ゴジラ バーニングブラッド feat.リバイス&トリガー   作:ホシボシ

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第9話 Love me do

「やれやれ」

 

バイラスがため息をつくと、その体にジャミングが走る。

ホログラム映像だったのか、そこで彼は消え去った。

そこで鳴き声が聞こえた。ガイガンが鎌でモスラの羽に触れる。

しかし触れた瞬間、大量の鱗粉が纏わりついて切れ味を落とした。

おかげで羽は切断とはいかず、モスラは足からエネルギー波を出してガイガンを吹き飛ばす。

 

その下では、祭壇を飛び出したリバイスが敵ともみ合っていた。

連続して繰り出される拳と蹴り。

しかし勢いとは裏腹に、対するモンスターXはそれを全て弾き、受け止めながら後退していく。

 

 

「一輝! 後ろ!!」

 

 

パンチマンが走ってきてリバイに掴みかかった。

しかしバイスの警告のおかげでリバイは既にスタンプを持っており、それをなんとか胸に押すことに成功する。

 

 

「ウォオ!」

 

 

リバイは掴まれた状態で両足を振り上げた。

同時に脚部が巨大化。ティラノサウルスのごとく肥大化した足で大地を踏みしめると、身長が高くなったことで掴んでいたパンチマンが浮き上がる。

そこで気づいた。モンスターXが目を光らせていることに。

 

 

「させるか!」

 

 

リバイはそのまま跳ねて高速前宙。パンチマンを勢いで投げ飛ばしてモンスターXのレーザーに直撃させる。

パンチマン地面に倒れたところで巨大化した足で真横に蹴り飛ばすと、全速力でモンスターXに近づいた。

滅茶苦茶な蹴りの乱打ではあるが、とにかくサイズが雑さをカバーしてくれる。

多少のレーザー受けても強引に足をふるい、モンスターXに蹴りを叩き込んでいった。

 

 

「はーい! ようやくおれっちの活躍がはじまるよーッッ!」

 

 

バイスも炎を吐いてガンマンとソードマンをけん制する。

すぐにガンマンは隙を狙うが、バイスは持っていたハンマーで近くにあった木を叩いていた。

 

 

『レッツ! イタダキ!』『ネイチャー!』

『イタダキ!』『エレメント印!』

『オストデルクラッシュ!』

 

 

立て続けに鳴っていく電子音。ハンマーを振るうと、バイスを中心に竜巻が発生。

さらに大量の葉っぱが舞って、視界を覆い隠した。

風の音、葉っぱが擦れる音、そして、電子音。

 

 

『カモォン↑↑』『メ・ガロドォン!』

『カモォン↑↑』『メ・ガロドォン!』

 

『バディー↑ アーップ↑』

 

『潜るドンドン!ヨーイドン・ドボン!メガ・ロ・ド・ン!』

『通りすがりのハハハハンター!』

 

 

雄たけびが聞こえた。

葉っぱを切り裂いてメガロドンゲノムに変身したリバイスが飛び出してくる。

着地と同時にブレードを振るい、ソードマンと斬りあった。

リバイとソードマンの実力は互角。しかしだとしたならば『リバイス』の勝ちだ。

 

 

「ほい! ほいしょーッッ!」

 

 

剣とブレードが弾きあった時、お互いに隙が生まれる。

そこでバイスが滑り込んでリバイスラッシャーでソードマンを斬った。

 

 

「あぁ、おれっちってばなんて流れるような動きなのかしら! 文字では表現できない動きのせいで皆さんに見せられないのが残念で仕方ありません!」

 

 

ソードマンの動きが鈍る。

そこでリバイとバイスは同時に蹴りを繰り出し、ソードマンを弾き飛ばした。

 

 

「うぉぉぉお!」

 

 

手足をばたつかせながら放物線を描いて飛んでいくソードマン。

そこでバイスは、リバイの肩を叩いて踵を返した。

なにかのやり取りがあったようだ。

とにかく、バイスはソードマンを放置して残りの敵のほうへと走っていく。

 

 

「ッッ!」

 

 

立ち上がったソードマン。

前方にはリバイがいて、腰を落としている。

ソードマンも意図を理解して腰を落とした。

 

若干の沈黙。

そして両者、同時に地面を蹴って走り出した!

 

スピードは互角だ。

同時に縮まっていく距離。そして――!

 

 

「ハァアッッ!」『メガロドン! スタンピングフィニーッシュ!!』

 

「グアアアアアアアア!」

 

 

ピンク――、訂正。

マゼンタの斬撃が先に刻まれた。

ソードマンは倒れて気を失い、一方で敵の集団に向かっていくバイスはスローモーションになっていた。

 

 

「あれ? なんかヤバくね?」

 

 

モンスターXは両手を広げてエネルギーを集中している。

光を感じた。直後、バイスの足元が爆発する。

爆風で打ち上げられたバイス。向けられる銃口、さらに集まるエネルギー。世界がスローだ。あぁ、これが人間が死ぬ前に体感するという――

 

 

「やめて! 宇宙人の一斉攻撃で仮面ライダーを焼き払われたら、変身してるおれっちまで燃え尽きちゃう!」

 

 

そうは言ってもチャージはやめてくれない。

スローの世界で、再び強い光を感じた。

放たれた光線と光弾。バイスはスローの世界で手をそっと合わせる。

南無。

 

 

「お願い死なないでバイス……! アンタが今ここで倒れたら一輝や狩ちゃんとの約束はどうなっちゃの? ライフはまだ残ってる。ここを絶えれば宇宙人に勝てるんだから!」

 

 

バイスは改めて光線と光弾を睨んだ。

あれ? ガチでやばくね?

防御とかしても防げなくね? 悪魔焼きができて終わりじゃね?

 

 

「あ! ヤんベェエエ! マジで終わった! 次回バイス死す! 仮面ライダーを楽しみにしてるみんな! ごめんねぇええッ!」

 

『カマキリ!』

 

「んなーんちゃってぇー! フハハハハハ!」

 

 

バイスが急加速でリバイのもとへ引き寄せられる。

はじめから囮だったというわけだ。メイの体を使っている都合上、一体化はしないが、ゲノムチェンジはきちんと働き、バイスは大きなスタンプをリバイに向けて叩き込む。

 

 

『いざ! 無双斬り! 俺が横切り!カ~マキリィ!』

 

『俺たちオンステージ!』

 

 

ガンマンは目を見開いた。

すぐそこに光の矢がある。

素早く抜いた光線銃が矢を撃ち弾いたが、直後衝撃を感じた。

矢は二連射されていたのだ。

ガンマンの手から光線銃が弾かれた。すぐに拾いに走ったが、電子音。

銃を掴んで顔を上げると、見えた。

そこに巨大なカマキリがいた。

 

 

『スタンピングフィニーッシュ!!』

 

「うあ゛ァアアア!」

 

 

ガンマンは鎌で斬り飛ばされ、木にぶつかって地面に落ちた。

リバイスはリミックスを解除。リバイは地面を転がりながら次のバイスタンプを起動させて押印する。

 

 

『巨大なキバ持つ陸のボス! マァ~ンモス!!』

 

『ハナっからクライマックスだぜッ!!』

 

 

向かってきたパンチマンに向けてブーメランを投擲するが、剛腕で弾かれて距離を詰められた。

放たれたストレート。バイスがリバイの前に立ち、盾でそれを防御する。

すかさずリミックスを発動。巨大なマンモスとなったリバイスは、全力でパンチマンにぶつかっていった。

当然、向こうも両手を広げて巨体を受け止めるが――

 

 

「ぉ、ォォオオォオォオッ!?」

 

 

敷かれたレール。

電車の音とともにマンモスが急加速し、パンチマンが押され始めた。

無数の木々にぶつかり、破壊しながら突き進む。

終着駅は『巨岩』だ。パンチマンは踏みとどまろうとしたが、地面を滑るだけで背中から激突。白目をむいて動かなくなった。

 

しかしそこで爆発が起こる。

吹き飛ぶリバイス。見ればモンスターXが歩いていた。

彼の光線が原因だろうが、どうにも先ほどより威力が上がっている気がする。

さらに気絶しているパンチマンをも容赦なく巻き込んでおり、モンスターXはそのまま焦げ付いた彼の頭を片手で掴み、軽々と持ち上げた。

 

「ッ!」

 

リバイが唸る。

モンスターXの手が発光するとパンチマンが目を見開いて悲鳴を上げた。

迸るエネルギー。どうやら生気を吸収しているらしい。

やがてパンチマンは異形の姿へと変わる。どうやら人間の姿に擬態していたらしいが、正体は昆虫を人間にしたような異形の姿だった。

やがてパンチマンの命が尽きた時、モンスターXは干からびた死骸を投げ捨てた。

見れば、ほかのメンバーも同じことになっている。

 

 

「ひぇええ! 悪魔みたいなヤツ!」

 

「仲間だろうが! クソ!」

 

「独り占めしてずるい! おれっちにもちょっと分けてよ!」

 

「は?」

 

「……え? って、一輝! 危ない!」

 

 

吸収したということは、それだけのエネルギーを獲得したということだ。

はじめとは比べ物にならないほどの輝きの光線が放たれる。

縦横無尽に駆け回るエネルギーが次々に着弾していき、大爆発を巻き起こす。

 

「………」

 

モンスターXはジッと爆炎を睨んでいた。

炎の中に青い光が見えた。モンスターXは拳を振るう。

破片を弾いた。炎が消えうせ、吹雪とともにタマゴの殻が飛んできたのだ。

 

 

『My name is """KAMEN RIDER""" 』

 

 

辺りの木々や地面が凍結していく。

 

 

『リバ・バ・バ・バイ↑ リ↑バイ↑リバイ↑↑』

 

 

吹雪が吹き荒れる!

 

 

『リバ!』『バ!』『バ!』『バイ!』『リ!』『バイ!!!』

 

 

"バリッドレックスゲノム"。

強化形態となったリバイと、大きなシールドを持ったバイスは走り、モンスターXを目指す。

先頭を行くバイスが構えたシールドからエネルギーが展開されて、より大きくて巨大なバリアを張ることで敵の光線を遮断していく。

 

 

『リ・ボーン!』『グルグル!』『プテプテ!』『バリバリスタンプフィーバー!』

 

 

上空に現れる二体のリミックス。

それは空中を舞っていたモスラを飛び越えてガイガンたちに突進していく。

 

 

『キシィイイイ!』

 

 

ガイガンは高速回転でリミックスたちをけん制するが、その間にモスラが距離を取って触覚からレーザーを発射した。

それが直撃して爆発。ガイガンは煙を上げて後退していく。

 

一方で地上のリバイス。

バイスが全速力で走り、その後ろをリバイがついていく。

既に距離は縮まった。モンスターXが光線を止めたのを見て、バイスが右へ転がった。

後ろにいたリバイは、突き出した両手から冷気を放出。

すると瞬く間にモンスターXの体が氷で覆われる。

 

 

「ハァア!」

 

 

踏み込み、足裏を叩き込んだ。

氷が砕け、破片と共にモンスターXが転がっていく。しかしすぐに跳ね起き、向かってくるリバイと同じタイミングでフックをぶつけ合った。

腕を組合い、睨み合う。リバイは大量の冷気を放出しているが、一方でモンスターXもまたエネルギーを放出しているためまったく凍る気配はない。

モンスターXが唸る。するとリバイの体が持ち上げらた。凄まじいパワーだ。リバイが抵抗するのも許さず、モンスターXはリバイを上空に放って、身動きができなくなったところに光線を撃ち当てた。

 

 

「ぐぅぉおッ!」

 

「はいはい、今いきますよーッ!」

 

 

バイスは倒れたリバイのところに駆け寄って追撃からリバイを守る。

 

 

「おぉぉぉお、これはキツイですよーッ!」

 

 

凄まじい衝撃、バイスは必死に耐えている。

リバイはスタンプを操作。モンスターXの背後にリバイスマンモスが現れ、前足を上げて押し潰そうとする。

しかしマンモスの足が触れる前に、マンモスが吹き飛んだ。

モンスターXは、尾でリミックスを吹き飛ばしたのだ。

細長い尻尾ではあるが、かなりの威力だったらしい。

しかし注意は逸らせた。リバイは飛び、バイスが盾を上に掲げる。

 

 

「ハァッ!」

 

 

バイスが盾を突き上げる。それを味方につけてリバイが飛んだ。

オーインバスターから雹を発射して敵を狙いつつ、後ろへ着地すると銃をハンマーと合体させて剣に変形させる。

 

冷気が高まる。

剣にまとわりついた氷。できあがったのは氷柱のような槍だった。

リバイはそれを構えて走り出す。一方でモンスターXは再び尾を振るった。バイスの気配を感じたからだが、手ごたえはあれど、気配はいまだ消えない。

後ろを向いて確認をすると、盾を構えて突っ込んでくるバイスが見えた。

 

 

「ド根性ォオオオオオオ!」

 

 

エネルギーバリアを展開させた盾で繰り出すシールドバッシュ。

尾は激しく動いてバイスを何度も叩くが、ついには盾が体に触れ、そのままバイスはモンスターXを押し出してリバイのほうへと近づけていく。

 

 

「………」

 

 

まもなく氷の槍で串刺しになるところでモンスターXが浮き上がった。

なんのことはなく盾から離れ、飛んでいく。

 

 

「羽ないのに飛べんの!? ズルじゃん! ねえ一輝アイツずるしてる!!」

 

「おい! バイス! 前見ろ!」

 

「え?」

 

 

そこには槍先が。

 

 

「わーおッッ!?」

 

 

バイスは盾で氷の槍を受け止めた。

迸る冷気。氷が盾を覆い、さらに氷の槍先に繋がって連結する。

 

 

「ぬぉおおおおおおお!」

 

 

バイスが踏み込み、思い切り盾を振り回した。

つながっているリバイは必死に柄を掴み、そして――

 

 

「せいぃいいいいッ!!」

 

 

バイスが勢いをつけ、そしてリバイが柄から手を離してモンスターXの方までぶっ飛んでいく。

 

 

『バ・バ・バリ! バ・バリ! バーリバリバリ!』

 

 

飛びながら前宙。そして右足を突き出した。

 

 

『バリッドレックス!』『フィニフィニ・フィニッシュ!!』

 

 

冷気をまとった飛び蹴りがモンスターXに直撃するが――

 

 

「う――ッ!」

 

 

モンスターXは片手でリバイの足を掴まえていた。

リバイは力を込めるが、ビクともしないし、相手が凍ることはない。

そうしているとモンスターXは目を光らせる。リバイはすぐに腕をクロスして防御の構えを取った。

しかしその時、空を切るシールド。盾がフリスビーのように飛んできてモンスターXの腕に直撃した。

 

 

「!」

 

 

力が緩む。

対して、そこでリバイは全力を込めた。

 

 

「オッラァアアアアアアアアアア!」

 

「ッッ!!」

 

 

掴んでいた手から足が抜け、そのまま胸に突き刺さる。

モンスターXは凄まじいスピードで地面に叩き落された。

一方で着地を決めたリバイはバイスとハイタッチを決める。

 

 

「ナイスアシストだったぜ、バイス!」

 

「異星人だかなんだか知らないけど、悪魔よりは下だろ? フハハハハ!」

 

 

しかしそこでリバイスは息を呑んだ。

既にモンスターXが立ち上がっていたのだ。

体についた霜を払い、気だるそうにしながらリバイスを睨む。

そこで空から光が伸びてきた。モンスターXを照らすと、瞬く間にその姿が消え失せる。

 

 

「なんだ?」

 

 

それは空も同じだった。

金切声の電子音。ガイガンが光に包まれるとあっという間に消えたのだ。

これはプラスの出来事なのかマイナスの出来事なのか判断ができないでいると、再び轟音と衝撃が走る。

待機状態であって三日月型の宇宙船が再び動き出したのだ。

船の先端からレーザーを乱射して島そのものを破壊しようというのである。

 

 

「まずいな……!」

 

「任せて!」

 

 

そこでテネが浮遊してきた。

 

 

「モスラちゃん!」

 

「フュイイイ!」

 

 

モスラはテネの声を『理解』した。

大きく羽ばたくと大量の鱗粉が散布され、それが小さなモスラの分身を形作り、実体化させる。

フェアリーモスラ。小さなモスラたちは猛スピードで島中に飛び回り、触覚を光らせる。

するとフェアリーモスラを中心に巨大なバリアが形成され、降り注ぐレーザーを受け止めていった。

 

さらにモスラが鳴くと、燦々と輝く太陽から一本の光が伸びた。

それがモスラの背に当たると羽中に光が満ち満ちていく。そうやってオレンジ色に輝いた状態で大きく羽ばたいた。

すると炎の竜巻が発生し、宇宙船を包み込んだ。

 

 

「やったぁ! モスラちゃん! すごぉい!」

 

「ピュゥウ!」

 

 

モスラはテネの嬉しさに呼応して鳴いたが、そこでリバイが叫んだ。

 

 

「まだだ!」

 

 

炎の竜巻が弾け飛ぶ。

宇宙船に目立った損傷はない。すかさずレーザーが飛んできてモスラに直撃した。

爆発が起こり、モスラは煙をあげて墜落していき、インファント島を越えて海の中に落ちてしまった。

 

 

「やばくね!?」

 

「ううんっ、大丈夫! 心配ないよ!」

 

 

テネは目を閉じた。モスラに訴えているようだ。

誰が決めたか、一つのルール。

それを『人類のために使ってはならない』なんて掟があるが、今はインファント島の危機だ。

 

 

「――♪」

 

 

再び歌を口にする。

そもそもテネはその掟が嫌いだった。

なので、今、解き放つ。

 

 

「な、なに!? 今度は何さ!」

 

 

バイスは、海を突き破って巻き上がった水の柱を指さした。

やがて水が落ちていく。

宙に浮かんでいたのはモスラであるが、先ほどとは形状が違っていた。

頭部や体がシャープになっており、羽はまるでトビウオの『ヒレ』のような形状になっていた。

それだけではなく尾にも『ヒレ』のようなパーツが追加されている。

 

 

「"アクアモスラ"です! いいよ! 貴女の力を見せてあげて!」

 

 

モスラが鳴いた。

海から水が巻き上がり、モスラを包み込むように球体となる。

水の結界に守られて飛行する。レーザーが直撃しても、水の壁を突破することはできない。

それを理解してか、船から特大のエネルギー波が発射される。

水のバリアが吹き飛ぶが、モスラの加速は止まらない。

 

一方で宇宙船からは無数のカッターが発射された。

モスラの羽を切断するためだが、どうしたことか?

モスラは回避しないし、カッターもモスラを傷つけることはない。

 

モスラは液状化していた。

大量の武器がモスラの体に当たるが、バシャンと音を立ててモスラの体を通り抜けていく。

レーザーならばと思ったが、これもモスラの体をすり抜けて無効化された。

そうしていると、モスラの青い目が光る。

 

 

「キュァーン!」

 

 

液状化したのはモスラだけではない。

船も同じだった。モスラが機体にぶつかると、水に着水したかのようなエフェクトが視覚できる。

そしてモスラは宇宙船の中に消え、ほどなくして機体の一部が吹き飛んだ。

 

場所は右上、右下、左上、左下。

モスラは機内で羽からエネルギーを射出したのだ。

光の翼は、そのまま前に移動していき、機体を切り裂きながら突き進んでいく。

 

羽から光線を出して、X状のエネルギーとなって対象に突撃するモスラの必殺技・『エクス・ア・クエリア』がさく裂した。

爆発を起こしながら大破していく船を越えて、モスラはテネのもとへ戻っていく。

 

 

「ふんふん」

 

 

テネは頷いた。モスラが船で感知した生命反応は一つもなかったらしい。

つまりあの宇宙船は無人で動いていたということだ。

モンスターXやガイガンが消えたこと、何よりもX星人のリーダーであるバイラスがいなかったという点がテネは気になった。

 

 

「ッ、いけない!」

 

 

バイラスたちはどこにいるのか?

予想がつくとすれば――

 

 

 

 

「………」

 

 

男は古い村で生まれた。

 

 

「………」

 

 

母は、たまたま村を訪れた父と知り合ったらしい。

父は外国から来たらしい。自転車で日本を一周するなかで、母がいた村にやってきたようだ。

二人は勢いで肉体関係を結び、父はそのまま自転車をこいで村を出て、途中で寒くなったので自転車を捨ててタクシーで空港に行って、母国に帰っていった。

 

母の父、つまり男の祖父は、男の父のことが大嫌いだったらしい。

それはきっと父が異国の人間だったからだ。

おお、偉大なる日本軍よ万歳。鉛玉、まだ負けたとは思っていない。今も命令を待っている。鬼畜うんたらかんたら――……。

祖父は、しきりにそんなことをいいながらヘルメットを磨いていたそうだ。

 

そこまで嫌っている男の子供が腹の中にいるだなんて、母は口が裂けても言えなかった。

バレれば銃剣で刺殺される。そう思った母は妊娠を隠した。

幸い祖父は目が悪かったので、母のおなかが大きくなっていることに気づかなかった。

 

そして母はトイレで男を出産した。

母は、村の外れにある池に男を持って行った。

そこは池というにはあまりにも汚れた場所だった。

死んだ水の中にゴミや汚水を放り込むだけの場所だ。凄まじい悪臭に絶え、母は男をそこに投げて帰っていった。

 

男は沈んでいく。

しかしそのスピードは遅い。池は大量のゴミと汚物のせいで、とても粘度があった。

男は泣いた。

窒息が先か、それともこの水が齎すものが男を殺すのが先か。

男は泣いた。

そこで男がとまった。

男は沈まなかった。

あまりにも粘度が高かったためか、赤ん坊の体重では沈みきらなかったのか。それとも、他の理由があったのか。

 

いずれにせよ男はまだ呼吸をしていた。

そんな男を引き上げた手があった。

男の母は、妊娠を隠していたが、唯一それに気づいたものがいた。

それは母の母、つまり男の祖母だった。

祖母は男を連れ、無免許で車を飛ばした。

そして教会にやってくると、扉の前に男を置いて、家に帰った。

 

 

●●年後、その村の池が問題視された。

 

 

数多くの廃棄物に加えて、とある業者が工業汚水や抱えきれなくなった危険な薬品を流し捨てていたらしい。

そのずさんな行動のせいで多くの有害な物質が発生し、それが村にまで届いて、そこに住んでいたものは一人残らず難病を患い、二年ほどで死んでいった。村の人間は病院で天罰が下されたのだとしきりに呟き、恐怖していた。

 

後でわかったことだが、村の近くの山奥にはいくつもの白骨死体が埋まっていた。

それが何なのかを説明すると果てしなく脱線してしまうため、ここに記載することはないが、村人は自分たちが死んだ理由を有毒物質ではなく神の裁きだと信じた。

 

 

「水銀、鉛、シアン、クロム……」

 

 

現在、白夜教団。

ネオは椅子に座り目を閉じていた。

あの時の自分を、ネオはハッキリと覚えている。

正確にはネオではなく『彼』が覚えていた。

カイザーであるネオは、それを感じただけにしか過ぎない。

 

 

「………」

 

 

神託だ。オラクルだ。ネオは改めて思う。

ゴジラは世界を壊す中でいろいろなものを残す。

破壊の爪痕、大量の放射能。

消えないケロイド。

 

人々はゴジラを恐れ、そして祀るだろう。

なぜならばゴジラは神だからだ。

神話において神々は人を殺し、そして人を救い、人に残す。

そのメッセージを人々は心に刻み、解釈する。

 

ネオは今日も家の鍵が締まっているか6回確認した。

家を出るときは右足から出ないと裁きが下されるからだ。

 

 

「なのに偉大なるアースパワー? インファント島の奇跡? モスラとラブラブっておい! おいおいおい……ッ!」

 

 

おいおいおいおいおい!

 

 

「そりゃあねぇえだろうがァ! クソが! 吐きそうだ!」

 

 

ネオはのけぞり、天井に向かって叫んだ。

ゴジラの生き残りがいたと知った時、ネオは激しく興奮した。しかしすぐに気持ちはどん底にたたき起こされた。

てっきり、人類への復讐者にでもなってくれると思ったら、離島でのんびりスローライフなんざおくってくれてやがったのだ。

解釈違いなんてレベルではない。その失望感が理解できるだろうか?

 

 

「ゴジラは放射能怪獣でなければならない! 人々の愚かさに呼応し現れる。今までだってアイツが核を教え、人々に戦争の恐怖を教え、原子爆弾の愚かさを説く!」

 

 

信者が言っていた。先日見に行った戦争映画で泣いた。ブルーレイを買ったそうだ。

戦争を繰り返してはいけませんねと真面目な顔で言っていた。

 

 

「結構! 俺様もそう思う!」

 

 

それを世界中に教えるゴジラ先生が、核を克服しているだなんて冗談もいいところだ。

少なくとも今のゴジラが教えられる教訓はない。

子供たちが楽しむような内容。いや、それ以下の子供だまし怪獣なんて誰に何が伝えられるという?

子供を笑顔にするのは後々の人間の役目であって、殺してくれなきゃ嫌なんだ。

いや殺すなんて言葉すらおこがましい。ただ大手を振ってノシノシと文明の上を歩いてくれるだけでいい。

ゴジラ様! 頼む! 頼むから誰か被ばくさせてくれ!

え? 無理? おいおいおい! おいおいおいおいおいッッ!!

 

 

「メッセージ性が無いなら、ただのでかいゴミだ!」

 

 

ネオは椅子の手すりを殴った。

それと同時にネオの背後、大きな窓に映る一つの巨大な『目』。

 

 

「掃除しろ、ヘドラ!!」

 

 

神代坂。

地中を突き破り、コンクリートを吹き飛ばして公害怪獣ヘドラが現れた。

 

 

「ブロロロ……! ギョロロロロロロ!」

 

 

遠目に見れば大量の海藻を纏っているような姿だ。

突如として現れた異形の怪獣に人々は悲鳴を上げて逃げ始める。

公害怪獣"ヘドラ"は、ゆっくりと辺りを見回していた。

やがて、まだゴジラの爪痕が残るところに赤い怪光線・ヘドリューム光線を当てて爆発させる。

 

さらにそこへ新たな異形が現れた。

数は二つ。轟々と燃え盛る炎の塊、ファイヤードラゴンである。

それは怪獣ではなくX星人が知り合いの宇宙人から譲り受けた兵器であった。

二つの火の玉は、不規則な動きでバラバラに飛び回り建物を破壊していく。

 

次々と降り注いでいく瓦礫。

アンタレスをはじめとして警察や消防の人間は、大声をあげて人々の避難を促した。

こんな時のためにと作った地下への避難道があった。次々と人々は地面の下に潜って瓦礫や爆発、光線から身を守る。

 

 

「オオオオオオ!」

 

 

乗り捨てられた車を吹き飛ばしながらランドマンが加速する。

ミサイルやレーザーを発射して、飛び回るファイヤードラゴンを撃墜しようと試みる。

それは空に浮かぶゴウテンも同じだった。

ドリルの先からレーザーを出してファイヤードラゴンに攻撃を仕掛ける。

 

 

『ULTRAMAN・TRIGGER! MULTI-TYPE!!』

 

 

地響き。 着地したトリガーは構え、ヘドラを睨んだ。

 

 

「ハァッ!」

 

「グロロロロ……!」

 

 

ヘドリューム光線が発射される。

トリガーは両手を広げてバリアを張ることで、それを防いだ。

さらにバリアを消すと、すかさずハンドスラッシュを撃ち、ヘドラに当てた。

 

 

「ッ!?」

 

 

光弾はヘドラの体に沈むようにして消えていった。

もう一度トリガーはハンドスラッシュを撃ってみるが結果は同じだった。

 

 

「ガララララ!」

 

 

ヘドリューム光線が飛んでくる。

トリガーは右へ移動し、回避。

光線の軌道も右へ移動していくが、トリガーはそこで左に跳んで回避。そのまま前に転がって一気に距離を詰めた。

 

 

「ハァ!」

 

 

立ち上がり蹴りを一発、さらに拳を当てた。

硬いゴムを殴っている感触だったが、ヘドラの動きが一瞬止まった気がしてトリガーは一気にラッシュを仕掛けた。

連続で殴る。しかし殴るたびにバチュンバチュンと音がして、よりヘドラの体が硬くなっていくような感触だった。

重い一撃を与えなければ。

トリガーはそう思って地面を踏み込み、思い切り右腕を突き出した。

 

「!!」

 

硬い感触があると思っていた。

しかしトリガーの拳は一切の抵抗感をかんじず、ズボッという音と共にヘドラの体内に侵入した。

胸部とでもいえばいいのだろうか? 肘まで埋まった腕。

そこでトリガーは苦痛に叫んだ。

 

 

「グアァアアアア!」

 

 

ジュゥウゥウっと、音がする。

トリガーは右腕に激痛を感じた。

何かが起こっている。トリガーは左腕でヘドラを抑えようとしたが、ここでもまた腕が沈めば終わりだ。

冷静に考え、トリガーは左手から光弾を発射してヘドラの目を狙った。

ヘドラが体を震わせた。そこでトリガーは飛行して後ろに下がる。

腕が抜け、トリガーは安心感からか体幹がブレる。墜落するように地面に膝をついた。

 

 

「ぐぉおオ……!」

 

 

トリガーは右腕を見る。

白い煙があがっていたが、これは間違いなく酸だ。

ヘドラが叫ぶ。すると次々と頭部からヘドロが噴射されていき、辺りに散らばっていく。トリガーはゾッとして、すぐに辺りを探った。

 

 

時を同じくして雀荘『朱雀』ではサラリーマン・マサキチが汗を浮かべていた。

今日は仕事が早く終わったので、同じ職場のマメと、プリン課長と沼尻さんと帰り道に行こうかと入ったはいいが、マサキチはポケモンドンジャラしかしたことがなかった。

確かに最近、ブイチューバーがやっている麻雀アプリのアーカイブは狂ったように見ているが、だとしてもルールなんて覚えてない。

これで負けたヤツが焼き肉の会計を一身に背負うことになっている。負けるわけにはいかないが、どう考えても分が悪い。

 

 

「しかしなんだか今日は外が騒がしくないですか?」

 

「いやだねマサキチくん。そんなことを言って、キミ、さては勝ち目がないんだな」

 

「で、でもなんだか悲鳴のような、地響きもしますし」

 

「結構じゃないですか。人間ね、ちょっと不健康なくらいがちょうどいいんですよ。お酒飲んだりね、タバコしたりね。地球も同じで少しくらい――」

 

 

その時、窓ガラスが割れた。

巨大な泥の塊が雀荘に突っ込んできた。

 

 

「ぎゃぁあぁあああ!」

 

 

男たちは泥に埋もれて死ぬ。

筈――、だったが、マサキチたちは生きていた。

光のシールドが張られていたのだ。

 

 

「フアッ!」

 

 

トリガーは雀荘に手を突っ込んでボール状のバリアに入れた雀荘の客たちを取り出すと、ボールを飛ばして避難させる。

 

 

「グッッ!」

 

 

トリガーが再び苦痛の声をあげる。

市民を守れたのはいいが、当然それが大きな隙となってしまう。

ヘドラが連射した爆発性の泥団子が次々と背中にぶつかり、さらには左腕の先端にある触手が伸びて、トリガーの首に巻き付いた。

トリガーは触手を掴むが、ギリギリと締め付ける力は強まり、ヘドラのほうへと引き寄せられていく。そこでトリガーは触手から腕を離して、額の前で腕を組んだ。

 

 

「ぐッ! がぁッ! 勝利を掴む――ッ、剛力の光……ッ!!」『ULTRAMAN・TRIGGER! POWER-TYPE!!!』

 

 

トリガーがビタリととまった。

ヘドラはより力を込めて引っ張るが、トリガーは踏みとどまっている。

さらに触手を掴んで首から引きはがすと、思い切り振り回した。

ヘドラの巨体が浮き上がり、トリガーが手を離すと投げ飛ばされて地面に倒れた。

衝撃で周囲の車や自転車が浮き上がり、セキュリティアラームが鳴り響く。

トリガーは両手を左右に広げて上に振るいあげることでエネルギーを集中させる。そして胸の前に球体状にしたエネルギーを持ってくると、そのまま振りかぶって放った。

デラシウム光流がヘドラに直撃し、爆発する。

 

 

(やった!)

 

 

ケンゴは笑みを浮かべるが――

 

 

「……ッ」

 

 

煙が、晴れてきた。

 

 

「ッ!?」

 

 

ヘドラが四つ這いになっていた。

形態が微妙に変わっている。

体が四足歩行に適応したフォルムになっていたのだ。

 

 

「ガロロロロロロ!」

 

 

ヘドラが飛び掛かった。

前足と後ろ足で地面を蹴り、一気にトリガーのほうへと飛び掛かる。

 

 

「うッ! ゴォォオオ!」

 

 

トリガーは受け止めようと手を広げた。

そして胸に当たるヘドラの頭部。先ほどの力比べでは勝利したが、今度はそうではなかった。

トリガーの体が後ろの方へと移動し、ついには頭から倒れる。

そこにあったのはマンションだ。トリガーは最上階から一階までを全て破壊して崩壊させていき、瓦礫と共に倒れた。

 

 

「グロロロロロ!」

 

 

光が迸った。

再びヘドラの形態が変わる。

手足がなくなり、ヒラメのようなフォルムになる。

飛行形態。ヘドラは飛び立ち、トリガーから離れていく。

 

 

「ッ、天空を駆ける、高速の光――!」『ULTRAMAN・TRIGGER SKY-TYPE――!』

 

 

青色の閃光があっという間にヘドラに追いついた。

しかしそこで再びトリガーは苦しみだし、制御を失って地面に墜落する。

ヘドラは硫酸をミスト状に噴射しながら飛んでいるのだ。

トリガーはサークルアームズを振るい、吹雪をまき散らした。

冷たい暴風がミストを吹き飛ばし、トリガーはそのまま光の矢でヘドラを射抜く。

 

 

「………」

 

 

ネオは白いマントを羽織り、ビルの屋上からヘドラを見ていた。

風がマントを揺らす。

ネオはニヤリと笑っていた。

 

 

「全て、人間から始めたことだ」

 

「……ッッ!?」

 

「罪に溺れろ。光の巨人」

 

 

トリガーは見た。

矢で射抜かれたヘドラが形を失ったのを。

形容しがたいドロドロなものとなり、墜落する。

その中でシルエットが形成されていた。それは着地と共に完成を迎える。

 

 

「ゴゴゴォォオロロロロロロォオ!」

 

 

ヘドラ・シーリザー。

そのシルエットはゴジラのようなベーシックな怪獣を彷彿とさせる。

しかしやはり肌はヘドロ状になっており、肉とも形容しがたい赤い繊維状のものが見え隠れしており、まるで怪獣のゾンビのようだ。

明らかに異様な形態である。

 

 

「こうなったら……ッ!」

 

 

ケンゴは金色のハイパーキーに触れた。

しかしそこで目を見開く。ヘドラとトリガーの間、右側にあるビルの中に、避難に遅れた人々がいるのが見えたのだ。

 

 

「グッ!」

 

 

トリガーは矢を連射しヘドラに命中させると、一気に走り、ビルのもとへ向かう。

手をかざすと人々がボール状のバリアの中に入れられて、トリガーはそれを掴み取った。

ヘドラが口の中に闇のエネルギーを収束させるのは見たが、それでも優先させるべきは一つだ。

 

素早く辺りを探ると、地下の避難通路につながるトンネルを見つけたので、そこへボールを放る。

ボールは空中を浮遊して地下通路の中に入っていった。

トリガーはそこでやっと振り返ったが、遅かった。

 

 

「ゴォルルルルルルル!!」

 

 

ブシュウウウウウッと音がして、ヘドラの口から真っ黒なガスが噴射された。

ムルロア・ガス。トリガーの全身を包み込み、悲鳴も真っ暗な闇の中に沈めていく。

 

 

「ぐあぁあぁあああ!!」

 

 

光の精神空間にまで黒いガスが充満してきた。

ケンゴの視界が真っ暗になり、感覚さえも消えうせる。

腕の感覚がないからハイパーキーに手を伸ばせない。そうしていると意識さえも真っ暗な闇の中に消えていった。

 

 

「………」

 

 

トリガーは棒立ちだった。

そしてそのままゆっくりとビルを巻き込みながら倒れていく。

完全に意識はない。トリガーは光の粒子となり、消え去った。

ケンゴは瓦礫の上で木を失っている。

 

 

「ゴロロロロロロ! ゲルルルルルルルァ!」

 

 

そして尚もヘドラはガスを放っていた。

口だけじゃない。腕、体、足からもガスは噴き出していき、ガスは空に昇り、雲を黒色に染めて辺りを『夜』に変えた。太陽は白くなり、月のようになる。

光の力をエネルギーとするものには、この闇の力はあまりにも猛毒だったのだ。

 

 

「ケンゴくん!」

 

 

鷹診はゴウテンからそれを見ていた。

既にファイヤードラゴンは破壊してある。

不規則な動きで飛び回るターゲットではあったが、鷹診はルートを読んでゴウテンを加速させた。

ドリルを回転させ猛スピードで突っ込んでいくと、回転する刃が相手の機体を完全に捉え、貫き、爆発させた。

 

 

「ッ、あかん! なんやこれ! 鷹診はん!」

 

 

それは那須川も同じだった。

ミサイルを直撃させて怯ませていき、動きが鈍ったところにアームを移動させてレーザーを発射、ファイヤードラゴンを爆散させる。

しかしそこで二人は気づいた。

トリガーにもいえたことだが、気づけばクリスタルタワーから引きはがされていたのだ。

それを証明するかのようにクリスタルタワー上部に巨大な球体状の宇宙船が現れる。

 

 

「下等生物にしては面白い兵器を作ったものであるが……」

 

 

入念なテスト。

クリスタルタワーに接触しようとしたら、いつ護衛が来るか?

あるいはモスラやウルトラマンをはじめとした邪魔者が現れのか。

もしくは、集合した場合、『充電』がどれだけ持つのかを。

 

 

「X星人の科学力を前にしてみれば、ただの玩具よ」

 

 

宇宙船から黒い霧が噴射された。

それはクリスタルタワーの近くで、徐々に一か所に集まっていく。

 

 

「……!」

 

 

スターファルコンが駆けつける。

カイは見た。霧や煙の類ではない。それはX星人の兵器の一つ、『ナノロボット』だ。

テネにつけたのもそれである。兆を超えているのではないだろうかと思われるほど大量の超小型機械が放たれ、それが一か所に集まっていく。

 

カイはスイミーという物語を思い出した。

小さな魚が集まって大きな魚となることで天敵を凌駕するという話だ。

一人一人の力がちっぽけでも、力を合わせることで活路が切り開くというメッセージ。

それと同じだったのだ。無数のナノロボットが連結し、質感をゴツゴツとした岩のようなものへ再現を行い、さらにヒレや爪などそれぞれのパーツの構成に入る。

 

あっという間だった。『合体』が完了したのは。

 

 

「ゴジラ……ッ!」

 

 

カイが呟いた。

間違いない。それは両親を殺し、神代坂を襲った超兵器、"メカゴジラ"だったのである。

 

 

「ゴオオオオオオオオオオオオオオ!」

 

 

口の中に生成されたスピーカーから咆哮が再生される。

これははじまりでしかない。

メカゴジラは歩き、クリスタルタワーを抱きしめるように掴んだ。

そこで腕が消えた。ナノマシンが分離したのだ。

 

腕だけじゃない。体が沈むように、クリスタルタワーに交わっていく。

異様な光景だ。ゴジラの体の中央にクリスタルタワーがある形になっている。

現在、クリスタルタワー内部に大量のナノマシンが送られているのだ。

各セキュリティーも、とある理由で解除済みである。

 

そして、ナノマシンはたどり着いた。

クリスタルタワーの下部が崩壊していく。

極星があり、発電機構の主を担っている部分がメカゴジラに取り込まれ、そして肉体の変化が齎された。

 

 

「ゴォォォオオオ!」

 

 

頭部に、まるで王冠のようにきらめく再現されたクリスタル。

さらに両肩を突き破った巨大なクリスタルタワーの一部。

ナノマシンの最大の弱点は、充電式であるという点だ。

連結合体となるメカゴジラは強力だが、あまりにも消費エネルギーが大きい。

ましてや分離して粒子状となって高速移動をして合体を繰り返したり、レーザでも発射しようものならば、すぐにナノマシンたちは活動を停止してしまうのだ。

 

だが極星、およびクリスタルタワーが体内にあれば、そこから電力が供給されて各ナノマシンが瞬時に充電されていくのだ。

それだけではなく炉としての役割もあるため、ナノマシンの性能も上昇している。

捉えたと思っても消え、そして瞬時に現れ、どこに逃げても追いかける。

 

 

「これが究極の兵器、『空間の支配者(スペースゴジラ)なのだ』」

 

 

 

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