犬吠崎姉妹を救いたい。
俺だよ、遊仁だよ。
前回のハッピーバースデーから数日後、俺はもうストーカー出来ねぇかもしれねぇ。
それ程までに訓練がきついんじゃ我ぇ!
なんだよ目隠しで操縦って。頭イカれてんじゃねぇのか⁉︎
それはともかくとしてだ、最近は学校にもほぼ行けなくて大社で合宿じみた事をやってる訳だが。どうやら犬吠崎姉妹の親は死んでしまっているらしい。
その理由なんだが…かなりキツいぞ。
二年前、バーテックスが侵攻して来たらしくてな。その時は三人の勇者が選ばれて戦っていたらしい。
そしてその戦いの最中に神樹へとダメージが入ってしまったんだ。神樹にダメージが入るとこの世界でも災害や事故となって影響を及ぼすらしいんだが、犬吠崎姉妹の両親はその災害に巻き込まれて死んだんだと。
大社の人が教えてくれたんだが…、キツいよなぁ。あの歳で二人暮らしはきつかろうて。
よくメンタルに問題無しでここまで来れたよ、凄い。大社の人とかもさぁ、あの二人の家に家政婦的なの用意してやれよ。
まぁ俺に出来る事は無いだろう。金もねぇし。手伝おうとしても邪魔になるだけだ。
そう、俺は邪魔だ…
いかんいかん、ネガティブになってしまう。疲れてるんだな俺。自販機でコーヒーでも買うとするか。
え〜っと財布の中身はと…
300円。少なっ。
あれ、何かに使ったっけ俺?
まあ良いやコーヒー買うには充分だろ。
自販機の前まで歩くと、横に置かれたベンチに見知った人が座っていた。
「おや?遊仁君じゃないか。訓練はもう終わったのかい」
「ええ、さっき終わりましたよ。お陰でヘトヘトですけど」
この人は清水博士。大赦の人なんで、格好は他の人と一緒だけどこの人は雰囲気で分かりやすい。ダウナー系なのだ。
俺が大赦に入ってからの上司の一人で、結構話しやすい相手だ。
「伸び代があるってこったな。まぁ頑張れや」
「ありがとうございます」
俺の肩を叩いてそう言うと、博士は何処かに行ってしまった。多分ユニコーンについて調べてるんだろう。
実はと言うと俺も気になる事がある。NT-Dだ。
ユニコーンガンダムの題名しかと言っても良いはずなんだが、これまで一回も作動していない。
いやまぁニュータイプが居ないからとかだったらそれまでなんだけど。でも何となく感じるんだ、ユニコーンには意思があるんじゃないかって。
原作でもユニコーンは勝手に動いてた。サイコフレームが影響してるんだろうけど、そこら辺はよく分かっていない。
コイツもサイコフレームを搭載してるだろうし、俺が呼べば来たりしてくれるんだろうか?
今の所エヴァみたいな運用しか出来てないけど。
まぁ、そんなのどうでも良いか。目の前の事をどうにかしなくちゃな。とにかく今日は帰るとしよう。
家に帰る途中、見知った人影を見た。犬吠崎姉妹だ。
ありがたい、最近は勇者部に会っていなかったから癒されるぞ。スマホのカメラズームをオンにしてと…。
う〜ん。やっぱり良いね、乾ききった心が潤うのが分かるよ。
あ、そういえば明日は樹が音楽の授業で課題曲を歌う日だったな。録音機材持ってかなきゃ。
でも明日休み貰えるか?家帰ったら聞いてみるとするか。
カップラーメンを啜り、熱いシャワーを浴びて、今日の成果を整理した後にベッドに潜る。
これが俺の日常だ。俺がこの世界に転生して一ヶ月。この生活も慣れて来たもんだ。
瞼を閉じた俺は、少し違和感に気づいた。
俺には親がいない。なぜ?しらん。
そもそも転生した頃には中2だったのだ。合わせるのは何とかなったが、いまいち謎だ。
まるで俺という存在がぽんっと現れたみたいじゃないか。
転生だから、でこれは片付くんだろうか?
あまりこういうのは考えたく無いけど…いややめておこう。もう俺は疲れたんだ、明日に備えてゆっくり寝ていよう。休みも貰えたし。