美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話   作:佐藤サイトウ

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十七話 これは罰だ

「君は道化に興味はあるかい?」

保たれていた沈黙を、質問という形で破壊する。このまま無言を突き通そうかとも思ったが、案内してくれた恩もある。質問には答えるべきだろう。

「道化ってピエロの話か?」

とりあえず道化という単語を頭の中で検索してみたが、対応する言葉はピエロぐらいしか出てこなかった。

「なるほどね。じゃあ話を変えようか。不老の人間か、不死の妖怪か。選ぶとしたら、君はどっちがお好みかな?」

どうやらピエロは不正解だったようで、彼女が話題の転換を図る。お気に召す回答を出せなかった事に若干の申し訳無さを感じつつ

「不死の妖怪だ」

即答する。

「これははっきり答えるんだね。じゃあ掘り下げていこうか。さっきの説明に一つ追加で、もし動くことも叶わない付喪神や、理性の無い恐ろしい怪物になるとしても、それでも君は妖怪を選ぶのかい?」

「もちろん」

再び即答する。考えるまでもない。

「では、理由を教えてもらっていいかな?」

なんだか心理テストをしている気分にさせられる。まあ、口を動かすだけで良いから、ただ不快であるという一点を除いては特に苦でもないのだけれど。

「人間でいることに飽きたのさ。どうせ変わるなら心機一転、身も心も変わる方が良い」

無論、嘘だ。僕は人間が嫌いなだけだ。醜い人間が。そんなものになるくらいならば、悪鬼羅刹に堕ちる方が良い。例え永遠を鬼の姿で過ごす事になろうと、人間であることに比べれば何のことはない。

「なるほどね。ちなみに私は不老の人間を選んだ、君と反対だね」

「へー」

「ちょっとは興味を持った顔をしてよ」

適当な相槌を看破される。

そんな事言われても、人間の考えに興味など無い。

「おっと、自己紹介がまだだったね」

唐突に深々と被った帽子を脱ぎだす。そういえば、まだ顔を見るどころか名前すら聞いていなかった。

「私は、そうだなー、なんて名前にしようかなー」

「目の前で名前を考えるなよ。偽名を名乗るならせめて頭の中で考えてから言ってくれ」

わざとらしく自分の名前を考える彼女。

「そうだ、君が私に名前をつけてよ」

手をポンと叩いて、まるで何か世紀の大発見でもしたかのように顔を輝かせる彼女。

出会ってすぐの人間に名前をつけてって、なかなかにイカれてるな。

「断る」

勿論、謎の女性の名付け親なんぞにはなりたくない。

「えー。それじゃ君の名前をつけてあげるからー」

「なんでそうなる」

「え、君名前あるの!?」

「当たり前の事実に驚くな。森羅万象あらゆる現象に名前がついているのに僕だけ名前が無い訳ねーだろ」

こちらに詰め寄る彼女を避ける。

「何故近づく」

「どうして避けるのさ」

なんかキャラ変わってないか。さっきまでクール系の人間だった気がしたんだが、さっきまでの彼女は何処に消えたのだろうか。

「珍しいなぁ名前のある人間。私初めて見たよ。ただでさえ人間はもう殆どいなくなっちゃって、名前の価値は大変なことになってるっていうのに」

名前の価値?何言ってるんだこの人間は。名前に価値なんて無いだろう。

「珍しいなぁ珍しいなぁ。君良いねぇ、よく見たら顔も悪くないし」

「だから近づくなって」

興奮気味にこちらに近づく。止めてくれ、人間が僕に近寄るな。

「決めた、君私と一緒に・・・・っ・・・!?」

この展開の先が読めた僕は、彼女を黙らせることにした。武力行使ってやつだ。今までと違って、彼女は人間で、僕よりも力が弱い。気絶させるだけなら僕でもできる。

「・・・・どう・・して・・・・」

「申し訳ないが、そのまま眠っててくれ、人間」

気絶した彼女をエレベーターの隅に寝かせる。

「あ、帽子」

僕が殴った拍子に落とした帽子を拾い上げる。

「落としものは返さなきゃね」

独り言を呟きつつ、彼女の頭に帽子を被せる。

その瞬間、少し体勢を崩し、彼女の頭に触れてしまった。

「しまっ・・・・・」

僕がそう言い終わる前に、その場で僕も力なく倒れる。触れた指先から脳まで伝わる痛みに悶えながら、薄れていく意識をなんとか繋ぎ止めようとする。

しかし、僕の些細な抵抗に意味はない。

揺れる箱の中で、一人の人間と、一人の元人間が意識を失う。

 

 

 

 

 

 

「狐ぇ・・・。なんで騙したんだよぉ・・・・」

全裸で正座をしている犀禍。罰、というか妾の趣味で犀禍の服を取り上げ、消した。頑張って布地の少ない布団で色々隠そうとしているところが、嗜虐心を唆られる。

「騙してなどおらぬ。約束通り、婚姻可能な男を紹介し、妾はそれに一切手を出さなかったではないか」

「そうだけどぉ・・・。某、妻じゃなくて側室になっちゃったじゃないかぁ・・・」

「安心せい。白は妻に優劣はつけぬ。うぬにもちゃんと構ってくれるさ」

「ホントか!?」

パァっと伏せていた顔を満面の笑みを引っさげて上げる。

哀れではあるが、元はと言えば散々妾との約束を破った罰じゃ。願いを、多少意にそぐわない形ではあるが叶えてやったことに感謝すらして欲しいの。

「じゃが、子作りはダメじゃ」

「えーーーーーー!!!」

「安心せい。またいつでも批魅を貸してやる」

「やったーーーー!!!」

コロコロとよく変わる表情に感心しつつ、犀禍に服を着せる。

「うおおお!!何だこれ!!」

「妾好みの服じゃ。脱ぐなよ」

 

「では、白を回収しつつ、家路に着くとするか。ついてこい、犀禍」

「あいあいさ〜」

上機嫌な犀禍を連れて、部屋を出る。

「ふむ」

「どうかしたの??」

「どうやら白、なにか面倒に巻き込まれたようじゃ」

 




許して上げてください!!ちょっと人が嫌いなだけなんです!!根はいい子なんです!!


きっとほのぼのするから!!
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