美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話   作:佐藤サイトウ

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十五話 忙しいやつだな

「なにが起きたんだよマジで」

意識を失ってどれほどの時間が経ったのだろう。気がついたらやけにきらびやかな部屋のベッドの上に寝かされていた。しかし、これだけでは僕は驚かない。一度経験しているからな、目を覚ましたらわけわからん場所にいるなんてことは。

が、残念ながら今回はその例に漏れる異常事態である。この妖怪だらけの山で異常な事態以外が起きるかと聞かれれば首を捻らざるをえないが、まあいい。問題は

「なんで僕身ぐるみ剥がされてんの・・」

そう、前回と違い、僕の衣服が全て剥がされ一糸まとわぬ姿になっている。しかし、これすらまだ今僕の身に起きている異常な事態と比べてしまえばなんてことはない。

「なんで犀禍さんが裸で僕の隣で寝ているんですかねぇ・・・?」

彼女の寝息は意外にも静かで、微かに声を漏らすのみだ。

いや違う。

僕が考えるべきことはそんなことじゃない。

「これは、あれか。過ちを犯しちまったのか」

てかさっきまでの鳥の巣みたいな場所何処に行ったんだよ!これって、あれじゃん。いわゆるラブリーでスイートな部屋、というかホテル?じゃん!!!

「止めよう。深く考えてはいけない。まだ事後じゃなく事前かもしれない」

まだ慌てふためく時間じゃない。

「とりあえず、服だな」

と、己の姿を再び見た時、ふと気づく。

「狐のマフラーが、無い?」

いや尻尾か。ともかくだよ。狐と一定時間離れると僕は死ぬらしい。その真偽は不明だが、今はそうであると仮定する。僕の腹時計的に、先程意識を失ってから一刻以上は確実に経過しているだろう。そして僕のマフラーはない。これが意味することは、

「狐は近くにいる?」

「正解じゃ〜」

「わあ!?」

突然何もない空間から当たり前みたいに現れる狐に思わず声を上げる。おもむろに人知を超えないでくれ。

「ああ、安心せよ白。貴様が想像しているような事はうぬの身には起きておらぬよ」

「色々突っ込みたいことあるんだけど・・・まあいいや。それって、ベイビーをメイクしてたりすることであってる?」

「そうじゃ」

「よかった〜」

気を失っている間に子供が一人増えたとかだったら魂抜けるよホント。最悪の事体は避けられたみたいだね。

「ん?僕の身には起きておらぬって、なんだか僕以外の誰かの身に起きたみたいな言い方だね」

「・・・・・・・」

「狐?」

僕の純粋な疑問を受けた狐は笑顔のまま硬直する。

え、怖い。どういう意味の笑顔なんだそれ。

「とにかくじゃ、これを着ろ」

僕の疑問に答えず、僕が先程まで着ていたであろう黒いスーツとマフラーを僕に渡す。

「あ、どうも」

自身が全裸であることに改めて気が付き、慌てて着替える。

「あの、まじまじと見ないでくれませんか」

狐がこちらを凝視していることに気が付き、身を隠す。

「なぜじゃ?別に良いじゃろう?旦那様」

結婚をしたらプライバシーは失われるのか。初めて知ったよ畜生。

 

 

 

 

 

「それで、この状況はどういうことなんだよ、狐」

狐の視姦を躱しつつ、服を装着することに成功した。一安心したところで、この状況の説明を求める。なんかいつも状況の説明を聞いてる気がするな。

「教えぬ。最初に手伝わぬと言ったであろう。自分で考えて行動するのじゃ〜」

「最近の教育だと人間は言われたことしかやれねーんすよ」

「ふむ。なんとも非合理的な教育方法が取られていたのじゃな、人間社会。しかしじゃな、うぬは今妖怪社会に身を置いている。人間のやり方を引き合いに出すのはお門違いじゃろうよ」

「それもそうか」

「それもそうじゃ」

あれ、てかそもそも任された仕事ってなんだったっけ。確か彼女に人間を食わないでくださいって頼むのが本筋じゃなかったか。状況に流されるばかりで僕は彼女に対してなんのアクションも起こしていないじゃないか。とりあえず、次彼女が起きたら、開口一番頼むとするか。その後のことは、まあ後は野となれ山となれだ。

「んじゃま、僕今から犀禍さん起こすけど、狐は姿を隠さなくて良いのか?」

と、振り返り、先程まで狐が座っていた椅子を見やる。

・・・・・もういねぇし。

姿かたち、その存在の残穢すら残さず彼女は消えていた。

「今日の狐は神出鬼没だなぁ」

彼女は姿を消しているのか、それとも瞬間移動しているのか。まあ、そんな事はどうでもいい。

「起きたのか、はっくー!!」

「わああああああああ!?」

思考を切り替え、再び犀禍の方を見ようと振り返ると、彼女の顔が間近にあり、おもわず声を上げてしまった。

「いやーなかなか良かったぞ、はっくー!!今まで某と子作りしてる最中に動かなくならなかった男はお前が初めてだ!!これで婚姻の儀も済んだ!!今日からお前は某の旦那だ!!」

「待って待って待って」

待って待って待って。

「ん?どうかしたか!?」

矢継ぎ早に子作りだの婚姻だの旦那だの言われ、完璧に脳の処理が追いついていない僕に犀禍が詰め寄る。というか、彼女もまた先程の僕と同じで一糸まとわぬ姿であるため、目の置きどころがない。

何を言おう、何を言うべきだ。何をするべきだ。そうだ、頼むんだ!!

「人間を攫うのをもう止めてください!!!!!!」

脳みそがショートした結果、彼は目的を達することを無意識に選んだ。彼自身もこの状況でそんな整合性のないことを急に叫んでも、その要求が通るはずがないと知っている。しかし、人間は焦るとわけのわからない行動を取る。奇しくも元人間の彼は、その人間としての習性を引き継いでいた。

無論こんな要求が通るはずもなく

「ん??よく分からんが、旦那が言うなら某は良いぞ!!!」

通りましたね。なんなの?解説してやった時間返せボケ。

「ありがとうございます!!??」

もうわけがわからない。落ち着け、自分。頭を動かせ。今、よくわからないが僕の要求は通った。なら、次僕は何をするべきだ。

「よし、じゃあ記念にもう一回戦行っとくか!!!」

そう言って、彼女は僕をベッドに引きずり込む。状況を整理する時間はまた与えられなかった。

「・・・・・・っ・・・!?」

押し倒される。なんかすごく既視感がある状況だけど、今はそんな事を考えている暇はない。

狐の比ではない荒く熱い吐息がかかる。

「あれ、どこから取り出したんだ、その服!まあいいや、邪魔だから脱いでくれよ!!」

彼女が衣服に手をのばす。まずい。これから間違いなく良くないことが起こる。本当にまずい。抵抗しようとするが、彼女の力は僕を遥かに凌駕しており、伸ばす手が弾かれる。

「きゃーーーー!!!」

上半身の衣服が完璧にひん剥かれる。続いて、僕の下半身の衣服を剥がしにかかる犀禍を見て、僕を保っていた理性か何かの線が切れる。

恐怖に駆られた僕は、叫んだ。今ここにいないあやかし、もとい九尾の名前を。

「助けてええええええ、狐えええええ!!!!」

「来い、のほうが流行りを押さえていて良いと妾は思うぞ」

 




受験勉強が佳境なのでまたしばらく消えます。
ヤベェ久々すぎてタイトルしくった
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