ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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地龍ボイド③

 レナードの檄は理にかなっている。妖精たちが進撃を決意したのも、人間たちが背水の陣を敷いているのも、『地龍』あってこそであった。

 

 故に『地龍』さえ打倒できれば、妖精たちは霧散し人間の勝利は確定される。

 

 だが―

 

「ぬおっ⁉ 硬えぞ!」

 

「むう……!」

 

 斬り込んだジェラルドは驚愕し、アキレスは初撃を加えたあと、顔をしかめて後退した。『地龍』の表皮は、この二人でさえ傷一つ付けられない程の硬質だった。

 

「くっ……」

 

「これは少々……」

 

「老体にこたえるのお」

 

 『オラシオン教団』の古老たちの鉄拳、そしてエルウェンの『アヴァクール』ですら龍を貫けない。この場にいない、ニュクスでも恐らく同様だったろう。

 

「くそっ! 通じねえ!」

 

「えいやっ! ……ほおおおお~」

 

 ジャックの『魔剣グラム』と『アービトレイター』ですら、どうにか皮を切れるだけでしかない。ガンツは大剣を振り下ろすも、弾かれ痺れで全身を震わせていた。

 

 龍には『時の癒し』がある。傷を負わせられない上に、無限に近い体力を有しているのだ。

 

「―‼」

 

 唯一、救いなのは魔砲はその限りではないという点だった。『ヴァレス』の面々から注がれるそれは、物理的なものとは別であるからか、『地龍』の足を止めてくれている。

 

 だが、それも長くは続かない。魔砲も無限に放ち続けられるわけではないのだ。いずれ来る魔力の枯渇を以て、いよいよ龍は手に負えなくなる。

 

「『ゴブリンビーム』!」

 

「うんがああ~」

 

「ああ、ジョケル! しっかりするッス!」

 

 さらに、『地龍』という壁を得て、態勢を立て直した妖精たちの反撃も始まった。狡猾なのは、前に出ずに龍の背後から、投石や酒瓶を利用した火炎瓶、『ゴブリンビーム』による嫌がらせに徹底している点だ。

 

 中々どうして、ゴンドノビッチは戦術家らしい。

 

「くそっ」

 

 ジャックは必死に考える。剣が通じない、辛うじて斧であれば重量で衝撃を与えることができるが、傷をつけられない。これではどうあっても勝ち目がない。

 

 どうにか『地龍』を、魔砲は通じる、だが―

 

「‼」

 

 そのひらめきを、ジャックは見逃さなかった。

 

「みんな! 一旦下がってくれ! おっさんのところまで!」

 

 最前線の面々に困惑が広がった。それでも皆が従ったのは、発言者がジャックであったからだ。

 

 魔砲によるけん制が続く中、『地龍』と前線の間に空白地帯ができた。これを利用し、レナードは陣形の再編成と休息を命じつつ、ジャックに問う。

 

「おい、ジャック、何か考えがあるんだろうな?」

 

「任せろよおっさん」

 

「おっさん言うな!」

 

「はは、で、ちょっとお願いがあるんだ……」

 

 

 数刻後、ジャックは、『エンシェントエイジ』を構え、一人『地龍』へと悠然と迫っていった。

 

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