【仮題】感情トランスポーター   作:Gensigert

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ちょっと長いです。
 


七十八 渡る世間で鬼ごっこ

 

 

 

 

 

 

「おいアビス! 早くこいつを何とかしろ!」

 

「逃げないでよ、クソフィディア」

 

「今度のデートのことなんだけど」

 

 アビスは考える。

 どうしてこんなことになっているのか、と。

 

 エイプリルはまだわかる。

 約束していたことが残ってるからだ。

 ライサの前でそれを言い、更に「デート」と最悪の言葉遣いを恐らく意識的に行なっている部分に関しては悲鳴をあげたいところだが、それは無理というものだ。

 

 次にナイン。

 まあ、分からなくはない。

 ライサに追いかけ回され、唯一頼ることができる相手に縋ったのは正しい判断だろう。

 物理的にも縋り付いていることに関してはやめてくれと強く願ってしまうものだが。

 

 最後にライサ。

 なんなんだ、お前は。

 どうしてナインに殺気を向けているんだ。

 女の子が目を血走らせるものじゃない。

 

 そんな風の感慨がアビスの胸に浮かんでは消えていった。

 

「ねえ、アビス。また新しい女連れてどうするつもり?」

 

「ナインはまだ女の子だよ」

 

「……こいつ、アビスのことでマウント取ってきたけど」

 

「ナイン、何か言ったの?」

 

「何も言ってねえよ! 精々が昨日お前と話したってことぐらいだ」

 

「私は昨日話してないんだっての!」

 

「知らねえよ!!?」

 

「行きたいカフェもあるし、でもこっちの方が店舗数自体は少ないんだよね〜。アビスはどう思う?」

 

「後で付き合うから、今はやめてほしい」

 

「ふふん。やだ」

 

「ねえ、距離近くなってるよね。二人で外にも行ってたしさぁ! いつのまにか、けっ、結婚してたら……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」

 

 見ているだけなら面白い挙動なのだが、当事者であるアビスからすれば爆弾が跳ね回っているように思えて仕方なかった。

 

「ボクは結婚なんてしないよ。こんな中途半端が過ぎる状況じゃ出来るわけない」

 

「それは分かってるけど……」

 

 不満そうに頬を膨らませて睨む。

 ナインはアビスに隠れながら鼻を鳴らした。

 

「リラ姉に敵うもんかよ。馬鹿にしやがって」

 

「レユニオンは殺していいんだよね」

 

「ラユーシャ、止まろうか。ナインも要らないこと言わないで」

 

 抗議の声を上げる両者をアーツで穏便に黙らせつつ、アビスはため息をひとつ。

 本当ならこれからのことについて考えるつもりだったのだが、どうやらそんな余裕はないようだ。

 ケルシーが予定にねじ込んだ健康診断や買い物の付き添い(エイプリルとのデート)、龍門出張用に買い込んだ糧食が尽きれば購買部にも顔を出さなければならない。

 

 憂鬱に脳を支配される。

 エイプリルとのあれこれはまだ息抜きとして扱えるが、他の二つは無理だ。

 ケルシーは何を考えているのか分からないし、クロージャはドクター救出作戦の前に怒らせたことがあるため敷居が高い。

 

 クロージャに効果的なアイテムは何だろうか。

 アビスは知らない。

 全くクロージャに興味を持っていなかったアビスは、炭酸水を好んでいるなどの情報が致命的に欠けている。

 精々が、知ったかで相手のことを語れば冷たく怒るといった情報だが、それはどのような相手にも言えることだ。

 

 結局のところ、対策は浮かばない。

 

「チッ。面白そうな引きこもりに会えるかと思ったのによ、ストーカーだけじゃねえか」

 

「一応は、ストーカーじゃないよ。もう盗聴器もGPSも忍ばせてないし」

 

「よく通報してねえな」

 

「あは、ははは」

 

 アビス以外の全員が忘れがちだが、ライサはテロリズムのトラウマからアビスに依存しているだけなのだ。

 ケルシーが聞けば数秒ほど首を傾げて「そんなことも言ったな」と答えること間違いなし、信憑性は約0%の情報だが、アビスは決してそれを忘れない。

 

 

 そう、ただの依存なのだ。

 

 朝起きたらベッドに潜り込んでいること。

 他のオペレーターと仲良くしていたり、療養庭園に足を向けると途端に不機嫌になること。

 リラに激しく敵愾心を燃やし、比較されることに強い抵抗を示すこと。

 

 それらはただの依存によるものだ。

 

 馬鹿じゃないのか?

 

 アビスは馬鹿だった。

 鈍感ではなく、ただ恋というものを知らないのだ。

 大切な人を想う愛しか知らない彼からしてみれば、不定形な恋などというものは到底理解できるものでない。

 ロドスによる教育を受けていた頃、テストは毎回ズタボロだったが、その中でも特に酷かったのは国語や理科だ。

 

 読解や要約などは、難こそあれど可能だった。

 ただ、推察や考察に関しては致命的なまでにヘタクソ。

 それはもう、同じ文章や実験結果を読んでいるのかわからないほど壊滅的だった。

 

 アビスは頭が悪い。

 共感性が低く、幼稚で、間違いを犯す。

 唯一誇れるものは運だろう。

 

 本来ならどこかで躓いて転げ落ちていたものが、今の今まで命を繋ぎ、幸福ではないが不幸でもない人生を送っている。

 善意のヴェールを被った悪意も、ヴェールを取らなければ善意のままだ。

 

 彼の柱は折れていない。

 まだ、折れていない。

 

 

 注意がアビスに向いた時を狙って、ライサはナインを引き剥がそうと組み付いた。

 

「な、にすんだよこの発情ウサギ……ッ!」

 

「うるさいクソガキ」

 

「はっ倒すぞ」

 

「……ナイン、しがみつくならもっとちゃんとそうして。さっきから指が食い込んでお腹がすごく痛い」

 

 スラムに居たアスランもそうだったが、どうしてこうウィークポイントばかり刺激するのか。

 ぐるぐると吐き気が渦を巻く。

 

「しがみつけったって、ウサギが邪魔すんだよ!」

 

「……ラユーシャ」

 

「絶対ヤダ」

 

 背後から聞こえる声には固い意志が乗っている。

 我慢するしかないのだろう。

 もはや言及はしまい。

 

「ねえ、アビス」

 

「今は口を閉じていて欲しい」

 

「コーヒーおかわり」

 

「……」

 

 アビスは顔を顰めた。

 嫌々空のコップを受け取ると、インスタントのコーヒーを淹れ始めた。

 

 それはかなり長い間この部屋で放置されていたものだ。

 まだコーヒーを飲んでも怒られなかった時期に格好つけて買って、そのまま。

 こうして自室にまで押しかけてくる人も居なかったので、ほぼ未開封の状態だった。

 

 別にコーヒーが嫌いなわけではない。

 ただ、用意する手間やケルシーに怒られる可能性を考えると激しく面倒なのだ。

 白湯程度ならコップは割と使い回せるが、コーヒーは一々洗わなければいけないのも辛い。

 

 後ろに引っ付いてギャーギャー喚く二人が邪魔で仕方ない。

 一応エイプリルは客人なので従ったが、正直もうこの場から逃げ出したかった。

 

 

 アビスにとってのエイプリルはずっと変わらない。

 

 縁があっただけの狙撃オペレーター。

 

 主に一人で任務に赴くアビスであったが、ドクター救出作戦のように誰かと組んだこともそれなりにある。

 顔見知りやそれ未満。

 ペッローや白髪ならば少しの間くらいは覚えているだろうが、ただの凡百なオペレーターには興味などカケラもない。

 

 そんな中で交流が続いたということは縁があったのだろう。

 彼はそう認識している。

 

 実際その見方は間違っていない。

 「縁」の有無を言うならば間違いなく有だった。

 しかし今のような関係になる要因が縁だけなのかと問われれば、それは否である。

 

 彼女は特別な存在となっているが、それは立場に対するラベルではない。

 特別な立ち位置に立っているから特別なのではない。

 特別な何かを感じているから特別なのだ。

 

 

「そういえば、一つ聞きたいんだけど」

 

「……まだ何かあるの?」

 

「ラーヤちゃんはコードネーム決まったのかなって」

 

「……」

 

「付けてって言われたんでしょ?」

 

 アビスは押し黙った。

 いつでもいいと言って本名で仮登録をしてくれているのだが、そろそろ決めなければとずっと思っていたのだ。

 

 案はある。

 どうかしている案が。

 

「トラッカー」

 

「……トラッカーって、あのTracker(追跡者)?」

 

「それしか浮かばなくて。流石にダメだと思うんだけど、これ以上のものが見つからなくってさ」

 

「この上ないくらいハマってるけど、コードネームがそれはね〜。せっかくだしもっとお洒落な名前にしようよ!」

 

 二人は頭を捻った。

 ぐいぐいと力を込めてナインを引き剥がそうとしている当人のことは努めて視界に入れないまま考えた。

 

 やがて、エイプリルが一つ提案する。

 

「デフラグレート、なんてどうかな」

 

「何ですかそれ?」

 

爆燃(Deflagrate)。燃え上がるって表現すら追いつかないくらいに強く恋してるラーヤちゃんには似合うと思わない?」

 

 爆燃。

 燃焼、爆燃、爆発、爆轟と続く中での一つ。

 つまり燃焼の一つ上だ。

 

「それに、アーツもそれ関係だったでしょ?」

 

「小難しくてよく覚えてない」

 

「ラーヤちゃんに今度教えて貰えば?」

 

「進んで勉強なんかするつもりはないよ。ボクにそこまで関係もないし──うぐっ!?」

 

 突然腹の負荷が大きくなり、激痛に思わず声をあげる。

 振り返ればライサがぶすっとした顔でそっぽを向いた。

 

 仕方ない。

 もう仕方がない。

 アビスはナインに組み付くラユーシャの肩を掴んだ。

 

「ナイン、どいて」

 

「言われるまでもねえよ」

 

 ナインはフィディア──蛇のような尻尾を持つ種族──らしくするりとライサの手から抜けていく。

 

「……怒ってる?」

 

「怒ってるかもしれないね」

 

「あの、えっと、ごめんなさい」

 

 謝ってもアビスの目はそのままだ。

 

 ライサは怖くなった。

 今日の行動は度が過ぎていたかもしれない、と少しだけ思う。

 第三者のナインを目に見える形で巻き込んだことやアビスを傷つけたこと、それらは今まで踏み越えてこなかったボーダーラインだからだ。

 いつも大抵のことは許してくれるアビスだが、今日ばかりはどうか。

 そんな不安が胸を埋めた。

 

「言いたいことは分かる?」

 

 言いたいこと。

 焦っているせいで頭の周りは悪かったかもしれないが、大筋は捉えているはずだ。

 であれば、言うべき言葉は一つ。

 

「うん、分かってる。もうやらない」

 

「そっか」

 

 アビスは小さく頷いた。

 そしてそのままライサを抱き寄せる。

 

 ライサを、抱き寄せた。

 

「んんッ!?!!?」

 

「ボクもごめん。不安になったからあんなことしたんだよね。不安にさせなければいいだけのことだったんだよね」

 

 顔どころか体中が熱くなって、縮こまる。

 目を開けているとすぐ上にアビスの顔があって、鼻からはクチナシに似たアビスの匂いが香ってきて、口は意味のある音を出せなくなっていた。

 

 一方アビスは内心で首を傾げていた。

 依存感情があったので、ナインに取られるかもしれないと考えたのだろうとアビスは推測していた。

 故にいつも求めてくるスキンシップを多少行って、落ち着くための言葉をかけたはずだ。

 どうして震えるだけで何も言わず、何の反応も寄越さないのだろうか。

 瞬きすらしないライサは正直に言って怖かった。

 

「大丈夫だよ、ラユーシャ。ボクは君を忘れないから。それに、大切な人だって言ったよね。ボクのことを信じてくれないのかな?」

 

「そ、そんなことないッ!!!」

 

 思っていたより力強い言葉が返ってきた。

 

「ラユーシャ。ボクも君のことを信じるよ。もうしないんだよね?」

 

「絶対しない、絶対に。好きです」

 

「うん」

 

 なにか変なものがついてきたが、どうやら納得してくれたようだった。

 よかったよかった。

 

 アビスはそろそろ意識が飛びそうなライサをべりべりと剥がし、一つ息を吐いた。

 

 

 

 

 そんな彼ら二人を見ているコータスとフィディア。

 ナインは無感動に、エイプリルは呆れた様子でコーヒーを一飲みした。

 

「アビスって元からあんな感じなの?」

 

「まあな。オレは嫌いじゃない」

 

「……あたしだって別に嫌いって言いたくていったわけじゃないけど」

 

 エイプリルの物言いに眉を顰める。

 

「なんで怒ってんだ?」

 

「へっ? 怒ってなんかないよ?」

 

「あー……そうかよ。悪かったな」

 

 そう言えばそんな風だった。

 ナインは一人納得して辟易とする。

 

 

 この四人の状況を最もよく理解しているのは恐らくナインだろう。

 ライサのように充実した教育を受けたわけでもないが、持ち前の優れた共感性と客観性、そして小隊を率いていた中で密かに培われた恋愛脳(あの子のこと好きなんじゃね?)が作用し限りなく正解に近い答えを叩き出していた。

 

 ナインと遜色ない観察力をライサは持っていたはずなのだが、一体どこで差がついたのか。

 古諺では「恋は盲目」とも言うが、その言葉を作った劇作家もまさかここまで体現されるとは思ってもみなかっただろう。

 

 

「ナインと仲良くね」

 

「どうしても?」

 

「どうしても。ナイン、こっち来て」

 

 おいでと手をこまねかれても、その奥には微動だにせず闇のような瞳をこちらに向けてくる首狩兎(ヴォーパルバニー)が居る。

 害意や敵意は鳴りを潜めたが、その結果何も残らなかったらしい。

 虚無がこちらを見つめている。

 

 たとえ歴戦のテロリストと言えども嫌なものは嫌だった。

 

「……オレの意思も汲んでくれ」

 

「案外悪くないかもしれないよ? ラユーシャにはもう他の友人だって居るしさ」

 

「まずオレはお前の家族だ。それがストーキングされてんだ、少しは思うところだってある。次に、そこの(コータス)がオレに向ける興味は道端の蟻と同レベルだ。どうやって仲良くなんか──」

 

「いいからいいから。いつのまにそんな理屈っぽくなったんだよ、ナイン。昔は毛布よりもボクやリラの体温ばっかり欲しがってたくせに」

 

「それはお前の尻尾がちょうどいい暖になってたからって以上の理由はねえよ! 第一、昔と今は違う!」

 

 反論するナイン。

 ライサの目からどんどん生物の暖かみが消えている事実に気付いていれば、その発言がもう少し迂遠なものになっていただろう。

 

「……昔と今は違う、ね。ナインは割り切れてるの?」

 

「答えんのも馬鹿らしいな」

 

「そっか。やっぱり変わってないじゃないか」

 

 小さく安堵を見せながらナインの頭を撫でる。

 口を尖らせながらも抵抗しないあたり、随分と気を許してもらえたものだとアビスは思う。

 

 そして、背後から感じるとにかく大きな感情をどう処理しようか、と思案する。

 残念ながら効果的な方法は見当たらなかった。

 

「カゾクってなんだっけ。昔の思い出でからかったり、頭を撫でたり、望み通りの返答に嬉しくなるものだったっけ。それさぁ、家族は家族でも、夫婦じゃないの?」

 

 大切な人、と呼ばれたライサ。

 色々あったが少しは充足感に包まれていた中で、突然生えてきたのはずっと前から親愛の情を受けているフィディア。

 

 まだ刺していないことがライサの成長を如実に表しているだろう。尤も、この様子では時間の問題だろうが。

 

「ナイン」

 

「オレにどうしろってんだよ」

 

 まだ何も言っていないのに断られた。

 それも仕方のないことだ、ラスボス並みのプレッシャーを纏うライサを前にすれば。

 

「エイプリル」

 

「散々放っておいてピンチの時だけ頼りにするって、ズルじゃない?」

 

「お願いだから」

 

「……じゃあ、あたしのお願いもあとで聞いてくれるってことでいい? アビスの厄介なお願いを聞くんだから、大抵のことは許してくれるよね?」

 

 アビスは否応無しに頷いた。

 エイプリルは満足そうな顔で椅子から立ち上がる。

 

「ねえ、ラーヤちゃん。ちょっとだけ耳貸して?」

 

「……」

 

「そんなに睨まないでよ。ね、ちょっとだけだから」

 

 何か秘策でもあるのだろうか?

 そう思って見ていると、渋々といった様子でライサが耳を傾けて──何かを囁かれた直後、顔を真っ赤にしてぐりんとエイプリルの方に顔を向けた。

 続いて、わなわなと震え始め……部屋の外へ駆け出して行った。

 

「おいエイプリル、何言ったんだよ、今の……」

 

「あたしがアビスに取り付けたお願いをラーヤちゃんの希望に沿って言ってあげるから、この場は逃げて、って言ったの。……それでさ、アビス」

 

「なんとかしてくれてありがとう。それで、なに?」

 

「お願いを利用してどうにかしたけど、まさかその一回がカウントされるなんてことはないよね? あたしはあたしで、お願い聞いてくれるよね?」

 

 アビスは少し咀嚼した後、意図を解した。

 

「……ああ、うん。あくまでお願いを融通したのは方便ってことね。畢竟ボクはラユーシャとエイプリル、二人のお願いを聞けばいい……あってる?」

 

「あってる! それじゃ、あたしからのお願いは今日の夜にでも聞いてもらおうかな」

 

 随分と早い。

 普通こういったお願い事は貸しとして温めておくものではないのだろうか?

 ナインはそうやって威厳ある上司──実際どう思われていたかは置いておくとして──の振る舞いを作り上げたのだが。

 

 いつかヤンを含め亡灵(アンデッド)小隊の隊員らにその貸しを取り立てに行くとしよう。

 ついでに近況でも聞いて、苦しいようだったらロドスに受け入れてもらえるよう打診するか。

 それがいい。

 

 アビスについていった結果行き当たった面倒ごとから逃避するように、ナインは部下のことを考える。

 

 

 逃げてばかりだ。

 

 

 愛する人を失った現実から。

 暴力と混沌が生み出した恐怖から。

 裏を隠していた会社から。

 

 そして──未だこの身に燻る憎悪から。

 

 

 

 

 

 感染者の未来は暗い。

 

 

 自身の輪郭さえ朧にしてしまう闇の中、重圧だけがその身に感じられる灯火なのだろうか。

 

 

 それとも、やはり。

 

 

 アビスの選択は間違っていない、ということなのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 どこかの研究室でフェリーンの女が一人、深く重いため息をついていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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