ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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真打登場

 『龍』が、かつての出現順と逆に現れている。

 

 幾人かの勘が鋭い者たちは、その事実に気づき。次なる『龍』が『地龍』であり、『ドワーフの谷』に姿を見せるだろうと推測していた。

 

 ラークスもその一人で、可能な限り、谷へ騎士たちを集めて監視を強化させていた。

 

 その読みは当たった、突如出現した『地龍』は騎士団を蹴散らし、王国へと迫っている。ドワーフ、ゴブリンたちも伴い、一大軍団となっているようだ。

 

 ひとつ読み違えがあるとすれば、『地龍』から攻勢してきたことだろう。被害を最小限にするために『地の谷』での決戦を想定していたラークスにとって、頭の痛いことだった。

 

「人間どもを滅ぼせー!」

 

「ゴブリンサイキョー!」

 

 妖精たちは士気も高く、数も多い。『地の谷』占領後、ドワーフたちは姿を消していたが、潜伏し反撃の機会を伺っていたのだろう。

 

 ただちに会議は終わり、騎士団と各ギルドが招集された。

 

「聞いたか? ここに向ってるそうじゃないか」

 

「流石に少し怖いですねえ」

 

 遠征と違い、戦力は十分にある。防衛は攻勢よりも有利とも言われている。だが、人々の間に不安は隠せなかった。

 

「心配すんなって、このジャック様がいるからよ」

 

「調子に乗るでない!」

 

「いでっ、な、なにすんだよジイさん!」

 

「油断禁物ですよジャックくん」

 

 その不安が士気を崩壊させるまでに至らないのは、やはりジャックの存在があったからだった。『ヴァレス』の副学長カーティス、セシルとの漫才じみたやり取りは人々の笑いを誘った。

 

「なんだよー、なんだかんだで龍を5匹も倒してるのによ」

 

「仲間の力があったからこそです」

 

 エルウェンがたしなめる。

 

「ことに、今回は防衛線です。今まで以上に皆の力が必要になるでしょう」

 

 エルウェンのまとめに皆が同意した。最もこれも、緊張をほぐさんとジャックが(バカなりに)考えた一種の寸劇であった。

 

 こと『龍』に対して、ジャックほど油断も慢心もしない相手もいないだろう。

 

「で、『地龍』とやらはどんな相手なのだ?」

 

「ぼくは後方支援ってことじゃダメかな?」

 

「すべては神の御心のままに」

 

 異国3人娘も参加している。そればかりか、ジャックはこの3人を主力とするつもりだった。

 

 本来なら、エルウェン、カイン、ジェラルドといった猛者たちと戦いたかったが、そうしなかったのは妖精たちの軍団が尋常な数ではなかったからだ。

 

 『龍』はもちろんのこと、妖精たちも一筋縄でいく相手ではない。まして、ゴブリントリオのように強化されている個体もいる。

撃退はしたが、人的物的被害が大きすぎればそれもまた敗北に等しい。街に突入される前に決着をつけねばならない。

 

 さらに、姿を見せていないエルフやオーク、ブラックゴブリンたちの襲撃も警戒せねばならなかった。皮肉にも、ザインやガルバドスらを討ち取り、戦争の勝敗を決定づけた一戦の再現のようだった。

 

 誰もが緊張の極致にあった。この機に名を売ろうと目論んでいた、デイヴィッドや若手の騎士すらも口数が少なかった。

 

「ドワーフだ!」

 

 斥候に出ていたジェイドたちが叫ぶ。小さな一つの影が、徐々に門へ迫って来る。丸みを帯びた体系から、ドワーフのようだ。

 

 皆が固唾を吞んで見守る中、その命知らずは全容を露にした。

 

「あ、あれ? えっと……な、何か行事ですか?」

 

「団長お⁉」

 

 『桃色豚闘士団』団長にして、元騎士。四大貴族『西方獅子』家の現当主、ガンツ・ロートシルトだ。

 

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