ノアに転生したので多元宇宙を廻ろうと思う 作:ウエストモール
第1話 転生からの初戦闘
人間だったはずの俺は、気づいたときには宇宙を流れていた。否、飛んでいた。しばらくの間、星々の間を飛んでいたのだが、やがて氷で構成されている惑星に辿り着いた。
氷面に映る自身の姿。銀色の体に、背中に生えた一対の銀の翼、光に満ちた両目、胸には赤いY字のコアがある。なんと、俺はウルトラマンノアになっていたのだ。
伝説の超人、ウルトラマンノア。銀の翼ノアイージスによって時空を越え、全ての宇宙の平和を守り、決して希望を捨てない者の前に現れて力を貸す存在。そんな最強のウルトラマンに、俺はなってしまった。平凡な一般ピーポーだった俺に、その役目が務まるだろうか?だが、なってしまった以上はやるしかない。
現時点ですぐに行うべきことは、自身の能力と今居る宇宙の状況の両方を把握すること。
超がつくほど手加減して放った稲妻超絶光線ライトニング・ノアで小惑星を粉砕したり、ノア・インフェルノで大きめな隕石を叩いて砕く。キャシャーンがやらねばd・・・すいません、ふざけ過ぎました。とにかく、それら以外にも様々な技を使ってみたり、ネクサスへの変化も試した。
この宇宙を回ってみたのだが、地球らしき星を発見した。宇宙から地上を見下ろしていたら、中東の辺りに怪獣に襲われている古代文明があったので、ウルトラマンとしての初陣も兼ねて助けにいくことにした。
「キャオォォォンッ!」
まるで金属を切っているかのような鳴き声を上げながら、蟻地獄のような怪獣である磁力怪獣アントラーはバラージを蹂躙していた。
すでに国の象徴である王宮も破壊されてしまい、抗う術のない人々は逃げ惑い、祈ることしかできなかった。
「神よ、我々をお救いください・・・」
神に祈っているのは、この王国の王女。アントラーは祈っている彼女の方へと向かい、踏み潰そうとしていた。しかし、そこで乱入者が現れる。
天から舞い降りてきた赤い光球は、ちょうど王女を踏み潰そうとしていたアントラーを体当たりで撥ね飛ばす。直後、赤い光球の中から銀色の巨人が降臨した。
「シェアッ!」
ウルトラマンネクサスの基本形態、アンファンス。流石に普通の怪獣相手にノアの姿では過剰すぎるため、この姿で地上に降り立った。
「シェッ!」
アンファンスは、アントラーと相対する。アントラーは突撃し、頭部の大きなハサミで攻撃しようとするのだが、アンファンスはアームドネクサスを交差させると、体を光らせて高速移動し、アントラーの背後に回り込んだ。
「デアッ!」
背中に飛び蹴りをお見舞いし、アントラーを転倒させる。さらに、アントラーの両足を掴んで回転し、遠心力をのせて投げ飛ばす。アントラーは、盛大に地面に叩き付けられた。
ここで、ネクサスはアンファンスからジュネッスブルーへと変身する。これは、アンファンスのクロスレイシュトロームではアントラーの甲殻に効果がないだろうと判断した上での行動だ。
青と銀を基調とする姿、ジュネッスブルーになったネクサスは、アローアームドネクサスから光の剣を発生させる。シュトロームソードを構えたジュネッスブルーは、フラフラと立ち上がったアントラーへと走っていった。
「ハアァァァァッ!!シェッ!」
両者が交差した刹那、ジュネッスブルーはシュトロームソードを振るい、アントラーを一刀両断した。
「キャオォォッ!?」
断末魔が響いた後、残心をとるネクサスの背後で、ゴトリと音を立てて地面に落ちるアントラーの上半身。直後に下半身も倒れ、アントラーは完全に分子分解された。
「あぁ、神よ・・・」
この戦いの顛末を見ていたバラージの民は、ネクサスを神だと認識し、一斉に祈り始めた。居心地が悪かった俺は宇宙へと飛び去った後にノアに戻ると、破壊されたものを修復する光線を地上に降り注がせた。
後に、この戦いのことは伝説としてこの地球の歴史書に記されることになるらしいが、俺に知るよしはなかった。
あれから、数百年、数千年もの年月が経過した。俺は様々な宇宙を廻り、色々な奴と出会った。とはいっても、知的生命体を襲うような連中の方が比較的多かったが。
宇宙球体スフィアにスペースビースト、根源的破滅招来体、ギャラクトロン軍団、インベーダー、STMC、アンチスパイラル、BETA等々、危険な連中と遭遇している。俺は、人類をはじめとする知的生命体に味方し、本当に危ないときに介入するという方針で動いた。
その世界を一時的に去った後も、複数の宇宙を監視し、それに加えて現地の人間をデュナミストにすることで、いつでも助けに入れるようにしていた。
だが、これを何百年、何千年も続けるのは意外にもキツイ。別の宇宙を見るだけでもエネルギーは消耗するし、デュナミストに力を与えるのも弱体化に繋がる。本物のノアならばこんなことは考えないだろうが、俺は元人間だ。自ら介入するのも割りと面倒になってくる。
そこで俺は考えた。自分の代わりに戦ってくれる者を送り込むということを。要するに、宇宙正義を司るデラシオンのようなやり方だ。大量の雑魚敵を殲滅するのに、ウルトラマンの力では過剰すぎるし、効率が悪い。俺は、手駒として使えそうな存在を探す旅に出ることにした。
これは、ウルトラマンノアに転生した一般人の男が多元宇宙を廻りながら、戦いに介入したりしなかったりする物語である。
こんなのウルトラマンノアじゃないわ!
ただの面倒くさがりな人間よ!