「ウソ⁉」
「街に⁉」
ダニエルとナルシェは立ちすくみ、ジャーバスは未だ息切れの中、ジャックだけは冷静だった。
「りゃあああ!」
瞬時に発現させた槍『神槍パラダイム』を握りしめると、一切の躊躇なくスカルヘッドへと投擲した。
閃光のような一撃は、エレフたちに一番近づいていた個体と続いていた何体かを『抉り』殺し、そのまま分厚い門を貫通して跳躍していった。
「いけねっ、おーい、早くこっちに!」
「お⁉ おめえ小僧か⁉」
「久しぶり! 早く!」
エレフらは素直に全速力でジャックらの元へかけてきた。
それと入れ違いに、ジャックは残るスカルヘッドらへと駆けていった。
「これ以上壊すとまずいよな……」
呟いたジャックの手には、『パラダイム』が再度握り込まれていた。
そのまま、スカルヘッドの一団へ穂先を薙ぎ払う。
交錯。
ジャックとすれ違い、そのまま街へと突入戦としていたスカルヘッドたちは、その数を『3倍』に増やして、果てて転がった。
槍の一撃により、文字通りに3枚おろしにされたのだった。
と、門の外からも悲鳴が聞こえて来た。
「作業員が残っとる!」
エレフの言葉に、ジャックはすぐさま反応した。
「エレフとマリエッタはヴァレスに避難して! 皆いくぞ!」
「う、うん!」
ジャックが門の外へ消えてから、ようやくダニエルは冷静さを取戻して、ナルシェとジャーバスを伴い後を追った。
途中、スカルヘッドらの亡骸とすれ違う。彼らが背負っていた巨大で分厚い頭蓋骨が、これ以上ないほどに美しい切断面を見せつけていた。
「うわっ」
ジャックの前に広がっていたのは、モンスターに襲われる作業員たちと壊れ果てた家の土台だった。
「一個一個やってたら間に合わねえか……」
『パラダイム』の穂先を地面に向け、不覚一呼吸した後ジャックは囁いた。一瞬、彼の周囲の空気が凍り付く。
「百禍嶺嵐」
そのまま穂先を地面に突き刺すと、あちこちから無数の武器が天に向かって
突き上がった。さながら、咲き乱れる刃の華だ。しかもそれは、的確にモンスターだけを貫いて、作業員たちを避けている。
「……よっしゃ」
『パラダイム』が地面から引き上げられると、同時に無数の武器も消滅した。宙に突き上げられていたモンスターたちは、そのまま地に落とされて亡骸を晒すのみとなった。
「お、おめさん……」
「あ、ブーチェ?」
作業員の一人に知り合いを見つけ、ジャックはまとっていた殺気を消し去った。
「ジャック~!」
「お兄ちゃん~!」
「遅いぞダニエル、ナルシェ……」
「ぜえ、ぜえ……お、俺が来たからには……も、もう安心だぞ」
「と、……隊長。こりゃ、オラシオンの皆に来てもらわないとな」
幸い死体はモンスターのものだけのようだが、怪我人は多数いるようだった。少なくともひと段落するまでは、離れるわけにもいかなさそうだ。
「きゃっ」
それから少し遅れて、避難指示を出したはずのマリエッタがやって来て、転んで頭を打っていた。