ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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アナスタシア・パレード③

「オホホホホー! アータシのお通りよー!」

 

 アナスタシアを載せた輿が、城を出て行進を開始した。

 豪華絢爛、周囲にはエレナ、アディーナら従者の他、ドワイトら派閥メンバーもおり、周囲を圧倒する輝きを放っていた。

 着飾った使用人も多数控えており、彼女の権力をこれ以上なく誇示している。実際に、これだけの人員を動員できる財力と権力は圧巻だった。

 

「アナスタシア様、皆がアナスタシア様の美しさに釘付けです!」

 

「あーたり前よ! さ、アータシの美貌を目に焼き付けなさーい!」

 

 注目の的であることは違いないが、美貌故にというのは無理があった。

 アナスタシアはかなり『個性的』な容姿をしており、それは世間一般の美醜で判断した場合、美には傾かない方の容姿である。よって、集まるものは美貌でなく、権力、財力への関心なのだった。

 当人は、そう指摘されても動じないだろうが。

 

 さらに、続くのはアナスタシアを模した巨大なレプリカ像たちである。何も知らない者が見たら、何らかの異教の秘祭だと勘違いするだろう。

 子供たちの中には引きつけを起して倒れる者もいて、様々な意味で忘れられないパレードになりそうだ。

 

 ジャックとナギサは、アナスタシアの輿にぴったりついて進んでいった。

 アナスタシアとジャックが顔見知りというのもあるが、『龍殺し』が護衛についているというのは大きな喧伝となるため、排除されずに自由を許されていたのだ。

 

「どっから来る……」

 

 ジャックは、『ヴォイド』の襲撃を警戒していた。

 仲間として共に過ごした者たちも多いが、だからこそ油断ならなかった。金を積めばなんでもやる、が彼らの本質であり、誇りとしてさえいる部分だ。

 表向きのトップ、オルトロスの奸計も注意しなければいけない。

 

 暗殺、という最悪の事態も想定せねばならなかった。

 イリス、リーリエ、インタルードといった凄腕の凶手でも、戦って勝てる自信はあったが、暗殺を防ぐのは骨が折れそうだ。それこそが、『ヴォイド』の厄介さである。

 

 

 

 パレードは『オラシオン教団』に到達して、アナスタシアのための小休止を挟んでいた。

 輿に乗っているだけの彼女であったが、化粧が崩れたというので従者たちに直させているのだった。

 

「アータシの美貌を損なう事は許されなくってよ」

 

 ドワイトらも思い思いに休憩をとっている。

 ジャックとナギサは気を張っていたが、『ヘクトン』の面々とエレナとアディーナがドリンクを持ってやってきた。

 

「お疲れ様、お兄ちゃん」

 

「おう、そっちはどうすか? 隊長」

 

「うむ、特に異変はないな。副長は油断するなと釘を刺しているが」

 

「ジャックたちも一休みしたら?」

 

「パレードが終わるまでは、そういう訳にいかんな」

 

「あら、ご熱心ですね」

 

 エレナの言葉にはトゲがあった。どうにも、ナギサが気に入らないらしい。

 

「『盗賊ギルド』の動きは?」

 

「少し前から姿が見えんな、仕掛けて来るならこれからかもしれん」

 

 酒で失敗することも多いが、ジャーバスはそれなりの実力を備えている。

 その読みは、ジャックも同意するところだった。

 

「暗殺なんてこと……」

 

「ええ⁉ アナスタシアさんを?」

 

「あり得るわね、敵が多いから」

 

 アディーナが無感動に言い放つ。エレナと違い、アナスタシアへ特別の感情を抱かない彼女は、歯に衣着せぬ物言いをためらわなかった。

 

「とはいえ、これだけ目撃者がいる中で実行すれば『ヴォイド』自体にも何かしらの不都合がある。

むしろ妨害の方が……」

 

「アニキ~‼」

 

 ジャーバスを遮ったのは、その『ヴォイド』の一員、アルマであった。

 血相を変えて、息を切らしながらジャックらへと飛び込んできた。

 

「た、助けてくださいっす!」

 

「は? どうしたんだ……」

 

 その答えは、悲鳴と空を飛ぶ人影によってたちどころに判明した。

 光弾を撃ちおろしてくる無数の翼を有した妖精たち。

 

「ライトエルフ⁉」

 

 襲撃者は、ライトエルフであった。

 

 

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