美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話   作:佐藤サイトウ

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十九話 そして彼は気が付かない

さてとさてさて。僕は誰で、君は誰だ。いや、わかっているよ。僕は僕で君は君だ。しかしいくら理解しているとはいえ、その境界線が曖昧になってしまえば、溶けて混ざってしまえば、認識は困難になるだろう?難しい話はやめにしよう。状況の打破、現状の改善。僕たちがすべきことは、そのたった二つなのだから。

 

「ふう、何とかなったみたいだ」

自身の状況を再確認する。僕は白宗治。狐に食われ、旦那となった数奇な人間だ。

うん、大丈夫。記憶は確かだ。

頭に深々と突き刺さるナイフを抜き、そっと目の前で眠る彼女の懐の中にしまう。

「じゃあ、君には悪いけれど、僕はここから脱出させてもらう」

そう、捨てるように言い残し、開いたエレベーターの扉をくぐる。変わらず文字は読めないが、止まったということは、地上に出たのだと信じたい。

 

 

扉の先には、巨大な空間が広がっていた。僕が昔通っていた学校の体育館が五つは入るであろうそのあまりにも巨大な空間は、ただ白かった。

白かったのだ。辺り一面、もの一つ置かれていないその空間は、壁、床、天井。そのすべてが白かった。照明などは見当たらないが、いったいどういう原理で明るさを保っているのかが不思議でならない。

「ふむ。空間を圧縮しておるわけか。何の意味があってこれほど膨大な術式を編んだのやら」

「なんだここ!めちゃくちゃ広いな狐!!!白すぎじゃん!!!」

微かに、奥の方から聞きなれた声と、聞きたくなかった声が聞こえる。

「さて白よ。お疲れじゃったな。帰るぞ」

「うわああ!?」

声がする方を凝視していたら、突然狐が僕の目の前に現れる。

平然とワープしないでほしい。

どういう原理でやってんのそれ。

「おぬし、そろそろ慣れろ。これしきで驚いておっては身が持たぬぞ」

思わず腰を抜かしてしまった僕に、狐が手を差し伸べる。

「今のでお腹いっぱいだよ。超常現象を軽いノリでしないでよねまったく」

そう、狐の手を取ろうとした刹那

 

黒い閃光が、僕の体を貫く。

 

突然の急展開に、頭が追い付かなかったが、どうやら僕のお腹を何かが貫通したようだ。

「え、なになにどゆこと」

無論、毎度のことのように痛みは無く、傷もすぐさま再生したから問題は無い。

しかし、先ほどの飛翔体は僕を貫通していった。それが意味するところは、狐にも被害が及ぶということ・・・・!

「狐!!!」

「許シテ許シテ許シテ」

「貴様がこの建物の管理人か」

狐の方を見ると、何か、虫のような小さな飛翔体をつまんでいた。

あれ、もしかしてさっきの掴んだの?あの速さのやつ?

「え、狐何それ」

「ふむ。恐らくじゃが、貴様を誘拐した犯人じゃ。いや、人ではないがの」

「そりゃみればわかるけど」

蠅のような見た目をした、生理的嫌悪感を振りまくそれは、狐の手を逃れようと必死に体を動かすが、当然逃れられることもなかった。

「許シテ許シテ許シテ」

「何それ狐!食べていい!?」

天狗の少女、犀禍がその羽を広げてやってくる。服装が、何故かメイド服になっているのだが、それは詮索しない方がいいのであろうか。いやまて、そんなことより、メイド服をそんなことと吐き捨てられる発言を、いま彼女がした気がするのだが、気のせいだろうか。

「いや、駄目じゃ。のう、貴様。金輪際無差別にあやかしを襲わぬと誓うか?」

「誓イマス誓イマス」

蠅のような謎の生き物は、必死の形相、といっても顔のほとんどは複眼であるが、首のように見える部分を縦に振る。

「ならば、良し。次は無いから覚悟しておくのじゃぞ」

そう言って、蠅のような生き物を解放する。再び黒い閃光へと姿を変え、何処かへ飛び去って行った。

 

 

「はっくー!好きだぞー!!!」

愛の告白を、僕に抱き着きながら決行する犀禍。

「あの、狐さん?なんでこの子まで家におるの?」

「ふむ。まあ、成り行きでの。気にするでない」

気になるわ。超絶気になるわ。

社に着き次第、ずっと僕の頬に顔を擦り付けられて、かれこれ一時間が経過しようとしている。

「好きだ好きだ好きだ!愛してる!」

身に覚えのない愛を叫ばれましても。僕は今日君に出会ったばっかりだし、特に好かれるようなこともしていないのだけれど。

「白よ。そやつは究極的に頭が悪い。そやつの言動に驚かされることもあるじゃろうが、頑張って相手をしてやってくれ」

「なんて無茶な要求」

相手をしてくれって。ずっとこの調子だったら流石に体が持たないのだけれど。

などと、くだらない時間が過ぎていく。

 

 

 

 

 

黒い閃光が、社の上空を飛び回る。甘美で、豊満な、あの人間。その味を覚えてしまった。

当初の目的を忘れ、遠目から白をその複眼全てで捉える。

今は、駄目だ。

けれど、時間がたてば。

あの怪物が寝れば。

食える。もう一度。

「食ウ食ウ」

半端に知性を付けた、蠅のような怪物は、ただその二文字を復唱する。

「食ウ食ウ食ウ食ウ食ウ食ウ食ウ食ウ」

僅かに与えられた知性をかなぐり捨て、元の人食いの怪物の本性をあらわにする。

 

 

「二度は無いと言うたじゃろう?」

 

 

そう、どこかから声が響くと、蠅のような化け物は、紫色の火に飲まれる。

逃げる暇も、消火する暇も与えられず、そのまま黒い灰となり、空中を舞う。

 

 

「まったく。損な仕事じゃよ」

「ん?どしたの」

「いや、なんでもないさ」

ちゃぽん、と水滴が天井から零れ、湯舟へと当たる音が響く。

「当たり前みたいにさ、お風呂一緒に入らないでいただけます?」

「嫌か?」

「嫌ではないけどさ」

 

 




お久しぶりです受かりました。
やったあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。
言い訳をしよう。釈明をします。
さて、何故こんなにも時間が空いたのか。
人間とは、不思議なもので環境が変われば思考が変わる。
ごめんなさいパソコンぶっ壊れたから届くまで待ってました。
スマホでも書けないことないけどこれはパソコンで書きたかったですすみません。
許してください。
なんでも
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