この生徒が俺TUEEEくせに慎重すぎる   作:えんびフライ

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最初は一人称です。理由は特にないですね。
それと後半部分の表現が少し分かりづらいかもしれません。伝わるといいな。


Cクラスとのトラブル

◇◆◇◆ 

 

【一之瀬帆波(いちのせほなみ)】

 

 私が中間テストのための勉強会を提案してから中間テストまで残り一週間を切った。竜宮院(りゅうぐういん)くんが指導役から外されて私と神崎(かんざき)くんの二人だけになってしまったから少し大変になるんじゃないかと不安があった。

 

 でも、私の不安は杞憂だったようで、竜宮院くんが指導役をしていたときよりもみんな集中して勉強してくれるようになった。

 

 今日も私たちは昼休みに図書館に行き、空いているスペースを確保して各自勉強に励んだ。

 

 勉強会に行く前に一応姫野(ひめの)さんにまた勉強会に参加してくれないか聞いてみたけれど竜宮院くんの指導を思い出したのか顔色が悪くなり女子トイレに駆け込んでいった。

 

 ......うん。流石にあの問題集の量は無いよね......。なんだか可哀想なことをさせてしまったかな。今度竜宮院くんに謝ってもらおう。

 

 いつも通りに各自でテスト範囲を復習して分からない問題を私と神崎くんが解説していると、周囲が騒ぎ出した。どうやら生徒同士で何かトラブルがあったようだ。すぐに収まるだろうと気にしないでいると収まるどころか、どんどん騒ぎが大きくなり始めた。今にも喧嘩が始まりそうな雰囲気だ。

 

「ねぇ、一之瀬さん。他の場所で勉強しない?」

 

「あぁ、全くいい迷惑だぜ」

 

 騒がしくなったため、勉強している子たちの集中力が切れてしまったようだ。よく見ると、騒ぎを避けるために図書館を出る生徒や嫌そうな視線を送っている生徒も見受けられた。どうやら誰も止めようとする人はいないみたいだ。

 

「じゃあ私が止めてくるね。みんなはここで待ってて」

 

 この状況をどうにかするために私は席を立ち上がり、彼らの元へ向かうことにした。

 

「おいおい、一之瀬! 大丈夫かよ!? なんだったら俺が行こうか?」

 

「柴田(しばた)くん、大丈夫だよ」

 

「そ、そうか?」

 

「心配してくれてありがとう。でも、ただ喧嘩を止めるだけだから」

 

 男子同士の喧嘩の仲裁に別の男子が入っても余計な被害が広がるかも知れない。男子ってなんだか変なプライドがあるらしいからね。柴田くんを納得させた後、私は自ら争いの火種に飛び込んでいった。

 

「はい、ストップストップ!」

 

 私は争っている二人の生徒の間に強引に割り込んだ。

 

「っだよ、テメェ。部外者が口出ししてくんじゃねぇよ」

 

 こちらに気付いた赤髪の生徒が今すぐにでも殴りかかってきそうな視線でこちらを睨んでくる。彼の名はDクラスの須藤(すどう)くんといって凄く暴力的な生徒だと友達がよく話していたっけ。

 

 噂以上に怖い印象があるけどそれでも私は怯むわけにはいかなかった。

 

「部外者? この図書館を利用している生徒として争い事は見過ごすことはできないかな。もし、どうしても喧嘩沙汰を起こそうっていうなら外でやってもらえる?」

 

 図書館は静かに利用する場所のはず。他人ならまだしも多くの友達が彼らの騒ぎに困っている。そんな状況を見過ごす訳にはいかないよね。

 

「それから君たちも挑発が過ぎるんじゃない? これ以上続けるんだったら学校側に報告しなきゃいけないけど、それでもいいのかな? もしそうなったら来月のポイントが減っちゃうかもしれないよ?」

 

 私はもう一人の生徒にも注意を促した。彼は確か……Cクラスの山脇(やまわき)くんだったっけ? ポイントのことをちらつかせれば彼らも挑発行為を止めてくれるはずだ。

 

「わ、悪かったよ。一之瀬」

 

 山脇くんは私の姿に怯えたのか意外とあっさり謝ってくれた。うん、やっぱり素直が一番だよね。

 

「お、おい。さっさと行こうぜ」

 

「そ、そうだな。こんなところで勉強してたら馬鹿が移る」

 

 山脇くんは取り巻きを連れて、最後に捨て台詞を残してから図書館を出ていった。

 

「君たちも勉強をするときは大人しくしようね。以上っ」

 

 トラブルが解決したので私は出過ぎたマネをしないためにクラスの元へと戻っていった。須藤くんはまだ少し苛ついている様子だったけれど、近くにいた友達は冷静そうだったし、きっと大丈夫だよね。

 

 ......そういえば、去り際に見たあの茶髪の男子生徒の子、何処かで見た気がする。確か前に生徒会の件とクラスポイントの詳細について星之宮(ほしのみや)先生に尋ねたときに見たような......?

 

 そんなことを考えながらクラスの元に戻ると私の友達が目を輝かせていた。

 

「お疲れ様、一之瀬さん! まるで黄門様見たい!」

 

「ありがとう、千尋(ちひろ)ちゃん。でも、私は黄門様じゃないよ」

 

「それじゃあ、女神様とか!」

 

「にゃはは。女神様なんてそんな.......私はただ普通に注意しただけだよ」

 

 もう、千尋ちゃんと麻子(まこ)ちゃんも大袈裟だなぁ。黄門様とか女神様だなんて。そもそも私はそんな器ではないと思うんだけどなぁ......。

 

「それで、争いの原因はなんだったんだ?」

 

「どうやらCクラスの挑発がきっかけで喧嘩が始まったみたいなんだ」

 

「Cクラス......そういえば、近頃Bクラスの生徒でCクラスから嫌がらせを受けたと俺に相談しに来たやつがいたな」

 

「本当? 神崎くん? なんだか物騒だね」

 

「大丈夫! 今度Cクラスとトラブルになったときはまた一之瀬さんに解決してもらえば問題なしだよ!」

 

「だな!」

 

「にゃはは......」

 

 私を頼ってくれるのは嬉しいけど、何度も私を頼るのは勘弁してほしいかな。

 

「一之瀬だけに頼らず俺たちもCクラスとトラブルに合わないように気をつけるようにしよう」

 

「うん、そうだね。みんな! 私たちもCクラスに挑発されてたりしても相手にしないようにね!」

 

「「は〜い」」

 

 私の忠告にみんなは元気良く返事をしてくれた。うん、やっぱりBクラスの子は素直な子が多くて嬉しいな。ごく一部なかなか言うことを聞いてくれない子もいるけど。

 

「それにしても、一之瀬って怒らせると怖そうだよな」

 

「そうだな、俺も一之瀬を怒らせないように気をつけよう」

 

「うっ......。本人の目の前で酷いよ柴田くん、神崎くん......」

 

 私は柴田くんと神崎くんの発言が頭から離れず、昼休みは勉強に見入ることができなかった。

 

◇◆◇◆ 

 

 放課後。帰宅途中に聖哉(せいや)は考え事をしていた。それは過去問の入手である。星之宮の発言から推測するに中間テストは間違いなくクラスポイントが上がるイベントとなるだろう。聖哉は確信していた。

 

 しかし、指導役から外されたためクラスメイトの指導が出来ない。そうなってしまえばクラスの平均点が下がってしまうかもしれない。平均点が下がってしまい退学者が出たら、ペナルティが発生して何かしらの罰がBクラスにあるかもしれない。そうなればAクラスとのクラスポイントの差が遠くなってしまうだろう。そう考えた聖哉はテスト対策について色々考えた結果、一つの策を使うことにした。

 

 それは過去問の入手である。過去問を何年分か入手できれば、例え過去問と問題が違かろうと大まかな問題の難易度を理解することができる。突然例年と比べて難化して過去問の意味が無くなってしまうかもしれないが、無いよりはましだろう。

 

 しかし、過去問の入手にあたって一番の難航は誰から過去問を入手するかだった。

 

 今の所、考えられる過去問の入手ルートは教師、先輩のどちらかだろうか。

 

 まず教師は間違いなくない。星之宮は生徒想いの先生なので過去問をくれるだろうが、十中八九ポイントでの取引となるだろう。しかし聖哉はこの間の取引やボイスレコーダーなどにポイントを使用してしまったため手持ちにはあまり余裕がない。そして何よりあの厚化粧ババアに借りを作りたくない。

 

 そうなれば、先輩から過去問を入手するかだが、残念ながら聖哉は先輩と一番関わる機会がある部活動にも所属していないため、頼りになる先輩などもいなかった。

 

「いや、待てよ......そう言えば一人使えそうなやつが.......」

 

 一人だけ過去問入手に使えそうな人間がいることを思い出した瞬間、聖哉の右肩が誰かの左肩にぶつかった。そして、ぶつかった相手を無視して再び歩いていると突然右肩を力強く掴まれた。

 

「おい、肩をぶつけて謝罪の一言も無いのかよ!」

 

「すまない。俺は急いでいるんだ」

 

「そうか。分かった。......ってなるわけねぇだろうが! ふざけてんのか!!」

 

「(......っち。変なやつに絡まれたな。相手は3人か。分が悪過ぎる、ここは大人しく逃げる方が得策だろう)」

 

 刹那、聖哉は首にかけられていたホイッスルを鳴らした。

 

「ピィィィ!!!!」

 

「な、なんだ!? いったいお前は何をしているんだ!?」

 

 聖哉が鳴らしているのは100均で売られている普通のホイッスルだ。100均といえど中々の音量であり、ホイッスルの音が鳴り響いていく。

 

「やべぇ、先生が来るかも......早く逃げようって......おい! 逃げるな!!」

 

 聖哉はダッシュで不良たちから逃げていた。ホイッスルを吹き、不良たちが助けが来ることを恐れて動揺している隙に逃げる作戦だったようだ。

 

「おい、待て! ゴラァァァ!!」

 

 逃げる聖哉を追いかけるように不良たちも聖哉の背中についていく。追いかけっこを続けていると、突如聖哉の足が止まった。

 

「はぁ......はぁ......突然逃げやがって。だが、残念だったな、行き止まりで! そして、 お前が逃げ込んだ先は路地裏。こんな狭い所、もしお前が助けを求めても誰も来てくれないぜ!」

 

「へへ、ザマーみろ」

 

「おい山脇、こいつどうするよ?」

 

「あぁ、今からこいつをサンドバッグ代わりにしてストレス発散しようぜ」

 

「ぎゃははw それいいな」

 

 不良たちの正体は山脇たちだった。山脇たちは昼休みに一之瀬に仲裁されたことを根に持っており、その腹いせに聖哉をサンドバッグ代わりにしようと考えていた。

 

「お、おい。やめとけよ。変なことしたら龍園さんが黙ってねぇぞ」

 

「あ? 問題ねぇよ。ここには俺たち以外に誰もいないし、監視カメラもついていねぇよ」

 

「あ、あぁ......。それなら大丈夫か」

 

「(ほう。不良のくせにそこまで考えているとはな。もしかしたら誰かの入れ知恵かもしれないな)」

 

「さぁ、歯食いしばれよ!!」

 

 山脇の右腕が上がり聖哉の顔面に向かって拳が下ろされていく。聖哉は即座に左の内ポケットからあるものを取り出して山脇の脳天に突きつけた。

 

「ひ、ひっ!? ピストル!? お前、なんでそんなものを持ち歩いてるんだよ!?」

 

 聖哉が内ポケットから取り出した物はピストルだった。突然なことに驚いた山脇は恐怖で慌てて左手で掴んでいた聖哉の服を離し腰が抜けてしまった。

 

「無論、防犯対策だ。出歩いてるときに突然凶悪な犯罪者や殺人犯が襲いかかってくるかも知れない。もしそうなったときの対処法としていつも持ち歩いている」

 

「だからってこんなもの持ち歩く必要なんてないだろ!?!?」

 

「いや、これは必要なものだ。現に貴様らのような不良の対処として役に立っているではないか」

 

 聖哉の話を聞いている暇もなく山脇たちは聖哉が持っているピストルに萎縮していた。そんなこともお構いなしに聖哉はピストルを構え標準を不良たちへの方向に合わせていた。

 

「さて、そこの不良ども。直ちに俺の目から消え失せれば俺もピストルを構えるのを止めよう」

 

「ごめんなさい! ごめんなさい! これは出来心だったんです!」

 

「もうしません! 許してください!」

 

 聖哉のピストルを恐れて山脇たちは命乞いをするかのように土下座をしていた。しかし、山脇があることに気づき土下座の姿勢を止め立ち上がった。

 

「どうした貴様。このピストルが見えないほどお前はは視力が悪いのか?」

 

 聖哉は立ち上がった山脇にピストルを向けるか効果がなかった。

 

「へっ! よく考えればピストルなんていくらなんでもこの敷地内で売っているわけがない。だとすればきっとその銃はエアガンだ! へへ、危うく騙されるところだったぜ……」

 

「......っち」

 

 図星を突かれた聖哉は嫌そうな顔で舌打ちをした。

 

「......は! なるほどそういうことか」

 

「まったくヒヤヒヤさせやがって!」

 

 不良の言葉に安心した取り巻きが立ち上がり、指を唸らせる。

 

「さぁ覚悟しろよ!!」

 

 山脇の言葉を区切りにCクラスの不良たちが一斉に聖哉に飛びかかった。そのとき、聖哉との距離が残り僅かになったところで聖哉の持つピストルから数発山脇たちの両目や口に向かって赤い液体が発射された。

 

「「うわぁぁぁ!!」」

 

 赤い液体を目にかけられた不良たちは地面に倒れ込んで目を抑えながら左右に体を転がしていた。

 

「な、なんだこれ! 目に染みる!!」

 

「か、辛い!! 水、水を!!!」

 

 必死に目を押さえつけていたり、大きく呼吸して口に含まれた辛味を抑えようと必死になったりしている山脇たちを見て聖哉は鼻で笑った。

 

「お前らは馬鹿だから勘違いしていたようだが、これはピストルでもエアガンでもない。これはピストルの形をした水鉄砲だ。そしてこの中には激辛のタバスコが入っている。射殺能力はなくても目眩ましやくらいにはなるだろう」

 

 聖哉は常に誰かに襲われる可能性を考慮して予め制服の中に水鉄砲を隠し持っていたのである。水鉄砲の他にも防犯ブザーや警棒をリュックの中に、服の中には防弾チョッキなど考えられる防犯グッズを日頃から持ち歩いていた。

 

「み、水鉄砲だと!?」

 

「ク、クソッ! そんなおもちゃに......。舐めやがって!!」

 

 辛うじてが山脇立ち上がり、半目ながらも再び聖哉に殴りかかろうとした。しかし、一人の男が殴りかかろうとする山脇を制止させた。

 

「もう止めておけ、山脇。もうそれくらいで十分だ」

 

 突然路地裏に二人の男が現れた。1人はガタイの良いポケットを突っ込んでるロン毛頭の男。もう1人は黒人でサングラスをかけているマッチョだった。

 

「りゅ、龍園(りゅうえん)さん!? でもこいつが!」

 

「止めておけっていっているのが分からないのか?」

 

「......ひっ!? すみません! 龍園さん。......クソッ! 覚えていろよ......」

 

 山脇は龍園と呼ばれた男の睨みにビビり、仲間を連れて颯爽と路地裏から消えていった。

 

「さて。邪魔者もいなくなったことだし、自己紹介といこうじゃないか」

 

 山脇たちが去っていくのを男が見届けた後、聖哉の方に向き直した。

 

「......と、その前にその巫山戯(ふざけ)たタバスコ入り水鉄砲を捨ててもらおうか。それがあるとまともに話ができそうにないからな。それに、俺はともかくサングラスをかけているアルベルトには水鉄砲を使っても意味がないと思うぜ」

 

「......いいだろう」

 

 素直に龍園の提案に従い聖哉は水鉄砲を捨てることにした。聖哉が水鉄砲を捨て両手に持つものがなくなった後、龍園はニヤニヤしながら聖哉に話しかけた。

 

「おっと、お前の胸ポケットにあるそのボールペンとメモ帳......メモ帳の方は分からないがボールペンは小型カメラだな。さっきから薄っすらとレンズがこっちに反射してバレバレだぜ。それも捨ててもらおうか」

 

「......いいだろう」

 

 聖哉はペン型の小型カメラを捨てたくはなかったが捨てないと話が進みそうになかったため、大人しく胸ポケットにあるペン型の小型カメラとメモ帳を道端に捨てた。ちなみにメモ帳の方はなんの変哲もないただのメモ帳である。

 

「最後に胸ポケットにある小型カメラと身に付けているものを全て捨てろ。お前のポケットにある物、それとお前のリュックに入っている物も。勿論、その首にかけている物もだ」

 

「......っち。いいだろう」

 

 聖哉は龍園の言うとおりに胸ポケットやズボンのポケット、リュックに入っていた端末の防犯グッズ、首にかけてあったホイッスルを取って道端に捨てた。ポケットの中には先程の水鉄砲の予備や警棒や防犯ブザーや懐中電灯、録音中の端末など出せる物全てを出した。

 

 聖哉の持ち物のあまりの多さにサングラスのマッチョは引いている様子だった。

 

「Why are you so cautious!?(貴方、何故そんなに慎重なのですか!?)」

 

「ふん。極度の臆病者だな。そんなに誰かに襲われるのが怖いのか?」

 

「ただの護身用だ。決して臆病者ではない」

 

 龍園はその返答につまらなそうな表情をしていた。

 

「ふん。まぁいい......。改めて、俺はCクラスを束ねている王、龍園翔(かける)だ。そして俺の隣にいるのが同じクラスの山田(やまだ)アルベルトだ。よろしくな」

 

「Nice to meet you(よろしくおねがいします)」

 

「(Cクラスの王......だと!?)」

 

 どうやら、聖哉の危機はまだ去っていなかったようだ。

 

 




ついに原作のヒロイン(大嘘)龍園の登場です
本当はもう少し執筆する予定だったのですが力尽きてしまったのでここで断念することになってしまいました。(泣)
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