10ハロンの暴風   作:永谷河

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前走の他陣営の妨害に関しては、2014年の凱旋門賞のゴールドシップを見ていると、これくらいのことはしてくるだろうなと思ったので書きました。もし不快な思いをされた方がいましたら申し訳ありません。

最後の叩き合いは1993年天皇賞秋と2014年安田記念を参考にしました。


女王陛下のテンペストクェーク号

「行くぞ、テンペスト!」

 

 

俺に鞭が入った。

俺は後ろ脚に力を入れ、芝を蹴り上げる。

筋肉が盛り上がるのを感じる。

地面がえぐれるのを感じる。

どんどん加速していくのがわかる。ただ、両隣の馬も一気に加速していくのがわかる。

 

それにしても、俺の顔、というか首あたりに鞭を当ててきた奴がいる。

 

この程度の妨害でこの俺が怯むとでも?そう思っているなら甚だ遺憾だね。

ただ、普通にムカつくし、騎手君も怒っているみたいなので、絶対に勝ってやる。

その後に馬鹿にしてやろうと思う。

 

 

前を行く馬が少しずつ後退していく。俺はその馬の隣を一気に躱して先頭に立った。

 

俺をずっとマークしていた両隣の2頭の馬、そして外と内側から猛追してくる馬が見える。

顔つき、息遣い。

間違いない。こいつらが今日のレースの主役だ。

 

俺はいつも、騎手君が鞭を入れてからおおよそ20秒程度でゴールしている。

あと10秒。そう思ったら、一度引き離したはずの2頭が俺の隣に追い付いてきた。

いろいろとむかつくが実力は間違いなく本物だ。

 

やはり今日は脚のキレが悪い。

いや、今までが良すぎたのかもしれん。

クソ、絶対に負けられねえ。

 

 

「テンペスト、頑張ってくれ」

 

 

両隣の馬と身体がぶつかり合う。

お互いの騎手同士の身体すらもぶつかり合うのが見えた。

騎手君、すまんが耐えてくれ。

隣の仮面のようなものを付けた馬の鼻が俺よりも前に行くのが見えた。

俺はすかさず首を下げてその馬の前に行く。

騎手君のタイミングに合わせろ。

絶対に負けない。負けてたまるか。

俺はここで勝つために生まれてきたんだ。

こんなところで足踏みしていられるか。

 

 

【最強は、この俺だ!】

 

 

隣の馬、そして騎手からも絶対に勝つという意志を強く感じた。

そして何より騎手君からもその意志を感じた。

 

 

騎手君から減速の指示が出るまでの数秒間、俺は騎手君の動きとシンクロしていた。

俺より前に馬はいなかったはずだ。

ただ、絶対に勝てたという自信はなかった。

 

 

「テンペスト、大丈夫かい?」

 

 

騎手君が俺の顔の方をすりすりと撫でてくれる。

あの程度のことで俺がやられるとでも?

 

 

【大丈夫さ】

 

 

スピードを緩めてクールダウンをしていると、俺たちと接戦を繰り広げた馬が近くに寄ってきた。

 

 

【俺が勝った】

【え?俺じゃないの?】

【内側の私ね】

【いいや俺だ】

 

【5頭もいるのか……】

 

 

俺とデッドヒートを繰り広げていた2頭の馬だけでなく、外側と内側から一気に追いつき、俺たちと同じタイミングでゴールした馬がいるようだ。

 

 

【さて、誰が1着かな】

 

 

俺たち馬には結果はわからなかった。

人間たちの判断を待とう。

 

 

【あなた強いね】

 

 

レース前に俺の方を見ていた馬が俺に近づいてくる。

 

 

【まあね。君も強かったよ】

 

 

【ありがとう。強いの好き】

 

 

ふむ。

どうやら俺のことを気に入ってくれたらしい。

今までムキムキの野郎ばかりすり寄ってくるから、なかなか新鮮な気分だ。

 

 

【また走ろうね】

 

 

【おうよ】

 

 

性別は違うが油断できない実力を持っている馬だったな。

次走るときは警戒せねば。

 

 

さて、誰が勝ったかな?

俺が勝ったときは、鞭を当ててきた奴を煽ってやろう。

自分たちは弱いですと言っているようなものだからな。

 

ばーかばーか!

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

『……残り2ハロンを切って馬群は横に広がった。14頭が横に広がった。先頭のノットナウケイト、ハリケーンラン、サーパーシーは厳しいか』

 

 

2ハロンの線を越え、ひと塊だった馬群は横に広がり、すべての馬が最後のスパートに入っていた。

 

 

『テンペストクェークに鞭が入った。一気に加速する。ノットナウケイトを躱して先頭に立つ。しかし後ろでマークしていたレイルリンクにエレクトロキューショニストが猛追する。しかしまだ横一列。5馬身も差がないぞ』

 

『残り1ハロン半。テンペストクェーク先頭。レイルリンクとエレクトロキューショニストが迫っている。外からデビッドジュニアとロブロイが伸びてくる。ハリケーンラン、デュラントーマスも粘っている。内側からはプライドが伸びてきた。これは全く分からない!』

 

『残り1ハロンを切った。テンペストクェークにレイルリンク、エレクトロキューショニストが並んだ。外からデビッドジュニア、内からプライドが伸びてくる。3頭の激しい競り合いだ。内外の2頭も一気に強襲をかけてくる』

 

 

中央の3頭の叩き合い。そして外側と内側から一気に差し切ろうとする2頭がいた。

 

 

『この3頭の争いか。3頭の叩き合いだ。テンペストかレイルリンクかエレクトロキューショニストか。内外からプライドとデビッドジュニアだ!』

 

 

中央の3頭の競り合い、そして内側と外側から一気にゴール前で差し切りを狙った2頭。ほとんど同時にゴールラインを駆け抜けた。

 

 

『テンペストクェークかレイルリンクか、エレクトロキューショニストか。内側のプライドか。それとも外側のデビッドジュニアか。5着まで全く分かりません』

 

『6着は半馬身差でディラントーマス。そこから3馬身差で7着ロブロイ、8着にはハリケーンラン。9着争いでアレキサンダーゴールドラン、オリンピアンオデッセイ、コンフィデンシャルレディ、12着にマラーヘル。13着にサーパーシー、14着にノットナウケイトという結果になりました』

 

 

繰り返し流れる映像には5頭の馬がほとんど同時にゴールラインを通過する様子が映されていた。

 

 

『これは接戦です。首の上げ下げで決まりそうですね』

『そうですね。これは時間がかかりそうです』

『今日のテンペストクェークは圧勝とはいきませんでしたね』

『テンペストクェークの末脚がいつもより鈍いという印象を受けましたね。やはり4連戦は厳しいものがあったのでしょう。それにしても、勝たせまいと妨害を受けていたように思えますが、全く怯むことがありませんでしたね。それに、ラストで並ばれても、絶対に前に行かせるものかと、前へ前へと行こうとする勝負根性。本当に素晴らしいものがありました。彼はやはりヤマニンゼファーの子ですよ』

『ラストの死闘を制する馬はどの馬でしょうか。着順の確定までもうしばらくお待ちください』

 

 

着順が確定するまで、馬たちが待機していた。途中プライドとテンペストクェークが嘶き合っていたが、喧嘩をしているわけではなかった。

 

しばらくすると、着順が確定する。

 

 

1 Tempest Quake

2 Pride

3 Electrocutionist

3 Rail Link

5 David Junior

 

 

『テンペストクェーク1着。1着です!2着プライドと僅差の勝利です。3着はエレクトロキューショニストとレイルリンクの同着。わずかに遅れたか、デビットジュニアが5着です』

『いやー、本当にすごいレースでした。どの馬も1着になってもおかしくない展開でしたね』

『テンペストクェークはこれでGⅠを8勝目。ロックオブジブラルタルの7連勝を超えました。そして、シンボリルドルフ以来超えることが出来なかった7冠の壁を超え8冠目の栄光を手にしました。本当にすごいです』

『欧州遠征を全勝で飾りました。おそらく、同一年にこの4戦を走って4勝する馬は現れないでしょう。彼の名声は何十年も伝えられることになるでしょう』

 

 

歓声が響く競馬場。

テンペストクェークは自分に鞭を当てた騎手がいたほうに向かって舌を出したり、変顔をしたりしていた。

多くの人は変な顔して可愛いと思っていたが、騎手の高森だけは、テンペストが妨害をしてきた騎手を盛大に煽りまくっていることに気付いていた。

 

 

「お前は優しいなあ」

 

 

高森は煽り散らしているテンペストを苦笑しながらその姿を見続けていた。

 

このようなアクシデント?もあったが、特に問題なく表彰まで終了した。

テンペストクェークと高森騎手、そして藤山厩舎のスタッフたちの尽力。陰で支えたゼンノロブロイ陣営や美浦に厩舎を構える調教師たち。その総力を結集したテンペストクェークの欧州遠征は全戦全勝という圧倒的な成績で終了した。

 

 

『本当の本当に強い馬です。世界最強の相棒です。藤山調教師、それにスタッフの皆さん。西崎オーナーには感謝の気持ちしかありません。それと、テンペストにも』

『高森騎手は本当によくやってくれました。それに本村調教師、秋山厩務員。オーナーの西崎さん。そしてこちらで我々のサポートをしてくださったスタッフの皆さん。そのほかにもたくさんの人に支えられた欧州遠征でした。テンペスト、ありがとう』

『この近代競馬発祥の地でこれだけ活躍できたのも、高森騎手や藤山調教師一同のお陰です。まだテンペストは走りますので、応援していただけたら幸いです』

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

俺は馬である。

最後の激戦を俺は勝つことが出来たらしい。

かなりきつかったが何とか乗り越えることが出来た。正直少し休養が欲しいくらいだ。

その願いが通じたのか、前のレースが、俺のこの国でのラストレースだったようだ。

兄ちゃんも含めて、撤収の準備をし始めているのがなんとなくわかった。

3か月程度だったが、なかなか楽しい時間を過ごせた。

 

 

【さて、今日ものんびり過ごすかな】

 

 

まだ帰国までに日にちがあるのが、のんびり過ごしていると、初めて目にする場所へと連れてこられた。

そこには、そこそこ人が集まっていた。あれ、騎手くんもいるな。

 

 

「テンペスト、頼むから暴れたりふざけたりしないでくれよ……」

 

 

「大丈夫だとは思うが……」

 

 

俺を引っ張って歩く兄ちゃんたち。

それに騎手君も近くにいる。

 

 

【なんだ?取材か?】

 

 

「よしよし。今日は凄い人が来ているんだぞ~」

 

 

帽子を被せてもらって、その上身体もピカピカに洗ってもらったのは取材があるからか。

となると、もしかしたらメロンも?

 

 

【メロン!メロンを忘れてないよね?】

 

 

「……今日は、メロンはないよ。って服を引っ張るな」

 

 

どうやらご褒美はないらしい。

レースの後に貰えたからか。ちくせう。

 

大勢のカメラマンやレポーター、あと黒服のいかつい人間がいた。いつもと雰囲気が違うな。

なんだろうか。

 

辺りを見渡すと、人に囲まれるように、物凄く高貴なオーラを放っているおばあちゃんがいた。

なんかすごく偉い人みたいなので媚を売っておこう。

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

ときはチャンピオンステークス終了後。テンペストクェークは、疲労の回復も必要であるため、11月頃までは英国にいることになっていた。

 

 

「ええっ!?ここに女王陛下が来る?」

 

 

「ええ。本当です。当代の英国の女王がテンペストクェークを見たいとのことです」

 

 

当代の女王陛下が競馬好きで、馬主であることは周知の事実である。英国の競馬は、元々貴族や王族とのつながりが深いのもあるが、彼女の競馬好きはかなりのものであるとのことである。

 

 

「テンペストを見たいとは……。ディープの方ならわかりますが。確か牝系の方に女王陛下が所有していた馬がいるんですよね」

 

 

「ディープの方も興味があるらしいが、あっちはフランスにいるから簡単に会いには行けなかったらしいです。テンペストに関しては、自分の名前が付いたクイーンエリザベスⅡ世ステークスを中継で見ていたそうで、それで衝撃を受けたとのことです」

 

 

「先生はどうする予定ですか……」

 

 

「どうもこうも、王室からのお願いですよ。断るなんて無理です。日程の調整に関しては割と融通は利かせてくれるようです」

 

 

女王陛下の日程は年間を通してギッチリと決められている。そこにねじ込んでまでもテンペストを見てみたいと思うのかとスタッフは驚いていた。

一応はプライベートでの訪問という形になるらしいが、相当な警備体制や取材が組まれるのではないかと予想していた。

因みにテンペストは初対面の相手でも落ち着いているので、そのあたりが問題に上がることはなかった。

 

 

 

 

そして当日。

ニューマーケットには、報道陣と、王室のSPや政府関係者が詰め寄っていた。

馬優先の町であるため、他の馬に影響が出ないように、配慮はされているようではあった。色々と騒動はあったようだが、関係者による調整の結果なんとか実現することができたようである。

公務ではないとのことであるがSPや政府関係者、取材陣もいるため、プライベート? であった。

 

 

 

『無理を言ってしまい、申し訳ありませんでした。我々のお願いを聞いていただきありがとうございます』

 

 

『いえ、こちらこそ、テンペストに興味を示していただき、ありがとうございます(英国の王室からのお願いは「お願い」じゃないんだよな……)』

 

 

藤山は英語が流暢に話せないため、通訳を通じてコミュニケーションをとっていたが、その内心は緊張でいっぱいであった。

 

 

しばらくすると、秋山厩務員と本村調教師助手、高森騎手に連れられて、テンペストクェークがやってきた。

ざわめきとカメラのシャッター音が聞こえるが、テンペストクェークは相変わらずリラックスした雰囲気で辺りを見回している。

脚や尻尾、耳、首の高さ。どれも大丈夫だった。

 

 

「テンペスト、今日も落ち着いていますね」

 

 

「この辺りは特に問題はないです。本当に馬なのかよくわからなくなりますが……」

 

 

藤山が対応している間、秋山達はテンペストの様子を確認していた。

 

 

いろいろな会話を終えてテンペストに近づく女王陛下。

テンペストも特に驚くこともなく、相手を見つめていた。

 

 

『テンペストクェーク。我々イギリスの馬を叩きのめした、遠い極東の地からやってきた日本の馬』

 

 

その体躯は分厚い筋肉に覆われ、圧倒的な『力』を感じさせていた。

しかし目を細めながら気分がよさそうに女王の服をはみはみする様子はとても世界最強馬とは思えなかった。

 

 

(おい、あの服めちゃくちゃ高そうだぞ)

(頼むから破かないでくれよ)

 

 

曳き綱を持ちながらテンペストの様子を見ている二人は心臓が止まりそうだった。

 

 

『とても賢い子ですね。いつもこのような大人しい馬なのですか』

 

 

通訳を通じて秋山に話しかける。

 

 

「え~、普段は大人しいです。それに調教や運動でも我々の指示に従順です。ちょっといたずら好きなところもありますけど、服を噛むくらいです」

 

 

『確かに、私の服を咥えていますね。あら……?』

 

 

テンペストが首を背中に向けて振っている。

 

 

「これ、乗れって言ってんのか……」

 

 

「いやさすがに無理だろ。相手は女王だぞ……」

 

 

スタッフだけでなく、相手の女王陛下、そして王室関係者も困惑していた。

 

 

『乗れるなら乗ってみたいです。現役の世界最強の競走馬に』

 

 

女王陛下のお願いの一言で、あれよあれよという間に鐙や鞍といった道具が用意され、乗馬の準備がされていた。

テンペストが競走馬としては考えられないほど落ち着いた性格であることは関係者の間では知れ渡っていた。

 

 

『テンペストに乗って気を付けることは特にありません。普通に乗馬用の馬と同じ感覚で問題ありません。乗馬用の馬よりも乗りやすいかもしれません』

 

 

そして女王陛下が乗っても特にテンペストは驚いたり立ち上がったりすることもなく、彼女と厩務員たちの指示に従って大人しくしていた。

 

 

『テンペストクェーク。ありがとう』

 

 

鞍上で声をかけると、耳を動かして軽く嘶き反応する。

その様子を多くの競馬関係者たちが見ていた。

 

 

しばらくゆっくりと辺りを歩き、女王陛下の乗馬は終わった。

最後にテンペストは、秋山が預かっていた自分の帽子を奪い取り、女王陛下にプレゼントしていた。

 

 

『本当にありがとうございました。彼が何故、我々イギリス、そして欧州の馬に勝つことが出来たのか少しわかりました。私もこのような素晴らしい馬に巡り合えるように尽力していきたいですね』

 

 

「は、はい。もったいないお言葉です……」

 

 

緊張で何をしゃべっているのかわからなくなっている藤山をテンペストは不思議そうな顔で見つめていた。

 

 

こうして、女王陛下のドキドキ訪問ツアーは大きな事故もなく終了した。

UMA的行動は控えると宣言したことをすぐに忘れて調子に乗ったテンペストクェークであった。

 

そして、テンペストの一連の行動は当然の如く報道されたのである。

競馬関係の新聞だけでなく、大手の新聞社がこの一件を報じた。

 

『イギリス競馬始まって以来の屈辱』

 

自分たちの国の女王がプライベートとはいえ会いに行きたいと願い、その馬をべた褒めしているのである。そしてあろうことか乗馬を楽しんだのである。

しかし、英国際SからチャンピオンSまでの4連戦(ドバイも含むと5戦)で、英国の馬は彼によって叩きのめされている以上、何も言えなかった。

ある文屋はとある小説を基にして、

 

『女王陛下のテンペストクェーク号(H.M.H. Tempest Quake)』

 

と揶揄していた。

 

それと同時に英国の一般大衆は、極東の島国からやってきたスーパーホースに興味津々であった。強い存在は多くの人を引き付けていた。

イギリスは平地競走を上回る勢いで障害競走が盛んな国である。そのため障害競走の方に金を賭けることが多い。

しかし、平地競走で自国を含めた欧州馬を圧倒する遥か彼方からやってきた来訪者に興味がそそられないわけではなかった。

彼の強さは、一歩間違えばヒールにもなりえたが、愛嬌のある姿を映した取材映像や露骨な妨害や不利を受けながらもそれを跳ね除ける圧倒的な強さを見せたレースの映像を見て、恐ろしいほど強く、それでいて可愛いと人気者になっていた。

 

競馬ファンの中には、血統に魅力を感じている人もいた。今のイギリスを含めた欧州の競馬の主流は、ノーザンダンサー系が多数であった。しかしテンペストクェークはハビタット系で、ノーザンダンサーの血は母父方面の5代先にしかなかった。そのため、非主流の血統の馬が主流の血統の馬をなぎ倒していく様を見て楽しむ人も一定数はいたのである。このような、主流に対する反発というものは日本に限らず万国共通のモノであった。

 

また、日本のように馬のぬいぐるみという文化がないイギリスで、テンペストのぬいぐるみは、競馬に特に興味がない一般人に可愛いと受けたのであった。そのため、日本ほどではないが、それなりに売れたようであった。

このように、テンペストクェークは妙な人気を獲得して、惜しまれつつもイギリスの地を飛び立った。

 

しかし、次のレースは香港国際競走を予定していたため、欧州馬を出走予定の関係者からは、またか……と思われていたようである。




女王陛下はディープインパクトの母方の曽祖母の馬を所有していたようで、結構ディープのことも気にかけていたようですね。
なおこの話はフィクションなので、女王陛下関係の話は真に受けないでいただけると幸いです。

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