ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

150 / 158
リドリー③

「お前……なんで……」

 

慌てて首筋から『アービトレイダー』を離したジャックを見て、

『リドリー』は眼を閉じた。

 

「ダメだったか……」

 

「おい!」

 

「ジャック、私はもういい……お前に、お前になら……終わっても……」

 

「何言ってんだよ⁉ てかここは……コロシアム?」

 

 ジャックには訳がわからない。クラブ『バンパイア』へ行くつもりだったのが、何故かコロシアムにいる。

 

 しかも、目の前には『リドリー』がいて、今一歩で手にかけるところだった。騎士団セレクションの日と錯覚していたような、幻覚を見ていた記憶もある。

 

「とにかくー」

 

 と、ジャックは『見物客』に気づいた。騎士らが出入口、そして客席を固めているのだ。

 

「おいー」

 

 怒鳴りかけて気づいた。いずれも、どうしたらいいかわからず、途方に暮れているのだ。

 

「ジャック……」

 

「おっさん……」

 

 出入口を固めていた騎士たちの間から、ぬうとレナードが割って出た。

 

「な、なあ、どうなってんだよ?」

 

「お前また、何も憶えてないのか?」

 

 また。その言葉で、大体のことをジャックは察した。

 

「リドリー……お前が呼んだのか?」

 

「ああ……」

 

 少女は眼を開けた。

 

「お前に、討ってほしかった。けど、ダメだな……幻影を解かれてしまった」

 

「なんでだよ⁉ 大体お前……どうしちゃったんだよ⁉ ええ⁉」

 

「そうだな……幻影が解けてしまったなら……話しておこうか」

 

「ジャックさん‼ ……⁉ リドリーさんも……?」

 

「団長……」

 

「ガンツ団長、お久しぶりです……」

 

 ガンツも姿を現した。誰かが呼びに行っていたのだろう。

 

「り、リドリーさん……なんですよね?」

 

「はい、団長……」

 

 戸惑いながらも、ガンツはリドリーの傍までいって手を取った。

 

「また会えると思ってました」

 

「私もです……」

 

 一時だけ、3人の間に和やかな空気が流れた。元祖『桃色豚闘士団』の再結成が成された瞬間だった。

 

「二人とも、聞いてくれ。私はリドリーであって、リドリーじゃない……」

 

「……ああ、わかってる」

 

 リドリー・ティンバーレイクは、墓の下で永い眠りについている。他ならぬジャックが、その寝室へ案内したのだ。

 

「では?」

 

「金龍……トゥトアスの秩序の残滓といったところか……」

 

「待て待て待ってくれえ!」

 

 突然の乱入者はジーニスであった。この青年には似つかわしくなく、昂奮した様子で騎士たちをかきわけて飛び込んできた。

 

「ジーニアス」

 

「リドリー嬢……本物だな」

 

「ジーニアス……」

 

 彼女の側に身をかがめた彼は、昂奮を隠しきれずに一気にまくしたてた。

 

「ラークス殿から知らされた! 君は、君はやはりトゥトアスの秩序の回復措置なのか? であれば僕の推測は正しかったことになる! どうなんだ⁉」

 

「お、おい、落着けよ」

 

「さすがだなジーニアス……まさしくその通りだ」

 

 震えさえ見せながら、ジーニアスは天を仰いだ。

 

「やはり……、僕は間違ってなかった……」

 

「なあ……、頼むからわかるように教えてくれよ……お前も、リドリーもさ……」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。