「セレクション第2試合! リドリー・ティンバーレイク対ジャック・ラッセル! はじめーいっ!」
ジュンザブロウが宣言した。そう言えば、第一試合はスターとポールが戦ったのだ。あえなくスターはボコボコにされてしまったが。
「やあっ!」
「おっと」
リドリーという少女は、斧を使う割に中々素早い。筋も良い、成長すればワルターにも劣らぬ使い手になるだろう。
ツインテールに結った金髪の勝気そうな顔の少女。だが、その実内面は一度迷うと答えを得るのに長い時間がかかる繊細な心を持っている。
騎士として、そして家名に押しつぶされぬように意地を張っていたのだ。だが、それが溶けかけたころにブラッドオークにー
「そりゃっ」
「くっ!」
だが、如何せん自身のの敵ではない。『龍殺し』と対等に打ち合えるものはそうはいない。
……いや、『龍殺し』は父ケアンだ、自分はそれに倣うべく、こうして騎士団セレクションを受けているのだから。
「はあ!」
この三段目だ、少女は三段目の攻撃で態勢を崩してしまう癖がある。やはりまだ、斧の重さに振り回されているのだ。
「しゃっ」
「うあっ!」
すかさず攻撃を叩きつける。かろうじて躱したものの、痛みに顔を歪めている。どうだ、効くだろうリドリー?
「……っ、ふう」
さっきから何か奇妙な感じがする。早めに決着をつけよう。
「まだまだ……」
戦意は十分。だが、それだけで勝てるなら苦労はしない。
思えば、ラジアータへやってきてから多くの敗北を喫した。どれも、今でも覚えている。確かにそれは自分を成長させたが、同時に屈辱も刻み込んだ。
「はああ! 『ワイルドピッチ』!」
ボルティブレイク。大旋回して遠心力を溜めた斧を投擲する、リドリー渾身の一撃だ。
確か、これを食らってセレクションでは敗退したのだ。あの時はただの女の事しか思ってなかった彼女に食らった一撃は、殊の外こたえた。
「!」
いや、違う。また妙なことを考えている。そのセレクションとは、今こうして挑んでいるものではないか。
トリア村からここへ来るだけで疲れてしまったのか? そこまでヤワではない。現に、『ワイルドピッチ』を簡単にいなしてかすりもさせていない。
「ううっ……」
武器を喪ったリドリーは、力なく横たえた。ジャックは勝利を手にしたのだ。
「おめでとうございます」
「うむ、流石だぞジャック」
ラークスにダイナス、ナツメにレナード、ニーナやチャーリーの姿もある。ダニエルたちも控室から出てきて祝福してくれる。
「騎士団への入団を許可します。ケアンに恥じぬ立派な騎士になってください」
「うっす!」
とうとうジャックは騎士になったのだ。
「ジャック・ラッセル殿。リドリーへ止めを」
「あ、そうだった」
「相変わらずそそっかしい奴だな」
レナードが苦笑し、それが周囲に伝播する。
ジャックは頭をかきつつ、倒れるリドリーの傍までやってきた。
少女は無表情に天井を見つめている。
「さ、手早く」
「うっす」
剣先を喉へと向ける。首を刎ねてもいいが、気管と血管を切り裂くだけで事足りる。モーフでも治癒できない傷を加えればいいのだ。
「さよなら、ジャック」
柄に手をやり、一突き。それで終わりだ。
「ああ、じゃあな、リドリー」