ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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『ジャック』軍団③

「これで全員かしら?」

 

「セメエヨー」

 

「クワガター」

 

「アイスクレー」

 

「はいはい」

 

「ちょっと待ってねー」

 

 今、『ジャック』たちは礼拝堂に集められていた。アーシェラがアイスをあげるからと言うと、ぶつくさ文句をいいつつそれに従ったのだった。

 

 同様の手法で『ジャック』たちは集められ、アーシェラを前に大人しくしていた。

 

「ニコクレー」

 

「だめですよ、お腹を壊します」

 

「トイレイキタイ」

 

「もうちょっと我慢してね」

 

 他にも、今回の件で被害を受けた面々が集められ、アイスの配布に駆り出されていた。

 

「で、こいつら何なんだ? ゴーレム?」

 

 憮然としながらジャックが問う。

 

「ご明察の通りよ、彼らは新世代ゴーレム『JACK』シリーズなんです。私の持てる技術の全てを注ぎ込んだの」

 

「はあ」

 

「思えば自信作のゴーレムをジャックさんに一蹴されて、私は絶望の底に沈んだわ……。けれど、泥をすすって再起し、借金を重ねついに、『JACK』シリーズを生み出したの」

 

「また借金したのかよ……」

 

「あの『龍殺し』の6割もの力をもつゴーレム、それをこんなにも大量に。ようやく私の努力が実を結んだわ」

 

「6割……それはいいんだけど、俺そっくりなのは?」

 

「『龍殺し』というネームバリューは大きいんです。今や、エルウェンさんよりも受けがいい」

 

「マジ? そっか俺はとうとう大隊長を……いやいや、待った、俺そんなの聞いてないぞ! 勝手にやるなよ!」

 

「ですけれど、一つ問題があります」

 

「一つじゃきかないだろ!」

 

「ジャックさんをモデルにしたせいで、デザインの他、知能に難があるんです」

 

「それは納得ね」

 

 ジャスミンが答えた。

 

「がさつ、バカ、能天気、見栄っ張り、調子に乗りやすい、ジャックさんの悪いところを全て備えてしまっています」

 

「喧嘩売ってんのか!」

 

「そのせいで制御がままならず、こうして脱走騒ぎを起こしてしまったんです」

 

 納得の声があちこちから聞こえて、ジャックはますます腹が立ってきた。

 

「アイスモットクレー」

 

「カエリタイー」

 

「ああ、モデルに致命的な知能面の欠陥がなければ、完璧だったのに」

 

「それじゃ困りますよ」

 

「そうです、ジャックさんがこんなにいたら大迷惑です」

 

「せめて制御はなされたほうが良いかと」

 

「ふざけんな!」

 

 ジャックの憤慨が空しく響いた。

 

「それで、どうするんですか?」

 

「そこなのよ、制御ができなければどれだけ強くても無意味なんです。どうにか制御が―」

 

「ジャック!」

 

「げげっ! 姉ちゃん⁉」

 

 何度目かの、そして一連の騒動への最後の乱入者はエアデール・ラッセルだった。

 

「あなた、あちこちでいたずらして回ったらしいわね?」

 

「「ヒーッ、ユ、ユルシテクレネエチャン」」

 

「しかもこんなに増えて……一体何をしてるの?」

 

「「コ、コレニハワケガアルンダヨ」」

 

「まあ、ジャック様たちが無垢な羊のようです」

 

「あの人誰ですか?」

 

「ジャックさんのお姉さんですよ」

 

「ち、違うんだよ姉ちゃん、アーシェラが勝手に……」

 

「朝帰りはする、女の子にちょっかいを出す、迷惑をかける、増える、いい加減になさい!」

 

「だから、俺のせいじゃない! ってか、増えてる時点でおかしいだろ!」

 

「いいから坐りなさい! 大体あなたは……」

 

「「ゴ、ゴメンナサーイ」」

 

 大勢のジャック『たち』がエアデールに平伏している異様な光景に、カインの説法を聞きにやって来た信徒たち、そしてカイン本人すら慄いて、礼拝堂に入ることができなかった。

 

 そして、それが済んでから勝手に礼拝堂を占拠したとして、アーシェラと『ジャック』たち、それから何故かジャックもお叱りを受けたのだった。

 

 この時、アーシェラの顔に不敵な笑みが浮かんでいるのを、誰も知らなかった。

 

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