「団長!」
「ジャックさん⁉ いやはや、お懐かしいです!」
「元気そうっすね!」
それまでの緊迫感はどこへやら、ジャックはガンツへ駆け寄ると手を取り合って、『団長』と再会を喜び合った。
「何度かジャックさんのお話を聞きました、いやはや、活躍なさっているようですね」
「ま、『龍殺し』っすからね」
「おお、言いますねジャックさん」
「団長もちょっとシュっとしたみたいですね」
「中々過酷な日々でしたから……でも、何とか乗り切りましたよ」
「さすが団長!」
「んだあ~、懐かしいだなあ~」
「おお、クライヴさんではないですか。お元気でしたか?」
「ああ~、何とか元気でやっとるだ~。団長も元気でなによりだ~」
「懐かしいですねえ、皆さんと一緒に『地の谷』に行ったのが昨日の事みたいです」
「本当っすね……」
「オラは大分昔んことだと思うけどなあ」
「あ、そうそう、団長、『桃色豚闘士団』復活したんすよ」
「なんですと!」
「団長はもちろん団長っす。あ、俺は副団長」
「おお! 私たちの『桃色豚闘士団』が……うう~」
「だ、団長? どうしたんすか泣き出して」
「嬉しいんですよジャックさん、僅かな間でしたが、あの団にはたくさんの思い出が残っていますから」
「そうっすよね……」
「オラも一員だど」
「もちろんです! ああ、これで少しは母上に顔向け―」
「はいはい、そこまで」
そのまま夜まで話し込もうとする3人を、フラウが軌道修正した。
「フラウさん! ご無沙汰しております。リンカさんとコテツくんもお元気ですか?」
「うん、久しぶり。でもさ、今はそれどころじゃないんだよ」
「何か問題が?」
「見えたっス! 『地龍』と妖精たち!」
アルマが叫んだ。
地平の向こうに、太陽を背にした黒い蠢きが浮んでいる。ひときわ巨大なのは、間違いなく『地龍』だろう。
「……って感じなんすよ」
「なんと! 私のいない間にそんなことが……」
「ガンツ殿、今は助力をお願いします」
レナードが出て来た。
「一人でも多くの戦士がいるんです」
「わかりました! このガンツ! 微力ながら力添えしましょう!」
「おっす!」
「だべ」
「危なくなったら逃げなさいよ」
「どんくさいからな」
盛り上がる3人のそばで、フラウとリンカが嘆息した。『ヴォイド』で組んでいた二人にとって、ガンツは人柄は別として頼りない中年男であった。
「とりあえず『地龍』を何とかしないとっすね」
「わかりましたよジャックさん」
一見すると、存亡をかけた戦いに挑む前の二人には見えない。
だが、ジャックの体には、今までにない力強いものが湧き出てきていたのだった。
粛々と『地龍』たちは迫り、ついに石を投げれば当たる距離で、相対することとなった。『地龍』の巨躯は空に届くほどで、大地の色であった過去と異なり、漆黒に染まっていた。
「よお」
ジャックは、『地龍』に呟いた。この龍が、パーセク、セファイド同様にあの黒鎧が変化した姿であったら、その正体はジーニアスの言うところの、秩序を保たんとする力そのものであるはずだ。
どうしてか、ジャックの姿を模している。そして、『リドリー』もまた……。そういえば、彼女の姿は見えないようだ。
「ジャック、ガンツ……久しいのう」
ひと際豊かなひげを蓄えたドワーフが前に出て来た。
「ゴンドノビッチ殿……」
「再会を祝いたいとこじゃが……そうはいかんじゃろて」
ドワーフの長。深い見識と力を併せ持ち、そして、『桃色豚闘士団』の初任務、国書の運搬を依頼してきた人物だ。