とにかく私は落ち着くまでずっとシャワーを浴びていた……元々温めにしている事も有り、物理的に身体が冷えて来たので…季節柄大丈夫だとは思うけど、万が一にも風邪を引くなんて事が無い様にそろそろ出る事にする…
「全く…」
出てから気付く…タオルはさっき浴びた時に使ったのがそのまま使えるにしても、着替えすら持って来てない事に…
「ハァ…」
取り敢えず身体を拭きつつ…さっきまで居た部屋に戻って来る……千冬は寝て…
「ん?出たのか、おはよう。」
「おっ、おはよう…もっ、もう起きてたんだ…?」
いや、起きてるよ…参ったなぁ…思わず驚いて吃りはしたけど思った以上の衝撃は無……いや、着替えくらいはして欲しかったなぁ…と言うか、普通に上のシャツはまだしも…下はパンツのままで、窓の辺り立って太陽の光浴びてる姿って言うのは女性としてもうどうなのか…似合ってるけどね…
「……裸で出て来たって事は着替えを忘れたのか?お前にしては珍しいな…」
初めの内、その辺とにかく千冬に注意してたのは私で…もちろん言うからには、私は千冬の前でその手の失敗は当然出来無いからね。お前が言うなって話になるし…でも気付けば、もう高校入る頃には私のやらかしの方が多くなってたのが正直な所…今じゃ私は、千冬もすでにやめたタバコ吸ってるぐらいだし…まぁ、元々私は自分でもポンコツな所が有ると思ってたし…実際、そう言うキャラは向いて無かったんだろう。
「ちょっとこっちに来い。」
「うん…で、何?」
「良いから座って待っていろ。」
有無を言わせぬ口調に従い、ベッドの上に腰掛ける私…基本的に私が千冬の命令に逆らうと言う事は無い。……正直、千冬に本気で命令されたら…私は最終的にどんな内容でも従ってしまう気はする…実際、仮に千冬に死ねと言われれぱ…千冬が本気で望んでるなら私は普通に死ぬだろうなと思う。まぁ、好きな人にそれ言われたら嫌とは言えないよねぇ…
「……何か妙な事考えてなかったか?」
「え!?いや、何も…?」
「その反応で誤魔化すのは無理が有るだろ…」
手に自分の荷物の中から出したドライヤーを持った千冬に指摘されて、つい慌ててしまう私…
「まぁ、良い…ところでお前の場合、自分でドライヤーを掛けるのは好きじゃないんだったか?」
「そうだね…冷風だと時間掛かるし、かと言って温風だと…何か火傷しそうで嫌なんだよねぇ…」
と言うか多分、私は未だに扱いが下手なだけだろうね…私の場合面倒で切りに行かない事も多いから髪も結構長い…とは言え『伸ばすなら手入れは時間を掛けなさい』と言う母さんの教えに従う形で洗うのだけは入念…ただ、その後乾かすのを含めてそれ以外は本当に面倒だし苦手…基本的にはただ頭にタオル巻いて放置してる場合が多いのが私…自分の部屋で一人だったら、夜にシャワーを浴びた後なんてそれすら面倒でそのまま寝てる事も有る…いや、やり方は最低限教わってるんだけど…
「何の為に伸ばしてるんだかな…」
「え?毎回切りに行くのが面倒だからだけど? 」
「……そうだな、お前ならそう言うか。聞いた私が馬鹿だったな…」
私の後ろに座った千冬にドライヤーを掛けて貰う……幸い今の所、私の身体がそう言う反応を返す様子は無し…いや、時間の問題だと思うから早くして欲しい…と言っても、千冬は温風と冷風を使い分けて私の髪を乾かそうとしてるから確実に時間は掛かるだろうね…ま、でも…これは気持ち良い…ちょっと何か眠くなる…
「ふにゃ…」
「……あまり女性がして良い顔じゃないな…ま、嫌いでは無いが。」
いつの間にか千冬が正面に回って来てたり…まぁ、正直反応出来る状態でも無いけど…
「全く…せっかく伸ばすなら、もう少し大事にしたらどうだ?」
「ん…そう言われても私は本当に面倒だから切らないだけだし…いよいよ鬱陶しくなったら、普通にバッサリ行くから…」
まぁ、中高…その後の短大での友人に実はそこまで言った事は無い…いや、私の髪を見て『綺麗…』って目を輝かせてるのを…わざわざ現実教えて幻滅させる事も無いかなと…
「私に散々色々言っていたが、正直どちらかと言えば…女性らしさが欠けてるのはお前の方だよな…」
「んん…そうかも…」
「いや、もう朝だぞ?寝るなよ?」
「分かってるって…」
寝ないよ……多分…