ゴジラ バーニングブラッド feat.リバイス&トリガー 作:ホシボシ
「おかえり兄ちゃん」
「おかえり一輝にい」
弟と妹に一輝は笑顔を向けた。
父は相変わらずよくわからない動画の撮影をしていた。
「顔つき変わったね」
母はそう言って笑った。
『やだ! 一輝! 整形したの? おれっちにも教えてよ! おれっちも今度ちょっと鼻のほうを……』
「そうじゃねぇって」
さあ! 風呂でも入るか! 一輝はそういってスマイルを向けた。
◆
「昔、ガイアっていうウルトラマンが同じような目にあったって本があるんだ。まあ本だからお話なんだけど、もしかしたら別の世界では本当にあったことなのかもな」
仲間がちゃぶ台付きの六畳一間を探しながら教えてくれた。
ケンゴはそれを手伝いながら、そういうものかと頷いた。
「どうして、違う世界に行けたんだろう?」
「そりゃあ……、誰かが助けを求めてたってことでいいんじゃねぇか? 助けれたんだからそれでいい! うん!」
「そっか。そうだね! あ! 見て! いい感じの物件あったよ!」
「なにぃ!? ほ、本当じゃねーか! あ! だが待て! ちゃぶ台がない!」
「買えばいいじゃん」
「え?」
「へ?」
「あ、そっか」
でもレトロがどうとか、風情がどうとか。
うんたらかんたらと悩む仲間をほっといて、ケンゴはあの世界のことを想った。
きっと大丈夫だ。ケンゴはスマイルを浮かべて、ちゃぶ台探しを手伝い始めた。
「………」
ネオは水槽の中にいるヘドラを見つめていた。
わざとか、それとも偶然か、トリガーはヘドラの核を破壊できなかった。
小さなオタマジャクシが水槽で泳ぎまわっている。同じ水槽には小さなカニもいた。
「………」
そして、もう一ぴき?
カニからボコボコと水色のジェルが出てきた。
黄色い目をしたヘドラがいた。
「時代が変わる」
ネオは白いマントをはためかせ、椅子に座った。
同時刻、革命軍『スカーレットバムブーク』の船の中では、新たなるリーダーが誕生し、スピーチを行っていた。
腐った世界を断ち切り、我々が未来を創るのだ。
男は吠え、それに呼応するように背後では巨大怪獣エビラが海から姿を見せた。
「常識が通用しなくなり」
薔薇の花畑の中を一人の女が歩いていた。
髪は緑色で、白衣を着ている。
風が吹いた。大量の薔薇の花びらが宙を舞い、女はそれを掴もうと手を伸ばした。
その背後では、ひときわ大きな薔薇が花びらを光らせていた。
「新たなルールが適応される」
少年はペットに餌をあげていた。
周りは気持ち悪いと怖がるが、少年はその子が優しいことを知っていた。
確かに見た目は……、怯むかもしれない。
少年も始めはこんなあまりにも大きな蜘蛛……、慣れなかった。
しかし今は、クモンガと名前をつけて可愛がっている。
「人は進化を促される」
シートピアでは、王子が冠を受け取っていた。
人々は新たな王の誕生を祝い、その背後にいる巨大怪獣を敬った。
「それは是か非か」
エックス星人がニヤリと笑っている。
壁にはモンスターXがもたれ掛かって腕を組んでいた。
惑星のマップ、そこに表示される文字。
キング、カイザー、デス。それは、それぞれの星が所有している。
「歯車は回りだした」
ドクロ島。
小さな少女の前に、英雄・コングが座っている。
少女が微笑むと、コングもまた微笑んだ。
「カイザー共よ。あなた方は、世界をどう変えますか?」
ネオは未来を見ていた。
そう、未来だ。あれから時間が経った。
予想していた通り、怪獣を否定するものが現れ、怪獣を肯定するものが現れた。
アンタレスは瓦礫の山から極星を無事に回収できたそうだ。
つまりゴジラの攻撃を受けてもアレは壊れなかった。
ますますその価値が証明され、同時にそれが異世界から齎されたということは、それを凌駕するものがあるかもしれない。
あるいは、再び侵略者がやってくるかもしれないということだった。
なにかしらの棘が抜けても、また新たな棘が人の心には突き刺さる。
「……何を?」
ピカピカのオープンカーの前でネムが問いかけた。
両親の墓参りを終えたカイは、少し疲れたように、けれども希望を感じさえる笑みでこう答えた。
「長い話さ」
カイはそう言ってほほ笑んだ。その頭の上にはもう一つの頭があった。
「ずいぶんなついてるじゃない」
「親と勘違いされたんだよ。コイツ、マグロが好きなんだけど特に大トロが好きなんだ。困ったヤツだよなぁ?」
アメリカで見つかったタマゴがアンタレスに運ばれてきたので調査をしていたら、そこで孵化してしまった。
出てきた恐竜は、向こうでゴジラと呼ばれていたものの幼体だったので、カイはこの子を『ジラ』と名付けて育てているのだ。
とにかく、いずれにせよ確かなことは一つだ。
多くの怪獣たちが、この世界に存在しているということである。
世界のどこかではその事実に耐えることができず電車に飛び込んだり、首を吊った人間がいるらしい。
カイはそれを胸にして、歩いていく。
「おい! 頼むよ!」
そして、今日もクドウがメイを追いかけまわしていた。
手には四機目のタルタロスの設計図がある。
「頼むよ! スターガルーダ! こいつをゴジラに纏わせ――」
「いや僕は! 車の免許も持ってないのに!」
「大丈夫! 全部アンタにフィットするようにしてあるから!」
その近くでは出店があって、子供たちがはしゃいでいる。
「とうちゃんうまーい!」
「うまーい!」
「なはははは! せやろせやろ! いやコレ! 売り上げがとまらんねん!」
那須川が息子や娘に焼いていたのは『ラドン焼き』である。
那須川の実家の食品会社と協力して作ったアンギラスまんや、モスラシュー、ゴジラソフトの売り上げも順調で、笑いがとまりまへん!
そうしていると鷹診がやってきた。準備ができたらしい。
「さあ、行こうか」
一同はグリフォンに乗って、そこへ向かった。
メイと、メイの両親がお金を出して買った『島』である。
メイはそこを"怪獣ランド"と名付けた。いわばこれはゴジラたちの別荘だ。
島には地下世界につながるトンネルもあるし、中央にはアンタレスの研究施設もあり、将来的には怪獣にストレスがかからない程度に観光ができるようになればと考えていた。
「知ってもらいたいんですよ。あのゴジラは、僕らの友達だって」
そうしていると早速アンギラスが顔を見せた。
あれを試してみようと那須川が前に出る。
彼の手には、クドウが作った『オルカ』という装置があった。
腕時計の形をしており、疑似的にカイザーシステムを使用できる代物である。これによって怪獣の気持ちがわかるし、気持ちを伝えることができる。
猫の気持ちがわかる玩具みたいなものだ。将来的にはアプリにまでできればと考えている。
「こんにちは!」
那須川がオルカに向かって話しかけると、グリフォンからアンギラスの鳴き声に似た音声が放たれる。
するとアンギラスが鳴いて、オルカにメッセージが表示された。
『こんにちは!』
「ええ天気ですね!」
『お魚がおいしいです!』
鷹診もラドンがいたので使ってみる。
「おはよう」
『そうだそうだ』
「気分はどうかな?」
『そうだそうだ』
「好きな食べ物は?」
『そうだそうだ』
「クドウくん、これ壊れてない?」
問題は山積みだ。
たとえば仕方ないことだったとしても、ラドンたちは一度洗脳されている。
再び洗脳されて地球に牙をむく存在になりうる場合もある。
だからこそすぐに洗脳を解除できるように。
あるいは予防できるシステムを日々、アンタレスは研究しているのだ。
何者かが悪意を振りかざした時、そこにはきっと仮面ライダーとウルトラマンはいない。だからこそ自分たちでそれを乗り越える必要があるのだと。
「見て! メイくん!」
メイの肩に座っていたテネが指をさした。
そこにはゴジラがいた。モスラを布団のようにして一緒に昼寝をしていた。
「!」
ゴジラはメイが来たことに気づいて目を覚ました。
モスラもテネの気配を感じて目を覚ました。
こんにちは。そういう気持ちを送ると、同じ気持ちが返ってきた。
メイとテネは、思い切り手を振った。
これからゴジラたちには、きっと楽しいことばかりは起きない。
それでも僕は、僕らがここにいる。そんな気持ちを込めてメイたちは手を振った。
するとゴジラが手を振り返してきた。
グリフォンが島を離れて見えなくなるまで、ゴジラは手を振っていた。
実は、よくネットとかでゴジラじゃないといわれて(そもそも私も思ってしまった)、一番最初のハリウッドゴジラを見てなかったんですが、かまいたちのyoutubeで、山内さんがめちゃくちゃおもろい映画でゴジラをあげてたので、僕もそこでようやっと見ました。
結果としてめちゃくちゃ面白かったです。
確かにまあゴジラじゃないと言われたらそうなのかもしれませんが、それでも核の影響で生まれたりと抑えるところは抑えておいて、怪獣映画として何度も盛り上がりポイントがあったりと完成度は高いように感じました。
それでこれはがっつりとネタバレになるんですが、その映画ではラスト生き残りの子供が出てくるんですけど、その映画だけを見ると不穏な感じで終わるんですが、実はこの映画はアニメで続きがあって、その最後の一体が正義の怪獣として戦うものになるらしいです。
そういえば平成ゴジラもね。
これもまたネタバレになりますが、VSデストロイアのラストはどうもジュニアが核を吸って生まれたゴジラっぽいですからね。
途中でクジラはしばいてましたが、テレパシーお姉さんもいますからそこまで危険な存在にはならないだろうと……!
私はこれらを二代目スピリッツが齎した祈りであると思ってます。
まあ二代目もぶっちゃけそこまで正義かと言われたらアレかもしれませんが概念はね。概念は。
私は素人なので何も裏事情はわかりませんが、最近はどうにも新作を作るのがエグイくらい大変であろうということはわかります。
とはいえね、アニメとかいろいろ媒体はありますから、これからも新しいゴジラは生まれて、新しい世界を見せてくれるのだろうと思ってます。
いろいろな作風を浴びながら、いつかまたどこかで二代目の香りを感じた時、私はきっと笑顔になるのでしょう……(´・ω・)b