ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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風龍セファイド②

 ジャックとヴァージニア(+スター隊)は、『風虫の谷』を目指して進軍を開始した。

 

「妖精どもを薙ぎ払え!」

 

「ニンゲンは出てけ!」

 

 途上、騎士たちとエルフ、妖精らの激闘が繰り広げられていた。

 

 ジャックらはそれを回避し、『風龍』の元へ急がねばならかったが、その凄惨な光景は見ているだけでも堪えた。

 

「シャトが怪我した!」

 

「ミカエルを呼んで!」

 

 ことに、その中に顔見知りが何人もいるとあっては。ダークエルフの面々に、ドワーフ、ゴブリンらの姿もあった。いずれも、かつてはともに笑い合い冒険をしたこともある者たちだ。

 

 戦争で全ては一変し―

 

「ジャック君、平気かい?」

 

「! ……ああ、悪いボーっとしてた」

 

 珍しく、ヴァージニアがジャックを覗き込んできた。余ほど考え込んでいたように見えたのだろう。

 

「悪いけどね、『龍』の前には立てないよ。命が惜しいからね」

 

「わかってるよ」

 

 それも含めての、『ヴォイド』の貢献だろう。

 まだ脱落していないスター隊を伴って、ジャックたちは進んだ。

 

 

 『風虫の谷』は、摩訶不思議な場所だった。

 

 切り立った大地が点在し、そこを繋ぐのはトーテムポールであある。これを刺激すると突風が吹き、別の台地へと移動することができる。

 

 あまりにも無茶苦茶な仕組みである。それもそのはず、これは後付けの仕様であったからだ。

 

 かの地は、風龍セファイドが住まう聖地とされている。エルフの守護者たる龍を敬し、ライトエルフたちは参詣を忘れなかった。

 

 その後、ダークエルフが誕生すると、当然彼らも参詣を望んだが、翼を有さない彼らには叶わぬ願いだ。

 

 そこで、当時はライトエルフの族長であったノゲイラがドワーフへと依頼し、トーテムポールを設置した。ダークエルフたちは歓喜し、その縁が基でノゲイラは弟のザインへ地位を譲り、ダークエルフの長へとなったのだった。

 

 戦争の際、セファイドを討伐せんとした騎士たちが、多大な被害を出したのも、こうした地の利がエルフらにあったのも一因である。

 

 戦後処理を終えたラークスは、公式文書にこう記している。

 

「彼の地での戦闘は自死に等しい」

 

 しかし、今また、『龍殺し』は立たねばならなかった。

 

「ジーニアス!」

 

「ジャ、ジャックか⁉ 助けてくれ‼」

 

 まともに目も空けてられないほどの暴風が吹き荒れる谷で、ジーニアスは満身創痍ながら生き残っていた。

 

「待ってろよ!」

 

「スター隊とつげーぬおおっ!」

 

「スター様!」

 

「これが『龍』……」

 

 『風虫の谷』は、夜の如き漆黒の風に支配されていた。

 

 その風の根源は『風龍セファイド』。かつてジャックが相対し、

打破した姿そのままで鎮座している。雲をまとった巨人の姿の前では、ジーニアスが虫に見える。

 

 そして、やはりその巨躯は黒く染まっていた。

 

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