ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

73 / 158
風龍セファイド④

 ボルティブレイクで『中身』を引き出すことも考えたが、外してしまうと大きな隙を生んでしまう。

 

 かといって持久戦では……。

 

「ジャックさん、ここは私にお任せを」

 

 そんなジャックへ、セバスチャンが声をかけた。カマイタチのせいであちこちが凹み、火花が散っている。

 

「スターのそばにいてやれよ」

 

「いえいえ、スター様のために働くことが私のよろこびですから」

 

 そういって、腕を十字に組んだ。

 

 彼のボルティブレイク『セバス・イーリスキャノン』の体勢だ。

 

「やめとけ、当たるかわかんねえぞ」

 

「ジャックさん、こう見えて私、結構成長しているのです……はああ!」

 

 両腕から、閃光が放たれた。

 

 雲の巨人へそれは当たったが、やはり『本体』には当たらず、中を突き抜け雲の中へ消えゆく。

 

「むおお!」

 

 だが、『セバス・イーリスキャノン』はそこで終わらず、発射され続けた。雲の巨人の全身を駈け廻り、何かに直撃して大爆発を起こした。

 

「―‼」

 

「おお!」

 

 雲の巨人が崩れ、霧散し、龍の姿が露になった。

 

 火龍と比べれば随分小柄で、角と昆虫を思わせる羽根を持ち、小さな雲をまとった龍である。『セファイド』の本体だ。

 

「やっぱり……」

 

 だが、かつてジャックが相対した時濃緑色だったその体は、黒く染まっていた。

 

「鎧の奴なんだろ⁉」

 

「……」

 

 『セファイド』は答えない、代わりに、角から強烈な電撃をジャックへ見舞った。

 

「‼」

 

 『ヴェルバーン』でその一撃を払い、ジャックは深く息を吐く。

 

「ザ、ザンリョウエネルギー……10パーセント……」

 

「おお! セバスチャンしっかりするのだ! 立派だったぞ!」

 

「これだけの出力があるとは……」

 

 セバスチャンは、ボルティブレイクの反動でエネルギー切れを起こしているらしい。煙を吐きながら細かく痙攣していた。

 

「サンキュ……」

 

 小さく、ジャックは呟いた。

 

「―‼」

 

 『セファイド』はそこへ電撃を浴びせかける。

 

 直撃―するかに見えたそれが捉えたのは、残像だった。

 

「心応―」

 

 弧を描いて、『4人』のジャックが『セファイド』に向っていた。

 

 両手剣のボルティブレイク、『心応飛影斬』。

 

 3体の分身を出し、4方向から一斉に斬りつける奥義である。

敵は急に増えた分身に気を取られ、4つの斬撃を叩き込まれ撃破される。

 

「―‼」

 

 だが、『セファイド』は動じなかった。強烈な突風を放ち、ジャック『たち』を一挙に吹き飛ばす。

 

 勝負を焦ったジャックによる拙攻は打ち破られ―

 

「⁉」

 

 『セファイド』の頭部に、深々と『ヴェルバーン』が突き刺さった。

 

 セバスチャンが鍛錬(?)の末ボルティブレイクを強化させたように、ジャックもまた、苛烈な鍛錬で自らを鍛えていた。

 

 かつては3つの分身が限界であった『心応飛影斬』は、4人分身が可能となっていた。

 

 ジャックは真正面から全員で飛び掛かるのではなく、分身を囮にして、自身は奇襲を選んだのだ。

 

 見事にその賭けに勝ち、『セファイド』の肉体は霧散し始めー

 

「お前……」

 

 『火龍』と同じく、黒い鎧の男へと姿を変えた。

 

「逃がさねえぞこら!」

 

 ジャックはその黒い鎧の男へと襲い掛かった、なんとしても捕まえて、話を聞きださねばならない。

 

「うおっ⁉」

 

 だが、横やりが入った。無数の火球がジャックへ降り注いで来たのだ。

 

 一瞬、ジャックの脳裏に『火龍』の姿が浮んだ。

 

 だが、火球の主は―

 

「ミカエル……」

 

 ダークエルフたちだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。