機動戦士ガンダムSEED Illusion   作:ファルクラム

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PHASE-28「哀しみの飛翔」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 地球軍艦艇から、一斉にミサイルが放たれる。

 

 オーブからの再三の会談要請を無視し、地球軍はオーブ再侵攻を開始したのだ。

 

 憤るオーブ首脳陣だが、こうなっては最早どうしようもない。押せば勝てる戦いを捨てるほど、地球軍も愚かではないという事か。

 

 いずれにしても道理も何もかも無視して、国の主権を踏みにじる事を目的にして進軍してきた軍隊は、初期の目標を完遂すべく再び動き出したのだ。

 

 同時に、オーブ軍も迎撃態勢を築くべく動き出す。

 

 第一波ミサイル攻撃は奇襲に近い形で行われた為、地上施設に大きな損害が出ている。しかし、司令部や格納庫などの最重要施設は全て地下に収められている為、並の攻撃ではびくともしない。

 

 その格納庫の中にあって、キラとエストはイリュージョンに向かって走っていた。

 

「キラ!!」

 

 そんなキラを、背後から追い付いてきたアスランが呼び止める。

 

「お前達にも分かっているだろう。どのみち、このままではオーブに勝ち目はないと」

 

 暗に脱出しろと言っているのは、キラにも理解できた。

 

 そんな優しい友人に対して、キラはほほ笑みを返す。

 

「うん。たぶん、みんなもね。けど、勝てないからって、あきらめたくはないでしょ」

 

 そう言うと、キラはエストを連れてリフトに乗った。

 

「ありがとう、アスラン。話せてうれしかったよ」

「援護に感謝します。あなたは早く脱出を」

 

 そう言うと、キラとエストはコックピットへ消えていく。

 

 立ち尽くすアスラン。

 

 その背後に立つ影があった。

 

「ザフトの兵士としては、手を貸す事に気が引ける?」

 

 振り返れば、そこには見知った少女の姿があった。

 

「ライア!?」

 

 死んだと思っていた少女の姿に、アスランは驚きを隠せない。

 

 とっさに、少女の足に目をやる。

 

「・・・・・・あ、足はあるな」

「殴られたい? ねえ殴られたい?」

 

 アスランの失礼な反応に、少女は笑顔の中で青筋を浮かべる。

 

 そう言えば昨日、キラと話している場に彼女もいたような気がしたが、あれは見間違いではなかったようだ。

 

「で、どうするの? このまま指咥えてカーペンタリアに帰る?」

 

 挑発するようなライアの言葉に、アスランは唇をかみしめる。

 

 確かに、ザフトの軍人であるアスランからすれば、それがベストなのだろう。

 

 だが、ようやく和解できた友人を置いて、帰る事などできない。

 

「・・・・・・俺は」

 

 ややあって、ためらうように口を開いた。

 

「俺は、あいつを、あいつ等を、死なせたくない!!」

 

 その言葉に、ライアはニコッと人懐っこそうな笑顔を浮かべる。

 

「やっぱりね。アンタならそう言うと思った」

「ライア?」

「行こアスラン。早くしないと、始まっちゃうわよ」

 

 そう言うと、ライアは先に立って歩き出した。

 

 

 

 

 

 リリアに連れられ、シンとマユはモルゲンレーテの格納庫へやってきた。

 

「これよ」

 

 促された先には、1機のモビルスーツが鎮座している。

 

 PS装甲を切った状態で佇んでいるその機体は、今現在、ムウが乗って出撃しているストライクと同型の機体に見える。

 

「名前はストライク・ヴァイオレット。ストライクを修理する時に、余った部品と新技術を搭載した機体らしいんだけど、あまりに高性能すぎて乗り手がいなかったからお蔵入りになりそうになってた機体よ。君なら、乗りこなせるんじゃない?」

「良いのかよ。こんな新型機を俺に渡しちゃって」

 

 ここになって、シンは恐縮する面持ちだった。

 

 戦わせろと言ったのはシンで、カガリはそれを了承したのだが、まさか新型機を回してくれるとは思わなかった。

 

「良いのよ。どうせこのまま飾っといても意味ないし、カガリが許可してくれたんだから問題ないでしょ」

 

 軽い調子で言うリリアに、本当にそれで良いのかという気持ちになるが、くれるというのであれば、シンとしてもありがたい話だった。

 

 実際、シンの戦闘データを見たカガリが、あるいは彼なら使いこなせるかもしれないと判断したのだった。

 

「お兄ちゃん・・・・・・」

 

 心配そうに見上げてくるマユに、シンはそっと笑い掛ける。

 

「大丈夫だ、マユ。お前の事は俺が守るから」

 

 そう言うと、妹の体をそっと抱きしめた。

 

 シンがマユを放すと、リリアは少女を後ろから優しく抱く。

 

「この子の事は、あたしに任せて。責任をもって守るから」

「あんたは出ないのか?」

 

 怪訝な面持で尋ねるシンに、リリアは一瞬キョトンとした後、ジト目になって睨みつけた。

 

「あのね、この際だから言っとくけど、君が勝手に持ち出してぶっ壊してくれたM1、あたしのだったんだけど?」

「うっ・・・・・・」

 

 言葉に詰まるシン。

 

 あの時は頭に血が上っていて、機体の持ち主の事までは考えていなかったのだ。そう言われれば確かに、出撃しようとした自分を、少女の声で制止しようとしていた人物がいたような気がする。

 

「わ、悪かった」

「いいわよ、もう。今更だし。だから、今回あたしはお留守番。君が出撃してる間、マユちゃんはあたしが見ていてあげるから」

「頼む」

 

 そう言うと、シンは一度だけマユの頭を撫で、機体へと乗り込んだ。

 

 マニュアルを読んで、機体の事は頭に入っている。

 

 問題無く機体を立ち上がり、モニターとOSに灯が入る。

 

 武装はエールを選択。ランチャーでは照準が面倒そうだし、接近戦にほぼ限定されるソードでは、広い戦場では動きづらい気がしたのだ。

 

 エールストライカーが装備され、出撃準備が整った。

 

「シン・アスカ、ストライク・ヴァイオレット行きます!!」

 

 スラスターを点火して飛び立つ機体。

 

 同時にPS装甲に灯が入り、機体は鮮やかな薄紫色に染まった。

 

 

 

 

 

 戦況は、昨日以上にオーブにとって、刻一刻と苦しい物になっていた。

 

 出撃できる部隊の数は昨日よりも少なく、当然、各防衛ラインも薄くならざるを得ない。

 

 対して地球軍は、昨日の戦闘とほぼ同等の戦力で押し寄せてくる。

 

 戦闘による損害を感じさせない地球軍の猛攻の前に、オーブ軍は徐々に押されていく。

 

 海上においても同様だった。

 

 アークエンジェルや大和は海上に出て巨砲を持って地球軍艦隊と砲撃戦を演じるが、多勢に無勢の言葉通り、オーブ艦隊は次々と集中攻撃を受けて沈黙していく。

 

 島影に隠れての戦術も今回は使えない。所詮はネタの割れた手品に過ぎず、奇策が二度も通じるはずがなかった。

 

 展開したM1部隊は、地形を利用した戦術で、地球軍の大軍を迎え撃つ。

 

 不用意に進撃してきたストライクダガー部隊に対して、森の中に偽装されたハッチが突然開き、内部に潜んでいたM1が攻撃を仕掛ける。

 

 破壊された施設の影に巧みに機体を隠しながら、隙を見て狙撃を行う機体もある。

 

 地球軍も、ゲリラ的な戦いを仕掛けてくるオーブ軍には手を焼かされた。

 

 しかし、それらが上げる戦果は、所詮は微々たるものである。

 

 圧倒的な火力を集中され炎を吹き上げる機体。潜んでいた場所から引きずり出されて切り刻まれる機体が続出する。

 

 制空権を握ったシルフィードダガーは激しい空爆を行い、施設やオーブ軍機を破壊して行く。

 

 そうした悲惨な戦場の中に、幻想の戦天使が舞い降りる。

 

「8時と5時、2時方向。優先は8時。こちらを補足しました。攻撃開始まで4秒」

「十分間に合う!!」

 

 キラはイリュージョンの両腕に装備したビームガトリングを展開。攻撃を開始しようとしていたストライクダガー部隊を次々と打ち抜いていく。

 

 更にイリュージョンは、肩に装備したバッセルビームブーメランを抜き放つと、背後から迫っていたシルフィードダガーに投げつけ、その脚部を切断した。

 

 戻ってきたブーメランをキャッチすると同時に、290ミリ狙撃砲を展開、立て続けに正確な砲撃を放ち、迫りくる敵機の肩を、足を、メインカメラを、武装を撃ち抜いていく。

 

 ただ1機からなる防衛ラインは、オーブ軍の中にあって最も強固と言っても過言ではなかった。

 

 だが、そんなイリュージョンの奮戦も、長くは続かない。

 

 センサーを見ていたエストは、それの存在をキャッチした。

 

「キラ、昨日の4機です。1時の方向。接触まで20秒」

「来たかっ」

 

 唇をかみしめるキラ。

 

 アヴェンジャー、カラミティ、フォビドゥン、レイダーの4機が接近してきているのだ。

 

 迎え撃つべく、高度を上げるイリュージョン。

 

 その姿は、フレイ達からも見て取れた。

 

「いたわね、キラ、エスト!!」

 

 速度を上げるアヴェンジャー。

 

 肩部ゴルゴーン、胸部スキュラ、頸部ヒュドラ、プラズマ集束砲2門を展開、一斉発射する。

 

 その凄まじい砲撃を、ひらりひらりと舞うように回避するイリュージョン。

 

 お返しにと放った狙撃砲の一撃は、しかしその前に立ちはだかったフォビドゥンのゲシュマイディッヒパンツァーに阻まれて射線を捻じ曲げられる。

 

 フォビドゥンは、更にフラスベルグ誘導ビーム砲とエクツァーンレールガンをイリュージョンに放ってくる。

 

 弧を描くビームは、軌道が読めず、キラとしても大きく後退して回避するしかない。

 

 そこへ、今度はカラミティを背に乗せたレイダーが迫ってくる。

 

 カラミティは全砲門を開き、レイダーも火力を集中してくる。

 

 こうなると、火力の劣るイリュージョンは防戦一方になってしまう。

 

 押し寄せる攻撃を前にして、ビームシールドを掲げたまま後退するしかないイリュージョン。

 

「クッ!?」

「キラ、このままでは!!」

 

 歯嚙みするキラとエスト。

 

 距離を詰めてくる4機。

 

 だが、次の瞬間、

 

 カラミティは高速で駆け抜けた何かに攻撃され、フォビドゥンは飛んできた物をニーズヘグで弾き、レイダーは機体を傾けて狙撃を回避した。

 

「・・・・・・またなの?」

 

 うんざりした調子で、フレイはつぶやいた。

 

 そこにはビームブーメランを肩に収め、分離していたリフターと再合体しているジャスティスの姿があった。

 

「アスラン・・・・・・どうして?」

「脱出しなかったのですか?」

 

 呆然とつぶやくキラとエストに、アスランは力の籠った声で返す。

 

《俺たちにだって、守りたい物くらいあるさ》

 

 それが、今のアスランにとってはキラ達なのだという事である。

 

 ジャスティスはビームサーベルの柄を連結させ、アンビテクストラスハルバードにする。

 

《蹴散らすぞ》

「うん」

「了解です」

 

 3人は頷きあうと、ジャスティスはハルバードを、イリュージョンはティルフィングを構えて斬り込んだ。

 

 

 

 

 

 更にその頃、別の戦線でも援軍を得てオーブ軍が盛り返し始めている。

 

「デェェェェェェイ!!」

 

 昨日に引き続き、全軍の先頭に立つムウのストライクは、圧倒的多数のダガー部隊を前に、一歩も引かずに踏ん張り続けている。

 

 ストライクを強敵と見た地球軍も、砲火を集中しようとするが、味方機はすかさず援護射撃を行う。

 

《少佐、援護します!!》

 

 そう言って、ストライクの傍らについたM1はトール機であった。

 

 元々は訓練も何も受けていない民間人で、年齢的にもまだ少年と呼べるトールだが、しかし数度の戦闘を経て兵士としてのタフネスさを身につけつつあった。

 

 ビームライフルでの狙撃により、ダガーは着実に数を減らしていく。

 

 更に、今日はもう1機存在する。

 

 砲火を交わしながら敵陣に飛び込んだ紫色の機体は、ビームサーベルを抜き放ってダガーを斬り裂く。

 

「次だ!!」

 

 初めて乗った高性能な機体を、シンはまるで手足のように十全に扱っている。

 

 先に乗ったM1よりも、このヴァイオレットの方がシンには合っていた。

 

 当然、地球軍は突出したヴァイオレットを押し包んで討ち取ろうと、得意の連携戦術を用いて迫ってくる。

 

 しかし、シンは驚くほど冷静に対処して見せた。

 

 3方から迫るダガーに対し、サーベルが命中する直前でスラスターを吹かして飛びあがり、目前の1機の頭部を蹴り飛ばした。

 

 その一撃で、メインカメラを失うダガー。まずは1機。

 

 更に、蹴りの反動を利用して空中で宙返りをしながら、着地と同時に背後に迫っていたダガーを光剣で背中から切り下げた。これで2機。

 

 残る1機は敵わないと見て後退しようとしたが、ヴァイオレットは圧倒的な推力で追い付くと、コックピットにサーベルを突き刺し撃墜した。

 

 上空に目を転じれば、ライアの駆るシルフィードが、殆ど1機で大軍を押さえている。

 

「ハァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 スラスター全開で急接近すると同時に。展開した高周波振動ブレードを一閃、シルフィードダガーを斬り捨てる。

 

 そこへ、背後からビームが数条掠めていく。

 

 目を転じれば、4機のシルフィードダガーが、ライフルを撃ちながら接近してきているところだった。

 

「舐めないでよ、ね!!」

 

 ライアの叫びとともに、シルフィードは左手のシールドを投げ捨て、ビームサーベルを抜き放つと、ブレードと共に二刀流を構えて斬り込んだ。

 

 

 

 

 

 目まぐるしく立ち位置を入れ替えながら、両者は互いに斬り結んでいく。

 

 ティルフィングを振りかざして迫るイリュージョンに対し、アヴェンジャーは接近を阻もうと、全砲門を開いて砲撃を行う。

 

 対してキラは、海面スレスレの所で、機体を揺り動かすようにして操り、火線を回避して見せる。

 

 背後に水柱を残しながらアヴェンジャーに迫るイリュージョン。

 

「ハァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 一閃される大剣。

 

 しかし、命中の直前にアヴェンジャーはその場から飛びのいてイリュージョンの一撃を回避した。

 

 動きを止めたイリュージョン。

 

 その横から突如、海面を割ってフォビドゥンが姿を現した。

 

 フラスベルクとエクツァーンを放つフォビドゥンに対し、ビームシールドで防ぎつつライフルで応戦するイリュージョン。

 

 だが、放たれるビームはまたも、ゲシュマイディッヒパンツァーによって捻じ曲げられた。

 

「クッ」

「あの機体には射撃は通じません。接近戦に切り替えるべきです」

「判ってる!!」

 

 キラが言い放つと同時に、腰部のラケルタ2本を抜き放って斬り込むイリュージョン。

 

 対抗するように、シャニもフォビドゥンのニーズヘグを振って斬り結ぶ。

 

 リフター、ファトゥム00を本体から切り離して独立行動させる事の出来るジャスティスのトリッキーな戦術に、レイダーとカラミティは苦戦を強いられていた。

 

 カラミティは高速で旋回するファトゥムを追って、背部の125ミリ高エネルギー砲シュラーク、右手に把持した337ミリプラズマバズーカトーテスブロック、左手のシールドから突き出した115ミリ連装衝角砲ケーファーツヴァイと、全砲門を駆使して砲撃を繰り返すも、機動力に勝るリフターをとらえるには至らない。

 

 レイダーは鉄球を放ってジャスティス本体に叩きつけようとするも、アスランは巧みに機体を操って回避し、接近すると同時にハルバードを振い、レイダーを追い詰める。

 

 クロトもまた、高い機動性を発揮してジャスティスの斬撃から逃れ、上空から攻撃してくる。

 

 そこへ、リフターと合体したジャスティスが再び斬り込んできた。

 

 

 

 

 

 各戦線でオーブ軍は善戦している。

 

 しかしそれはあくまで善戦のレベルであって、戦局全体を覆すには到底足りなかった。

 

 司令部に詰めるカガリのもとには、刻々と悪化する戦況の様子が伝えられてくる。

 

 前線の部隊からは次々と音信が途絶し、北域を統括する前線司令部もいくつか陥落している。オノゴロをはじめ最重要地区は辛うじて防衛ラインを保っているが、それも時間の問題のように思われた。

 

 どうする、自分も出るか?

 

 今こうしている間にも、前線で味方のオーブ兵が次々と戦火に包まれ命を落として行っている。

 

 そうした皆を守る為に、自分も前線に出るべきなのではないか?

 

 カガリ専用機はまだ完成してはいないが、それでも余っている機体で出撃すべきだ。

 

 一度はそう思い掛け、席を立つ。

 

 しかし、それ以上動く事が出来ず、再びシートに座り込んだ。

 

 背後から、幕僚として控えているキサカの安堵する声が聞こえたが、気にしない。

 

 自分1人が前線に出たところで何も変わりはしない。それよりも、ここにいて少しでも犠牲になる部隊の数を減らすのが、指揮官である自分の仕事だ。

 

 込み上げそうになる涙をこらえ、カガリは自分にそう言い聞かせた。

 

 

 

 

 

 オルガは小賢しく飛び回るリフターに、カラミティの全砲門を開いて砲撃している。

 

 しかし、いくら撃っても全く命中せず、苛立ちばかりが募っていく。

 

「この、鬱陶しいんだよ!!」

 

 放つビームは、全て海面を抉るばかりである。

 

 そうしている内に、コックピット内にアラームが鳴り響いた。見れば、バッテリーが危険域に達している。

 

「クソッ、この馬鹿モビルスーツ、もうバッテリーがやばい!!」

 

 いかにTP装甲の採用でエネルギー消費が局限されているとはいえ、カラミティのような大出力火器を多数搭載した機体が、考えなしに撃ち続ければエネルギー切れを起こして当然だった。

 

《ドカドカ撃ち過ぎなんだよ、バーカ!!》

 

 嘲るような声は、レイダーのクロトからだ。

 

「何だと!?」

《帰るんなら1人で帰ってよね。僕は知らないよ》

 

 カラミティが飛行できないと知っていて、挑発するようなことを言ってくる。

 

 しかし、そのレイダーも海中を割って出現したジャスティスにハルバードを一閃され、鉄球を切り裂かれて後退せざるを得なくなった。

 

「馬鹿はテメェじゃねえか」

 

 言い放つと同時に、オルガは機体を舞いあがらせてモビルアーマー形態に変形したレイダーに飛び乗った。

 

《勝手に乗るなよ!!》

「サッサとしろよ。お前もそれじゃあやばいだろ!!」

 

 言い合いをしながらも、進路は味方艦隊に向けられる。

 

 その様子は、イリュージョンと対峙しているフォビドゥンからも確認できた?

 

「あん?」

 

 シャニは眠そうな目を撤退していく味方に向けてから、放たれたビームに対してゲシュマイディッヒパンツァーを展開する。

 

 しかし、ビームはうまく曲がらず、装甲の表面で弾かれた。

 

 そこで気付いた。バッテリーが危険域に達している事に。

 

「終わりか」

 

 詰まらなそうに呟くと、機体を反転させる。

 

 それを追って、イリュージョンがティルフィングを手に斬り込んでくるが、フォビドゥンはそれをニーズヘグで払って後退していった。

 

「チッ、役立たず・・・・・・」

 

 さっさと撤退していく3機の機体を眺めて、フレイは舌打ちした。

 

 あの3機に高度な連携など期待してはいないが、それでももう少し役に立ってほしいと思う。

 

 とは言え、流石にアヴェンジャー1機で、2機を相手に戦うのはしんどい。アヴェンジャーは追加バッテリーを搭載して稼働時間は在来機の3倍以上となっているが、それでもここは撤退すべきだった。

 

 全砲門を開いてイリュージョンとジャスティスをけん制しつつ、アヴェンジャーは後退する。

 

 まあ、今回の戦闘でオーブ軍には壊滅的な打撃を与える事に成功した。ならば、次で最後のはずだった。

 

 

 

 

 

 戦況は決定的になりつつある。

 

 もはやオーブ軍の中で組織的な抵抗をしている部隊はごく僅かであった。

 

 北域を守る戦線は既に破綻し、地球軍はオーブの大地を蹂躙していく。

 

 ウズミは行政府の中にあって、静かに佇んでいた。

 

 やはり、保険をかけておいたのは正解だった。こうなったのは無念だが、準備が無駄になりそうにない事だけは間違いなかった。

 

 そこへ、閣僚の1人が駆け寄ってくる。

 

「ウズミ様、準備が完了しました。作業は2時間もあれば」

「掛かり過ぎる。時はすでに無いのだ」

 

 戦線が破られた以上、地球軍はあっという間に雪崩れ込んでくるだろう。そうなれば、オノゴロの防衛線も風前の塵に等しい。その前に何としても、全てを終えなければならない。

 

「・・・・・・よい、私も行こう」

 

 そう言うと、ウズミは決意と共に眦を上げた。

 

「残存する部隊は、カグヤに集結させろ。オノゴロは、放棄する」

 

 それは、事実上の敗北宣言だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カグヤ島。

 

 オーブが誇るマスドライバーが設置されたこの島は、地球軍が欲する物のひとつであり、オーブにとっては最後の生命線ともいえる場所である。

 

 そのカグヤ島に、生き残っていた部隊は続々と集結しつつあった。

 

 秩序立って撤退してきた部隊は殆ど無い。大抵は、数機、あるいは単独で落ち伸びてきた者達ばかりで、いかにも敗残の軍と言う印象はぬぐえなかった。

 

 とは言え、彼等の士気が低いかと言えばそうではなく、皆が皆、この地を背に最後の決戦に臨む物と信じ、意気を上げていた。

 

 だからこそ多くの者が、発令された命令に驚愕していた。

 

 指示された作戦は、大和、アークエンジェル、そしてカグヤ内で組み立てを進められている戦艦クサナギを用いたオーブ脱出作戦だった。

 

 驚愕するマリューら主要メンバーを前にして、行政府から作戦指揮の為に降りてきたウズミは告げた。

 

「あなた方にも、既にお判りだろう。オーブが失われるという事が」

 

 奮戦むなしく、オーブの敗北はすでに決定的になりつつある。

 

 ここで奮戦して死ぬのは簡単だ。だが、それではただの犬死にすぎない。

 

 だからこそ、ウズミは次善の手を打つつもりなのだ。

 

「お父様、何をっ!?」

 

 驚くカガリに目を向けてから、ウズミは先を続ける。

 

「人々は避難した。支援の手もある。あとの責めは、我らが負おう。だが、たとえオーブを失っても、失ってはならぬ物がある。地球軍の陰には、ブルーコスモスの盟主、ムルタ・アズラエルの姿がある」

 

 それはマリュー達も感じている事だった。一方的な罪状で行われた査問会に、その後のアラスカ戦。問答無用で侵攻してきたオーブ戦と、常軌を逸しているとしか思えない地球軍の行動も、なりふり構わずコーディネイターを滅ぼそうとするブルーコスモスの思想が加われば、納得できるものがある。

 

「そしてプラントも、今やコーディネイターこそが新たな種とする、パトリック・ザラの手の内だ」

 

 言われた瞬間、アスランがわずかに顔を歪めたのを、キラは見逃さなかった。そのパトリックの息子である彼にとっては、忸怩たる物がる事は否めない。

 

「このまま進めば、世界はやがて、互いに認めぬ者同士が際限なく争うばかりの物となろう。そんな物で良いのか、君たちの未来は?」

 

 その果てに待つ物は破滅以外ないだろう。

 

「別の未来を望むのならば、今ここにある小さな灯を抱いてそこへ向かえ」

 

 つまりウズミは、マリュー達に、それを止める為に戦ってほしいと言っているのだ。ナチュラルの為でも、コーディネイターの為でも、オーブの為でもなく、それらの垣根を取り払った、より多くの人々の為に。

 

「またも過酷な道だが、判ってくれような、マリュー・ラミアス」

 

 それが託せるのは、目の前の女性しかいないとウズミは思っていた。

 

 そのウズミの意思を汲んで、マリューも頭を下げる。

 

「小さくとも強い灯は消えぬと信じております」

 

 全ては、望みを託すために動き出す。

 

 ウズミは最後にそっと、心配そうな視線を自分に向けてくるカガリの頭を優しくなでた。

 

 

 

 

 

 作戦は3隻の戦艦を中心に行われ、残存する部隊をそれぞれに収容し、宇宙に向けて脱出する事になっている。

 

 大和は元々、単独での大気圏離脱が行えるよう、大出力の大型エンジンが積まれているので問題無い。機構的には色々と曰くがあるのだが、それはこの際横に置いておく。贅沢を言っていられる状態では無いのだ。

 

 クサナギはマスドライバーを使って射出される手はずになっている。

 

 問題はアークエンジェルだが、クサナギ用のブースターを装備し、ローエングリンを斉射する事でポジトロニックインターフェアランスを誘発、それによって大気圏離脱速度を稼ぐ手はずになった。

 

 しかしそれでも尚、足りない物がある。時間である。

 

 計算によれば、地球軍が足の速い機体を先行して繰り出してきた場合、脱出シークエンス中に追い付かれてしまう可能性があると計算された。

 

 そこで、機動力の高いイリュージョンとジャスティスが殿に立ち、敵の追撃を断つ役割を負う事になった。

 

「まあ、このままカーペンタリアに帰るってのも、1つの手かもしれないわよね。戦ってるのは地球軍なんだし」

 

 そう言ったのは、ライアである。

 

 大和やクサナギに機体の積み込み作業が行われている傍らで、イリュージョン、ジャスティス、シルフィードが駐機され、その足元にはキラ、エスト、アスラン、ライアの4人が集まっていた。

 

 嘯くように告げたライアの言葉は、しかし、本音でない事は見ればわかった。これだけの状況を無視し、負け戦のまま引き下がるのは彼女としても矜持が許さないところだろう。

 

 なし崩し的にオーブ国籍を得た彼女だが、それでも一度始めた事に対する責任は取るつもりであるらしい。

 

 そんな中にあって、アスランは1人、達観したように呟く。

 

「『ザフトのアスラン・ザラ』、か」

 

 それはかつて、廃墟と化した劇場でラクスに言われた言葉である。その言葉を、アスランは今再びかみしめる。

 

「彼女には判っていたのだな。国・・・・・・軍の命令に従って敵を討つ。それで良いんだと思っていた・・・・・・仕方ないと。それでこんな戦争が一日でも早く終わるならと・・・・・・」

 

 苦悩に満ちた顔を上げる。

 

「だが、俺達は、本当は、何とどう戦えば良かったんだ?」

 

 訴えるように、一同を見る。

 

 ややあって、口を開いたのはエストだった。

 

「判りません」

「いや、エスト・・・・・・ちょっと君は黙ってようね」

 

 相変わらず空気を読まない少女の発言に、キラは苦笑しながら少女を引っ込める。

 

「でも、確かにこの子の言うとおり、僕達にも分からないのは確かだよ。だから、一緒に探していこう」

「キラ・・・・・・」

 

 その笑顔に、その場にいる誰もが納得したように頷いた。

 

 

 

 

 

 作戦は開始された。

 

 使用可能な機体、修理中、組み立て中の機体を多数積み込んだ3隻の戦艦は、それぞれに発進準備を進めていく。

 

 生き残り、反撃の日に備える為の作戦。

 

 多くの物を託された、希望の船達が行く。

 

 だが、地球軍とて、それを黙して許すはずもない。

 

《モビルスーツ接近、距離20じゃ》

 

 通信は、司令本部に残った首長の1人からのものだった。

 

 やはり、地球軍は足の速い機体を先行させてきたようだ。

 

 報告を受け、トウゴウはアークエンジェルへと通信を入れる。

 

「ラミアス殿。アークエンジェルが先行してくだされ。本艦が2番手に続きます。クサナギは殿に」

《了解です!!》

 

 通信を終えると同時に、アークエンジェルはローエングリンを正射、同時にポジトロニックインターフェアランスを誘発、一気に加速する。

 

 アヴェンジャーを駆ってカラミティ、フォビドゥン、レイダー等と共に本隊から先行していたフレイは、それをみてオーブ軍の意図を察した。

 

「逃がすな!!」

 

 7門の砲を向けようとするフレイ。

 

 だが、それを遮るように、2条の閃光が駆け抜けた。

 

 目を向ければ、こちらに向かってくるイリュージョンとジャスティスの姿があった。

 

 すかさず、目標を変更するアヴェンジャー。

 

「キラァ・・・エストォォォ!!」

 

 叫ぶと同時に、砲門を一斉に開く。

 

 それを回避して、ライフルを放ってくるイリュージョンとジャスティス。

 

 戦う事が目的ではない。あくまでも戦艦が脱出するまでの援護である。その事をわきまえているキラとアスランは深くは踏み込まず、あくまで牽制目的とした攻撃を繰り返す。

 

 その間にも、大和は大気圏離脱シークエンスを進めていく。

 

「メインエンジン、臨界!!」

「オーバーブースト、回路接続確認!!」

 

 次々と入る報告の中で、副長席のユウヤも指示を飛ばす。

 

「上げ舵50。大気圏離脱角度へ!!」

「脱出速度、入力。地球自転速度、入力。離脱位置確認、完了しました!!」

 

 大和の長大な艦首が持ち上げられ、上昇する構えを見せる。

 

 その様子を見ていたカラミティ、フォビドゥン、レイダーが阻止しようと接近を試みるが、その前にジャスティスが立ちはだかる。

 

「全出力正常。大気圏離脱準備よし!!」

 

 報告を受けて、トウゴウは両眼を見開く。

 

「大和、発進!!」

 

 命令一下、メインエンジンが最大出力で点火され、巨大な艦体をフル加速させる。

 

「逃がさないわよ!!」

 

 フレイのアヴェンジャーが、阻止しようと砲門を向けてくる。

 

 しかし、

 

「させるかぁ!!」

 

 横合いからイリュージョンが強烈な蹴りを食らわせ、アヴェンジャーを吹き飛ばす。

 

 その間に、大和は攻撃圏外へと離脱、そのまま大気圏を目指して飛翔を開始した。

 

 

 

 

 

 各艦の脱出が進む中、ウズミはカガリの手を引きながらクサナギへと続く通路を急いでいる。

 

 カガリは漠然と感じていた。オーブが失われたとき、父もまた生きてはいないだろうという事を。

 

 だからこそ、必死になって説得した。

 

 偉大なる、尊敬する、父を失いたくないが為に。

 

 しかし、ウズミは聞き入れない。彼の決意は、既に固いのだ。

 

「我等には我等の役目が、お前にはお前の役目があるのだ」

「しかし、お父様!!」

「想い継ぐ者無くば、全て終わりぞ。なぜ、それが判らん!!」

 

 マスドライバーの発着場では、待機していたクサナギのハッチ前で、キサカと、同乗して宇宙へ上がる事になったシン、マユのアスカ兄妹が待っていた。

 

 そのキサカに、投げ渡すようにカガリを渡す。

 

「行け、キサカ。この馬鹿娘を頼んだぞ」

「お父様!!」

 

 泣き顔を隠そうともせず、駆け寄る娘に、ウズミは優しく微笑む。

 

 温かい手。大きな手。その掌だけでも、父の偉大さが伝わってくるようだ。

 

「そんな顔をするな。オーブの獅子の娘が」

 

 言いながら、懐に手を入れる。

 

「父とは別れるが、お前は1人ではない」

 

 そう言って差し出したのは1枚の写真である。

 

「きょうだいも、おる」

 

 そこには、若い女性が、生まれたばかりと思われる2人の赤ん坊を抱いていた。

 

 茶色と金色の髪をしたその赤ん坊たちの顔立ちはどことなく似ており、双子であるように思えた。

 

 何気なく裏に返して見て、カガリは目を見開いた。

 

『キラとカガリ』

 

 そこにはそう書かれている。

 

 きょうだい? 自分とキラが?

 

 戸惑うカガリ。

 

 ウズミはさらに、シンとマユを見た。

 

「君たちの事も聞いている。許してくれとは言えぬ。だが、どうか、この過酷な状況に負けないで生き続けてほしい」

「あ、はい・・・・・・」

 

 深々と頭を下げるウズミに、シンも、当初の燃えるような激情が嘘のように、恐縮して頭を下げ返している。

 

 彼等の両親を失わせた事の償いはできない。それがウズミには心残りであった。だが、それはもはや叶わない。あとは、娘たちに任せるしかなかった。

 

 ウズミは最後にもう一度、カガリを見た。

 

「お父様・・・・・・」

「そなたの父で、幸せであったよ」

 

 その言葉を最後に、クサナギのハッチが2人を分かつ。永遠に。

 

「お父様!!」

 

 ハッチについている窓にすがりつくカガリ。

 

 遠ざかっていくキャットウォーク上で、いとしい父の姿がどんどん小さくなる。

 

「行け、キサカ。頼んだぞ!!」

 

 やがて、その姿も見えなくなる。

 

 全ての悲しみと、決意を乗せて戦艦クサナギは動き出す。

 

《ディビジョンC以外の全要員退去を確認。オールシステムズ・ゴー。クサナギ、ファイナル・ローンチ・シークエンス、スタート。ハウメアの護りがあらん事を》

 

 ささやかな祈りの言葉と共に、全てが加速し始めた。

 

 

 

 

 

 レール上を弾丸のように加速するクサナギの姿が発着場から現れる。

 

 その様子は、マスドライバー上空で戦闘を繰り広げていたイリュージョンとジャスティスでも確認できた。

 

「来た、アスラン!!」

《ああ!!》

 

 2機は戦闘を強引に中断し、加速するクサナギへと向かう。

 

《おいおいおい》

「逃がすな!!」

 

 慌てて追いかける4機。

 

 しかし、マスドライバーが近いせいで、攻撃は加減した物にならざるを得ない。

 

 その間に、まずイリュージョンがクサナギの右舷へと取りついた。

 

 だが、後続するジャスティスが遅れ始めた。

 

「アスラン!!」

 

 手を伸ばすイリュージョン。

 

 もはや時間はない。最後のワンチャンスに全てを賭ける。

 

 その手が、

 

 2機の指が、

 

 互いにガッチリと結ばれた。

 

 そのままジャスティスを引き上げるイリュージョン。

 

 その間にも、4機の攻撃は続く。

 

 キラ、エスト、アスラン。

 

 それぞれに頷きあう。やる事が判っているのなら、そこに言葉はいらない。

 

 イリュージョンが背部の290ミリ狙撃砲、そして左手のビームガトリングを、ジャスティスがリフターから飛び出したビーム砲を構える。

 

 正確な照準などいらない。

 

 向けられるありったけの火力を、敵機正面の海面へと叩きつけた。

 

 立ち上る水柱が、4機の進路を数秒間塞ぐ。

 

 その数秒間があれば充分だった。

 

 その間にクサナギはレールから射出され、宇宙空間を目指して飛翔を始めた。

 

 

 

 

 

 その様子は、司令本部に残ったウズミ達首長からも見る事が出来た。

 

 ここにいるのは、オーブと運命を共にする事を選んだ者達ばかりである。

 

「種は飛んだ。これで良い」

 

 達観したつぶやきと共に、ウズミはパネルを操作する。

 

 安全装置を解除して、赤いボタンを押しこんだ。

 

「オーブも、世界も、奴等の良いようにはさせん」

 

 次の瞬間、閃光が包み込んだ。

 

 

 

 

 

 変化は突然だった。

 

 マスドライバーのレール各所に設けられた爆薬が一斉に爆発し、天へと上る為の橋が、炎に包まれて崩れ落ちていく。

 

 そして、モルゲンレーテでも。

 

 地下に仕掛けられた爆薬が一斉に爆発し、工廠を吹き飛ばしていく。

 

 歯嚙みしたのはアズラエルである。彼はマスドライバーとモルゲンレーテが欲しくてオーブへ侵攻したのである。その彼をあざ笑うかのように、その2つがオーブ自らの手によって爆破されてしまったのだ。

 

 これでは何の為に、渋る閣僚連中を強引に説得してオーブ侵攻を行ったのか判ったものではない。

 

 だが、悔しがったところでどうにもならない。

 

 彼が見ている目の前で、彼が欲した物すべてが灰と化していった。

 

 

 

 

 

 炎の中で、ウズミはもはや見える筈もない空を見上げた。

 

 これからオーブが辿る道は、過酷な物となるだろう。

 

 地球軍の占領を受け入れ、復興には相応の時間がかかるかもしれない。

 

 だが、それは後に残ったホムラ代表たちに任せるしかないだろう。

 

 そして、空に飛んだ種子達。

 

 愛しい娘達の事を思う。

 

 彼等が自分達の意思を継ぎ、きっと最後まで戦い抜いてくれる筈。

 

 惜しむらくは、その雄姿をこの目で見れない事だが、それも最早些細な事である。

 

 後を託せる者達がいる。

 

 ただそれだけの事が、ウズミにはこの上なく幸せに思えるのだった。

 

 そこまで考えて、ウズミの時は炎の中に永遠に閉ざされた。

 

 

 

 

 

PHASE-28「哀しみの飛翔」   終わり

 

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