11月のある日の午後。
トレーナー室の窓の外にはすっかり色づいた黄色の広葉樹が映え、太陽の光に照らされている。
そこで、彼、どことなく童顔の男性、トレーナーはノートパソコンに向かい、担当する教え子達のスケジュールを考えていた。
サマーシーズンが終わり、中央四大レース場の芝が張り変わり、今や秋のレース真っ盛りの時期。12月まで、熱いレースが繰り広げられるこの時期、既に担当するウマ娘達の出走登録や方針は定まってはいる。しかしそれで結果を出せるかは彼女次第であり、それを支えるのは彼である。トレーニングの方針、追い切りのタイミング、他の出走するウマ娘の状況。確認することはいくらでもあり、考える事も実行すべきことも数多だった。
「ん・・・?」
そんな最中、トレーナー室に音が鳴り響く。軽快なリズムの音楽、それは彼の携帯電話の着信音だった。
彼が携帯電話を確認すると、そこには『駿川たづな』の文字。一体何だろう、と思い、彼はスマートフォンの画面をスライドさせ、耳に当てる。
「もしもし?」
『あ、トレーナーさん、こんにちは。今、お時間よろしいですか?』
「あぁ、はい。どうしました?たづなさん」
『以前メールで送らさせていただきました、特待生のリストですが、ご確認いただけましたでしょうか?』
特待生のリスト、と言われて、
(あぁ、そんなのもあったな・・・)
と思った彼である。
というのも、複数のウマ娘を担当する都合もあり、流し見した程度で、特にしっかりと目を通していなかったからだ。
1人を除き、殆どのウマ娘は今年卒業のため、彼女たちの最後のレースに向けて真摯に取り組みたい。その仕事への想いが、次年度の新入生への受け入れに対して、意識が向いていなかった彼であった。
「まぁ・・・、ざっと見た感じで。」
と彼が応えると
『そうですか。あの、そのリストの子で相談がありまして』
と電話の向こうからたづなはそう切り出した。
『実は、まだ受け持つトレーナーさんが決まっていない子が居るんです。理事長から相談に乗って欲しいと言われていまして・・・』
「え?」
そう告げられて彼は途惑った。少なからず違和感を覚えた。
特待生といえば、トレセン学園が一般入試より先に素質のあるウマ娘を選別し、先に入学決定を決めた子達だ。いわば粒ぞろいの才能あるウマ娘と言っていい。
通常はトレーナー達が競って受け持ちたい意思を表し、取り合いになるのがいつものこと。決まっていないというのは非常に妙なことであった。
『そこで、この件に関して、理事長が少しお話ししたいと仰るんです』
「僕に・・・ですか?」
『はい』
その言葉を聞いて少し頭を捻る彼である。正直今の担当するウマ娘に時間を割きたい。それが彼の本音である。
来年は来年で一般入学のウマ娘で担当する子が出来ればいい、そう考えてはいるのだが
(秋川理事長たっての話か・・・)
という事実が少し彼の頭の中を濁らせた。
理事長直々に話がしたい、それも特待生の話で。これを無碍に断ることなど彼には出来るはずもなかった。何せ彼はトレセン学園のトレーナーなのだから。
「分かりました。いつがご都合がよろしいですか?」
『あ!ありがとうございます!少々お待ち下さい、理事長・・・』
といい、電話の先の声が遠くなる。どうやら、駿川たづなは理事長室に居るようである。その様子を脳裏に浮かべ、どこか苦笑しているうちに
『お待たせしました。明日の午前中、ご都合はいかがでしょう?』
とたづなの声が再度電話から響く。
「分かりました。それでは・・・10時頃などいかがですか?」
と彼が聞くと
『快諾ッ!!!』
と電話口の奥で幼女の声が響いた。どうやらスピーカーで電話をするよう改めたらしい。
『だそうです』
とたづなが続け、
「分かりました。それでは明日の10時、理事長室に向かいます。宜しくお願い致します」
とトレーナーが返した。
『はい!お待ちしています!それでは』
少し弾んだ感じの声で、たづなが応え、お互いに会釈する打ちに電話は終わった。
静かになったトレーナー室にて
「ふぅ・・・」
と彼はため息をつき、少しぼんやりと天井を眺める。
分からないことばかりだ、と思いつつ、一旦仕事の手を休め、特待生のリストのPDFファイル開き、目を通し始めた。
頬杖をついてリストをスクロールしていく彼。彼の目に映るのは、誰も彼もがやはり才覚に溢れてそうなウマ娘の写真と経歴ばかり。人手不足とは聞いていたものの、特待生を受け持つだけのトレーナーも不足しているのか、と頭を巡らす彼。そんな中で、一人のウマ娘の項目となり、彼の手が止まった。
「あぁ・・・」
と彼は首を捻ると
「この子は・・・ちょっと厳しそうだなぁ」
と独り言を漏らす。
そんな中、トレーナー室をノックする音が響いた。
パソコンから目を離し、
「どうぞ」
と彼が声を掛けると
「失礼します」
と一人のウマ娘が姿を現した。黒鹿色の長い髪の毛。透明感のある肌に、少し冷たげな面持ちの瞳。机に歩み寄ってくる彼女の雰囲気はどこか麗しく、品が感じられた。
「ねぇ、トレーナー。先輩達、皆待ってるんだけど」
そう彼女が言うと
「あ」
とトレーナーも壁時計を確認し
「ごめんなさい、パパラチアさん」
と、目の前のウマ娘に頭を下げた。仕事に熱中するあまり、トレーニングの時間になっていたことに気づいていなかったのだ。
「じゃ、行こっか」
と彼女が促すように言うと、
「そうですね」
と言い、彼は立ち上がり、ノートパソコンを畳んだ。
少し駆け足気味で二人の足音が遠ざかっていく。
畳まれたノートパソコン。そこに写っていたウマ娘、そこには『ニシノフラワー』と名前が記された、おかっぱ頭のウマ娘の姿があったのだが、すっかりトレーナーの頭にその名前は消え失せていた。
翌日、10時。トレセン学園、理事長室にて。
「提案ッ!このウマ娘のトレーナーになってくれないだろうかッ!」
挨拶もそこそこに、応接机に向かい合ったトレーナーと秋川理事長、そして駿川たづな。
そして彼の目の前に出されたのは『ニシノフラワー』の資料だった。
「え?」
と、怪訝な声を出すトレーナー。
「いい子だろうッ!飛び級をしてトレセン学園に入学することになった逸材ッ!」
「は、はぁ。確かにそうですね」
とトレーナーが営業スマイルで躱す中
「しっかぁし!!!疑問ッ!!!誰も彼女のトレーナーになろうと立候補しないのだッ!!!」
「あ・・・はぁ・・・」
そうトレーナーは相づちを打ち、手に持った資料に目を通し始めた。
ニシノフラワー。誕生日、4月19日。身長135cm。飛び級してトレセン学園に入学することになった少女。
それは彼も一度は目を通したからこそ何となくは覚えている。とにかく小さく、早熟であるというイメージ。
そして、このとき彼は全てを察した。トレーナーがついていないのはこの少女だけだということを。
なぜなら彼もこのウマ娘を受け持ちたいとは、あまり思わなかったからだ。そしてその理由。それは、彼女がニシノ家の令嬢であるという一点が大きい。
ウマ娘の世界にはいくつかの有名な『家』が存在する。著名なのはメジロ家であるが、ニシノ家もそれなりの名家。
つまり彼女は、名門のニシノ家出身で、トレセン学園を飛び級して入学出来るほどの早熟の天才少女。
一見すると、才能溢れるウマ娘であると言え、先行きは明るいように思えるのだが、彼女を教えるトレーナーからするとそうではない。
飛び級をするほどの才能があるということは、逆に言えば、結果を出して当たり前。結果を出せなかった場合、指導能力がないと言われてもおかしくない。さらに名門ニシノ家のお嬢様。失敗した際には風評は一瞬で広がるだろう。担当するに当たってそんなリスクを孕んでいるのが、このニシノフラワーという少女だったのだ。
そして殆どのトレーナーはそのリスクを取らない道を選んだのだ。結果、彼女は余り物になった。
(そういう・・・ことかぁ~・・・)
そして彼は今のウマ娘の指導に熱中するあまり、特待生のウマ娘に見向きもしていなかった。
それが却って希望に写ったのだろう、目の前の秋川理事長にとっては。他のトレーナーは軒並み断るか、他のウマ娘を選ぶ中で、何も言ってこないトレーナーがぽつんと居たのだから。
少しだけ彼は自分を落ち着かせるため頭を巡らすと、
「あの・・・大変ありがたい話ではありますが」
と切り出した。
「今、僕が受け持っているウマ娘は合計5人です。これ以上はちょっと・・・僕のキャパを超えてしまいますので・・・」
「だが、そのうち4人は今年卒業ッ!!!来年はパパラチア君1人ッ!!!」
勢いよく秋川理事長が言い放ち
「確かに・・・そうなんですけど・・・」
とトレーナーは視線を逸らした。黒鹿毛のパパラチアは今年がクラシックで来年からはシニアクラス。他のウマ娘達は卒業。確かに、ある程度、手が空いたと言えなくもない状況である。
しかし秋山理事長の言葉に
「パパラチアさんも、今が大事な時期というか・・・。しばらくは彼女一人につきっきりになるのもいいかなって・・・」
そう視線を逸らしながら彼は応えた。
その言葉は本心でもあった。パパラチアは桜花賞に挑みたかったが、トライアルレースのチューリップ賞に除外となり出られずじまい。オークスには間に合ったものの五着入線。続いて秋華賞のトライアルレースのローズステークスでも五着だったことから、秋華賞は諦め、今後の方針を探っていこうとしているところである。
ふと沈黙が訪れ、秋川理事長の方を彼が見やると、そこには少し涙目になった幼女の姿があった。
(げっ・・・)
と彼が思ったのもつかの間
「・・・懇願ッ~!ニシノフラワーのトレーナーが決まらないッ!これは由々しき事態ッ!」
とすがるような声で彼に想いを吐露する幼女。
「それに、ニシノフラワーさんは、ティアラ路線に進む予定だそうです。トレーナーさんなら、きっと合っているものだと私達は思っているんですけど・・・」
そう被せるように言ってくるのは駿川たづな。
実はこのトレーナー。ティアラ路線では滅法強いことでも知られている。過去、教え子がトリプルティアラを取った事もある。その実績もあってだろう。この二人がここまで彼を頼ろうとするのは。
「いや・・・でも・・・」
「懇願~~~ッ!!!」
「私からもお願いします!!!」
そう二人の女性に詰め寄られるトレーナー。
何度か押し問答が続いたうちに
そして遂に
「・・・・・・一度、面会させて下さい。それで・・・僕がちゃんと指導者として的確な人物なのか、自分なりに見極めをしたい・・・です」
トレーナーは折れた。
途端、二人の顔が明るくなり
「承諾ッ!!!早速場をセッティングするぞッ!!!」
「えぇ、理事長!!!トレーナーさん、先方に電話を入れますから、スケジュールを教えてもらえませんか?!」
とノリノリとなった二人にさらに押し切られた。
結果、スケジュールを聞き出され、その場でニシノ家に電話をされ、
「それでは、2日後の同じ時間帯に、理事長室で面会ということでお願いしますね!」
あれよあれよという間に、面会のスケジュールが組まれてしまった。
にこやかに二人がはしゃいでいる中で、疲れた笑みを浮かべてその場にいるしかないトレーナーの姿がそこにはあった。
2日後、午後10時。トレセン学園、理事長室前。
「気が・・・重い・・・」
理事長室のドアの前に、トレーナーはただ立ち尽くしていた。
童顔の顔には早くも疲れの顔が見え、少し老け込んだような雰囲気すら漂っている。
ドアを一枚隔てた先には、あのニシノフラワーがいる。それを考えるとどうにも気が滅入ってくる彼である。
しかし、あくまで彼は『面会する』と言っただけだ。『受け持つ』とは言っていない。だから体よく、やんわりと断り、切り抜ければ済むだけの話。
そう自分自身に彼は言い聞かせ、少し深呼吸をすると
「失礼します」
とドアをノックした。
「許可ッ!入室したまえッ!」
と張りのある理事長の声が響き、彼はドアに手を掛けた。
そしてそこに居たのは、
「は、はじめまして!あの、よろしくお願いします!」
少し緊張した面持ちの、あどけないおかっぱの小さな少女の姿だった。彼女こそがニシノフラワー。まだ育ち盛りのつぼみのような少女である。
「はい、宜しくお願いします」
その言葉に彼も言葉を返す。先ほどの態度とは裏腹に、にっこりと、大人の笑顔を携えて。
全身をぼんやりと俯瞰する彼が持った第一印象、それは
(何か・・・バンビみたいな女の子だな)
というものだった。
「着席ッ!そして面談ッ!!!」
と理事長が急かすように彼を応接椅子につかせ、ニシノフラワーと彼は向かい合う格好となった。
そして話したのはとりとめのないこと。志望理由。ティアラ路線に進みたいという希望。そしてぼんやりとした将来像。当たり障りのない会話をしていく二人だったが、どうしても具体像を描くことなく、会話は尻切れトンボで終わりを迎えてばかりになる。
(こんなもんだよなぁ・・・)
と彼は思った。会話だけでウマ娘の素質を図れるはずはない。実際、どんな素質を持っているかは、自分の目で見るしかない。
ただ、初めて出会った大人の男性、トレーナーを目の前にして、一生懸命に話そうとする心意気だけは、彼にも伝わっていた。
(でも・・・すっごい頑張って話してくれてるなぁ)
ふと、無碍に彼女をあしらって「僕では貴方に相応しくありません」というのが、少しためらわれるように彼は感じ始めていた。
何せ、飛び級してまでこのトレセン学園に入ってこようとし、目標を口にするというのが、どれだけ大変か。それを彼は分かっていたからである。何せ、夢を叶え、また夢に破れ、そんな数多のウマ娘を見てきた彼なのだから。
だからこのとき
「トレーナーさん、ニシノフラワーさんですけど。今日、ジャージとトレーニングシューズを持参いただいてます。ちょっと走る様子を見てもらえませんか?」
という、駿川たづなの問いに
「あ、わかりました」
と素っ気なくOKを出してしまった。
当初の『体よく断ろう』という計画でいたのを、そのすぐ後思い出した程度には、彼の気持ちは僅かばかり揺らぎ始めていた。
「ここでいいでしょう」
トレーナーと秋川理事長と駿川たづな、そしてニシノフラワーはトレセン学園の一角の練習コースを訪れていた。
折角走るのだから、と、彼が指定したコース。それは一周1100mの小さな芝コースだった。
「あの・・・本当のレース場と比べると小さいですね」
とニシノフラワーが言うと
「初めて走るのを見ますからね。いきなり大きなコースでなくても、これで十分です」
とトレーナーは微笑んで言葉を返した。
「それでは、ニシノフラワーさん。コースの説明をします」
「は、はい!よろしくお願いします!」
緊張した面持ちのニシノフラワーに彼は頷くと
「まずは800mを1本走って下さい。右回り、向こう正面のスタートですね。第三コーナーから第四コーナーまではフラットですが、最後のホームストレッチ、ゴール板手前100mから高低差1mの上り坂があります。直線距離は240m。いいですか?」
とコースの説明をし、問いかけた。
「わ!分かりました!!!」
「それじゃ、宜しくお願いします」
「よろしくお願いします!」
お互いに頭を下げ合うのもそこそこに、そそくさとスタート地点の向こう正面に、駆け足気味に向かい始めるニシノフラワー。
「トレーナーさん、私がスタートの合図を出しますね」
と駿川たづなが言い
「お願いします」
と彼が頷いた。
「では、私がゴールをやるぞッ!」
と胸を張って秋山理事長が言い
「あ、理事長すみません。お願いします」
「うむッ!」
彼女も彼女でゴール板地点まで走り出した。
ニシノフラワーと駿川たづな、二人が向こう正面に着いたころ、トレーナーの携帯電話が鳴り、トレーナーはその着信に応える。
『トレーナーさん、いいですか?』
と響くのは向こう正面についた駿川たづなの声、ふとトレーナーがバックストレッチにに目を移すと、緑色の制服姿の女性が手を振っていた。
「どうぞ」
とそれに応えて、彼も手を振り返すと
『じゃ。ニシノフラワーさん、行きますね』
『はい!』
と二人の声が電話越しに彼の耳に入ってきた。
『それでは・・・。よーい・・・どん!』
そのたづなの声とともに、ニシノフラワーが駆け出す。第二コーナー手前からのスタート。小さな身長が故に、跳ねるように走るその姿は、一層バンビのようなそれである。
(やっぱ身長が小さいだけあって、こういう走り方になるよな)
とトレーナーは思った。
第三コーナーに入りスピードを少し緩め始め、コーナーの頂へ。第四コーナーに入り、小回りコースをこなしながらも、ぐいぐいとホームストレッチ目指して加速し始める。
(小回りコースでも難なし・・・か。まぁ・・・歩幅も短いもんな)
その姿を見てぼんやりと彼は思った。よく出来た走りであるが、やはりまだまだ子どもか、と思いながら彼女の姿を見る。
そして第四コーナー出口。ホームストレッチ手前に差し掛かったその時。
ニシノフラワーの向きが急に、ぐん、と変わり、そして
「はいっ!!!」
と彼女が叫んだ。
それもつかの間、勢いよく切れるカミソリの如く、一直線にホームストレッチに向けて一文字に走り抜け始める。
「おっ!?」
その向き換えに思わずトレーナーの口から声が出た。
そんな彼の様子など全く解せず、短い歩幅で、小気味よいリズムを奏でて彼女は走りぬけていく。まるで小太鼓を叩くかのようなリズムで、タタタタっと。
そして最後には坂がある。しかしその坂も意に介さずぐんぐんと登り、そして
「ゴールインッ!!!!」
はじけた声音で秋山理事長が声を張り上げた。
少しだけ呆けた様子で、ゴールしたニシノフラワーを見ていたトレーナーであるが、
「これは・・・」
と神妙な顔つきとなっていた。何か確認の必要がある、と言わんばかりの彼は、
「すいません!」
と言い、走り終えたばかりのニシノフラワーに駆け寄ると、
「ニシノフラワーさん、もう一回だけ走って貰えませんか?今度は第三コーナーからのスタートで大丈夫です」
と真剣な面持ちで彼女に問いかける。
ニシノフラワーと秋山理事長はお互いに顔を見合わせると、にっこり笑った。
そして
「はいッ!」
とニシノフラワーはトレーナーに満面の笑顔を見せる。
この時、トレーナーは彼女の煌めきを初めて目にした。若き早熟の少女が見せた、一瞬の瞬発力。
そのはじける若さを象徴するようなその走りを目の当たりにし、その花開く才能のつぼみの存在を目の当たりにし、彼の心の中にあった、『このウマ娘のトレーナーとなるのを断ろう』という当初の考えなど、どこか遙か彼方に吹き飛んでしまったようだった。