駄文かもしれないので気軽に呼んでください。
十香デッドエンド&迅コントラクト Ⅰ
真っ白な部屋…ベッドから見える窓の外が好きだった。
そこから見える景色は…この部屋の中で唯一代わり映えがしてくれる。
「…」
僕は…この景色が好きだった。
お姉ちゃんと一緒に見られる景色が好きだった…でも、今は嫌いだ。
そのお姉ちゃんは、もう居ないのだから…
「……」
生き甲斐だったのかもしれない…このベッドから出られない体にとって唯一の生きた心地だった。
それももう無くなってしまったから…もう一週間が過ぎた。
「………居るかい?」
誰かへの言葉…その返事は自分の内側から返ってきた。
『ああ……決めたのか?』
「うん。決めたよ…契約しよう。」
これ以上現実を逃避しても仕方ない。
『そうかよ…けどよぉ。俺が言うのも何だが分かってるのか?俺と契約すればお前の存在は、一度この世から消えるんだぜ?』
「…どうせこんな体だ。父さんも母さんも居ない。希望も失った…だったら、もう良いよ。」
人生を諦めた…僕の心は今、そんな負の感情で満たされている。
何かもう何もかも如何でも良い…それならいっそのこと…自分を0にしたい。
『あのお嬢ちゃんか…何でああいう子は長生きできないだろうな。逆に心の醜い奴らは糞虫並みにしぶといと来るからな。』
「……それに、死ぬ訳でもないんだ……ひょっとしたら、第二の人生も楽しいかも知れない。」
『そうなれば良いけどな…さて、じゃあ、契約の話を進めようか。代価は脚を払い、俺の脚を手に入れる。そして死後の魂は俺の魔力となる…輪廻転生は永遠に出来ない。分かったな?』
「ああ。それで良いよ…一度、自由に外を歩いて回ってみたかったからさ。丁度良いよ。」
『じゃあ契約成立だ…これからよろしくな、相棒』
「ああ、此方こそよろしく…【強欲(マモン)】。」
「んん……?」
目を覚ますと時計のアラームが鳴り響いている。
如何やら夢を見ていたみたいだ…
『よぉ。懐かしい夢を見ていたな…。』
「そうだね…契約した日を夢で見るなんて、今日は何か特別な始まりが起こりそうだ。」
あれから2年くらいが経ったか…無駄な時間だと思っていると月日が経つのは長く感じるのに、楽しいと思うとどうしてこう短く感じてしまうのだろう。
体を伸ばして眠気を吹き飛ばすとベッドから降りる。
「……………。」
立ち上がった時…ふと両足をなでてみる。
撫でた感触が脚に伝わる…。
当たり前の事だが…あの2年前まで僕、【鴉間迅(からすまじん)】にはそれが当たり前ではなかったのだ。
『どうだ?脚の具合は?』
「これ以上にないくらい…最高だよ。」
虚無に駆られたあの日々が嘘のようだ…。
今が…夢のようだと思っている。
代償は…大きかったかもしれないが、当時の僕には羽毛のような軽さだった
『今更だが、寂しくはないのか?』
「…別に、一人暮らしは割と楽しいよ…いや、一人ではないね。今は君が居る。」
『おいおい…こそばゆい事言うなよ。しかも俺に対してよぉ。』
「良いじゃないか。僕は本心なんだから…それとも、やっぱりと契約したこと、後悔してる?」
『まさか、俺は今の身体はそれなりに気に入ってるぜ?相棒…。』
相棒か…そうだね。この短期間でも十分な時間を共有してる。
僕は彼のおかげで今がある…彼は僕のおかげで此処に居る
「そろそろご飯食べよう…士道達も起きてるだろうし……。」
カーテンを開けて隣の家を見てみる。
中で何が起こっているかなどわからないけど…今頃、妹さんに起こされてるんだろう。
寝巻きから制服に着替えてから下の階に降りる。
下の階のテレビをつけると丁度ニュースをやっている
「…今日から高校2年生か。」
都立来禅高校…僕が通う学校の名前。
別段…特別な部分はない普通の高校だ…。
とは言え、今現状のこの世界の普通は普段使われる普通じゃない。
現に今、それを放映しているニュースが証明している。
【空間震】
空間の地震と言われる広域空間震動現象。
発生原因、発生時期の一切が不明。
被害規模不確定の爆発、震動、消失などの現象の総称だ。
この現象が初めて確認されたのは30年前のユーラシア大陸の中央…その周囲一帯がごっそりと抉られ死傷者、およそ1億5000万人と言う大災害と化した。
それから半年…その空間震を機に各地でもそれらは発生した
そして、今僕らが住んでいるこの東京南部から神奈川県北部…天宮市も空間震によって抉られた土地を復興して出来た土地…普段は普通の居住区として機能しているが空間震が起こりそうになれば強固な地下シェルターによって居住区・民間人を避難・保護する仕組みがある。
『近いな…これは何かの予兆か?』
「如何だろね…出来た。」
半熟の目玉焼きをついさっき焼きあがったトーストの上に乗せる。
さらに一緒に焼いていたハムを小皿に乗せてテーブルの上に置き…いただきます、そう言ってからパンと一緒に食べる。
食べてから歯を磨き、髪の毛を整える。 忘れ物がないかを確認してからカバンを持って、靴を履く。 扉を開ける前に靴棚の上に花瓶と一緒に飾ってある写真を見る。
若い男性と女性が移った写真…だが、少し妙な写真。
男性は丁度写真の真ん中に何か写すように何かを持っている様な腕の組み方をしている…だが、そこには何もない。
「……行って来ます。父さん・母さん。」
一年間歩き慣れた登校路を一人で歩く…
「~♪」
耳には周囲の音がある程度は聞こえる程度の音量でイヤホンを付けている。
『おい、隣を待たなくて良かったのか?』
「良いさ…兄妹水入らずを邪魔には出来ないさ…。」
それに学校でどうせ会うだろうし…
それまでは適当に時間を潰してればいいんだ…。
「………」
そう…兄と妹…時間を共有できる時は共有しないと。
ずっと、一緒って訳ではないのだから……。
「……………」
イヤホンから綺麗な歌声…大好きでもう居ない人の歌。
どんなに思っても、お姉ちゃんが帰って来る事なんてないのに…。
「僕も未練がましいよねぇ…過ぎた事を何時までもさ。」
『……それも、人間の一面だろう相棒。それに、そういうのは未練とは言わねぇよ。 名残、思い出って言うのさ』
来禅高校についた。クラスを確認してから教室に向かう。
途中で会う知ってる顔には適当に挨拶を交わし、知らない奴は基本的に無視する。
クラスに着いてから
「……ああ、良かった。知り合いが居るよ」
自分の一つ後ろの席には『五河士道』を見て少し安心した。
せっかくの学校だ…友人と同じクラスなのは気が楽で良い…。
「よっ、鴉間。」
席を確認すると横から声を掛けられる。声を掛けてきたのは髪をワックスで固めた男子。
「何だ、殿町か…」
いつの間にか後ろに居たのは殿町宏人と言う男子生徒…モテたい盛りのごく普通の高校生だ。
士道の友人…つまり僕との関係は【友達の友達】かな。 彼本人は友達と思っているようだけど。
「何だって何だよ、何だって…酷いじゃねぇか。」
「ゴメンゴメン…げぇっ、殿町!」
「俺は三国志の英雄か?!」
「じゃあこれかな?おぇっ、殿町…」
「人の名前呼んで吐こうとするなぁ!!!」
こっちのボケに対してはそこそこ適切な突っ込みを入れる…まぁ、弄ると面白いから良いけど。
「まぁ、弄るのはこれくらいにして…僕に何か用、士道ならまだ来ないよ。」
「何だ、一緒じゃなかったのかよ…家隣同士だろ?」
「妹ちゃんとイチャイチャしてたみたいだから放って来た」
「いや、兄と妹でイチャイチャ…って、アウトじゃねぇか。」
「さぁ~?そこはあれじゃない?背徳感に燃え上がるって奴…」
「お前らさっきから俺の事なんだと思ってるんだ!!!!」
っと、殿町と僕に対して第三者からの怒りの声…そこに居たのは紺色の髪にそこそこ整った顔立ちの男子高校生
五河士道がそこに居た。
「あ、士道!!おはよう♪」
「おう、おはよう迅…じゃねぇよ!!人が居ない間に好き勝手言いやがって!!」
「ごめんごめん…ちょっと軽いジョークが過ぎたよ。」
「お前の本気と冗談の境は分からん。」
「ん~~さっきのは3:7の比率かな…因みに7の方が本気だよ」
「殆ど本気じゃねぇか!!?全然軽くないし、寧ろ重いぞ!!」
「大丈夫!【近親××】までは言ってない!」
「誇って言うものじゃない!!それに俺と琴理は義理だぞ」
「ああ…そういえばそうだったね。じゃあ、【合法】か」
「そういう問題じゃねぇだろ!!」
「五河、鴉間の言葉を真に受けるなよ…」
「あれ?居たの殿町?」
「視界に入っている筈なのに忘れられていたのか俺!?」
「ハッハッハ…僕の弄りに着いて来られるとでも、思っていたのかァ?」
などと三人で談笑している…とは言っても、他者から見れば、僕が二人を振り回しているように見えるだろうけど…
「五河士道」
「「「ん?」」」
思わず反応してしまった。
そこに居たのは白髪で無表情の女子生徒…見た事あるけど、誰だっけ?
「な、何で俺のことを?」
「覚えてないの?」
「………」
「そう。」
女子生徒はそれだけ言うと自分の席に座り分厚い本を広げて読み始めてしまった。
「あの子…確か【鳶一折紙】だっけ?」
「鳶一折紙?」
「何だよ、本当に知らないのか?家の高校が誇る超天才。成績は常に学年主席、この前の模試に至っちゃ全国トップとかいう頭のおかしい数字だ。しかも体育の成績もトップ、ついでに美人ときている。けど、あの無表情…【マヒャドデス】・【永久凍土】なんて呼ばれて何人もの男子が撃沈してる。因みに学校の恋人にしたい女子ランキングベスト13で3位だ。」
殿町の長い説明で思い出した…まぁ、如何でもいいけど…それよりも士道はまだピンと来てないみたいだね。
「ベスト13って中途半端だな」
「主催が13位だからな…因みに『恋人にしたい男子ランキング』はベスト358まで発表されたぞ。」
「諦めの悪い男子だね…顔が見てみたいよ。」
「………俺だよ。」
「そっか…」
「辞めて!!!そんな視線で俺を見ないでくれ!!!」
今にも泣きそうな表情で叫ぶ殿町を置いといて、彼のポケットからランキング表を奪い取って広げる。
「…なんだ、殆ど0票ばっかりじゃないか。せめて殿町以外に1票ずつ入ってたら面白かったのに……あ、士道にも1票入ってるよ。案外さっきの……えっと、誰だっけ?」
「鳶一折紙な…本当に名前覚えるの苦手だよな。」
「ハハハ…違うよ士道、苦手じゃなくて、元々覚える気がないだけだよ。」
覚えているのは興味をそそる人間だけ…目の前の士道の様に。
殿町はついでな感じで自然に覚えてしまったけど……始めて士道に会った時は驚いた。
だって…【人間が持ってない力】をこいつは隠してるんだもん。自覚してないみたいだけど、こんな面白いことは滅多にない。知りたい…見たい。 力を…そんな気持ちで最初に近づいて、人間的にも結構面白いから今日まで付き合っている。
「うん、僕は…66票で5位か。いやぁ~僕はもてるねぇ。」
「それは俺に対しての嫌味か?」
「大丈夫だよ、殿町…素敵な出会いがあるさ。きっと、いや、多分、ひょっとしたら?もしかしたら…万に一つの可能性」
「どんどん確率下がってるじゃねぇか!!!チクショー!!!」
教室から飛び出しそうになった殿町はチャイムによって止められた。
そのまま席に着くと先生が入ってくる。
岡峰珠恵…1年の時も担任だっけ?
ほんわかしていて生徒達からも人気のある教諭だ。
何だかお母さん…みたいな雰囲気がするけど、あの人まだ独身なんだよなぁ…
「……」
『如何だ、相棒?』
そうだね…別に退屈はしなさそうだよ…【強欲(マモン)】は如何思う?
『そうだな…何処にいてもそうだが、人間の世界には何時だって欲望が付き纏う。俺は悪くねぇぜ。』
なら…良かった。帰りには何処かでご飯食べに行こうか。士道達も誘って。
『好きにしな…また暫く寝させてもらうぜ。』
「はいはい………さてっと、何だか、面白いことが始まりそうだな。」
第1話更新しました。
『悪魔』とありますが『七つの大罪』の悪魔がモデルです。
カッコいいですよね?『七つの大罪』って、特に響きが!!