デート・ア・ライブ&クライム   作:星の翼

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デート・ア・ライブ・・・劇場化…だと?!


四糸乃編
四糸乃パペット&怠惰アンノウン&色欲マーセナリー Ⅰ


精霊【プリンセス】こと、【夜刀神十香】が来禅高校に転向してきて早くも数日が経過した。

転校して早々は―それはもう、鳶一折紙との士道を中心としたいざこざ争いは絶えず、その度に士道が胃に穴を空けるかもれしれないのに、二人を必死に説得して事なきを得るが毎日だった。

それを殿町以下―もてない男子達が嫉妬の混ざった視線で士道をにらみつけるのだが、こうやって冷静に物事を見ている立場で言うのなら、士道と交代する権利を貰ったとしても謹んでご遠慮いたしますよ。―はい。寛大な士道だってあの顔なんだから、常人なら大よそ20分で胃に穴空けるでしょうね、間違いなく…

 

とは言え、十香ちゃんは殆ど士道に対してベッタリなのは僕の目から見ても明らかな事、士道以外に関わりを持っているのは、僕と令音さんくらいで、他の生徒教師に対してはまだ警戒心からか関わりを持とうとはしていない。

あの容姿、この性格もあって―既に殿町経由の情報から【恋人にしたい女子ランキング】内では転校初日から凄まじい数の票を手に入れて一気に上位4位まで上り詰めてしまったのだ。

それでも、3位の折紙には1年生からと言うボーナスもあるので追いつけては居ない。けど、その票を抜けば恐らく良い勝負になるだろう。

 

さて―今の目の前に話を戻そう。

先に話しておくと僕が通う来禅高校では実習系統の教科では個人の作業量が充実化するためとか何とかな理由で実験的に、同じクラスでも少人数に分かれて行う―そして、今は家庭科の教科で一部の生徒が調理実習を行い、他の生徒達は教室にて自習と言う名の自由時間をすごしていた。

これが何の話なんだと言えば―

 

 

「シドー!クッキィというのを作ったぞ!」

 

元気良く教室の扉が開かれたと思うと水晶の如く目をきらきらと輝かせた件の少女【夜刀神十香】ちゃんが教室に入って来ると、真っ直ぐ士道に向けて手にした容器を突き出してくる。

そう―今日の調理実習の生徒には何と言っても、十香ちゃんが含まれていたのだあ!まぁ、女の子なら自分の作った食べ物を大好きな人に食べて貰いたいというの気持ちは強いのであって…はい!そりゃあもう見ていてニヤニヤしちゃいますよ!!

『いやぁ~甘々しくて胸焼けがしてくるぜ』

あんなにまぶしい笑顔だもん―後ろに後光が差して見えるよ?うおっまぶし?!

 

「ファァァァックファァァァァァック死んだ五河だけが良い五河だ。」

「まぁ、元気出せよ【負け犬】。」

「おま…羨ましくないのかよ?」

「だぁってねぇ~良い子で健気じゃん十香ちゃん。寧ろ此処からゆっくり見守っていたい気分だよ。」

「あーどうせお前はモテルもんなぁ~~~」

「いやぁ~それほどでも!?」

「チクショーメェエエエエ!!!!」

 

嫉妬に駆られる男子代表こと殿町宏人は泣き叫びながら教室から飛び出していくが、無視。

『お前…本当に容赦ねぇな』

男の嫉妬なんてみっともない以外の何ものでもないだろ?

『まぁ~な…けど、お前は本当に何も感じてないのな』

あれは見てるほうが面白いからね―そもそも自覚無自覚はとにかく十香ちゃんは既に心に決めてる異性(士道)が居るからし―

何より―眩し過ぎるよ、十香ちゃんは…。

 

十香ちゃんの無自覚積極的アプローチに士道は容器からクッキーを一つ取り口に運ぼうとする

とは言っても、それが簡単に実るわけでもないけど―

 

士道が十香のクッキーを口に入れようとした瞬間、そのクッキーを粉砕して何かが二人の間を横切る。

ほぉら来た――

 

何かを投げたであろう正体が居る扉の前に居たのはもう一人の件の少女【鳶一折紙】…精霊を殺すための部隊【AST】に所属する少女にて【士道の彼女】。皮肉をこめるなら【自称】をつけるのが良いのだろうけど、士道が成り行きで告白してしまった結果、その自称の二文字には意味が無い―これは完全な自業自得だけど。

先程も言ったが、十香ちゃんは人間になったわけではなく、力を封印されただけで【精霊】なのだ―以前の士道の経緯もあってから、二人の仲は最悪に悪い。それこそ二人きりにすれば絶対に殺し合いに発展する勢いがある。

前科がある―士道が殿町の相手をしている間に、鳶一が十香ちゃんに―俺も直接聞いていたわけではないが、とても不快を感じさせる発言をし、十香の機嫌が一気に悪くなる事件が発生したのだ…士道がゲームセンターに連れて行く事で事なきは得たが―まあ、とにかく…士道も僕も、この一件以降には彼女らを二人きりにはしないよう取り計らっている。それでも、こういう事が起こるから士道の方が苦労してるんだけど―

 

はいそれではそれでは…もはや第何回かも数えるの止めてしまった夜鳶戦争の始まり始まりぃ~~~。

『あの二人も微塵も仲良くなるけはいねぇな―まぁ、端から期待なんか出来ないけど』

それこそ天変地異でもなけりゃありえないってw

『いや全くだww。』

 

もはや見慣れてしまった士道・十香・折紙のやりとりを生暖かく見守りながら僕と【強欲】はつくづく思った――ふと窓の外から見える空模様を見てみると、一部の空がどんより曇っている。

 

「?妙だよねぇ―最近、天気予報外れすぎてない?」

『いや―朝方は完全に快晴だったぞ?』

…確かにそうだね。それになんだろう―

 

封印された十香ちゃんからは以前感じていた精霊としての力は殆ど感じられなくなっていた。顔を見ている僕、士道―そして鳶一を除けば彼女は普通の人間となんら変わりないと言えるだろう。だが、窓の遥か何処かに感じる―【封印される前に感じていた彼女と同じ精霊としての気配】を―

 

「……楽しいゲームはまだまだ続きそうだねぇ。」

 

後ろの3人のやり取りに視線を戻しながら―何処かに居るであろう【精霊】の事を思って口の端を吊り上げる。

 

そう言えば―【強欲】…もう一つ、別の力があるね。

『ああ―精霊の力に上手く隠れてるがこいつは間違いない。』

精霊、AST、悪魔―士道の周りには非現実が絶えないな……。

 

 

 

 

 

その日の放課後―普段なら家の近い迅と一緒に帰る士道だが、その日は【野暮用がある】と言った迅に置いてけぼりを食らってしまった。

十香はフラクシナスに回収されることになっていたため、一人ゆっくりと自宅への帰路についていたのだが―彼を突如襲ったのは予報外れの雨だった。

 

急いで近くの神社の鳥居で雨宿りしながら士道は雨が弱まるのを待つ。

 

「天気予報で晴れって言ってたじゃねぇか…。」

 

確かに、昼ごろから空模様は怪しかったが、降るなんて一個も言ってなかったのに―ん?

ふと神社の境内に目をやると一人の少女と小さな男の子が遊んでいるのが見えた。

 

だが、それだけなら士道は何も思ったりはしないだろう―士道は二人に目を奪われたのだ。

少女は可愛らしい衣装の施された該当に身を包んでいる。顔はウサギの耳のような飾りの付いた大きなフードですっぽりと覆い隠しているから分からない。そして、なにより特徴的なのは彼女が左手にコミカルなウサギ方の人形を装着していた。

小さな男の子は少女よりも少し背が低い…白と言うよりは銀―銀と言うよりは灰色の変わった色の髪をした小学生ほどの男の子。特に不思議なものなど感じないが―子供の着る【長袖長ズボン】には歳不相応な違和感を感じてしまう。

二人は手を取りながらぴょんぴょんと跳んで遊んでいる。

 

そんな時、男の子が勢い良く地面に向かって倒れてしまう。

少女が駆け寄ろうとすると少女も凄い音を立てて転んでしまった―その拍子に左手の人形がスッポ抜けてしまう。

 

「…お、おいッ!」

 

士道は慌てて駆け寄ると、少女の小さな身体を抱きかかえる様に仰向けにする。

そこで始めて士道は少女の顔を見ることが出来た…長い睫毛に飾られた蒼玉の様な瞳の少女…。

 

「良かった―怪我は無い――」

 

そう士道が言う前に士道の腕を思いっきり叩く影が現れる。

少女と遊んでいた男の子だ―少女の腕を取ると彼女を庇う様に士道の前で両手を広げ鋭い目で睨み付けて来る…とても小さな男がする目とは思えない…そんな鋭い視線に思わず、士道はたじろぐ

 

「えっと―俺は」

「ッ!」

 

話し掛けようとするとさらに目を強くする―如何したものか思うと、ふと地面に落ちていた人形に気付く。それを拾い上げて汚れを叩き落として二人に差し出す。

 

「これ、君のだろ?」

「!」

 

すると少女が目を大きく目を見開き此方に駆け寄ろうとする―が、その手を男の子が掴み止める。

少女も我に返ったように士道を見て足を止めた。

 

「……」

「……………」

 

怖がる少女の代わりに男の子がゆっくりと近づいて士道の腕から人形を奪い取る―そして少女に差し出すと、右手を引っ張りそのまま何処かへと走り去ってしまった。

 

「何だったんだありゃあ…」

 

一人ぽつんと残された士道は思わずそう呟いて再び帰路についた。

 

 

 

 

その頃のASTの駐屯所の一室では一人の青年が精霊に関するプロフィールを読んでいた。

陸自の軍服を身に着けず、ビジネススーツで上層部から与えられた小さな一室には精霊に関する資料やデータがたくさんあった。

ブロンドの伸ばしたに深紅の両目をした男の名は『リナルド・スコルピス』…職業【傭兵】でAST上層部の意向で雇われた一流のヒットマンでもある。

 

「………………。」

 

既に此処に来たときに、概ねの内容を聞かされているが―まさか自分が敵対する側に行くとは思ってもみなかった。言ってしまえば二度目の人生となるが―こういうこともあるもんなんだねぇ。

 

「熱心なものね。けどそんなに見つめてると資料に穴が開くわよ。」

 

そこにASTの隊長である【日下部燎子】が二個のカップを持ってやって来る。

軽い冗談を言うのは彼とのコミュニケーションを取る為だ…ASTと言う部隊にはそれこそ周囲の人間では扱えない【顕現装置】や【CR-ユニット】を使える点からエリート意識を強い持つ者も少なくは無い。雇われ者の傭兵である彼を気に入らないと言う目で見る隊員も少なくは無い。そんな彼と彼女らを上手く繋ぎ合わせるのが隊長である自分の役割だと燎子は思っているのだろう…まぁ、団体となるからにはその考えは間違っていないし、むしろ正解だろう。実力的には中の上の力だけど―良い指揮官だと【俺達】は思う

 

「どうも、日下部さん…それにしても資料を何度読み返しても信じられませんね。まさか空間震の正体がこんな可愛らしい少女達だったなんて―」

「あのねぇ…前にも言った筈よ。見た目はそれでも、世界を滅ぼすくらいの力を持っているのよって…」

「聞いてますよ―現れるくらいでこの規模なんでしょ?」

 

資料に載せられている空間震の痕跡を示すデータを指差しながら俺は言う。

それだけに敵対しなきゃいけないのは残念だよ…どうせならうっかりパンでも加えて走っているところにぶつかって出会いたかった…。まぁこれも運命か…殺しあわなきゃいけないという悲劇的な―。

 

「【プリンセス】、【ハーミット】、【ナイトメア】、【イフリート】、【ベルセルク】、【ディーヴァ】、【ウィッチ】-本当に数が多いんだねぇ。これは仕事が長そうだ。」

「それもあるけど―前々回の【プリンセス討伐】の際に出現したあの【アンノウン】―いえ【レイヴン】の件もあるわよ。」

「【レイヴン】―ああ、これの事か」

 

以前、見せて貰ったこれまでの精霊討伐のビデオ―部隊に所属している【鳶一折紙一曹】が通う来禅高校に精霊が出現した際、突然出現した謎の黒い脚甲を身につけた正体不明―突如として精霊【プリンセス】を庇う様にASTを攻撃しCR-ユニットを計7機も破壊される被害を受けた。

黒い猛禽類の様な足の形状から付けられた識別名は不吉の予兆と言われるワタリカラス―【レイヴン】と付けられた。詳しい情報内容は遭遇回数が一度だけであり情報は少ない。

一応として精霊として判別され、今後も対処する方針になっている。…だが、俺達には分かった奴が何で、何者なのか

 

「奴がまた現れる可能性もあるわ―一応の対策は話し合っているのだけれど、楽じゃないのよねぇ…貴方も此処で戦力として組み込むんだから期待させてもらうわよ。」

「あんまり期待はしないで欲しいですけど―雇われたギャラ分の働きはキッチリさせて貰いますから安心してくださいよ日下部隊長。」

 

まぁ、奴が何であれ俺には関係ない―同じ【お仲間】だろうと、仕事の上で敵対なら容赦はしない。撃ち貫くだけさ―とは言っても、精霊ちゃん達は可愛らしいからあんまり打ちたくないんだよなぁ…精霊の姿も数日前に写真で見せてもらったときは驚いたよ。

 

だってさぁ…ムッッッッチャクチャ可愛いじゃん!!?何これ、誰これ天使!?精霊って言うからもっと威厳がありそうなものかと思ったら超絶な美少女―思わず口説きに行きたくなっちまったよ。半分ほど、この仕事を引き受けたの後悔したっけかなぁ

『諦めなよ【リード】。オレ達はコンビで傭兵やって飯食ってるんだから。』

そりゃあまあ…そうだけどよぉ?はぁ~~~。

『それに女の子なら此処にもたくさん居るじゃん―選び放題だと思うぜ?』

別に俺はそういうこと言いたい訳じゃ―まぁ、否定はしたいけどよ。

 

「? 何よ―いきなり黙り込んで」

「いえいえ何でも―そうだ。また精霊との戦闘ファイル持ってきてくださいよ。ターゲットを射抜くには何より情報が大事ですから」

「はいはい。それよりも、貴方もちょっとは隊員に声を掛けて頂戴よ―私一人取り持ったってしょうがないんだから」

「了解―そうだ、日下部隊長。一ついいですか?」

「何かしら?」

「世界を滅ぼすくらいの力―もしも、俺にもそんな力があるなんて言ったら信じます?」

「――言ってる意味が分からないわよ。」

「そのままの意味ですよ―別に深い意味なんて無いですから、お気軽に答えて下さい。」

「…そうねぇ。まぁ、貴方を殺さなくてはいけないっていうのは確かでしょうね。」

 

 

「………なら、貴方は俺を殺さなくちゃいけない」

「如何してよ…深い意味なんて無いんでしょ?」

「ありますよ―だって、俺は――世界を滅ぼすくらい女性の口説くことが上手いですからぁ~アハハハハハハ!」

「……あっそ、ビデオ持ってくるからとりあえず外の雨にでも頭突っ込んで頭冷やしときなさい。」

 

まるで養豚場の豚でも見るかのように冷たい目と答えを残して日下部隊長は部屋を出て行ってしまった。おっかしいなぁ~冗談のつもりは無いのに。

『途方もないバカな発言したとオレも思うぜ?』

うっわヒッデェなぁ~~~。

 

識別名【レイヴン】と記載された資料には遠くから取ったであろう写真が載っている…マスクで自身の顔を覆い隠し、黒い脚甲で戦う姿―間違いない、そうだろ?

『ああ。こいつは間違いなく【強欲(マモン)】だ―オレと同じ【悪魔】であり、コイツは―』

俺と同じ【コントラクター(契約者)】だ―この男は一体何を犠牲にして力を得たのやら。

『そいつは本人に直接聞くんだな―まあ、オレ達はオレ達の仕事をキッチリ片付けようぜ。』

ああ―まあ、戦う事になっても、俺達に負けはねぇだろ。

『おう!何て言ったってオレ達は無敵のコンビだからな』

ってな訳だ―悪いが、仕留めさせてもらうぜ【スピリト(精霊)】ちゃん達に【アヴィド(強欲)】…

 

「俺とオレ…【色欲(アスモデウス)】の目からは絶対に逃げられないぜ?これも仕事だから恨まないでくれよ、ハニー?」

雨が降る中、日下部隊長から貰ったハーブティーを飲みながら、ニヤリと俺は小さく笑った。

 

 




はい!と言うわけで四糸乃パペット編に入ります!アンコールの話も書こうかと思いましたが、止めときました―ちょくちょくそんなことがあったなぁ的な発言で出て来るようにします。

因みにキャラクター設定で、リナルドはイタリア出身です。
何だか【色欲(アスモデウス)】は、七つの大罪の中で最弱みたいなイメージが強いですが、今回はリナルドの傭兵戦術も踏まえてかなりの強敵として今後活躍してもらいましょう!

可愛い女の子が大好きですが―
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