ラジアータストーリーズ 龍の目覚め   作:ニシムラタカハシ

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地龍ボイド⑥

 彼らのほとんどは、ジャックと面識があった。仲間としてともに冒険に出たこともある、程度は存在するが、彼に好意らしきものを抱いてもいた。

 

 その彼が、目をそむけたくなるような苦難に、自らを置いているのだ。比較的平静でいられるのは、カインらのように強固な精神を有しているか、アナスタシアのように自己中心的な思考を有しているかだろう。

 

「は……!」

 

 『ギガントアクセル』の反動で着地したジャックは、態勢を崩した。すでに、体力気力が限界にあるのだ。無理もない、すでに10数回もボルティブレイクを放っている。

 

 その間に受けた大小さまざまな攻撃により、鎧の隙間からは鮮血があふれ出ている。激しい動きに呼応してそれは吹き出し、大地に赤黒い模様を描いては、戦闘の余波によって書き消えていった。

 

「か、回復してくれ!」

 

 ミランダらの感じる疲労は、『奇跡』の連発に限らない。ジャックの苦境を、自らも味わっているためだった。

 

「待て!」

 

「離せよ! ちょっくら『龍』の鼻面殴ってやるからよ!」

 

 アキレスは、ミランダに続いてビシャスも制止せねばならなかった。回復術を持たない彼女の焦れは、他の信徒よりも強いものだった。

 

「ジャックは後方に下がっていろといった、困らせたいのか?」

 

 本心では、アキレスもビシャスに先んじて戦線に参加したかった。だが、ジャックの意図、そしてカインですら歯の絶たない『地龍』を前に、己が拳の脆弱さを呪わずにはいられなかった。

 

「かいふ―」

 

 『地龍』の尾による一撃が、ジャックを吹き飛ばした。奈落にかかる橋の縁に激突した彼は、どうにか立ち上がると、斧を構えて前進する。

 

「回復……回復して!」

 

 一番近くにいたエドガーが、震えながらそれに応じた。フェルナンド教絶対信者の彼だが、流石に顔見知りの惨状には思う所あるらしい。

 

「ね、ねえ君、少し休んだ方がいいんじゃないか? フェルナンド様に任せて……」

 

「サンキュ!」

 

 ジャック、龍の鎧をまとった戦士は、再び『地龍』へと向かって行った。

 

 この戦いは最早、ジャックに任せるしかなかった。

 

「『ギガントアクセル』!」

 

 一撃。ついに、ついに『地龍』の巨体が大きく揺らめき、奈落のすぐそばまで追いやられた。

 

「うおおおおおおお!」

 

 ジャックは次なる一撃を待たなかった。そのまま突進すると、あらん限りの力で『地龍』を押した。

 

「みんな! 手伝ってくれ!」

 

 文字通り血を吐く叫びに最初に反応したのは、ガンツだった。

決して早いと言えない足運びながらジャックの隣りに位置し、『地龍』を渾身の力で押し付ける。

 

「ぬおおおおお!」

 

 続いてクライヴが隣りと立った。

 

「だべええええ!」

 

「行きますよ!」

 

「今がその時です!」

 

「ふむ、助力しましょうか」

 

 せきを切ったように、各ギルドの長がそれに連なり、構成員らも後に続いた。

 

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