ボルティブレイクで『中身』を引き出すことも考えたが、外してしまうと大きな隙を生んでしまう。
かといって持久戦では……。
「ジャックさん、ここは私にお任せを」
そんなジャックへ、セバスチャンが声をかけた。カマイタチのせいであちこちが凹み、火花が散っている。
「スターのそばにいてやれよ」
「いえいえ、スター様のために働くことが私のよろこびですから」
そういって、腕を十字に組んだ。
彼のボルティブレイク『セバス・イーリスキャノン』の体勢だ。
「やめとけ、当たるかわかんねえぞ」
「ジャックさん、こう見えて私、結構成長しているのです……はああ!」
両腕から、閃光が放たれた。
雲の巨人へそれは当たったが、やはり『本体』には当たらず、中を突き抜け雲の中へ消えゆく。
「むおお!」
だが、『セバス・イーリスキャノン』はそこで終わらず、発射され続けた。雲の巨人の全身を駈け廻り、何かに直撃して大爆発を起こした。
「―‼」
「おお!」
雲の巨人が崩れ、霧散し、龍の姿が露になった。
火龍と比べれば随分小柄で、角と昆虫を思わせる羽根を持ち、小さな雲をまとった龍である。『セファイド』の本体だ。
「やっぱり……」
だが、かつてジャックが相対した時濃緑色だったその体は、黒く染まっていた。
「鎧の奴なんだろ⁉」
「……」
『セファイド』は答えない、代わりに、角から強烈な電撃をジャックへ見舞った。
「‼」
『ヴェルバーン』でその一撃を払い、ジャックは深く息を吐く。
「ザ、ザンリョウエネルギー……10パーセント……」
「おお! セバスチャンしっかりするのだ! 立派だったぞ!」
「これだけの出力があるとは……」
セバスチャンは、ボルティブレイクの反動でエネルギー切れを起こしているらしい。煙を吐きながら細かく痙攣していた。
「サンキュ……」
小さく、ジャックは呟いた。
「―‼」
『セファイド』はそこへ電撃を浴びせかける。
直撃―するかに見えたそれが捉えたのは、残像だった。
「心応―」
弧を描いて、『4人』のジャックが『セファイド』に向っていた。
両手剣のボルティブレイク、『心応飛影斬』。
3体の分身を出し、4方向から一斉に斬りつける奥義である。
敵は急に増えた分身に気を取られ、4つの斬撃を叩き込まれ撃破される。
「―‼」
だが、『セファイド』は動じなかった。強烈な突風を放ち、ジャック『たち』を一挙に吹き飛ばす。
勝負を焦ったジャックによる拙攻は打ち破られ―
「⁉」
『セファイド』の頭部に、深々と『ヴェルバーン』が突き刺さった。
セバスチャンが鍛錬(?)の末ボルティブレイクを強化させたように、ジャックもまた、苛烈な鍛錬で自らを鍛えていた。
かつては3つの分身が限界であった『心応飛影斬』は、4人分身が可能となっていた。
ジャックは真正面から全員で飛び掛かるのではなく、分身を囮にして、自身は奇襲を選んだのだ。
見事にその賭けに勝ち、『セファイド』の肉体は霧散し始めー
「お前……」
『火龍』と同じく、黒い鎧の男へと姿を変えた。
「逃がさねえぞこら!」
ジャックはその黒い鎧の男へと襲い掛かった、なんとしても捕まえて、話を聞きださねばならない。
「うおっ⁉」
だが、横やりが入った。無数の火球がジャックへ降り注いで来たのだ。
一瞬、ジャックの脳裏に『火龍』の姿が浮んだ。
だが、火球の主は―
「ミカエル……」
ダークエルフたちだった。