ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

82 / 158
『ジャック』軍団④

 その知能故に、制御が利かないという重大な欠陥を持っていた、アーシェラ作の新世代ゴーレム『JACK』シリーズ(モデルには無許可で製造)。

 

 暗雲に乗りかけた彼女の計画と借金返済だが、思わぬところから解決策は現れた。

 

「ジャック! しっかりしなさい!」

 

「ヒエー」

 

「ワカッタヨネエチャン」

 

「オッカネエー」

 

 姉には逆らえない。

 

アーシェラは早速エアデールに言葉巧みに接近して、声のパターンを録音して、『JACK』シリーズへいつでも命令できる音声装置を発明した。

 

効果はてきめん、『JACK』たちは姉の声が聞こえるや、出来る限りその命令に従おうとするのだった。

 

 この時点で、アーシェラは当初の予定通りにラークスへと売り込みをかけた。国がスポンサーとなれば、借金問題は解決しより強力なゴーレムを作製できる。

 

 強かなラークスは、彼女の技術を認めつつ、最終的な判断を行うための条件を出した。

 

 実地試験である。

 

 エキドナ門の新開発区の護衛を、『JACK』シリーズへ当たらせた。今も尚モンスターたちの襲撃で被害が出ており、騎士団と『テアトル』だけでは手が足りていなかったからだ。

 

 結果は申し分なかった。毎日大工たちを悩ませていたモンスターたちは、その姿をすっかり消してしまった。

 

 スカルヘッド、スミロドン、ツインホーン、騎士や『テアトル』の戦士たちでも手こずる相手を、『JACK』シリーズはこともなげに殲滅した。

 

 片手剣、両手剣、斧、槍、『モデル』と同じくどんな武器も使いこなし、4人1隊体制で、無慈悲なほどの戦闘力を振るった。

 

 それは一方的な虐殺と言っていい。ゴーレム故に疲労もなく、完ぺきなコンビネーションで表情を変えずにモンスターたちを屠る『JACK』シリーズは、見る者に恐怖を植え付けた。

 

 アーシェラが、ジャックの6割といった実力は誇張ではない。腕試しに勝負を挑んだアルバやデイヴィッド、騎士たちはことごとく一蹴されてしまった。

 

 恐らく、ジェラルドやシーザークラスの実力で、ようやく拮抗できるだろう。さらに、充電によって半永久的に稼働する彼らは敵対者にとっての悪夢、無限に復活する兵士に他ならない。

 

 セバスチャン、メリッサ、マーク・Ⅱ、改良を重ねたゴーレムたちの一つの到達点であった。

 

 ラークスは『JACK』シリーズの採用を決定し、アーシェラを、新設した王国直属のゴーレム部隊総責任者に任命した。

 

 かくして、債権者は救われ、ラジアータに強力な戦力が加わった。その意味する本当のところを、まだ誰も知りえない。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。