さて、ここに、そういった者たちとやや事情の異なる3人の女性がいる。
いずれも異邦人の、ナギサ、ヴァージニア、ホリィである。
彼女らが、ジャックと過ごした時間はそれほど長くはない。だが、その間、終生忘れえぬ大事件の渦中にあり、嫌でも記憶に残る相手となっていた。
そういった意味では、リドリーと似ている。
他の理由も立てているが、遠く異国ラジアータまで後を追ってきて、戦争や『龍』の襲撃に巻き込まれながらも、生活基盤を築いてまでそばにあり続けている。
故に、ジャックの花火大会の過ごし方は、無視できぬ事象であった。
「花火大会だとっ?」
「ああ、俺もミントを誘おうと思ってんだ。……そろそろ、幼馴染から進展してもいい頃合いーー」
『テアトル』での訓練仲間となった、デイヴィッドからそう教えられて、ナギサの心は大きく揺らいでいた。
「ふ~ん」
「気になんないの?」
「誰と行くかは、ジャック君の自由だからね」
『ヴァンパイア』でフラウからもたらされた情報を前にしても、ヴァージニアは軽く流して酒で喉を潤した。一見平静そうな彼女ではあるが、その瞳は『白狼』の異名に違わぬ鋭い光りを発したいた。
「いけませんねぇ、浮ついては」
礼拝堂で、祈りながらホリィは呟いた。その後、広場に出ると、木を蹴りつけ、へし折ってしまった。
三者三葉である。
当のジャックは多忙を極めていた。
傷が癒えると、鍛錬と任務の日々に戻った。以前よりも、城に呼ばれる頻度は多くなっていたが、『桃色豚闘士』が本格始動することを思えばやむを得ない。
また、『水龍』への対策も考えねばならなかった。ラークス、ジーニアスらは、かの龍が現れるのは、オークの住処『ボルゴンディアーゾ』と予測しており、準備が進められた。
これまでの『龍』たちと同じく、過去に出現した場に現れると判断されたためだ。『地龍』の時のように、王国まで攻め込まれる前に、カタを付けねばならない。
戦力の中核は『桃色豚闘士』、というよりもジャックが担う。ナツメと『紫色山猫』は、本国防衛を務める。
初めて、現場でジャック(団長はガンツだが)がトップとなることへ批判もあったが、代替を提示できない以上はラークスへ異を唱えられなかった。
ドワーフらとの国交再生のこともある。
『水龍』討伐は、当然、団員だけでは叶わない。各ギルドから派遣してもらう人員の調整もあって、花火大会当日まで、ジャックはほとんどその行事を忘れてしまっている有様だった。
お馴染みアルが、開会式へ出席するよう言いに来なければ、そのまますっぽかしてしまったかもしれない。