転生したので竜王を目指そう 作:じいじ
転生したので竜王を目指そう
俺は目覚めたらガバイトになっていた。
目が覚めたときには洞窟の中の土の上で丸まっていた。周りにはフカマルばかりで何か特別なことはなく、ガバイトになっている謎は深まるばかりだった。
悩んでいても仕方ないととりあえず辺りを散策した。
洞窟の中は入り組んで複雑になっているが、たいまつのようなものが立てられており、人の手の届く場所なのだと分かる。松明を辿っていくと広い場所に繋がっていた。片方が洞窟の水場、片方が洞窟の外だった。
洞窟の中のポケモンはフカマルがおり、天井にゴルバット、クロバットなどが張り付いていた。やはり、ポケモンも動物であるためか、地面は尿で白いところが点々と見える。天井を見るも青や紫ばかりで下は青紫か白、パーティ会場か何かと見間違える人がいそうだ。
洞窟を進むと普通のサイズのゴルバットの4倍、5倍は大きいクロバットがいた。目は赤く、あたりに強いプレッシャーをかけている。
ポケモンの本能なのか、それともガバイトになって調子に乗ってしまったのか、無茶にもほどがあるのにそいつに挑んでしまった。
結果はもちろん敗北、こちら側の攻撃はうちおとす(石投げ)しかなく(全然落ちなかった)、相手のこおりのきばによるダメージで骨折のような痛みを与えられたので、これは勝てないとあなをほって慌てて逃げ出した。ちなみに噛まれたところの骨が折れて、凍り付いていた。
手下とも言えるフカマルたちに噛まれたところを舐めてもらったり、薬草のようなものを塗ってもらったりして治してもらいつつ対策を考えて、治ったらヤツの様子を伺った。
ヤツは群れのボスみたいなものなのか同種または、その進化前のゴルバット、ズバットに食べ物や薬草を貢がせていた。
食べ物はドジョッチやネズミである。やはりこの世界はゲームやアニメのようにポケモンだけではなく、哺乳類などもいるようだ。フカマルはズバットやゴルバットを喜んでたべるが、他にも動物がいるのは助かる、さすがにゴルバットがピカチュウなんかを食べてたら嫌すぎるからな。
この洞窟においてもっとも強いのはヤツで、ここはあいつの縄張りなのだろう。あいつが現れると水棲のナマズンのでかいヤツは逃げ出した。俺以外にガバイトを見かけないし、ここにいるのはフカマルか蝙蝠系、水辺にナマズ系くらいで圧倒的にコウモリが多い。多分、コウモリ系がフカマルを食べないから親は卵をここに置いていくのだろう。そうすれば生まれたての弱いフカマルでもなんとか生きていける。そして、成長し進化したフカマルは今まで抑圧されていた分、外に出ていくのだろう。コウモリへの感謝もあるかも知れないが。
そうなるとどこか外にはガバイトの群れがありそうだ。そこに合流するのも良いが、ヤツをなんとかして負かしてやりたいと思ってしまう。
これはガバイトになってから鳴り止まない本能がそう思考を逸らしている気がする。ゲーム風に言えば性格のところだろうか?でも性格に負けず嫌いのようなものはなかった気がするが…。まあ、ゲームのポケモンの世界であってもデータで定められたものではないのだろう。ポケモンだってそれぞれで個性があるとも考えられる。
現在の1番の問題としてコウモリ系がフカマルのことを見かけ次第に倒そうとしてくることである。これは俺がクロバットに攻撃を仕掛けたせいだと思う、というか今までなかったことだから絶対俺のせいだ。俺のせいなので10匹くらいいる洞窟のフカマルをなんとか説得し、一旦掘った穴蔵に全員押し込み、表に出てこないように言った。食べ物は自分が持ってくると無理やり納得させたが、出てきてしまって殺されないか心配だ。食べ物はネズミやズバットを取って来ればいいだろう。
和解も考えたが圧倒的に俺が悪い以上、どうやっても説得することはできないだろう。だからといって尻拭いせずに逃げてしまうとフカマルたちが襲われる可能性がある。一緒に連れて行くにしてもあいつらのなかには生まれたばかりのものもいるため、できないだろう。後先考えずにポケモンの本能に流されてしまったせいで八方塞がりだ、しっかり喧嘩を売る相手は選ぼう。俺は逃げも隠れもできない、仲直りもできない以上、徹底的に潰すしかないだろう。人の倫理や道徳で考えると自分勝手、という解釈になりそうだがここはポケモンの社会。人間の倫理観なんか無視して、コウモリどもを倒すために強くなることにする。
それから約1週間ほど、とりあえず強くなるって考えたときにゲームのポケモンに当てはめて、ゲームで言うところのレベル上げをフカマルたちの食料確保と併せてしてみた。
内容としては、とにかくズバットやゴルバットを倒しまくり、それらを穴蔵に持ち帰るというもの。これなら強くなりつつ、コウモリを減らし、フカマルたちも飢えることがないというベストプラン。まして、俺なら普通のガバイトならば覚えないような技も元々人であるために使うのは容易いし、四つに技を限られることもない。もしかしたら他の賢いポケモンも鍛えたりすれば可能かもしれないが。
今使えるのはうちおとす、あなをほる、すなかけ、かみつく、きりさくといった物理技ばかりである。きりさくなどを使っても簡単にコウモリの翼が切り落とされたりしない。簡単に部位欠損をしないためか、筋肉量がえげつないために今の強さでは難易度が高い。それでもグロいのは食べるときだけで十分なのであまりきりさくは使わないことにしている。
きゅうしょにあたるは相手が怪我しているところ、相手の柔らかいところいったところを突くことができれば相手のダメージが上がるということだろうか?何気にポケモンのシステムの中で1番よく分かっていないことかもしれない。
今使える技のなかでは地味にすなかけが1番使い勝手がよく、ズバットには効かないもののゴルバットにはブッ刺さった。ゲームではひこうタイプにじめん技は効かないが、ここでは当たるのだ。飛んでいるゴルバットの不意をついて地面を抉り、すなを目に向かってかけることでほとんどのゴルバットは空中で安定しなくなり、高度が落ちるのだ。そこをうちおとす(石投げ)で叩き絶命させる、という流れでゴルバットは安定して安全に倒すことができた。
技を使い、ポケモンを食べることで技の威力や、体つきが段々と変わっていくような気がした。すなかけで砂を飛ばせる量が増えていたり、うちおとすの飛距離や威力が上がっていたりなど、レベルアップは順調に出来ているのだろう。
しかしヤツを倒せる威力にはなっていない気がする。
これからも慢心せずにレベル上げをしなくては!
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オヤブンのクロバットは弱く臆病なフカマルやガバイトから自分に挑むものがいることに驚いた。この洞窟は広い訳ではないが、自分に歯向かえば全てのコウモリがその種族を襲うようになるのだ。進化するまで挑みもせず、弱いゴルバットやズバットを倒すような存在が今更襲ってくるなど思いもしなかった。別にフカマルたちを食料にしても良かったが、あいつらは穴を掘って洞窟を広げることができるのだ。だから、ナマズンのように数を調整したりなどしなかったのに。
忘れもしない、あの屈辱。どうせ逃げるのだろうと近づいてみれば迷うことなく石を投げつけてきた。翼に当たらなかったのは良かったが、危うく落ちるとこだった。それでいて、自分が攻撃に転じるとすぐに穴を掘って逃げたのだ。追いかけようとするもそいつは既に地面の下
まるで弄ばれているかのような気分だった。
それから群れ全体にフカマルやガバイトは見つけ次第倒すように命令した。あの取るに足らない種族は一瞬で絶えると思っていた。だが、洞窟にいる気配はするのに、居場所が掴めなくなった。群れのものに聞いても見かけなくなったらしい。そして、入り組んだらところに行った同種以外のズバットやゴルバットは行方不明になっているらしい。多分ヤツとその同族がやったのだろう。
ズバットとゴルバットの数が増えすぎていたので別に困ることはない。いずれまた挑んでくるだろうし、こいつらは入り組んだ方を巡回させて餌にしてやろう。
アイツが調子にのって挑んできたときにズタズタにしてやる。
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最初にクロバットを攻撃してから早くも3週間ほどが経つ。
何十匹のコウモリをうちおとし、倒してきたのにも関わらずコウモリ系は入り組んだ方にまだ来ている。おかげでフカマルが飢えを感じて外に出ることはない、がなんで来るのをやめないんだ?これが群れの主の判断なのか、それとも馬鹿なコウモリがやってきているのか分からないが、どちらにせよクロバットはどうしようもないヤツだったことだ。
そして、数日前からなんかムズムズするような感覚を覚えるようになった。ガバイトのポケモンとしての能力なのか、何なのかは分からないが自分が地面の中にいるような気分がする。あなをほるをし過ぎたせいなのか土と一体化してしまっているのだろうか?すなかけやうちおとすなど岩や土を使うとそんな気分になる。要、解析だな。
目の前から飛んでくるズバットに岩陰から石を投げつける。狙いが外れて胴体の部分に当たってしまい、狙っていたのがバレてしまった。
ズバットは翼を早めにはためかせることで素早く移動し、牙をこちらに向けてきた。躱しきれずにズバットの牙が右手に突き刺さる。かみつくではなく、すいとるであることに気付き、いつも以上に焦って振り解いた。
よくみると牙が普通のズバット、いやゴルバットよりも大きいことに気付く。こいつはヤツみたいに強い個体か?普通ではない牙によるすいとるの生命力的なものの吸われ方が異常だった。他のやつの2倍は威力が高い。
そのズバットに警戒心を高くして、いつもなら使わないきりさくを使う。どれだけすいとるの効率が良かろうと体力はゴルバットに及ばない筈である。左手で勢いよく翼を狙ったが、ズバットに躱された。
やはりこいつは普通のズバットではないだろう。生まれたてのの個体であるズバットのくせして超音波による探知が正確かつ、早い。きりさくの振った音の大きさで速さを計り、強靱な翼で普通のズバットなら簡単に切り落とせるであろうきりさくをあっさりと躱す。焦りを押さえつけて次の策を考える。今日はまだ何も取れていない以上、穴蔵には帰れない。普通なら当たるあなをほるも相手の超音波の正確性ならバレてしまう、それだけなら良いが発達した翼で待ち伏せされてすいとられれば意味がない、となれば…
右手に石を持って、もう一度きりさく。もちろん躱されるが、振り落とすと同時にズバットが躱すであろう場所に向かって投げた石がズバットの耳に当たった。超音波を聞くためかこちらに耳を向けていたのが運の尽き、耳の膜に石が直撃したのではなかろうか。ラッキー!片耳がキーンとなっているのか空中で不安定になったズバットにかみついて絶命させ、地面に落とす。
ズバットに結構な痛手をもらったことで自分の慢心に気付くことができたが、なんでこんなに強かったのだろうか?もしかして、ヤツのところの精鋭かなにかだろうか。これを倒したせいでコウモリ系が一気に襲いかかってきたらいやだな。
名も知れぬ不安を感じながらも一度穴蔵に戻った。
「カァアウ!」
穴に入ると1匹のフカマルが俺を迎えてくれる。こいつは俺の舎弟のようなもので最初に目覚めたときからそばに居た。もしかしたら同じ親をもつ兄弟かもしれない、DNA検査や血統書なんてない以上知ることはできないが。
そいつは俺の右手の噛まれ跡に気づいてすぐに薬草を持ってきた。この薬草は塗るとすぐに傷を治すような、ゲームで言うかいふくのくすりなんかのような効果はないが、安静にしていると傷跡が少しずつ治っていく効果があるようだ。外へ行こうと穴蔵の出入り口に行くとさっきのフカマルが前に立ち塞がった。
なんとなくだがフカマルは今日はもう休んでくれと言いたいように感じる。でも、今日はまだ1匹しか狩れていないと首を横に振る。しばらく不安そうにしていたものの、目の説得が通じたのか通してくれる。
ポケモン相手に人間臭さを感じながら穴蔵を後に狩へと向かうために外に出ようとすると、大量のコウモリが入り組んだ方にいることが羽音で分かった。悪い予感が的中したようだ。あの強めのズバットを倒したせいか、一気にコウモリが攻めてきた。とりあえず様子見も兼ねて、穴を掘って1匹になったコウモリを殺そう。
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クロバットは今まで感じたことがない程、特に怒っていた。
理由は自分の息子であるズバットが殺されたからだ。やったのはあのガバイトだろう。ナマズ系のオヤブンでも水から出られない以上素早く縦横無尽に動き回る息子は殺すことができないはずだ。だが、あいつなら自分には敵わないもののクロバットより少し強い力を持っていた息子に勝つ力があった筈だ。
激怒したオヤブンのクロバットは群れにフカマルとガバイトを殺すように命じた。すぐに殺すことはできないだろうが、食べ物がなくなれば必ず出てくるはずだとクロバットはコウモリたちを常に3匹以上で固まって、巡回させるようにした。だがすぐに数匹のコウモリが狩られた。
あのガバイトを舐めていたクロバットは、ついに重い腰を上げて自分が見つけ出し、息子の仕返しをすることにした。
洞窟に黄緑っぽい黄色の光線が迸った。
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危ねぇ!地面に潜っていた俺はなんとなく感じた野生の勘でその場をすぐに離れようとした。離れようと穴を掘り進むとしっぽが焼けた感じがしたのだ。
びっくりして振り返ると後ろに光の残留があった。それは全てを壊す威力を持ったビームでありながら、その残留は星を散りばめたみたいに綺麗だった。尻尾の先が焦げ、短くなったことも忘れて呆然としてしまったが、すぐに戦闘態勢をとる。
おそらく相手は洞窟に穴を開けてしまうほどの威力の技をもつアイツと大量のコウモリ。物理技かつ、広範囲に影響のある技を使えない俺にはどうやっても勝ち目がないだろう。
しかし、やらなくてはならない。俺はこの洞窟のフカマルの長であり、オヤブンだ。塵芥の蝙蝠野郎どもなんかに負けるわけにはいかないのだ。ほとんど殺してフカマルたちが不自由なく暮らせるようにする。
そう覚悟を決めると自然と力が湧いてくる気がした。
体の底、脳のアドレナリンが大量に分泌された気がした。
右手の怪我が治り、身体が大きく頑強に変化した気がした。
心が燃えるように熱いくせして、体は凍りつくぐらい冷たい気がした。
地面から飛び上がると目の前には無数のコウモリとソイツがいた。ソイツははかいこうせんを打ったせいで動けないのか周りにコウモリを囲わせて、俺の攻撃が当たらないようにしていた。
クロバットがはかいこうせんによって動けない間にコウモリを仕留める。百何十といるコウモリをすなかけしようとすると、地面がそのままスライドし、岩が飛び出してそいつらを貫いた。
今まで感じたムズムズがなくなり、喉の魚の骨が取れたような気がした。
すなかけ(ストーンエッジ)を連発し、コウモリの数を減らす。岩を操り、地面の小石すらも大砲のように跳ねさせて、コウモリたちの体に無数に穴が空いていく。ゲームでは味わうことがないだろうグロさを自分が起こしてセルフで気持ち悪く感じることに矛盾を感じながらとにかく殺し続ける。クロバットが動けない間に、と本能が警鐘を鳴らした。
ヤツだ。クロバットは風を切り裂いて飛ばしてきた(エアスラッシュ)。もちろん躱して、すなかけ(ストーンエッジ)をする。躱したエアスラッシュは岩を抉った。もし当たっていたら深い切り傷になっていただろう。こちらの技は当たるも別の、主の周りを飛び回るコウモリが身代わりに受けた。
同族を犠牲にして生きるところが気に食わないんだよ!
俺はフカマルたちに転生して早々に不自由を感じさせている。それでもそれを挽回しようと死に物狂いで強くなり、食べ物を運び、必死に献身したのだ。他者のために命を張るなんて普通はできないことをこいつは力を使って無理やりやらせてる。力を持つものにはそれ相応の、譲歩が必要なはずなのに。
さらに怒りを感じた俺はコウモリの塊をきりさく(ドラゴンクロー)、すると今までと違って一度振り下ろすとぶちぶちとコウモリたちが落ちていく。爽快さや心地よさなんてなく、有るのは胸糞悪さと群れの長への怒り、そして、ただただ不快なだけ。
やっと半分以上のコウモリが減り、ヤツの姿が見えるようになると仲間を巻き添えにしながらたつまきを打ってきた。たつまきが渦を巻いて、避けきれなかった俺の体に当たる。もちろん弱点で身体から力が抜けていったのを感じた。竜巻に呑まれて打ち上げられ天井に頭をぶつけられる。
俺が天井に頭打ちし、怯んでいるところをヤツは素早く移動すると4倍弱点のこおりのきばを放ってきた。前よりもダメージが少ない気がするが、それでも痛い。
無駄に強いうえに賢い
こいつは俺よりも沢山戦って、勝つことで自分の価値を高め、負けることで強くなってきたんだろう。でも、それでも、同族を見放すなんてできないし、殺しなんてしない。自分に献身してくれるやつを無駄になんてしないもんだろ。
さらに覚悟を決めて、俺が攻撃に転じようと目を向けるとヤツはまた群れに自分を覆わせていた。自分より弱いものを無慈悲に殺さなくてはならないことに不快感を覚えるも、ヤツを殺すためと割り切り、とにかく殴った(こおりのパンチ)。
こおりのきばを受けたせいか、体の内部にある器官から冷気が噴き出した。冷気によってコウモリが数匹落ちる。
辺りに冷気が漂い、コウモリたちが死んでいる、それは新たな魔王の誕生を示唆しているようだった。
その底冷えする寒さに恐怖を覚えたのかクロバットはさらにコウモリをよぶ。ヤツはもうただの小物に成り下がっていた。
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クロバットは焦っていた。はかいこうせんを打った直後に攻められ必死に群れに自分を守らせたものの、そのガバイトからの覇気に恐怖を感じたからだ。
自分は生まれながらにオヤブンではなかったが、それに見合うほどに強くなりこんなやつには負けないはずだった、洞窟の中では怖いものなしであったはずだった。
地面から現れたガバイトは自分が今までみた強敵と同等の存在感を放っていた。身体が大きくなり、肌の色が青紫から黒曜石みたいな暗黒へと変色していた。その黒さが洞窟の暗さと一体化するが、おでこにある真っ赤に爛々と輝く星のような赤、深海のような藍色に薄暗く輝く腹部が怖かった。なによりも、この上の岩のようなポケモンのように黒く、岩を自由に扱い、あのときのように空飛ぶ同種たちを叩き落とし、穴だらけにし、平然と立っているところにトラウマを見出した。少し北に行ったところの氷の塊のようなポケモンのように冷気を発し、どれだけ攻撃を当てようと、どれだけ勝利の経験を、敗北から得た強さを持ってしても勝てないと感じる強さを持っているのだ。
クロバットがまだ洞窟のオヤブンではない頃に挑戦し、全く歯が立たなかった氷のポケモンとオヤブンになったあとに調子に乗って挑んだ岩のポケモンとヤツは同じ気配がした。
そのガバイト、いやそうではないポケモンは今まで幾度となく敗者としての気分を味わい、洞窟に来て弱者になるのを諦め、強者としての皮を被っていたオヤブンの化けの皮を削ぎ落としてしまった。戦意を…そうしつさせた。
群れはオヤブンの戦意の喪失を敏感に感じ取り、散り散りになった。いくら強かろうとも仲間を犠牲にしたくせに、自分の子が死ぬと腰を上げるような自分勝手なやつに従っていたくなかったのだ。戦意を失いオヤブンが絶対に勝てないと分かると、力で押さえつけられていたコウモリたちは弱くなったコウモリに目を向けることなくいつもの天井に翻った。
残った弱いコウモリのポケモン生は偽りの強者のままで幕を閉じた。
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コウモリの主の周りにいたポケモンたちは急に移動し、天井へぶら下がっている。目の前で主が死んでもなんの反応がないのは見捨てたからなのか。可哀想とは思えない立場だが、流石に最後での裏切りには同情する。
まあ、やつのことは一旦いい。それよりも進化だ。どうやらあのムズムズや莫大なエネルギーは進化によって生じるものらしい。すなかけがストーンエッジに変わって、きりさくがドラゴンクロー、そして冷気を出せるようになった。色が青紫からリザードンやゲッコウガの色違いのように真っ黒へと変わっていた。またおでこや腹部のしたはグラードンのような赤、腹部の大半はカイオーガのように藍色に変色していた。どうやら、ガブリアスはガブリアスでもゲームとはだいぶ違うようだ。
普通よりも大きなクロバットを持って穴蔵に戻る。ガバイトのときなら引っ張ることすら出来なかっただろう巨体を持ち上げて運ぶ。やはり力が相当上昇しているようだ。
コウモリたちにはフカマルやガバイトを攻撃しないように脅しておいた。クロバットが支配下に置いていたせいかなんとなくの意思の疎通すらできなかったが、倒したあとからなんとなくで会話が出来るようになっていて良かった。これでひとまずフカマルたちの暮らしは安心だ。
戻って出迎えてくれたのはいつものフカマルで、俺のさっきとは違う姿に驚いたようだ。それでもすぐに、ガバイトの俺だと気付き穴に入れてくれた。穴が小さくクロバットが入らないのではないかとフカマルは懸念していたようだが、もう穴に入って居なくていいと説明した。クロバットを倒し洞窟の主が交代したこと、コウモリたちを説得したことをなんとか説明した。
やっと穴蔵生活が終わったことにフカマルは喜び、他の仲間たちにも伝えに行った。
思えば結構長い間、フカマルたちには不自由をさせてしまったような気がする。フカマルは元々、狩猟や戦闘を生き甲斐にするような戦闘種族、これは他のフカマルを見ていてもわかる。ただ、俺のように負けず嫌いなものはそうそう居らず、負けても良いけど戯れ合うのが好きというものが多い。
よって、殆どのフカマルはガブリアスには至らずにガバイト止まり、というのは穴蔵を訪れたときにフカマルたちから聞いた。英語のリスニングのように部分部分しか分からなかったが、多分合っていると思う。
しかし、洞窟の主というのは正直言って向いてないような気がする。
それに他のガブリアス族よりも強い戦闘欲が溢れ出しそう、と思っているとなにか足音がする。
人間か?フカマルを傷つけるなら許さない、と思って振り返ると赤い帽子に赤いマフラー、そして忍者のような服を身につけた人間がボールをこっちに向けていた。
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俺の名前はテル。元々はどこかここより遠い場所にいた気がするが、いつのまにかここにいた余所者だ。はじまりのはまべで博士と出会ってから自分に特別なチカラがあると自覚し、博士の研究に協力しつつ、島キングたちを大人しくすることで信頼を勝ち取った。
そして現在、天冠の山麓の迷いの洞窟で迷っていた。本当ならもう出れていたはずなのだけど、ノボリさんの案内が終わった後、洞窟でフカマルが出るって知って、取りに来たら迷ってしまった。
そんなこんなでぐるぐるしているとオヤブンのポケモンの気配を感じた。ここのオヤブンはクロバットで入り組んだ方にはいないってノボリさんが言ってたはずなのに!今まで出会ったどんなオヤブンよりも重厚で恐怖心を煽ってくる圧に、逃げたくなるが、それだけ強いポケモンがいるということ。
今の俺の手持ちはダイケンキ、カビゴン、ムクホーク、エンペルトの4匹。ダイケンキは博士に、カビゴンとムクホークは黒曜の原野で、エンペルトは群青の海岸で捕まえた。どれも力を認めさせて、現状では良好な関係を築けていると思う。それでも、これから対決することになる山キングのビリリダマは電気タイプ、カビゴン以外すぐにやられてしまう可能性があるから、ビリリダマのでんき技を受けれるポケモンが欲しかったのだ。
そして、そこには条件に完璧に合致したポケモンがいた。
黒いガブリアス。本来ならいないはずのオヤブンポケモン。その純粋な力は敵だったときのカビゴンの2倍はある気がする。今、俺のポケモンはあの時よりも強くなっているが、エンペルトはじめん技が効くから出しずらい。だからといって弱点がかくとう意外ないカビゴンでは足が遅すぎる気がするし、とボールを構えているとガブリアスがこちらを向いた。
オヤブンのような雰囲気ながら野生の力にはまだ目覚めていない。つまり、素の実力でその強さなのか!?
オヤブンには特殊な性質がある。まず初めにオヤブンが倒れると倒したポケモンまたは、その子孫がオヤブンになる。オヤブンは野生の力に目覚めたポケモンで、野生の力は群れの中の長が群れを守ろうとするときに発動する。
見つめ合っていると近くの穴からフカマルが顔を出した。それに気付いたガブリアスは穴の中に戻るように鳴いている。つまり、こいつには野生の力に目覚めるポテンシャルが十分にあるということ。野生の力を得るとモンスターボールへの対抗力が上がるが、その分大きく強くなる。しかし、モンスターボールにさきに入ると野生の本能は目覚めなくなってしまうのか、野生の力に目覚めることはなくなってしまうのだ。
このガブリアスが野生の力に目覚めたりしたら誰も止められないだろう。とボールを投げる。
「いけ!ダイケンキ!れいとうビームだ!」
ダイケンキをボールから出し、すぐにれいとうビームを繰り出させる。ここで倒すか捕まえないとダメだ!
容赦なくガブリアスには特別効くこおりの技で攻撃するも全然応えてないようだ。整然とずっと立ってる。
ダイケンキが息切れし、れいとうビームが途切れるとガブリアスは動き出した。漆黒の巨大がこちらに向かって高速で突撃してくる。ダイケンキに受けるように指示を出すも不安が拭えない。
「ダイケンキ!アイアンテールで少しでもダメージを減らせ!」
ダイケンキに少しでも硬くした尻尾で受けるように指示する。ガブリアスのはやさで攻撃をされるとダイケンキでは躱しきれないという予感から来た受けらという指示。普通ならそれで安心できるが、今回のこのガブリアスにそんな油断のようなことができるとは思えなかった。
ガブリアスは右手を振り下ろし、ダイケンキに向かってドラゴンクローを放った。それはさながら小さなあくうせつだんともいえるように強大な威力を秘めていた。それをアイアンテールでダイケンキはなんとか受けるが素早さによって負けた行動順によってもう一度相手の攻撃が繰り出される。
「ダイケンキ!アクアジェットを使って避けて!」
ダイケンキの受けを持ってしても超えられてダメージを与えられた以上、受けをするにはリスクが高すぎると判断し、テルは高速で移動して次の攻撃を避けようとした。
直後、
テルは目の前が真っ暗になった!
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やってきたトレーナーをはかいこうせんとパンチ系で追い払った。俺がはかいこうせんを打つと破壊光線が似合うような赤黒い光線になるようだ。とてもかっこいいです。
しかし、俺にも分別はあるということでいくら戦闘狂であっても食事目的以外で殺しはしないと決めているので、相手のポケモンを殺したりはしなかった。それでもあの子にはとても悪いことをしたとおもっている。
ダイケンキは純粋に強いというよりも経験が厚くて、はかいこうせんを使わざるを得なかった。アイアンテールで受けるのはさすがゲームを調圧しているだけあると思った。あのトレーナーはプレイヤーのようにポケモンを愛しているようだったので、バトルの上手さと合わせてボールに入ってあげても良かったかもしれない。でもまだ、世界を自由に見て回りたいから、それかが終わったらで頼む。
ムクホークは鳥ポケモンらしく、空を飛んでいた。それだけでじめんタイプをもつ俺にはだいぶ有利だが、ストーンエッジで一撃だった。エッジが当たりづらいのは操作がし辛いせいだと思う。俺の中身が人だから安定して当てられるものの、ポケモンがやろうとすると相当に難しいはずだ。俺も外しそうになったから練習しておこうと思う。
エンペルトは現状、じめん技があなをほるとすなかけ以外使えない自分では楽々倒すことが難しかった。あなをほるで直撃するも、つぶらなひとみで攻めを崩され、少し時間が空いただけではねやすめされ、れいとうビームをぶっ放してくる。正直、れいとうビームはあまり効かないのだが、有効打だと思ったまんま、あなをほるが急所に当たってエンペルトはなんとか倒した。特殊で倒そうにも、特防は特に高かったはずなのでダメージが全然通らないし、物理はつぶらなひとみでダメージを減らされるしで大変苦労した。
最後にカビゴン。ねむるをもち、体力も多いが、いつかにあなをほるために習得したいわくだきで守りを砕き、徐々に傷っていって倒すことができた。こおりのパンチがあり、何度も放ってきた。実際には少し寒いくらいで痛くも痒くもないのだが。何気にすばやさが遅く、あのトレーナーの得意なテクニカルな戦法が全然活かせてなかった。他のポケモンに比べて大きかったし、強いやつを捕まえてそのままにしておいたのだと思う。
まあ、次のポケモンがないことを確認してトレーナーを洞窟の外に追い出した。
しかし、相手が一対一でやってくれたから良かったものの、4匹一緒に出されていたらさすがにやばかったかもしれない。やはり、じしんとかだいちのちからを使えるようにならなくてはならないだろう。あとはげきりんやかえんほうしゃ…は覚えられるのだろうか?そもそもガブリアスでれいとうビームが使える時点でだいぶおかしい気がするが…。
まだまだフカマルたちを守り群れの主として君臨し続けるのは難しいと思う。フカマルたちだけならコウモリやナマズたちとも共生できるだろうし、俺は旅に出るとしよう。山の上とかとりあえず行ってみたい。
そうして、フカマルたちに別れを告げ、コウモリたちにフカマルを虐めないように言い残して転生してから一ヶ月くらいずっと篭っていた洞窟を後にした。
感想評価してくださると次が出る可能性が上がります
ガブリアスの色
最初は氷、ドラゴンの真っ白なやつにしようとしてました。でもリザードンとかみたいに黒色かっこよさそうだったから変えちゃった。超古代ポケモン結構好き。
特別なガブリアスのはかいこうせん
赤黒い光線を放つ、あくタイプに変化している。
黒セイバーのエクスカリバーみたいな赤黒いやつ
クロバット
迷いの洞窟で産まれ、追い出されても強く生きたやつ。負け続けたが運良く生き続け、オヤブンゴローニャ強化個体や、オヤブンオニゴーリ強化個体にボコされ続け、めちゃくちゃ強くなった。適正レベル75くらいになっていた。
原作主人公
ボコされた後、天冠の山麓以外で鍛えているところをよく見られるようになる。黒いガブリアスを捕まえるために躍起になっている。因みに一部の地域ではオヤブンの出現率が低くなったとかなんとか。
続くとしたら
天冠の山麓→純白の凍土→シンオウ神殿みたいな感じ
あとは伝説VSやりたい
流れの通りにはならないかもしれないですが、のほほんと描いてきます。
ルーキー二位と日間乗りありがとうございます( ͡° ͜ʖ ͡°)
人外転生は敵役を動かしてるみたいでやっぱり楽しい