【仮題】感情トランスポーター 作:Gensigert
ボクはリターニアのある家庭に生まれた。
自分で言うのはなんだか変かもしれないけど、至って普通の男の子だった。至って普通の感性で、至って普通の性格だった。
元からリターニアに居たのは母親だけで、ボクの父親はクルビア出身の旅人だった。根無草だった父は当然の如く周囲から浮いていて、それでもヴイーヴルの膂力が幸いして職に困ることはなかった。
母方の家族とは疎遠になって、母も父と同じように働き始めた。ボクに高等教育を受けさせたくて、援助されるのは難しいと思ったからそうしたのだと思う。
母が働き始めたのは確か、ボクを産んでから一年ほどのことだったと話していたように思う。まだボクがイジメられることもなく、黒いツノが果たしてどちらの種族のものなのか分からなかった頃のことだ。
初等部に入学した頃は、ボクは周囲から浮いている訳じゃなかった。ボク以外にもキャプリニーでない人は割合多かったし、全体で見れば半分ずつくらいだった。
だから、それが変わったのは初等部の五年生になってからだ。
母の妹の子供、つまり従兄妹がボクに対して異邦人だと言って突っかかるようになった。初めはむしろボクの方が心配されていたけど、三ヶ月もしないうちにボクの父親に関しての噂が流れて、それは浸透してしまった。
ボクの移動都市では観光があまり盛んではなく、西端にあるとは言っても実際もっと西を移動する都市はあるから訪問する人は少ない。地元愛溢れる、閉鎖的な考え方に染まった教師が露骨な態度でボクを杜撰に扱い、それに従ってクラスメートたちの様子は悪化した。
ボクが六年生に上がる頃、父はボクと母を連れてクルビアへと引っ越すことを決めた。父の家族は鉱石病に侵されて死んでしまっていたけど、排他的でないクルビアでならボクたち家族は幸せに生活できるはずだから、と。
母は少しだけ悩んで、すぐに同意した。どうして先生と母の間でこんなにも差があったのかは、今のボクにも分からない。
そうして訪れたクルビアの都市で、父と母は紛争に巻き込まれて死んだ。
呆気なかった。乾いた音が幾つか続いて、振り返ったボクの前で母が崩れ落ちた。腹を撃ち抜かれていた父が拳を振り上げて──下手人が少年兵だったことを知りその手から力を抜いて、母と同じように倒れ伏した。
泣きながら遺骸に縋りついたボクを、どうして彼は撃たなかったのだろう。今思い出すとそんな疑問が湧いてくる。ボクを撃たないんだったら、ボクの親も撃たなければ良かったのに。そう思ってしまうのはワガママだろうか。
次に、ボクの歩いていた通りの店が突然爆発した。窓ガラスが割れて、数メートル先からの歩道はキラキラと輝き始めた。
そして燃え広がった。計画性のある襲撃だったようで、ボクの近くで燃えた店以外にも何軒か同じようなことになっていた建物があった。
ぼーっとそれを見ていたボクは、軍の人らしい男の人に助けてもらった。父と母は炎に包まれて、ボクは何もかもを焼失した。
ボクは戦争の被害に遭ったけれど、それよりもボクは何も持っていないクルビアにとっての異物だった。国から公的な支援は受けられず、ボクは拠り所を失った。仕事もなかった。
選択肢はあった。
ボクもあの少年と同じように武器を持てば、クルビアはきっとボクを歓迎した。少ない給料と汚い寝床を用意してくれただろう。
でもボクはそれを選べなかった。
たとえば、ボクが武器を取って立ち上がり、剣先を他の人に向けたとする。
そうすればきっとボクは長く生きられる。他の人を犠牲にして、自分にはもっと長く生きるだけの権利があるのだと主張することができる。
真っ平御免だった。
両親を亡くした日から僅か三日後。ボクは街のスラムになっている部分で生活を始めた。ゴミ箱漁りはリターニアの学校にいた頃慣れた。
汚水に塗れること、他人から蔑まれること、理不尽な暴力を受けること。
慣れていたくはなかったけど、ボクはスラム暮らしをスムーズに受け入れられるくらいには慣れていた。
でも、冬はボクを拒絶した。
寒さが体力を奪い、ゴミ箱から食べ物が消えた。よく見かけていた白髪の男が路地裏で凍死していた。冬は野生の動物にとってひどく厳しいのだと聞いたことがある。
ボクは人ですらないのか、なんて冗談みたいに考えながら、路地裏の少し空いていたスペース、生えていた木の下に男の亡骸を埋めた。
ひどい空腹の中、悴んだ手で男を葬った。
『ねえ、どうして木の下なの?』
手を合わせて冥福を祈っていたボクの耳にそんな声が聞こえた。振り返ると、白い髪色をしたペッローの少女がボクを見つめていた。
木の成長を助けるから、とボクは答えた。彼女は興味があるのかないのかよく分からない返事をした。
彼女はスラムの孤児院に住んでいるのだと語った。ボクも孤児であることを言うと、孤児院に一度訪れることになった。それが本題だったのだろうと今なら思う。
ボクよりほんの少しだけ背が高い、なんて益体もないことを並んで歩きながら思ったことを覚えている。一挙手一投足が、初等部高学年になってから仲の良い同年代の子が居なかったボクには新鮮だった。
腐る暇もなく生きていたボクは、リターニアでは錘にしかならなかった種族の特徴を孤児院のために振るってみたい、なんて思っていた。
孤児院を経営していたヴァルポのお爺さんはボクを歓迎した。ボクや彼女と同じ年齢の子供は居なくて、毛布に包まる子供を守りたいなんて思った。
──その出来事の発端は、孤児院に手を出そうとしていたスラムの男たちをボクが徹底的に倒してしまったことだった。
追い返すだけで良かったのに、リターニアで教わった格闘術でボクは圧倒してしまった。
たった一度の勝利で、スラムの勢力図が変わってしまった。スラムに入ってきて以来一人でやってきたボクはとうとう危険人物としてマークされて、夜はよく客が来た。
調子に乗っていた。彼女達に囃し立てられて、実際ボクはスラムの中で一番強くて、ボクは調子に乗っていた。
ボクがいつもより多くて強い客の意識を全て刈り取って孤児院に帰った時、そこに居るのは下卑た顔をして笑う男たちと、血の池の真ん中で泣いている彼女だけだった。
真っ赤に染まったボクの拳は我武者羅に振るわれて、それでも男たちを殺すには十分過ぎた。
その前よりも随分と赤くなった孤児院に、立っているのはボク一人だけだった。人を殺す感触を覚えた拳を強く握って、ボクは彼女から離れようと思った。
ボクと一緒に居るとまた同じようなことになるかもしれない、そう思ったから。でも、彼女はボクを引き止めた。
それも当然だった。スラム育ちの彼女がいきなり表社会に出られる訳でなければ、スラムで今までのように生きることができる訳でもなかったのだから。
ボクを頼るしか、彼女に道はなかった。
だからボクは全力で彼女を支えなければいけないと思った。ボクには力があって、責任があって、負い目があった。彼女のために、というよりは彼女に許されるためにボクは奔走した。
せめて彼女のこれからの生活が楽しくなるように、いや、彼女がボクを頼ったことを苦渋の選択ではなかったことにしてほしくて、ボクは努力した。今では反吐が出るような思考だけど、その頃はそれこそが正解だと思っていた。
でも彼女は、ボクが思っていたよりもずっとずっと強かった。彼女はボク以外の人には一対一で負けないくらいに力があって、孤児院のことを乗り越えられるくらいに心も強かった。
無理をして食べ物だとかを持ってきたボクに対して、彼女は優しい笑顔をして。
『もっと休もうよ。無理し過ぎだってば』
父も母もボクのことを愛してくれていた。でもボクと遊んだりしてくれることは少なくて、ハグなんて片手の指で足りるくらいにしかしたことはなかった。
涙が止まらなかった。暖かかった。
ボクのことを恨んで当然のはずだったのに、彼女はそれを否定した。一緒に居たいから居るのだと、そしてそれを否定して欲しくはないと、そんなことを伝えられて、またボクは泣いた。
冬の寒さはまだ残っていた。孤児院の中では隙間風がよく入ってきて、彼女はいつも毛布の中に包まっていた。
ボクはヴイーヴルであることを盾にして彼女を説得し、スラムと都市との真ん中くらいの地域で日銭を稼いで温かい食べ物を買った。
一緒に毛布の中で暖まろうと彼女が提案して、それを断られると頬を膨らませて彼女は怒った。一枚しかない毛布で、ボクがそれを使うのはむしろ罪悪感を感じるから、と付け足すと、彼女は無言で毛布から抜け出した。
些細な会話が、どうしようもなく幸せだった。
そしてそれから春を迎えて、彼女の態度があからさまにおかしくなった。右の頬にあった源石結晶は右目を跨いで点々と露出していて、問い詰めるともうその右目が見えないのだと言った。
直ぐ様鉱石病を治療してくれるところを捜そうとして、彼女はボクを止めた。どうせ死ぬなら孤児院のあった場所で、ボクの傍で死にたいのだと言った。
彼女はそれを言いながら泣いていた。ボクに自分の我儘を押し付けていることと、ボクを自分の死で縛り付けることが嫌なのだと言っていた。前者は論外だと切り捨てられたけど、残念ながら後者は唸ることしかできなかった。
それでもどうにかボクは否定の言葉を捻り出した。ひどくツンデレめいた言葉になって、涙でぐしゃぐしゃになっていた彼女の顔が更に歪んだ。笑わせてどうすんの、なんて言ってたかな。
右目の次は、彼女の左足が動かなくなっていた。何故か悪くないと満足気にしていた。ボクが甲斐甲斐しく世話を焼き過ぎてしまったのだと思う。
少し距離を取ると、今度は謝ってきた。鉱石病に感染することをボクが危惧しているのだと思い込んでいた。初めてボクの方からハグをすると、彼女はまた泣いた。
ボクは必死になってお金を掻き集めて、借金もして、市場の黒曜石を買った。黒曜石には鉱石病を癒す力がある、なんて下らない話に縋った。どうにか買えた黒曜石の大きな塊を幾つもの小さいカケラに割って、磨いて、専用の道具も買って穴を開けた。
治癒力を高めるだとか言う胡散臭い紫色の糸を通して、彼女の手首につけた。無理しなくていいんだって、なんて言って彼女は呆れたように、でも嬉しそうに笑っていた。
ボクは彼女のことが好きだった。罪悪感だとか、そんなものを抜きにして、彼女のことを心から愛していた。
でもそれを彼女に告げたら、彼女は自分の死を申し訳なく思ってしまうのだと知っていた。彼女は彼女自身の死がボクに影響を与えないようにとまだ願っていることを、ボクは分かっていた。
だからボクはそれまで以上に素気なく彼女に対応した。また色々失敗してよく笑われるようになったけど、彼女の笑顔が増えてくれてボクも嬉しかった。それを隠しきれなくてまた笑われたりしたけど。
それで、ボクが十二歳になった夏、彼女はその息を引き取った。
その直前に黒曜石のブレスレットが手遅れだと宣言するように彼女の手首から外れて、それを焦点の合っていない目で彼女は掛け直そうとした。
ボクも彼女も泣いた。夏のよく晴れた日のスラム街に、二人の子供の号哭が響いた。
ボクや彼女と仲の良かったスラムの住人はみんな何日か前にお別れを済ませていた。もう本当の本当に終わりなんだって理解させられて、胸が締め付けられた。
そして彼女は動かなくなった。締め付けられていた胸が、今度は中身を失くしたようになった。途方もない喪失感だけがその消えた中身に取って代わっていた。
ボクは彼女を埋葬しなかった。どうせ消えてしまうなら、一秒でも多く彼女を見ていたかったから。綺麗な源石の粉塵はボクも鉱石病にしてしまったけれど、それでも崩壊する彼女を見届けてボクは後悔していない。
後はもう、ない。
クルビアを発って、黒い噂のあるライン生命以外で治療できるところを探していたら、ロドスに拾われた。
ロドスでアーツを学んで、自分の力を理解して、ロドスの役に立とうと思った。それだけ。
彼女との思い出に誰かの足が踏み入れられるのは許せないけど、ロドスへの感謝を忘れたことはないよ。ケルシー先生にも感謝してる。
「これで、ボクの話は終わりだ。ケルシー先生がボクの過去を知らなかったのも無理はないと思う。だってボクに深く関わって死んでいないのは、あのボクのことが嫌いな従兄妹達くらいだから」
自嘲するようにアビスは笑う。
重苦しい雰囲気が執務室に充満していて、アビスの他は誰も声を出さない。
「それで、ボクはどうすればいいのかな、ケルシー先生。過去に執着してるボクは、一体どうすべきなんだろうね」
覚悟を失くしたアビスからは覇気が消えていた。暗く濁り切った瞳からは生気が感じられない。
良いように進ませるためにケルシーはアビスの心中を無理矢理に開いた。そしてその穴からは過去と同時に昔の誓いまでもが流出して、アビスから活力を奪ってしまった。
「きっとお前に次の彼女は見つからないだろう」
ケルシーがいつもの調子で、無表情に言う。だがその声色には少なくない憐憫の感情が含まれていた。
「アビス、お前がここに来てからもう少しで三年になる。ロドスはお前の新しい居場所にはなれないか?私とドクターが可能な限りサポートしよう、だから……」
アビスは口を開いて、すぐに閉じた。
新しい居場所なんて言葉が許せなかった。いつもいつでも、アビスにとっての居場所は彼女の隣だけだった。
それでも口を閉じたのは、もうその居場所が無くなってしまっていることを理性が嘆いたからだった。
もしアビスがケルシーの言葉に真っ向から反論してしまえば、アビスの居場所がないことをアビス自身が認めてしまったことになる。
それは、とても悲しいことだった。
「時間を……ください」
「ああ、分かっている。彼女の代替品としてのロドスを受け入れるために、次の居場所とすることに時間が必要なことくらい──」
「いえ、たとえロドスでも、彼女の代わりは務まらない。どうせどこかで彼女のことを思い出して狂いそうなほど寂しくなる」
きゅ、とアビスが手を固く握った。
「彼女を過去のものにするための、時間をください」
アビスの言葉は不確定に過ぎた。具体的にどの程度時間を与えればそれができるか分からず、そもそもそれが可能なのか不可能なのかすら分からない。
だがそれを天秤にかけてなお、ケルシーは手を差し出した。
「それくらい、いくらでもな」
ロドスは第二の『バベル』である。
ケルシーはドクターとアーミヤを集めてそれを組織し、あのサルカズの真似事をしているに過ぎない。
救われない誰かを自分の手で救い、それを彼女と同一化して自己陶酔に浸っているに過ぎない。根本にある信念をいくら主張しようとも、その自尊心は確かに介在している。
だがそれで何の問題があるんだろうか。
憐れみとナルシシズムから乞食にパンを与えた人をなぜ責められようか。自分こそが一番になるのだとスポーツに打ち込む若者を誰が咎められようか。
ケルシーの手が善意によるものでなかったとして、その手が齎すのは紛れもなく救いである。
思い返せば随分と唐突に変化したものだ、とアビスは思う。あの護衛任務を受けてからおよそ数日の間にどれだけ濃い時間を過ごしたのか。鉱石病のデータから始まり、アーツの詳細、自分の過去。
ただ、自分の未来はまず間違いなく良い方向に向かっている。たとえあと数年しかない未来だったとしても、その数年間はきっと良いものになる。
半ば確信のようなものを抱いて、アビスはケルシーの手を握った。
まだぎこちないながらも、エイプリルは安心したような笑顔になる。自分の過去を吐露した直後のアビスは、陳腐な表現だが、すぐに消えてしまいそうな儚さがあった。
一段落したと見て、サリアが口を開いた。
「アビス。一言いいか」
「はい、何なりと」
「私はお前の過去に踏み入るつもりはない」
エイプリルが吹き出しそうになって、マスクを手で押さえた。場の雰囲気にそぐわない感情の発露を懸命に抑える。
アビスは少し困惑した。
「それは、その、ボクが打ち明ける前に言うべきことなのではないでしょうか?いえ、違ったのですよね」
「そう言われてみればそうかもしれないな」
エイプリルがソファに顔を埋めて震え出した。
ドが付く程に真面目なサリアがジョークを言うとは珍しい。違和感を少し感じながらもアビスは笑顔を浮かべた。
「……なぜ笑う?」
エイプリルのくぐもった笑い声と共に、アビスの喉にも何かが込み上げてくる。六年にも上る期間を空けてその感情を感じるが、それをアビスは無意識的に抑え込んだ。
『彼女』は居ない。
戻って来ない。
しかし、アビスのそんな感情の機微を見抜くだけの目をサリアとケルシーは持っている。
「サリア、どうしてそれを最初に言わなかった?」
「尊重することが大事だと、サイレンスから教わったからな」
「教わってそれなのか」
ケルシーがわざとらしく表情を変え、サリアも同様、わざとらしいドヤ顔を披露した。即興の漫才で、それをアビスは分かっていたが、それでもなお拭いきれないノンフィクションの香りが可笑しくて堪らない。
「ア、アビスっ!あはっ……あははっ、苦しい……」
エイプリルが呼吸困難に陥ってアビスに助けを求めた。震える手でマスクを外したエイプリルはサリアを止めようとそちらを見遣るが、真顔で見つめていた二人の視線がまた可笑しくて、今度は声を失くして笑い始めた。
自分の隣、ソファの上で蹲って震えているエイプリル。真顔で自分を見つめ続ける真面目一辺倒の二人。
「おいっ、大変だ!」
カオスな状況下でラヴァが執務室に飛び込んできた。
「ワルファリンが怪鳥に連れ去られた!助けに来てくれ!」
「どういうことだ……?」
「あははははっ!!あははっ──ごほっ!ごっほ!」
「大丈夫か、エイプリル。応急処置なら任せろ」
「あはははははははっ!あははははっ!!」
「──ふふっ」
つい、笑い声が漏れる。
アビスの口の端が、上がった。
「笑ってる場合じゃないんだぞ!おい!」
「よし、私が行こう。ラヴァの嘆願も尊重すべきだ」
「ワルファリンも尊重してはどうだ?」
「ああ。そのつもりだ」
サリアがキリッとキメ顔を作る。
珍妙なものを見たと、ラヴァが端整な顔を歪ませる。
「あはははははははっ!あははははっ!!!」
「ふふ、ふ……あははははっ!」
微妙な顔を作っているケルシー、ドヤ顔をキメているサリア、未だ状況が理解できずに眉を顰めるラヴァ。
二人の笑いは、三人の尽力によって何度だって引き起こされた。エイプリルは涙目になるほど笑ってアビスを十回以上も叩き、アビスは久しぶりに味わう楽の感情を心の底から歓迎した。
アビスは『彼女』を何度でも思い出す。
強く、鮮明に、何度でも。
恋愛と親愛が綯交ぜになった情愛を覚えるだろう。
そして痛切で鮮烈な悔恨に涙を流すだろう。
ただ、その度に笑えるのなら。
笑い合い、涙の跡が残る顔を笑顔にできるのなら。
きっとそれは悪くないのだと、アビスは知った。
「誰かあああっ!早く妾を助けてくれえぇっ!!」
これにて、第一章完結です!
ありがとうございました!
次章は、後日談とプロローグを兼ねた第一話を除いて、書き上がり次第投稿することになります。恐らく半月から一ヶ月弱くらい空くと思いますが、どうか気長に待っていてください。
エンジョイ炭治郎さん、Kutenさん、ヨピさん、おデブ軍曹さん、ぽんでりんぐさん、一般学生Cさん、評価ありがとうございました!