美少女九尾に喰われたと思ったら生きてて結婚することになった話   作:佐藤サイトウ

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三話 キスめっちゃ怖い

「ちょっと、とりあえず一旦そこ座ってください」

状況を整理したい。時間が欲しい、情報がほしい。

「妾がうぬに従う理由もなかろうて」

構わずこちらに近づいてくる。待ってくれー。一段落させてくれーーー。

「分かりました。では理由だけでも教えてくれませんか」

眼前に迫る少女、狐といったか。に再び乞う。

「ふむ。では断ると丁寧な返事でも返してやろうかの」

そう言った彼女は僕の首根っこを掴む。

一瞬何をされたかわからなかったが、どうやら猫のように首を掴まれて運ばれている。

「息、ができ、ない・・・・・」

当然僕は人間なので首を掴まれて持ち上げられると息ができなくなる。

「おっとすまんの。ついいつもの癖での。そう言えばうぬは強度は人間であったの」

「危うく窒息するところでしたよ・・・もうちょっと加減してくださいよ」

「すまんの白、だったか」

一瞬何を言ったのか理解できなかったが、そう言えば自分の名前を偽った記憶がある。

「白であっていますよ。そちらは狐さん?であってる?」

「うむ。あっておるぞ。ついでに言わせてもらうと、敬語でもタメ口、どちらでも構わぬが、可能ならどちらかに統一してはくれぬか。なんだかやりにくいのじゃ」

「じゃあ狐、よろしく」

「まさかのタメ口を選択するとは、これは予想外じゃった」

カッカッカと高笑いを上げる。何がそんなに面白いのかは不明だが、笑っていただけたのであれば幸いだ。

「それじゃあ白よ。早速婚姻を結ぼうではないか」

あ、そういえばそうでしたね。

「百歩譲って結婚するのはいいんですけどね。ちょっと子作りはまだ早いかな〜って思ったりするんですよ」

「やはり妾の見た目が気に食わぬのか?まあ当然か、齢数百歳のおばあさんだからの」

「いや見た目に不満は零 -ZERO-ですね。ちゃんと鏡見てます?めちゃくちゃ可愛いですよ。年の差と言うには結構離れてますけど」

「ではなぜ拒む」

僕の瞳をじっと覗き込む。

拒む理由か。まあ色々あるけどやっぱり

「初対面でそういうのどうかなぁって」

「・・・・・ふむ。人間ではそうなのか」

「人間の感覚だと普通はそういう事は結婚してしばらくした後にやるもんなんよ」

「なるほどな。種の繁栄だけを目的に生きているだけではないのか」

そりゃそうよ。どんな蛮族だよそれ。・・・・・・まああながち否定はできないけれど。

「兎にも角にも、子作りは却下だ。それ以外でなんかないの、儀式の方法」

なぜ結婚するかもわからないのに、その上いきなりセッ・・・は無理だ。

「大分グレードは下がるが、一応キスでも認可される」

ふむぅ。キスかぁ。いやまあアレよりマシだけどさぁー。それもやっぱり初対面でやるようなことじゃないよねぇ。

「なるほどな。じゃあまあそれで行きましょうよ」

「うーむ。オススメはせぬのじゃが・・・まあ貴様が言うのであれば分かった。了承しよう」

そういうやいなや、突然僕の顔を掴む。

「え、あの。もしかして今するの・・・・?」

「うむ。目をつぶっておれ、すぐ済む」

彼女の唇が触れる。柔らかい感触が伝わる。

「・・・・・・」

唇を重ね合わせた後、彼女の舌が僕の口に入る。あ、ここまでするのね。

「・・・・・・・・・ン」

微かな吐息を漏らす。

なんか長くね。というかそろそろ呼吸がしんどいのだけど。

「・・・・・・・ぷはぁ〜。ほへ、ふんだほ」

そう言って僕の口から顔を離す。喋り方がおかしいと思ったら、何かをくわえている。

何を咥えているのか、質問しようとするが、なぜか声が出ない。代わりに、僕の口から鮮血が一瞬吹き出したと思ったら、すぐに消えた。

「え?」

何が起きたのかまるで理解できなかったが、彼女が咥えているものを見て、ようやく自身の身に起きた不幸について気がつく。

「もしかして、それ僕の舌?」

彼女はゴクリとそれを、かつて僕の体の一部であった物を飲み込む。

口元に血が垂れている様子は、恐怖というよりも、彼女の美貌に相まってなぜだか美しいと思える。

「・・・・ふう。相変わらずうぬは美味じゃのう。その通り、あれはうぬの舌じゃ」

「えぇ・・・。うわなんかすぐ生えてきたんですけど」

「言ったであろう、貴様はいくら食ってもそこから生えてきたと」

アレほんとだったんだ。

「婚姻の儀式とは、相手の一部を嫁となるものが飲み込むのじゃ。本来それはまぐわいの最中で済ませるらしいのじゃが」

「えぇ・・・・・(ドン引き)」

「いやだってうぬ性交はしたくないと言ったではないか」

「言いましたけどぉ、まさか舌喰われるとは思わないじゃんか」

予想外だった。いや予測できたら怖いだろう、舌喰われるなんて。

「一度全身を食い尽くされたのだ、それに比べればまだ良いじゃろて」

「それは、そうだけど」

「ま、何はともあれ、貴様はこれで妾の旦那になった。結んだ縁、これより例え互いに失せようと消えるものではないぞ」

「えええ・・。まあ分かったよ。とりあえずよろしく」

「うむ」

 

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