美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話   作:佐藤サイトウ

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二話 ちょっと待つんだ

002

 

 

「ん?あり、もう朝か。ってどこだここ」

少年、白は自身が全く見覚えのない古びた建物にいることに気がつく。

「ん〜?あれ昨日って確か狸追っかけて迷って、それから・・・・」

はっ、と再び気がつく。

「僕確か食べられたんじゃなかったんだっけ!?なんで普通に生きてるのさ」

自分の状態を確認するが、体に痛みはない。五体満足の状態だ。

「いや、ここが死後の世界という可能性も・・・・」

慌てて自身の影を見るが普通にある。そこでグーっとお腹が鳴る音を聞いて、今度こそ確信する。

「なんで生きてんの?」

「目を覚ましたのか」

背後から突然声を掛けられる。振り返ると、巫女のような服装をした少女、僕を食べたはずのあの少女が立っていた。

「あの、なんで僕生きてるの?」

「それな。なんでうぬ生きてるんじゃ?」

それなて。

てかあんたも分かって無いのかよ。

「妾は確かにうぬを文字通りにちぎっては食べちぎっては食べと繰り返していたんじゃがな。どれだけ食ってもうぬの体が食べたところから生えてきてのう。おかげで腹いっぱい食わせてもらったのじゃが、貴様普通に生きているし。もしや仙人や何かだったりすのかの?」

「いや、普通の一般家庭生まれのただの人間ですよ。てか僕がそんなグロテスクな事されてたって事に衝撃を受けてるんですけども」

「食うのじゃ、細かく一口大にするのは当たり前じゃろう。まあ生きているのじゃ。命あっての物種というじゃろう、まずは喜ぶのが先決じゃろうて」

「そうですけれども」

「はあ。しかし、困ったのう。貴様が生きているおかげで面倒ができてしまった」

憂鬱そうに巫女服姿の美少女が声を漏らす。自分を食べる前に見せた尊大な怪物見たいなオーラが見る影もない。

「面倒ってなんですか?」

「思ったのじゃが貴様、先程からリアクションがなさすぎやしないかのう。もう少し驚いたりとかしても良いのじゃぞ?」

もっともな指摘を受ける。

「あー昔からあんまり感情表に出ないんすよ。でも心の中じゃ超絶動揺してるんで、お構いなく」

「そ、そうか」

少し驚いた表情で僕を見る。驚いたりとか悲しんだりとか、そういった感情の機微は昔からあんまり表情に出ない。そのため冷血漢だと勘違いされがちなのだが、心の中だとしっかり腰を抜かすし涙も流す。なんなら人より繊細だという自負もある。

「それで、面倒ってなんです?」

と、そんな思考を追いやり、再び同じ問を投げかける。

「妾とうぬな、どうやら結婚せねばならなくなってしまったのじゃ」

言葉の意味がよく理解できない。

「今なんて言いました?」

「いや、どうやらの。結婚せねばならんのじゃ」

あ、聞き違いじゃないのね。

「マジ?」

「マジじゃ」

マジか。

「狐の嫁入りならぬ、狐の婿入りじゃな。まあ妾と結婚できるのじゃ。喜ぶが良い」

「いや確かに、貴方みたい美少女と結婚できるのなら願ったり叶ったりですけども。脈絡なさすぎやしませんか?なんでそんなことになるんです?」

「妖怪の世界にも色々あるのじゃ。まあ理由は追って説明するから安心せい。ともかく今はやるべきことがあるのじゃよ。それを済ませてしまわねば」

状況に驚く暇を全く与えられず、話が進んでいく。そろそろ一段落して一旦状況を整理したいんだけれども。まあとりあえずそのせねばならん事ってやつを聞かせてもらってからにしようか。

「せねばならんことってなんですじゃ?」

「ああ。まあ婚姻の儀ってやつじゃな」

あー本当に展開が急だ。まだ目覚めて二分も経って無いんだけれど。

「はあ。具体的に何をするんですか?」

「ああ、子作りじゃ」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?

いや流石に聞き違いでしょうよ。うんナイナイ。

流石にね?

「すみません。よく聞こえませんでした。なんておっしゃいましたか?」

「いや、だから、我とうぬでセッ」

「わかりました!!!!みなまで言わなくても結構です!!とりあえず一旦お話ししましょうか!!!!!」

「おおうなんじゃ、感情は表に出ないのではなかったのか。もしや不満なのか?妾とて乙女。はっきりと拒絶されると多少なり傷ついてしまうぞ」

「いや、不満はまったくないんですけどね。ちょっと、ちょっとまってください」




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