ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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地龍ボイド②

 龍の鎧が宙へ飛び、槍を構えて台地へ突き刺した。

 

「百渦嶺嵐!」

 

 大地から、武器が芽吹く。槍のボルティブレイクだ。一気に多数の敵を倒したい時、ジャックはこの技を好んで使う。

 

「ぐあああ!」

 

「ギャー」

 

 矛先に、妖精たちの亡骸が飾られる。覚悟しているとはいえ、ジャックはその光景に苦いものを抑えられなかった。

 

 が、この一撃でゴーレム、そして妖精たちは多大な被害を受け、それまでの攻勢が一時途絶えた。

 

 この隙を逃さない手はなかった。『ヴァレス』は魔砲による攻撃を妖精たちに集中させ、一挙に戦局を変えんとした。

 

「ぬおっ!」

 

「はああ!」

 

 カーティスの『エクスプローション』、セシルの『アースクエイク』はその中でも抜きんでた威力だった。爆炎と地震により、妖精たちは秩序を失いつつあった。

 

「下がるんじゃねえ」

 

「アチー」

 

「ヒョエー」

 

 ゴブリンの『ゴブリンビーム』も、3匹が連携せねば使えないという弱点をさらけ出していた。威力は脅威だが、使わせなければ無害である。

 

 ただでさえ、団体行動に難のあるグリーンゴブリンたちは、統制を失って逃げ惑い、個々に討ち取られていった。

 

 ゴブリンたちを抑えることで、ドワーフたちへ対応する余力が出て来た。

 

「ヨッシャ」

 

「マダマダオレノテキジャナイネ」

 

 『JACK』シリーズは流石の働きで、このままいけば彼らだけで決着も付けられると思われた。

 

 がー

 

「―‼」

 

「ウワアアアアア」

 

 優勢だったのは一瞬、ドワーフを護らんとした『地龍』の尾の一撃で、新世代ゴーレムは哀れ残骸と化してしまったのだった。

 

「いやあああああああ!」

 

 戦場にアーシェラの悲痛な叫びが木霊した。後方で魔砲による援護に回っていた彼女だが、その光景は身を裂かれるよりも激しい痛みを与えていた。

 

「そんな……私のゴーレムが……」

 

「先生、しっかりしてよ」

 

「戦争中だゼ!」

 

 生徒のコーネリア、アーネストの励ましも耳に入らず、アーシェラはうなだれて天を仰いだ。

 

 今回、改良を施した『JACK』シリーズが活躍することで、さらなる予算獲得が見込める筈だったが……。

 

「王国からの先行投資に、闇金のお金までつぎ込んだのに……」

 

「ちゃーんと返さないとだめだよ~」

 

 ひょっこりとヘルツが顔を出して、手をひらひらさせながら戻っていった。仲介役は彼女のようだ。

 

 アーシェラの借金完済は、どうやらまだまだ先になりそうだった。

 

「『地龍』が壁になって、妖精たちに攻撃が届きません!」

 

「だったら先に『地龍』をやるぞ! 龍さえ倒せばなんとかなる!」

 

 戦況は刻一刻変化している。劣勢となった妖精たちを護るように、『地龍』が前に出て来ていた。

 

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