ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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リドリー④

「む、そうだな……これはラジアータに関わる者全てが師って言置くべきことだ」

 

 咳ばらいをひとつ、ジーニアスは語り始めた。

 

「ジャック、前に僕が語った内容は覚えてるな? 『リドリー』と『龍』たち……実際にはお前の姿を模してたが、それがトゥトアスの秩序の修正作用だという仮説だ」

 

 ジャックは頷いた。

 

「それは正しかった、4龍による妖精の庇護、そして金龍銀龍による人類文明のリセット……長き時の中で続いたその秩序は、易々と破壊されない」

 

「人間により龍たちは斃れ、フォティーノによりクェーサーの目覚めは阻まれた。そして、フォティーノ自身すら……」

 

「リドリー?」

 

「ジャック、そこにいるのはリドリー嬢だが、同時に金龍の残滓でもあるんだ」

 

「なに?」

 

「トゥトアスの秩序は砕けた、だが、私は金龍としての務めを果たさぬわけにはいかぬ……」

 

 『リドリー』の口調がいつの間にか変わっていた。瞳が虚ろになって、まるで操られているかのようだ。

 

「リドリー!」

 

「我が依り代となるはずの器を用いて、私は蘇生を果たした。だがー」

 

「それは不完全だった……」

 

 またも、もとの『リドリー』へと戻った。

 

「金龍が蘇生を成した時、私とハップの意識も共に蘇ってしまったんだ」

 

「ハップ……」

 

 ライトエルフの名である。かつてリドリーは死に瀕し、彼と『魂継ぎ』の儀式を行ったことで生還を果たした。

 

 だが、同時にダークエルフ族長ノゲイラがアルガンダーズに侵され死亡し、リドリー本人も意識の混濁に苦しめられ、金龍の器と定められてしまった。

 

「なるほど……これまでの矛盾した行動は、意識の混線が原因だったんだな。金龍は滅亡のため、ハップは妖精族を救うため、人間へ攻め入った」

 

「でも、徹底されてなかった……。ギリギリだけど、俺たちは勝てた」

 

「リドリーさんがそうした?」

 

「虫のいい話だ……、かつては妖精族についた私が、人間たちを助けるために……」

 

 『リドリー』はジャックの頬を撫でた。

 

「無用だったがな……、お前がいたからだ、ジャック」

 

「……ああ、『龍殺し』だからな」

 

「『龍』……黒い鎧の『ジャック』も、秩序の一部なのか?」

 

「私が望んだ……強く、共に隣りにいてくれる強き者として……

クェーサーの意志も反映されていたがな」

 

「だったら……、だったら、俺に言えよ、リドリー……」

 

「すまない……」

 

 『リドリー』は微笑んだ。

 

「あの夜のようにできれば、よかったんだが」

 

 瞬間、ジャックの心臓を氷の剣が貫き血管まで凍らせた。そうだ、あの世の少女の助けを自分は……。

 

「同じく残滓と言う事か……4龍はオーブに封印されている以上、別の存在だと睨んではいたが」

 

「それも全て滅した。妖精たちももう、立たない。残るは私だけだ……」

 

「私の力を持てば、人間を滅するは容易い」

 

 再び、『金龍』の意識が支配したようだ。

 

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