ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

129 / 158
水龍ケルビン④

 『水龍』討伐隊の選出が終わり、ラークスの認可をもって各ギルドへ通達が成された。

 

 最強の剣士エルウェン、斬鉄のジェラルド、教皇カイン、モンクマスターアキレス、副学長カーティス、レオナ、影走のノクターン、ニュクスの懐刀ソナタ、後方治療担当としてブルース、ファラウス、フローラ、ミランダ。そして、ナギサ、ヴァージニア、ホリィの異邦人3人娘。

 

 これを、『桃色豚闘士団』が統率する。

 

 人員的にはいずれも一線級の者ばかりだが、少数すぎるのではとの声もあった。最後の『龍』ともなれば、総力をあげて挑むべきだと、特に武功を狙う者たちからのものが大きかった。

 

 実際、ジャックにもまだまだ同行を求めたい実力者が多くいた。アリシア、シーザー、フェルナンドやゴドウィン、ロッコ、イリス等々。

 

 だが、王国の守備兵力も残さねばならない。『水龍』に注力しすぎてラジアータが陥落してしまっては本末転倒、それらを考慮しての人選であった。

 

 

 決戦に向けての準備が各所で進められた。ジャックも多忙を極めたが、できるだけ姉の待つ我が家へは帰るようにしていた。

 

世間の喧騒と、エアデールは隔絶しているように見えた。家事をこなし、時折外へ出てはジャックの関係者にあいさつ回りをする。

 

「良いお姉さんを持ちましたね」

 

 とは、エルウェンの評である。

 

 実際、エアデールは常にジャックにとって頭の上がらない姉であり続けた。

 

 姉と食卓を囲み、作法や礼儀についてたしなめられる時だけが、唯一不変のものに彼には思えた。

 

 

 そして、ついに時が来た。

 

「武運を祈ります」

 

「はっ!」

 

 妖精の大軍団がヘレンシア砦の目と鼻の先にまで到達したのだ。ラークスは騎士とギルド構成員らの連合軍を派兵し、『桃色豚闘士団』へも出兵を命じた。

 

 王国防衛軍、ヘレンシア砦防衛隊、『桃色豚闘士団』がそれぞれの責務を果たすべく、戦いへと赴くのだった。

 

 

 『桃色豚闘士団』は妖精らとの接触を避けるため、本道をそれて一路『ボルゴンディア―ゾ』を目指した。

 

元々、妖精軍の進路が反対方向にあったためか、ドワーフらの姿もなく、モンスターを除いて敵と遭遇はしなかった。

 

 ドヴァ地方、オーチョ地方を通過し、ディズヌフ地方に至った時点で、いったん休憩を挟むこととなった。この周辺はほとんど人が立ち入ったことがなく、地理に不明瞭な点が多いためだ。

 

「ラジアータは大丈夫でしょうか?」

 

「心配はいらないよ、ナツメとオッサンたちがいるんだから」

 

 不安げなフローラを、ジャックは励ました。大なり小なり、皆が本国の防衛に不安を抱いている。何しろ祖国であり我が家のある地であり、無理からぬことだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。