若干まだ寝惚けてるみたいだし、万が一こぼして汚してしまったら元も子も無いから本はしまって取り敢えず適当に携帯を弄りながらコーヒーを飲む…まぁ、普段あまりネット見ないし…特別そんなにやる事が多い訳でも無い。
取り敢えず一夏君や束からメールが来ていたので、返そうとして気付く……今日本だと午後の三時くらいだっけ?う~ん…まぁ、一夏君は学校も終わる頃だし良いか。
一夏君の内容に関しては当たり障りが無いと言えば無い…普通に大会に出る私に対する激励…少しとは言えまだ日があるし、気が早いと思わなくもない…と言うか私の事持ち上げ過ぎだよ…それでも思わずクスリと笑い声を漏らしつつ、ふと思う……本当は昨日の時点で一夏君も連れてここに来れれば良かったんだけどね…まぁ、正直…私はまだしも千冬の顔はそれなりに知られているし、万が一一緒に飛行機乗って…何か有っても困る。
いや、今のご時世だと本当に何処に行っても割と男性に対する風当たりって冷たいんだよね…大人とか子供とか関係無しに…そうしてる女性陣の多くはそもそも男尊女卑だったのがひっくり返っただけ、と主張するんだろうけど…一応、ISが出来る前の世界を知っている者の一人として…私に意見させて貰えるならそれは違うと思う。
実際に虐げられていた女性たちを貶める意図は無いけど、それにしたって彼女たちのやっている事は本当に目に余る…と言うか、世代的に今騒いでいる女性たちは本当の意味で女性の立場が弱かった頃を知らないだろう…だって若い女性がほとんどだし、そうなるとあの人たちは私たちより少し上か同世代、あるいは普通に歳下…
そんな彼女たちに言いたいのは男性を奴隷扱いに出来る程、虐げられていたのか?…である。
実際に女性が男性より下に見られてた頃が有ったのは確か…それに間違いは無い。ただ…今騒いでる彼女たちの場合、ハッキリ言ってそれ程男性に苦労してた様には見えない人たちがほとんど…大半が正直ちょっとした不満や、やっかみの様なもので男性を攻撃している様に見える…
その証拠に、彼女たちが攻撃する対象の多くはある程度社会的地位の有って面倒事を避けたいだろうビジネスマンと…後は子供。
実際、一夏君もいきなり知らない女性に自分の荷物を運べと命令された事が有るらしい…さすがに手荷物レベルだったとは言え、よりによってその辺に居る小学生捕まえてやる事じゃないね…しかも断ったら、ヒステリックに喚き始めたとか…私はその時はその場に居なかったし、その後の顛末も具体的には知らない…ただその時は普通に千冬が止めに入った上、束まで動いたそうだから…二人はそれ以上語らなかったけど、少なくともその女性は確実に、社会的に死亡していると思う…最も、正直束が動いたなら本当に肉体ごとあの世に逝っていても特に驚きは無い。
……とにかく、彼女たちが攻撃しているのは諸々の理由で反撃の手立ての無い男性がほとんど…なら、それは権利の主張では無く単なる憂さ晴らし…本当に自分が正しいと思うなら、自分より強い男性にも噛み付ける筈だからね…実際、今でも女性に対して横暴に振る舞っている男性は普通に居る訳だし…そう言う人こそ注意すれば良いのにそれをしないどころか、実質同じ事をしているんだから何ともまぁ…
「ハァ…」
堂々巡りの思考を打ち切り、コーヒーを口に入れると既に温くなっていた…更に気持ちが滅入りながらも一夏君のメールに返信する…ま、彼には出来ればこのまま何事も起こらず…伸び伸びと成長して行って欲しい所…
次は束のメール……いや…"ちーちゃんと上手く行くと良いね"って、暈してるけどちょっと下世話じゃない?……他意は無いのかも知れないし、無難に返事しとこう……ん?
「あ、兄さんからもメール……っ。」
あのねぇ…"この旅行で一発決めろ!"って…あまりにも直接的過ぎる…と言うかこんな下世話な内容…妹に送るメールじゃないでしょ…まぁ、一応…それ以外に取れなくも無い文面だけどさ……千歩くらい譲ればね。
「ハァ…」
と言うかこのメール、ちょうど今来たんだよねぇ…一夏君と束の方は一応、昨日の内に送って来てるけど…少なくともあの人は、時間は分かった上でこの時間狙って送って来てる筈…無視しようかと思ったけどあの人の場合…返信しなきゃしないでまた変な内容を送って来るかも知れない…取り敢えず釘は刺すべきか。
"朝っぱらから面倒臭いメール送って来ないで"
……送信。よっぽどアドレスを迷惑メールに設定して、届かない様にしようかと思ったけど…あれで時々、色々相談にも乗ってくれてるしね…取り敢えず今はまだ、そこまではしなくて良いか……ふと兄に、束とは今どうなのかと聞きたい衝動に駆られたが…正直、あまり意味が無い気がする…と言うかあのメールも含めて、あの兄が恋愛に関する内容のメールを全部あの真顔で打つと考えると少々不気味…ハッキリ言って全然笑えない。
取り敢えず携帯を閉じようとした所でまたメール…と言うか、例の学生時代の友人からも来てたみたい…後で返信しよう……で、今来たメールは…
「また兄さんからだ…今度はな……ボイス添付メール…?」
これまたいや~な予感しかしない…声真似が最早、聞いたのが声だけだと本人と間違えるレベルの兄さんだしね…取り敢えずイヤホンを使って聞く事にする…どれど…っ!?
すぐに再生をやめた…いや、あの人何考えてるの!?頭痛を感じて、こめかみを押さえながらも兄さんに返信する…
"変なの送って来るのやめてよ!?"
兄が送って来たボイスの内容、それは…どう考えても千冬そっくりな喘ぎ声…ついでに私の名前を呼ぶオマケ付き……唐突な内容なのに、微妙にリアルに聞こえたのが尚の事…腹が立つ…まぁ、メールを削除しようとして数分悩んだ後…結局、ボイスを保存している自分に一番ムカついてしまってるけどね…大体、千冬本人の声じゃないのに…
「ハァ…」
つい携帯を睨み付けたけど、三通目が来る様子は無さそう…うう…身体が熱い…いくら好きな人の声に似てるからって、男性が女性の喘ぎ声出したの聞いて身体が反応してる私って…
……結局服を脱ぎ捨てて、バスルームに駆け込んだ私…本当にもうあの人は……そう言えば、少し前に女性向けのファッション雑誌パラ読みしてた事も有った…あの人一体何処に向かおうとしてるの…?いやまぁ…人の趣味にケチ付ける気は無いけどさ、私だってその辺色々言える立場じゃないし…とは言え、一々私を巻き込むのはやめて欲しいよね…