行くなら…『やっぱり変装して行かないとね』」

「だから、あいつの真似は控えてくださいと…」

以前、脳がバグると言う表現を耳にした事が有るが…成程、こう言う心境を言うのか…何せ表情は元より、姿と声自体まるで一致していないからな…

「全く「『ふむ、それなら』」いや、私の真似もやめて貰えますか…「『え~!?じゃあどうすれば良いのさぁ!?』」…だから、何でそう女装したがるんですか…趣味ですか?」

「いや?どうせやるなら本気で追求したいと言うだけだが?」

「■くん!それなら束さんも協力「するな!二人がタッグ組んだらほとんど本人が出来上がるだろうが!」ぶ~!ちーちゃんのケチ!」

何せ選手時代のあいつも私の様に崇拝クラスのファンが居て、しかもその多くがこれまた私と同じく女性だったと聞いている…さすがに生徒の中に当時のあいつを知っている奴は居ないだろうが、万が一来賓にファンが居たりしたらどれ程の混乱を生むか…かと言って世界的に指名手配されてる束は元より、私に至っては学園内に本人が居るからな…それこそ面倒事になる…

「お願いですから来るので有ればそのままで…そして問題を起こさない様にお願い出来…何だ束?」

束が私の肩を叩く…

「ちーちゃん…多分無理じゃない?■くんなら来ただけで、絶対何か起きるだろうし。」

……まぁ、正直…私もそう思う…

「と言うかそう深刻になられてもな…半分冗談なのだが…」

「半分は…学園に行ってみたいと?」

「いや、そっちでは無くてだな…」

「……貴方、やっぱり女装したいだけでしょう?」

頭痛がして来た…この分だと、数日もすれば私や束がもう一人現れたり…何ならあいつが出て来たりするのだろうな…ここで私が駄目だと言っても、二人は確実にやる…外に出るのは不味いとしても、ここでやったらお披露目するのは私かクロエだけになるからな…と言うか、どうにもこの二人は私をからかって反応を楽しんでる節が有る…全く、退屈なのは分かるが…他にもっと健全な趣味でも見つけろと言うのに…

……なぁ■■…今、私はお前に無性に会いたいよ…正直、悪ノリし始めた二人の相手は私には無理だ…私を、助けてくれ…


*48

まぁ、前日に妙な話を聞かされつつ…母さんからの愛が重過ぎて部屋から逃げようとした時に見てしまった…思わず面食らうくらい悲しそうな顔をするクロエ(私、そんなにクロエに懐かれてたの?)を振り切って千冬の部屋まで全力で逃げるなんて事が有っても、私たちのやる事は変わらない…大会の日までこうして戦うだけ(本番さながらに全力になっちゃうのは自分でもどうかとは思うけどね…何せ千冬もまだ本気じゃないし…)

 

「ハァッ!」

 

「スピードが落ちて来てるぞ!そして、読みやすい!」

 

私が自然とやり始めた、頭上で槍を回転させる動き…調べたらこれはそもそも示威行為の意味合いが強く、特別意味が有る訳じゃない…ただ技術的には練習しないと難しいこの技…相手に対して警戒させる事は出来る……千冬以外なら。

 

ハッキリ言って千冬相手だと全く持って効果が無く、単に私が疲れるだけだったりする…で、気付いたら一気に追い詰められる展開になって来る……あー、あんまり自信無いけど…アレ、やろうか。そろそろ練習しないとと思ってた所だし。

 

「ふっ!」

 

「なっ!?」

 

私は突進して来る千冬に向かって槍から離した右の掌を突き出す…一見苦し紛れに出した様にも見えるその行為は…千冬の動きを止め、身体を少し後ろに下げる……前に茶飲み話の流れで柳韻先生に聞いた事の有る遠当て…定義としては相手に触れずに当身を入れる技……まぁ、とは言え…これ自体はほとんど実現不可能…話としては残ってるものの要は相手に"当てられた"と思いこませる技であり、原理的には相手の影に矢や手裏剣などを当てて動きを封じる影縫いに近い…もっと簡単に言えば一種の催眠術に近い物…

 

武術の世界でまことしやかに語られてはいても実際は出来無いそれを…何とか私は使えないかと考えた…そこで私は入院中私に会いに来た束にこの機能をシュナイダーに擬似的に付けれないかと提案した…千冬を出し抜くなら、それくらい必要だと思ったからね…

 

『いやまぁ付けれなくは無いし、良いけど…それ、意味有るの?』

 

『まぁ、あんま意味無いだろうね…近接武器使うのって今の所私と千冬くらいだろうし…』

 

『と言うか、ちーちゃんに当てる自信…有る?結局、使い所を見極めるのは■ちゃん次第になるよ?』

 

『難しいかな?』

 

『当てるなら、完全なカウンターで当てないと本当に意味無いだろうね…ちーちゃん、勘が良いから。』

 

『確実に当てれるタイミングで無いと駄目か…』

 

『それに、飛ばし過ぎて距離が空いたらちーちゃんはすぐに体勢を立て直す…追撃出来無いと意味無いから威力は抑え目にするしか無い…おまけに二度目は警戒されて、当たらないだろうね…』

 

『でも、試す価値は有るかなって思うの…束、お願い…』

 

『……まぁ、あの野太刀使われるより良いけどさ…』

 

そうして私がアイデアを出して束が付けた機能、それが圧縮した空気を打ち出すいわばIS版遠当て……一応、当てれるタイミングだったとは言え、当然本音を言えばここで使う気は無かった…本番まで取っておくつもりだった…でも、ぶっつけ本番でコレを使う自信が私には無い……まぁ、実は奥の手はもう一つ…束に用意して貰ってる(高々一週間とは言え、入院中暇だったから色々浮かんだ…)コレを警戒させる事で、そちらには気付かせない…そんな狙いも有る。

 

「デヤァ!」

 

でもまぁ今はそんな事は良い、私は左手に持った槍を全力で突き出す…今なら、怯んだ千冬に当てられる…!

 

「っ!」

 

胸の辺りにヒット!うん、千冬の場合ほとんどの攻撃はISの装甲に頼らず躱そうとするから一回直撃させるだけでもちょっと嬉しい …さぁ、つ…え!?

 

「まぁ、当たってやっても良いんだがな…」

 

「いやちょ!?ふぐっ!?」

 

追撃のつもりで突き出した槍が当てたのは千冬の残像だったらしく、空を裂く…慌てる私の、既に目の前に居た千冬が…顔面に向けて突き出して来る掌…いや、剥き出しに見えても絶対防御は働くとは言え、顔に向かってIS纏ってる手でやる普通!?……つい、目を閉じてしまった私に襲いかかる衝撃…もちろん痛みは無いけど、思わず怯みつつも何とか目を開けた私の視界に最後に見えたのは…振り下ろされる千冬の雪片だった……いや、もうホントズルい…

 

 

 

 

「……最後のアレはズルくない?」

 

「お前も相当策士だと思うがな…恐らく束があの機能を付けたのはお前の見舞いに行った後…それを何だかんだ今日まで隠してたんだからな……ま、今使ったのは早計と言わざるを得んか。 」

 

う…正論だから何も言えない…

 

「と言うか、どうせまだ何か付けて貰ってるんだろう?」

 

「さぁね…」

 

「その反応は有ると言ってる様な物だがな…そっちは本番…それも私と戦うまでは取っておけよ?」

 

「まぁ、使い所も有りそうだしね…遠当てはガンガン使って行くよ。」

 

よくよく考えたら、相手が近接武器じゃなくても私は近付かないとならないんだから状況によってはそれこそ使わざるを得ないと思うんだよね…ちょうど相手の弾幕を止めるのにも有効だと思うし。

 

「しかし…そんなに怖かったのか?」

 

「まぁ、さすがに…」

 

あの時顔に向かって突き出された千冬の掌…思い出すと少し身震いする…いや、痛くないと分かっててもちょっと怖いって…

 

「アレで怖かったら、銃持ってる相手に近付けない気がするがな…」

 

「やっぱり、顔にも飛んで来る?」

 

「私の場合、かなりの至近まで近付かないと当てれないからな…」

 

「あー…そうだよねぇ… 」

 

そりゃ、顔にもガンガン弾が飛んで来るだろうね…

 

「ま、克服してる時間は無いな…」

 

「まぁ、何とかなると思う…実際は痛みも無いんだから。」

 

「……お前の場合、慣れてしまったら生身の時も警戒薄くなりそうだな…」

 

「基本的には、躱した方が良いって事?」

 

「私の場合は最早癖だが…お前は無理にでも習慣付け無いと、生身の時に突発的な事故に見舞われても避けもしないで怪我をする未来しか見えんな…」

 

「否定出来無い…」

 

うん、まぁ確かにやりそう…

 

「ま、油断しなければ避けれるだろうがな…お前、私がアレを食らって怯んだのを見て安心したろ?」

 

「そりゃ、あそこまで綺麗に決まると思わなかったし…」

 

「大体において、アレも奥の手の一つならもう少し取っておくべきだったな…私と違ってお前は、一撃では相手を倒せないからな…」

 

「シールドエネルギーの量的に、今回は行けると思ったんだけど…」

 

「並の相手なら、あのままいつもの三連突きを繰り出して行けば流れに乗れるがな…」

 

「千冬以外に、対応出来る人が出て来るって言うの?」

 

「アレなら射撃だけで潰せるぞ…僅かとは言え、距離も空いた状態でお前は突進して来てるしな、良い的だ。」

 

「あちゃあ…そこまで考えてなかった…」

 

「まぁ、ほとんどの奴は対応出来んだろうし…私に対しても上手くすれば使えるだろうけどな…」

 

「いや、もう初見じゃないでしょ?」

 

「お前がいつ使うのか、私に悟られなければ良い話だろ?」

 

「簡単に言わないで…」

 

自分の勘の良さ、もう少し自覚して欲しいなぁ…

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