ノアに転生したので多元宇宙を廻ろうと思う 作:ウエストモール
第7話 GATEの世界になぜ怪獣?
ウルトラマンZのいる宇宙から去った後、俺は何回か並行世界への移動を繰り返したのだが、そこでファンタジーのような惑星を見つけたので降り立つことにした。
ところで、ここは正にファンタジーの世界だったのだが、この世界には異世界との間を繋いでいる門が存在する。しかも、それが繋がっている先は日本の銀座であった。
はい、ここはGATEの世界でした。アルヌスの丘に自衛隊が存在していることを確認したので、間違いない。
アルヌスの戦いを遠くから見てたけど、異世界の軍勢は丘の上から一方的に殴られてましたね。中世の軍勢が現代の銃砲火器で武装した軍隊に勝てるはずがなく・・・御愁傷様です。
異世界を繋いでいるゲートは、危険なものであると考えている。だいたい、並行世界同士を繋ぎっぱなしにするなんて、どちらかの世界に悪影響を及ぼしかねないからだ。まあ、技術のレベルによっては悪影響を抑え込むことも可能なのだろうが。
俺は今、異世界の軍勢が乗り捨てていった馬を集めて飼っています。今のところはこの世界に長居する気はないので、馬達を売ったら立ち去ろうと思う。
「ねえ、ノアール。本当にこの世界を去るつもりなのぉ?」
突然、黒いゴスロリ風の服を着た黒髪の美少女が、声をかけてくる。その細い手には、その手では持てなそうな程の重厚なハルバートが握られていた。
彼女はロゥリィ・マーキュリー。エムロイという神様に仕える亜神と呼ばれる存在で、不老不死らしい。
実は、この星に来て最初に会ったのが彼女である。出会って早々にハルバートで斬りかかってきたのだが、特に殺意は感じなかったため、ノアランスアローを召喚して遊んであげた。まぁ、孫と遊んでいる感覚で楽しかったよ。
実は、今まで人間体で対人戦をしたことはほぼ無かった。だから、今回の遊びは良い経験だと思っている。
その後、彼女に「主神と似た気配がするけど、あなたは神様なのぉ?」と聞かれたが、俺は否定した。ウルトラマンは神ではないのだ。とにかく、紆余曲折あって彼女と共に行動することになった。
「今のところ、この世界に長く残る理由がないからな。それに、何らかの異変が起これば以前いた世界に戻ることだってある」
「ふーん、そうなんだ。1つだけ言っておくけど、この世界でそのうち異変が起こるらしいわよ?」
この世界で異変?思い付くのは、予定より早く目覚めた炎龍と帝都を襲う地震くらいだろう。まさか、原作に無い出来事が起こるのか?場合によっては、ウルトラマンの力を使うこともありそうだ。
しばらくして、ロゥリィと共に行動していた俺は、避難民を助けていた自衛隊の偵察隊に出会った。俺自身は日本語を話せるが、ややこしいことになるので話せないふりをした。
そして、炎龍がやってまいりました。逃げ惑う避難民を襲う炎龍に対し、果敢に立ち向かっていく自衛隊。流石は怪獣退治が伝統の自衛隊である。
ウルトラマンの力・・・・仮にネクサスではなくウルトラマン・ザ・ネクストであっても炎龍を倒すことは容易だろう。だが、簡単にポンポンと力を出してしまうのは、人々が自分の身は自分で守るという心を忘れることに繋がってしまうのだ。
目覚めたエルフの少女によって目が弱点であることを伝えられた自衛隊は目の付近に集中砲火を浴びせ、怯ませる。そこに対戦車ロケット弾が命中し、左肩をまるごと持っていかれた。ここまでは、知っている通りの展開であった。
手負いの炎龍は、咆哮で自衛隊員を怯ませると逃げるように飛び去っていく。だが、ここで想定外のことが起きた。なんと、突然空から飛んできた複数の光弾に撃墜されたのだ。
そして、攻撃の主が地面に着陸する。それは、身長57mの翼のあるスラリとしたシルエットの巨大生物。
「伊丹二尉!あれって!?」
それを見た運転手の倉田三等陸曹が、隊長の伊丹二等陸尉に対して叫ぶ。
「倉田、間違いない。あれは・・・」
伊丹と倉田は、その正体を知っていた。
「空を切り裂く龍、伝説の片割れが目覚めたのねぇ。主神が言っていた通りだわ」
一方、ロゥリィは、それを見て楽しそうにしている。
「メルバだ!ウルトラマンティガ第1話の!」
炎龍を倒したのは、超古代竜メルバであった。ウルトラマンティガの第1話で青いティガに倒されて以降、まったく後の作品で出番がない不遇な子である。
「これが、異変なのか?」
メルバの出現。こんなことは本来この世界で起こることではない。ここは、GATEの世界に酷似した世界に過ぎないらしい。自衛隊隊員達は消耗している。ここは、俺がやるしかない。
気配を消してこっそりと車列から離れると、ウルトラノアライザーを取り出してトリガーを押す。出現した入り口から別空間に突入した。
「二尉、あれに勝てると思えますかねぇ?」
「倉田、本物の怪獣に勝てるわけないだろ・・・」
伊丹は内心、頼むからウルトラマンでもグリッドマンでもミラーマンでも何でもいいから、正義の巨人に助けに来て欲しいと思っていた。
「伊丹二尉!攻撃来ます!」
自衛隊の車両は急速に後退し、先ほどまで居たところに光弾が降り注ぐ。しかし、次の攻撃はすでに飛んできており、車両が移動した先に飛んできた。
伊丹達は、もうダメだと思って目を瞑る。だが、いつまで経っても衝撃は来なかった。恐る恐る目を開けると、間に割って入った光の柱が攻撃を防いでいた。そして、光は巨人の形になる。それは、赤いコアを持つ銀色の巨人だった。
「あれはウルトラマン!ウルトラマンネクサス!」
ついに、ウルトラマンネクサスはファンタジー世界の大地を踏んだ。そして、メルバに対してファイティングポーズで構えるのであった。
「シェッ!」