そして私は夢を見る   作:ぱちぱち

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遅れて申し訳ありません。難産&リアルが忙しく執筆ががががが

誤字修正、Ruin様ありがとうございました


こちら葛飾区亀有公園前派出所

 机の上に置かれたライトだけが周囲を照らす暗い部屋の中。

 

 パイプ椅子に座り俯いた私の向かいに、ギシリ、と音を立てて警官が座った。

 

「自分が何をしたか分かってるのか」

 

 抑揚のない声でそう問いかける警官に無言で答えを返すと、ドン、と音を立てて警官の拳が机に振り下ろされた。

 

「自分が何をしたか分かってるのか!!?」

 

 鼓膜を揺さぶる声。それでも反応を返さない私に、警官はため息を一つつき立ち上がる。

 

 そのまま部屋を出ていき、数分後。彼は手に丼のようなものを持って再度部屋の中へ入ってきた。鼻孔をくすぐる香ばしい香りに、そういえば朝から何も食べていないことを思い出す。

 

「カツ丼、食えよ」

 

 ぐぅ、と音を立てる私のお腹の音。恥ずかしさにより一層うつむく私に、眉毛が繋がった警官は一つため息をつく。

 

「ほら。ガキが遠慮なんかすんな。カツ丼、食えよ」

 

 ドン、と机の上に置かれたカツ丼に視線を向ける。作りおきの物を温め直したのか少し萎びて見えるが、湯気の立つそれは非常に食欲をそそる。

 

 無造作に置かれた割り箸の封を切りながら、私は自分がなぜこんな状況になってしまったのかに思いを馳せた。

 

 

 

 

「ゴールドシップに練習をさせたい、ですか」

 

 ギシッ、ギシッと背にした床材を軋ませながら、ベンチを持ち上げる。500kgを優に超える重量を、しかし息一つ乱さずに持ち上げ、下ろし、再度持ち上げる。

 

「確かに私は、彼女の母上から彼女の面倒を見てくれ、出来れば学校から逃げ出さないよう監視をと頼まれています」

 

 まるで出来ている気はしないが、と付け足してため息を一つ。あの幼馴染はふらっと消えたかと思うと次の日には米国でインディアンと握手してくるようなタマだ。まぁ3日と空けずに戻っては来るから今の所大きな問題にはなっていないが――授業サボるくらいでは問題とも思わなくなったのは不味いかもしれんな

 

 ある程度の回数で区切りをつけ、ラックにシャフトを載せて起き上がる。次の機材に向かう前にシャフトからプレートを取り外し、プレート入れに戻す。1枚50kgのプレートを10枚。本当はもっと重さを足したいのだが、此処においてあるシャフトではこれ以上の重量に耐えられそうにない。

 

 場所柄仕方がないとはいえ、ここのトレーニングルームの機材は上質だが、上半身を鍛える機材が少ない。足回りの機材は充実しているのだが……

 

「しかし、それとこれとは話が別。彼女は貴方のチームに所属するウマ娘で、私は別。しかも今、私はメジロマックイーンをプロレス同好会に勧誘することに忙しく――」

「君の所属はばんえい競争ではなく中央トレセン学園だよな?」

「だからここに居るのですが」

 

 信じられない物を見た、という表情の彼に首を傾げてそう答えを返す。ばんえい競争といえば、確か北海道で行われてるウマ娘がソリをひいて走るレースだった筈。ソリなどという物は今生でも前世でもひいた覚えはないのだが。

 

「あ、いやすまん。不躾な質問をしてしまって。ただ、ちょっと見たことがないくらいに鍛え上げられた上半身だと思ってな……なぜ中央トレセンに……?

「諸事情あってとしか言えませんね」

 

 腹筋用のベンチに腰掛け、負荷用の重り入ベストを身につける。自重だけでは負荷が軽すぎるのだ。そのまま体をベンチに寝かせ、足パッドで両足を固定する。ぐっと体に力を込めて上体を起こすと、脇でその姿を見ていた幼馴染のトレーナーがほう、とため息を吐く。

 

「良いフォームだ」

「当然です」

 

 うんうんと頷きながらそう呟く幼馴染のトレーナーの姿に、当然だと笑顔を浮かべて返す。筋トレは正しいフォームでなければ効果が薄い。プロレスを体に叩き込まれた折、諸先輩方に口酸っぱく言われて身に染み付いたフォームは、たとえ夢から覚めた後だろうと私の血肉となっている。

 

 しかし。一定のリズムで上体を起こしていると、やはり負荷の軽さが気になってくる。重りだけでは限度があるのだ。超強力なゴムかなにかで体と床を結び、その反動を利用して負荷をかけたいのだが、それを行うにはトレーニングルームにも改造を行わなければならない。

 

 そしてここは中央トレセン学園。走ることを主眼においたこの学校で、完全に無関係とは言えないまでも上半身をメインに鍛える器具の改造が受け入れられるかどうか。

 

「んっ」

 

 ベンチに体を寝かしながら悩ましい問題に頭を悩ませていると、太ももの辺りに撫でられるような軽い刺激走る。くすぐったいようなその感覚に思わず声をあげ、ついで頭を上げてそちらに視線を向けると。

 

「……凄い。見た目では分からなかったが、なんて高密度な筋肉だ」

 

 ランランと目を輝かせながら、私の太ももをまさぐる幼馴染のトレーナーの姿があった。ぱちくりと瞬きをし、少しの思考停止。その間にも遠慮なく彼は私の太ももから足に掛けてを嬉々として触り続ける。

 

 よし、殺ろう

 

 ようやく追いついてきた思考でそう結論づけた私は、目の前が暗くなるほどの激情にかられながら頭の後ろで組んでいた腕をほどき。上体起こしの要領で加速をつけて。唐突に起こった目眩に目を瞬かせながらも右拳を振り抜いて。

 

 目の前の一変した光景と、私の拳を受けたつながり眉警官の姿に「あ」と小さく言葉を吐くも時既に遅し。

 

 天井を突き破りブラブラと足をゆらす警官の姿にしばし呆然とした後。

 

「そうか、私は今夢を見ている」

 

 そう結論づけ。我に返り、慌てて彼の救助のために動き始めた。

 

 

 

 

「そして、現在カツ丼を食べています。本当に申し訳ありませんでした」

「…………………」

 

 もぐもぐと口を動かしながら喋る私に、私の右拳をモロに喰らった警官が引きつった顔を浮かべる。とばっちりでぶん殴られたのだからそういう表情になるのもやむを得ないだろう。仮に私が逆の立場だったら遠慮なくぶっ飛ばしてる。

 

「つまるってーとあれか。お前は異世界の日本から? やってきたウマ娘とかいう種族でその耳も本物」

「はい。異世界と言うか、私は夢を見ていると認識していますが」

「種族全体が競争に命を捧げるみたいな連中ばっかの中、お前はプロレスの道をひた走る異端児で」

「異端児かは兎も角重ね重ねそのとおりで」

「で、トレーニング中に痴漢にあったからそいつをぶっ飛ばそうとして、気づいたらワシの頭を張り飛ばしていたと」

「おっしゃるとおりです」

「属性多すぎんか?」

「それを私に言われても困るのですが」

 

 至極真面目な表情を浮かべたままそう口にする警官に、私も真面目な表情のままそう答える。別に狙ってるわけでもないのだ。そんな事を言われてもその、困る。

 

 というか、私が普通の人間ではないという事に関しては疑問を持たないのだろうか。この夢の中の日本がどういった場所なのかは分からないが、少なくとも過去に見た夢の世界ではどこもウマ娘という存在は見受けられなかったし、私の前世の世界でも人類といえば人間の事をさしていた。高校生のドラム缶は居たが

 

 それを鑑みるに、今生の世界以外では最初の段階で頭がおかしい判定を受けてもおかしくはないと思うのだが、私の話を聞いた彼にはこちらをキ印で見るような様子は見えない。

 

 いや、むしろ。なんというか、慣れてるといった印象を請けるのは気のせいだろうか。

 

「まぁモノホンの宇宙人やら幽霊やらは見たことがあるからな。お前さんは人の形してるだけマシだろ」

「モノホンの宇宙人や幽霊を見かけたことがないんですが」

 

 至極真面目な表情のままズズッと茶をすする警官の言葉に、戦慄を隠せずに私はそう答えた。

 

「まぁ事情は分かった。とっさの反応にしては殺意が籠もってたように思えるがそこはよしとしよう」

「許していただけるのでしょうか」

「中坊のやった事だしな」

 

 ギシリと椅子の背もたれを軋ませて伸びをする警官の言葉に、私は安堵のため息を吐きながら頭を下げる。私は未だ未成年であるが警官に手を上げたのだ。公務執行妨害で捕まっても文句は言えない。

 

 それに、この夢の中の日本に私の戸籍があるとは思えない。不法入国者扱いで拘束される可能性もあるだろう。いや、こちらは今も継続してリスクがあるか。

 

 問題が起きる前に夢から覚めるのが一番なんだが、今回は早速やらかしてしまっている。身の振り方を少し考えたほうが良い、か。

 

「おい、お嬢ちゃん」

 

 そんな私の内心を見透かしたのか。繋がり眉毛の警官は良いことを思いついた、とニヤリと笑うと、机の上に膝を置いてズイッと私に顔を近づける。

 

「事情が事情だ。これから行く宛もないんだろう」

「……ええ、まぁ」

「お前さん、見た目は兎も角年齢が年齢だ。それにおそらくは戸籍もない。ワシは見逃してもいいがどこぞで補導でもされれば一発で大問題になるだろうな」

 

 つとつとと、彼は私に語りかけるように起こり得るリスクを口にする。刑法は前世の時代に培われたデータベースに入力されていた為、彼の語る結末は少し大げさな表現もあるが決して間違いでもない。

 

 黙り込み、うつむく私に更にズイっと近づいて、警官がヒソヒソと語りかけてくる。

 

「そこでだ。ワシはとあるプロレス団体と懇意にしていてな。そこにお前を紹介する事も出来る。勿論、色々と問題も在る難しい道だが……お前さんの努力次第では、なんとか出来るかもしれん

「……本当、ですか」

「うむ。そのためにもまずはお前さんのマネジメントを全てワ――」

 

 一筋の光明。警官の言葉に反応して顔を上げた私に、彼は笑みを深めて言葉を続けようとし。

 

 その言葉を、バンッ、と開け放たれたドアから飛んできた木の棒が強制的に止めた。

 

「うごぉぉぉぉっ・・・・・」

 

 ズゴンッ、とすごい音を立てて頭を撃ち抜かれた彼が、側頭部を抑えてうめき声をあげる。これは痛い、と場違いな感想を私が抱いていると、ドアの外からズカズカと、大柄な女性警官が取調室へと入ってくる。

 

「カーンーキーチー……」

「アダダダダッ……テメッ、何しやがる纏ッ!!」

「何もこうもねぇよ! アンタついに未成年まで手を!!」

「んなわけないだろうがっ! ワシはただ迷える子羊に救いの手をだな」

「救いの手だぁ? 大方その子を騙くらかして金儲けでも企んでたんだろ」

「ギクッ」

 

 立て板に水を流すように捲し立てる婦人警官と、こちらも負けじと捲し立てる繋がり眉毛の警官。旗色が良いのは婦人警官の方か。

 

 二人の諍いを聞きつけて周囲が俄に騒がしさを増してくる。状況的に目立ちたくはないのだが、どうやらそれも難しそうだ。

 

 ため息を付きたくなる気持ちを抑えて、顔を突きつけて口喧嘩する二人に視線を向ける。随分と息のあった罵り合いだ。

 

 私の両親然り、幼馴染の両親然り。私の知る夫婦は決して人前で声を荒げて言い合いをするような人たちではなかったから、この光景は新鮮だ。これが俗に言う夫婦喧嘩は犬も食わない、という心境だろうか。

 

 成程、確かに犬もこれには近寄りたくないだろう……うん?

 

「金儲け? 私にはお金を稼ぐ手立てなどはありませんが」

「あん?」

 

 疑問に思ったことを口にすると、言い合いをしていた男の方、カンキチと呼ばれた警官が訝しげな表情を浮かべてこちらを振り向いた。

 

「さっきお前さん、自分で言っていたろうが。プロレスも出来る、歌も踊りも踊れる。その上走るのも早くて力も強い! お前の言葉が正しいって前提になるが、これだけ揃ってりゃいくらでも潰しが効くぞ」

「はぁ」

「そうだな、一昔前に流行ったビューティーペアみたいにアイドルレスラー路線でも良いし……いや! 即金になるのは配達業だな。車やバイクじゃ入れない場所への配達ならいくらでも需要がある」

「……はぁ」

「後は無難に建築作業現場……いやいや。やはり一発がデカイアイドル路線も捨てがたい」

 

 軽く話題を向けると、カンキチは言い合っていた事も忘れてニヤニヤと皮算用を初めた。その様子に言い合いをしていた婦人警官が呆れたように顔をゆがめるが、カンキチはそれにも気づかず指折り金儲けのプランを口にしてはグフグフと笑い声を上げている。

 

 凄い、この人徹頭徹尾自分の事しか考えてない

 

 いっそ清々しいほどの低俗さ。そして、それを上回るほどに感じられる凄まじいバイタリティ。

 

 その姿には一欠片も共通項がないというのに――何故だか、もっとも尊敬するあの人を思い起こさせる何かを感じて、私は笑う彼に再度声をかけた。

 

「あの。カンキチさん」

「武道館ライブまで行けばその次は世界進出だな。まずはアメリカ、いいやここは日本文化の進出が進んでいる東南アジアからゆっくり地盤を――んん、なんだ娘っ子。ワシは今おまえさんのマネジメント計画で忙しいんだが」

貴方にマネジメントを頼んだ覚えは欠片もないのですがまぁそれは兎も角として」

 

 そこで一度言葉を切り、私は少しだけ言葉を口の中で転がして吟味した後に口を開いた。

 

「先程から、その。お話を聞いている限りだとかなり様々な計画を練られているようなので……私としてはプロレスも歌も踊りも好きなのでそこに否やはないのですが、少し欲張りすぎているように感じます」

「欲張り? 何がだ」

「余りにも複数の事に手を出しすぎている、という事です。プロレス・ライブ大いに結構。しかしそこからの世界進出というのは難易度が。私の尊敬する、心の底から尊敬するあるプロレス……ごほん。英雄の如きプロレスラーですら海外進出には非常に慎重になっていました。まずは一歩一歩地盤を固めて――」

 

 そこまで口にした時、私は彼が私を見る目に呆れが混ざり始めている事に気づいた。

 

 思わず口にしていた言葉を止めた私に、彼は深い。本当に深く大きなため息を付き、口を開く。

 

「慎重、安全。大いに結構なことだ。石橋を叩くように渡るのも、まぁ間違ってはいないだろうな」

 

 まるで物わかりの悪い子供に教えを諭すように、彼はゆっくりと確認するように言葉を続ける。

 

「だがな、それは夢を持たない、もしくは大した目標のないような奴の"正解"だ」

「……夢」

「正確に言うなら"欲"だな。ああしたい、これが欲しい、こうなりたい。どんな御大層な奴でも心の中に持ってるもんだ」

 

 トン、と胸に親指を当てて、カンキチはそう口にする。

 

 夢、欲。口の中で、今まで意識したことのなかった2つの言葉を転がしながら、私はふとそれらについて思いを馳せる。

 

 私には夢がある。私には欲がある。生き物として当然持つそれらを、前世が機械だったとはいえ、今生の私はしっかりと持っている。

 

 私には夢がある。そう――私には、夢がある。

 

 起きて見る夢を、私はずっと見ている。あの時、今生で初めて母に縋り付いて泣いたあの日からずっと燻り続けている夢を私は見ている。

 

 プロレスを。あの人(社長)の教えを、世界に広める。他の娘達のようにレースに熱を持てず、家族と幼馴染以外に感情を向けることが出来なかった私が初めて胸に灯した情熱()を誰かに伝えたい。

 

 今生をかけても悔いはない、そんな夢だ。

 

「大層な欲だ。世界中を相手にしようってんだからな」

「ええ、そうですね。ですが」

「だからこそ」

 

 夢を否定されると感じて彼の言葉を遮ろうとした私に、カンキチはふるふると首を横に振って。

 

「そんだけデカイことをしようってお前さんが! 地道に前に進むなんてやってる時間はねぇだろう!」

 

 私の夢を否定するでもなく。肯定するわけでもない。ただただ当然なことを口にするかのように、彼はその言葉を言い放った。

 

「欲張り? 無謀? 大いに結構! お前さんの目標はその無理無茶無謀を通した先にしか無い!」

 

 ドン、と机をたたき、彼は口から泡を飛ばすような激しい口調。

 

 熱弁する彼の言葉には、理がない。ただそうあれかしという精神論とでも言うべき論法。勢いだけで確たる算段もつけていない、子供でも無理があると分かる言葉の数々。

 

「たった一度の人生で! やりたい事をやり遂げるには無茶を通すしかない! ましてや目標が廃れかけた文化の復興!? 並大抵の事で達成できるわきゃないだろう! 出来ることだろうが出来ないことだろうが全部手に入れるくらいにやるっきゃないんだよ!!」

 

 だというのに、何故。

 

「お前はもっと、欲を張れ(夢を見ろ)!!」

 

 私はこれほどまでに彼の言葉に引き込まれているのだろう。

 

「――嗚呼」

 

 そうだ。何を躊躇していたのか。私に残された時間は、今生はたったの100年ほどしかないのだ。

 

 一分一秒すら無駄に出来ない。そんな簡単なことを何故今まで思いつかなかったのか。

 

「という訳でだな。お前さんの時間を有効活用するためにもお前さんのマネジメントは万全ワシが」

 

 クラリとめまいがするような感覚。そうか、今回はここまでということか。

 

 名残惜しさを感じながら、口を開く。社長(トレーナー)ほどではないが、彼には大切なことを教えてもらった。気がする。せめて、礼くらいは口にするべきだろう。

 

「ありが――」

「うん? あ、おいお前、体が薄れ」

 

 彼と私の言葉が交わされ、そして視界が暗くなる。ぱちくりと瞬きをしていると、右手に強い衝撃が走る。殺った。

 

 きれいに顎を捉えたその拳を振り抜き、メキョッという音と共に天井にめり込んだ沖野とかいうトレーナーの姿に、戻ってきた事を確信して私はベンチから立ち上がる。

 

「ゴールドシップからの情報だと……確かメジロマックイーンはスイーツ好きだったか」

 

 プロレスを広める。その為には優秀な選手が数多く必要だ。時間は有限だという事に改めて気付かされた以上、彼女の勧誘にも手段を選んではいられない。スイーツでメジロマックイーンの好感度を稼ぎ(欲望を刺激)すれば、彼女も首を縦に振ってくれるだろう。一度ためしに、という体で練習に参加してもらうのも手か。

 

 頭の中で皮算用を弾きながら、私は幼馴染が居るだろう場所を虱潰しに探す。私ではどういう店に誘えば良いのか分からないからな。こういう時には詳しい人物に尋ねるのが最も効率のいいやり方だろう。勝ったな、メジロマックイーンのリングネームでも考えておくか。がはは。

 

 

 

 

 

「ゴールドシップ、貴様ァ!!!」

「いや、ちょっ! あたし悪くねぇだろ!!?」

 

 ガシャン、ガシャンと激しい音を立てて走る鎧武者。そしてそれに追われるゴールドシップがトレセン学園を駆け回る。

 

「……ルドルフ、あれなに?」

「……いや、それがだな」

 

 騒ぎを聞きつけたウマ娘の言葉に、ルドルフと呼ばれたウマ娘が言いづらそうにしながら口を開く。

 

「減量中のメジロマックイーンに、スイーツバイキングのチケットをプレゼントしてしまったらしい」

「……あの鎧武者は?」

「………………シービー、私にも分からないことくらい、ある」

 

 なお後日提出された反省文には鎧が急に現れたと書かれておりアルはトイレ掃除一週間の罰則を追加される事になるがこれはまた別の話。




アルちゃん
主人公。欲張る事を覚えた。現在の目標は世界一周プロレスの旅と全世界同時プロレス革命。ゴールドシップに突っ込む時派手になる領域を覚えた。

現在のステータス
ATK(攻撃力)
????
DEF(防御力)
????
PHY(フィジカル)
????
GUTS(ガッツ)
400
TEC(テクニック)
700
SPD(スピード)
????


浴びせ蹴り
延髄切り
ナックルアロー
コブラツイスト
卍固め
ウルトラタイガードロップ
キン肉バスター
エアカットターミネーター
ジャーマン・スープレックス・ホールド
スリーパー・ホールド

スキル
パワーファイター
<極め>フィニッシュムーブ
パワー殺法
地獄のフィニッシュ


ゴールドシップ
幼馴染。今回全然悪くない。

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