美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話 作:佐藤サイトウ
「この様子じゃと、あやつまた何者かに騙され攫われておるようじゃな」
「はっくー騙されやすいのか!?」
犀禍に肩を掴ませ目的地へと向かう。先程白が誘拐された時と同じように、犀禍に肩を掴ませ運ばせる。違いがあるとすれば、本人の意思の有無であろう。
「騙されやすい、という表現は違うの。白は騙されているのではないかと訝しみはするが、その先に待つ未知に対しての好奇心を押さえられぬ様子じゃ。恐らく、未知を楽しんでいるのじゃな」
「へーーー!!変わってるねぇ!!」
「あくまで妾の意見じゃがな。本当の所、白が何を考えているかはまるでわからぬ。全てを受け身のまま流されているあやつを見ると、大切な何かが欠けているように見える」
「っていうと?」
犀禍が興味津々、みたいな表情を向ける。意外じゃ、こやつは他者に興味など無いと思っておったのじゃが・・・。
「あー結婚」
「ん?どうかしたか??」
「気にするでない」
話を流す。いくらこやつがアホの子であっても、騙されていることに気がついてしまうかもしれぬ。
気がつかれて困ることは、気がつかせないに越したことはない。
そう思考を切り替えつつ、続ける。
「自身の身を鑑みないということじゃ。目が覚めていきなり結婚してくれと頼む妾の願いを、拒絶せずわりとすんなり受け入れる、詳しい事を聞かずにな。当初は危機感が足りない愚者なのかとも思っていたのじゃが、そうでもないようじゃ」
「そういや某の求婚も若干しか嫌がってなかったしな〜」
「え」
「ん?」
この子、嫌がられているって自覚はあったのか。
「ふむ。まあ良い。そろそろ到着じゃな」
「そうなのか!今度またはっくーについて教えてくれよ!!」
「了解じゃ」
教えてくれ、ね。妾もあやつのことはよくわからぬ。そもそももともと人間であったかどうかも定かではない。本人に自覚がないのか、それとも妾を騙しているのか。そこをはっきりさせぬ限り、信用はまだできない・・・。
いや、と思考を切り替える。今考えても詮無きことというやつじゃ。
注意を真下の小さな建物に向ける。
「あの中にいる、のじゃが。座標がおかしいの」
尻尾の気配を辿ると、どうやらあの建物中にいるはずだが、高度がおかしい。見かけではあの建物の高さは十数メートルだが、白の現在の高度は数千メートルはくだらない位置だ。
「厄介じゃのう。まあ、旦那様の為に働いてやるとするかの」
「おう!!」
犀禍と共に、建物内部に足を踏み入れる。旦那探しのスタートじゃ。
いつだったか、人の思考が読めるようになったのは。物心をつけてしばらくしてから、だった気がする。条件は、頭に触れること。接触すると、鈍痛と共にそいつの脳にある情報が、全て僕の中に入ってくる。余すことなく、全てだ。心が増える。性格が増える。僕を僕だと感じる器官の増殖。
恐怖した、戦慄した。頭の中に一度入った情報は消すことは不可能と気がついてから、僕の心は一層砕け始めた。
「僕は、殺してないっっっ!!!!!」
額に脂汗が流れる。
「・・・・ははは、ここまで最悪な目覚めは久々だね」
嫌な、夢を見た。忘れよう、嫌なことは。考えれば考えるほど不幸になる、惨めになる、苦しくなる。
「ここは、エレベーター?」
そうだ、思い出した。気絶したのだ、僕は。
「うっっ・・・・」
脳が割れたと錯覚する程の頭痛。僕の脳が多大な情報の整理をする際に、人格を処理するために全力で稼働する。
このままでは、目の前で気絶している彼女が僕の中に入ってきてしまう。
本来、止める術はない。今まで三度、同じ失態を演じた。処理に必要な時間は数十分、その時間が経過すれば、僕の中にまた新しい人格ができてしまう。
「・・・それは、ごめんだね」
三人を封じるだけでもギリギリなのに、更に増えたら僕の心が持たないかもしれない。
何か、無いか。方法が、この状態を打破する名案が。
「あれは、なんだ?」
彼女の懐の中から、何かが飛び出している。脳の激痛に悶つつ、それを手に取る。
見ればそれは、ナイフだった。赤い錆が付着している所を見るに、恐らく長い間使っているものなのだろう。
「殺人犯か何かですか。いや、動物を捌いただけかもしれない。・・・どちらにせよ、もう少しで分かることだけれどね」
・・・・待てよ。
「もしかしてだけど、これで脳の処理を止めることができるのでは?」
これを頭にぶっ刺して、物理的に脳の処理を止めれば良いのでは?僕は幸い不死身だし、すぐに治るかもしれない。
「もし治らなくても、このまま精神崩壊するよりかはマシかもね・・・」
悩んでいる暇は、残念ながらあまりない。
そして、ごちゃごちゃ悩むのは好きじゃない。
即断即決即行動、それが僕の美学だ。
「頼むぜぇ、僕」
ナイフの切っ先を自身の頭に向ける。
・・・まあ最悪死んでも、狐がなんとかしてくれるだろう、多分。
「いざっ!!」
逝ってみよー!!!
ちなみに題名のいざ逝かん、は私も明後日受験なのでその意気込みを込めてです。死ぬ気はないです。
「てめぇ受験生のくせにこんなもん書いてる暇あったら勉強しろやカス」って思われるかもしれんませんが、私は小説を一日1時間書いて、11時間勉強して、9時間寝て、残りはお風呂とかご飯とかに時間を使っています。ちゃんと勉強しては、います、多分。
ずっと英語を日本語に訳せと強要する赤い本と青い本に苦しめさせられる毎日です。
さて、ここからが本題なのですが、25日受験なので、恐らくしばらく失踪します。テストの感触によりますが、早ければ3月上旬、遅ければ下旬です。
(落ちたら消滅します)
拙い文章の作品ではありますが、楽しみにしていただけている方がいらっしゃいましたら、お詫び申し上げさせていただきます。
それではまた皆様にお会いできるよう、受験の濁流に揉まれてきます。
しばしの別れになることを切に願います。
では、また。