「……『ギガントアクセル』!」
斧のボルティブレイクであった。先に斧を放り投げ、回転するそれに飛びつき、回転力を増した一撃を見舞う。
ジャックの技の中でも、最も破壊力に特化したものだ。
「―‼」
『地龍』に激突したその一撃は、これまで不動だった龍を大きくのけぞらせた。だが、それでも目立った損傷は見受けられない。
「しゃあ!」
が、ジャックは怯まない。『ツチノコだんご』をかじると、二度目の『ギガントアクセル』を見舞った。
「―‼」
『地龍』には傷がつかない。構わず、ジャックは再び『ツチノコだんご』を口へ運んだ。
『ツチノコだんご』、その存在は多くの人に知られているが、実物を目にしたものは少ない。
ツチノコというモンスターに、解毒剤を与えることで得られるアイテムで、無上の美味の上に、気力体力が瞬時に回復するという代物であった。
当然、多くの者がそれを求めたが、この一連の作業が明文化されておらず、さらにツチノコも稀にしか現れないとあって、幻の逸品とも言われている。
ジャックですら、数えるほどしかツチノコに遭遇しておらず、
決して多数を所持してはいなかった。
「しゃああああ!」
その『ツチノコだんご』をつぎ込んで、ダメージを与えられないボルティブレイクを見舞う。その意図に最初に気づいたのは、ジーニアスであった。
「穴に落とす気か」
ジャックが狙うのは、『地龍』の撃破ではない。穴に落下させることだった。
落下させて龍を倒せるのか? ジーニアスの頭脳は素早く働き、すぐさま『決して確実ではないにしろ、今取れる最良の手段である』との結論を下した。
猛者たちですら、傷一つ付けられない相手である。このまま攻め続けたとして、勝機が見いだせない。
ならば、地の底へ叩き落とし這い上がれないようにすれば、無力化できるのではないか。『地龍』には飛行する翼がない。
しかしー
「できるのか?」
ボルティブレイクは渾身の一撃である、それを何度も放つことは、ジャックの肉体に多大な負担を強いるだろう。
だからこそー
「回復してくれ!」
「は、はい!」
フローラが、『奇跡』でジャックを癒す。『オラシオン』の僧侶が総動員され、少しでもその負担を軽くすべく、彼を回復せんと待機していた。
「うおおおおお!」
『ギガントアクセル』。『地龍』が流石に体勢を崩した。が、反撃を怠ることはなく、着地を狙って尾でジャックを叩き潰した。
「ジャックさー」
巨大な岩石の尾を、無理やり『龍』が持ち上げる。モルガン謹製の『鎧』は、確かに堅牢だった。
「『ギガントアクセル』!」
爆発が起きる。
『ツチノコだんご』が切れた。あとは『奇跡』と、集中力で補うしかない。