人間蔑視の傾向が強いドワーフだが、意外にも、妖精族の中では最も人間の文明を取り入れている種族であった。
採鉱、鍛冶を生業とする彼らは、必然的に取引相手の大手が人間となる。自然交流が生れ、その文化を取り入れる機会が多かった。戦争前には、採掘に必要な資金提供も受けていた。
ゴーレム製造技術も、その中の一部である。アーシェラのような人造人間としてよりは、掘削作業の補助作業員としてのものだったが、それは少し改造すれば容易に兵器化できるものだった。
「突撃じゃ!」
ギアゴーレムの不意討ちに呼応して、ドワーフとゴブリンたちが突撃して来た。
「迎え撃て!」
レナードの叫びで、人間たちもやや遅れて迎撃する。あっという間に戦場は混戦状態となり、敵味方の判別も付かない程になった。
「ノクターン、おめえももうろくしたんじゃねえか?」
「じゃかましい! 地面の下なんざどう見張れってんだ!」
ジェラルド、ノクターンが軽口を叩き合った。斥候と見張りを担当した『ヴォイド』の失策ともいえる混戦だが、彼らにとってはじゃれないのようなものだ。
「さあ、ジャックさん! 予算獲得のために戦ってください!」
「ウオー」
「ヨッシャ」
ゴーレム『JACK』シリーズが投入され、妖精たちを駆逐していく。
「ジャックじゃ!」
「兄弟がいたのか?」
それなりに武闘派であるドワーフたちであるが、数の上ではゴブリンとゴーレムを足しても人間に劣っている。
ゴンドノビッチらは良く戦っていたが、他のドワーフたちは次々に討ち取られ、劣勢を強いられるはずであった。
「―‼」
「『ゴブリンビーム』!」
だが、現実には人間たちは攻めあぐねていた。『地龍』と、当初は戦力外とみなされていたゴブリンたちによってである。
「―‼」
「うわあああ!」
「退避するんだ!」
『地龍』は言わずもがな、その巨体によって迫る人間たちを薙ぎ払っていた。土砂のブレス、尾での打撃、地震、近づくことすら困難で、『ヴァレス』の魔砲での遠距離攻撃が精いっぱいだった。
ゴブリンたちは、以前ジャックが見たボルティブレイク『ゴブリンビーム』を連発して来た。破壊力もさることながら、なんとこの技、ゴブリンが3人いれば誰でも使えるようで、前線戦闘員への脅威となっていた。
「ブルースさん! シーザー隊長が!」
「ただいま!」
「……無念」
直撃を受ければ、シーザーですら倒れてしまう。自然、それを警戒して及び腰になり、積極策がとれなかった。
「少し強引にいくか……」
混戦を打破すべく、ジャックは勝負を仕掛けた。