ノアに転生したので多元宇宙を廻ろうと思う 作:ウエストモール
第4話 スペースビーストに逃げられました
ウルトラマンZ。彼はM78星雲光の国の宇宙警備隊に所属する新人隊員である。ウルトラマンゼロに憧れ、勝手に弟子を名乗っているのだが、ゼロから言わせてみれば彼は三分の一人前とのこと。
光の国を襲撃してウルトラゼットライザーとウルトラメダルを飲み込んだ怪獣、ゲネガーグを追ってZとゼロは別の宇宙へと向かったのだが、ゲネガーグの吐き出したブルトンによってゼロが戦線離脱。Zはゼロに託されたライザーとメダルを持って地球へと向かった。
ゲネガーグとの戦闘の過程で死んだ対怪獣ロボット兵器のパイロット、ナツカワハルキと一体化したZはメダルの力を借りてゲネガーグを撃破した。その後も、先輩ウルトラマンとの共闘など様々な戦いを経験したハルキとZはグリーザという強力な怪獣を倒すまでに至っていた。
「ここは、ウルトラマンZのいる地球か」
ビースト振動波を検知した俺は、それを追って別の宇宙へと転移した。一番反応が強かった場所は、地球の日本。その日本には、世界で唯一の対怪獣ロボットを運用する組織、ストレイジが存在しており、ここがウルトラマンZが守っている地球であることが分かった。
「あの新人にビーストの相手は荷が重そうだ」
今のZにはデルタライズクローという最強形態とベリアロクがあるが、現時点でベリアロクが手元を離れてしまう可能性が0ではないし、もう少し先に来るであろうバラバ戦のようにウルトラフュージョンが解除されてしまうことだってあるだろう。できる限り、自分だけでビーストを排除したい。
「ん?」
手に持っていたエボルトラスターのクリスタルが点滅し、それと同時にドクン…ドクン…という心臓の拍動のような音が響く。これは、ビーストを探知した合図。俺は気配のする方へと向かった。
とある山にて、息を切らせながら3人の登山客が逃げるように走っていた。その後ろから迫ってくるのは、ネズミを怪物にしたかのような、二足歩行の醜悪な化け物。上級スペースビーストの一種、ノスフェルである。サイズは小さいものであったが、非武装の一般人からすれば脅威であった。
ノスフェルは、口から長い舌を伸ばし、登山客の1人を捕獲する。抵抗もむなしく、引き寄せられた登山客は口へと放り込まれ、バリバリと咀嚼されてしまった。
「そんな・・・」
残された1人は、その光景を見て腰が抜けてしまい、立ち上がれない。完全に、恐怖に支配されていた。
再び舌を伸ばしたノスフェルは、それを生き残りの足に巻き付けると、引き摺る形で引き寄せようとする。
「イヤァァァァァァァ!」
もはや絶望だった。しかし、突然引っ張られている感覚が無くなる。見ると、舌が切断されていた。
「大丈夫か!」
登山客の前に銀髪の青年が現れる。その手に持っているのは、白い銃のような武器。銃撃によって舌を切ったのだと予測された。
「でも、仲間が・・・」
「それは諦めろ、命が大事ならすぐに山を降りた方がいい。それと、防衛軍に通報するんだ」
登山客は急いで山を降りていく。俺はノスフェルの方へと振り向くが、そこにいたはずのノスフェルは居なくなっていた。
「やっちまった!逃げられた!」
さっきの登山客が危ないかと思い、密かに尾行したが、結局ノスフェルがその登山客を襲うことはなかった。そして、ビースト捜索は振り出しに戻ってしまった。
その日、人が怪物に食われたという通報が防衛軍に入った。最初はあまり本気にしていなかった防衛軍だったが、同じような通報が何件か入ると、重い腰を上げて調査を始めた。
ストレイジ本部
「最近物騒っすね、隊長」
珍しく新聞を読んでいたハルキは、相次いで怪物に人が食われたという記事を見て言った。その記事には、目撃された怪物の特徴も記されていた。
「ハルキ、そのうちストレイジも動くことになるかもしれないな」
ストレイジの隊長、ヘビクラショウタの正体はジャグラス・ジャグラーという名の宇宙人である。ヘビクラは、今回の騒動を起こした犯人の正体について見当が付いていた。
(こいつはスペースビーストか・・・もしかすると、あのウルトラマンが来るかもしれないな)
ヘビクラの言うあのウルトラマンとは、ウルトラマンネクサスのことである。彼が宇宙を転々としていたとき、スペースビーストとウルトラマンネクサスの戦いを目撃したことがあったのだ。
(こいつは面白くなりそうだな)
その時だった。
「βエリアに怪獣出現!目撃された怪物と特徴が一致!モニターに出します!」
基地の中に響き渡るサイレンと緊急の放送。そして、大型モニターに怪獣の姿が映し出された。それは、鋭い爪を持つ醜悪な異生獣。ついに、人を喰らったノスフェルは巨大化したのだ。
(上級スペースビーストのノスフェルか、こいつは厄介だな)
「ハルキはウインダム、ヨウコはキングジョーで出撃!未知の怪獣だ、油断するな!」
「押忍!」
「了解!」
2人の特空機パイロットは各々の機体の方へと駆けていく。特空機2号ウインダムと特空機3号キングジョーストレイジカスタム、2体の特空機は整備班の手によって、完璧に整備されていた。
「フォースゲートオープン!フォースゲートオープン!」
格納庫上のゲートが開き、特空機は太陽の光と外の空気にさらされる。
「ウインダム、キングジョー、リフトアップ」
二体の乗っている床がどんどん上昇していき、特空機は完全に外に出た。
「ウインダム、出撃!」
「キングジョー、出撃!」
二体の特空機はジェットを吹かし、目的地へと飛んでいった。