デート・ア・ライブ&クライム   作:星の翼

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十香デッドエンド&迅コントラクト Ⅱ

入学式が終わって放課後…帰り支度を済ませていると、殿町が近づいてきた。

 

「五河、鴉間―。暇だろ、飯食い行こうぜ。」

 

ご飯一緒に行かないかのお誘い…まぁ、僕も士道を誘おうと思ってたけど。

丁度良いかな…。

 

「ん~?僕は別にいいよ?士道は?」

「悪い。今日は俺、先約があるんだ。」

「何?女か?」

「まぁな…。」

 

何・・・だと?!

 

「士道に女だって?そんな…」

「な、何だよ迅…何でお前が驚いてるんだよ?」

「だって…士道。殿町と一緒に【校内腐女子が選ぶベストカップル第2位】の士道に、女だよ?」

「色々聞きたいが…何でお前がそこまで反応するんだよ。」

「如何してって…そんな、校内の腐女子の皆さんがどれだけ落胆するか…」

「「そこかよ!!?」」

「僕も二人の仲を応援してたのに…」

「しなくて良い!!そもそもそんな関係じゃない!!って、違う違う。女って言っても、琴理の事だからな!!!」

 

なぁんだ、琴理ちゃんか…まぁ、分かってたけど。

ちょっと面白い反応してからかってみました。

 

「じゃあ、仕方ないね。僕と殿町はお邪魔虫になるだろうし、早く行きなよ。」

「おいおい、別に琴理ちゃんなら俺達も一緒でも…」

「そういう問題じゃないよ。ほら、士道も僕らと話してないで早く迎えに行きなよ」

「ああ、悪いな…」

 

これ以上は弄る気は起きないな…あの子、本当にお兄ちゃん大好きっ子だからね。

仕方ない…ちょっと面白みはなくなるけど。

 

…兄と妹か。逆なら姉と弟だけど、大差はないよね。

 

帰り支度を急かしながら、僕も帰り支度を再開する。

 

「所で琴理ちゃんってもう中学生だろ?」

「あ?何だよ急に…」

「いや。琴理ちゃん、三つくらい上の男って如何なんだろうな」

「………」

 

士道の冷たい視線が殿町を射抜く…変な事聞くなよ。

 

「殿町、その辺にしなよ…。まぁ、年三つ上ならセーフ何じゃないかな琴理ちゃん」

 

実際にお兄ちゃんにLOVEだしね…隠してるみたいだけど。バレバレだよね。あれ…何でこの朴念仁は気付かないかなぁ?ま、妹って割り切ってるんだろうけど……

 

「それに、殿町は二次元に彼女が居るじゃないか…………」

「おい、その可哀想なものを見る様な視線はマジで止めてくれ…」

「…でも、安心してくれ殿町…お前にも良い所はあるよ。 例えば、弄ると人の1.3倍面白い。」

「小数点かよ!?しかもそんなに大きくない!せめて1.5は欲しかったよ!!!他には?」

「え?う~~ん……………」

「「……」」

「……………………あれ?」

「あれ?! あれって何?まるで【おかしいな、全然浮かんで来ない】って言ってる様なその二文字は!?」

「ん~~士道の良い所は出て来るんだけどなぁ。弄ると人の2.1倍面白い。」

「「結局、弄るところかい!!」」

 

二人から突っ込みを受けてしまった…変だなぁ。弄ると面白いって良い所の筈なのに。

 

「まぁ良いや…ほら、遊ぶのはおしまい。ほら、殿町もとっとと飯食い行くなら行こうよ。」

 

そう言って、話題を切って士道とは別れようとした時だ。

ウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ―――

 

その警報は突如鳴り響いた。

 

【これは訓練では、ありません。これは訓練では、ありません。前震が、観測されました。空間震の、発生が、予想されます。近隣住民の皆さんは、速やかに、最寄りのシェルターに、避難してください。繰り返します―――――】

 

此処だけ時が止まったように、先程までしゃべっていた生徒達は窓の外を見て固まってしまっていた。

 

「おいおいマジかよ…来るのか、空間震」

「みたいだね。」

 

空間震が起こる…その事実に周囲が徐々にざわめき始める。

大混乱にならないのは…日頃の避難訓練の賜物っていうのだろうか…

 

「それより、早く避難した方が良いと思うよ…僕、まだ死にたくないし。」

「そうだな。シェルターはすぐ近くだ。行くぞ殿町」

「お、おう。そうだな。」

 

教室から出ると既にシェルターに避難する生徒による列が出来上がっていた。

 

「これは結構時間掛かりそうだね…早く一安心したいところだけど。」

「避難は早い者勝ちじゃねぇだろ。……ん?」

 

士道が何かに気付いたみたいだ。

気になって士道の視線を追うと一人だけ…避難とは全く別の方向に歩く女子生徒が一人居た。【鳶一折紙】だ…。

 

「鳶一!何やってんだ、そっちにシェルターなんて「大丈夫」…え?何が?」

 

士道の言葉に一言短く答えてそのまま行ってしまう鳶一折紙。

 

「何の事か知らないけど、本人が言ってるんだ…放っておこう。」

「だけど」

「彼女に僕らが出来る事はないよ…それよりも僕らも避難しよう。」

「…ああ、そうだな。」

避難の列に並んでいると向こうで岡峰先生の慌てた声が聞こえる。

至って先生は皆を落ち着かせようとしてるのだろうけど、本人が一番慌てているのであんまり説得力が無い。

まぁ、そのおかげで場が少し和んでいるのだけど…

 

『ふあぁ…随分と騒がしいな…』

あ?起きた?今さっき、空間震警報が鳴ってね…今避難中なんだ。

『空間震?成る程…通りでバタついてる訳だ。』

まぁね…でもこんな日に空間震ってのも、運命感じるよね。

『入学式の日に空間震に遭う新入生一同には同情を禁じ得ないがな』

ハハハ…全くだね。

 

並んでいる間、移動と停止を繰り返す…不謹慎かもしれないが、少し退屈に感じる。

そう思いながら、ふと横を見ると士道と殿町は端末を弄っている。

殿町の方はギャルゲーやってるから放置しよう。 士道は何処かに電話掛けてるみたいだけど…琴理ちゃんかな?

 

「くっそ、つながらねぇ…琴理の奴、ちゃんと避難してるのか?」

「向こうも入学式でしょ?中学校だし早く終わってるはずだし…連絡とってみたら?」

「いや、そうなんだけど…アイツ全然電話に出ないんだよ。電波が悪いのか?」

「とっくに避難してるんじゃないのかい?シェルターの中は電波良いとは言えないから……あ、そうだ。GPSで確認してみたら?シェルターならシェルターの位置を表示するだろうし。」

「そういえばそうだったな。サンキュ迅…これで琴理の居場所がわか――ッ?!」

「士道?如何した…! ひょっとして、琴理ちゃん…まだ避難してないのか?」

「あんの馬鹿!迅、殿町と先に避難してろ!俺は行って来る!!」

 

そう言うのと士道が走るのは一緒だった。

 

「え?五河如何したんだ?!何処行ってんだよ!」

「仕方ない…殿町、先に避難してて、僕は士道の手伝いしてくる。」

「は!?おい鴉間!?」

 

状況が分かってない殿町を残して、僕も士道を追ってシェルターとは別の方向に走る。

玄関で、靴を履き替えてる士道に合流した。

 

「士道!」

「迅!?お前、何で…」

「琴理ちゃん助けに行くんだろ?僕も行くよ」

「いや、でもお前…」

「良いから…琴理ちゃん、何処に居るの?」

「…ああ、ファミレスの前だ。普通こんな状況、避難するだろ。何で馬鹿正直に残ってるんだよッ」

 

妹に対して悪態吐いてるけど、顔にはハッキリと心配の二文字が出ている。

まぁ、妹の事心配しない兄なんて普通居ないと思うけど…いや、それよりも

 

聞いたね?【強欲(マモン)】

『ああ。ファミレスって言っても、この辺りならあそこだろうな。』

ガイド、お願いできる?

『分かった。最短ルートで行くぜ。道っぽくなくても二人で何とかして進めよな?』

OK.じゃあ任せる

 

【強欲】との会話を切ると、頭の中に此処からファミレスへの道が浮かび上がる。

裏道が結構多いけど、此処からなら十分走れる距離だ。

 

「良し、行くよ士道。僕が道案内するから」

「え?わ、分かった!」

 

 

警報のなる町並みを走りながら、士道の少し先を走って、ファミレスへ急ぐ。

本当なら人通りも多いのに、今はコンビニにも公園にも誰も居ない。

本当に人っ子一人おろか野良猫一匹も居ないのだ。

 

「凄いね…まるでホラー映画の中に入り込んだみたいだ。そこの裏道入るよ!」

「分かった…ってか、何でお前こんな道知ってるんだよ?!」

「ん~~?第六感って奴?裏道抜けたらそのまま左曲がるからね」

 

別に話しても良いけど…信じて貰えるとは思えないから、適当にはぐらかす

実際、僕もこんな道は知らない。この道を理解してるのは【強欲】の力のおかげだ。

【強欲】…非常に欲が深いこと、欲しいと言う感情を指す言葉。僕は【強欲】の力を借りて【学校からファミレスまでの最短の道のり】を欲した。そして、その知識に沿って今走っているだけなのだ。

 

「士道?平気か?」

「ああ、まだまだ余裕だ!!」

 

ペース配分無視して走っている。僕はとにかく、士道は運動神経も比較的に平凡の域だ。

あんまり無理して走るのもそうだけど…そこは琴理ちゃんの事を考えて無理してるんだろう。

 

「目的地までもうすぐだ、ファミレスの近くにもシェルターはある筈だから直ぐに避難して――士道?」

 

後ろを振り向くと何故か上を見て走っている士道。

気になって上を見てみると、何か人影のような小さな何かが四つ、空に浮いている。

 

「何だ、あれ?」

「さぁ…」

 

此処からじゃよく見えない…でもあれは何だ?飛行機やヘリではない。

その時だった…

 

『ヤベェ…伏せろ、相棒ッ!!』

「ッ!士道!」

「え?おわっ?!」

 

【強欲】の言葉に我に返って、士道を地面に伏せさせる。

その直後、目の前が光に覆われた。

そして次に来たのは凄まじい爆音と衝撃波が僕らに襲い掛かる。

 

「くっ!」

「うわっ!」

 

吹き飛ばされないように踏ん張るが流石に無理だった。

そのまま二人仲良く後ろに吹っ飛び転がる。

 

「イッっ…立てるか?」

「ああ…何とか。」

 

立ち上がってから土ぼこりを払う…その後に士道に手を貸して立ち上がらせる。

そして、前を見ると…思わず息を呑んでしまった。

 

「町が…消えた?」

 

先程まで目の前にあった町並みがごっそり消えてしまった。 残っているのはボロボロの瓦礫のみ。そして、目の前に広がっているのはすり鉢上のクレーター…。

 

「何だよ、何だってんだよ、これ…」

「これが…空間震か。」

 

テレビで見ていたものが今、目の前に広がっている。

何というか…上手く言葉に出来ない。呆然というか…唖然というか。

 

『相棒…クレーターの中央を見てみろ』

「中央?…!」

 

【強欲】に言われて、中央を見てみるとそこには一人の少女が居た。

遠目からでも分かる…とても綺麗な少女。闇色のような黒い髪に凛としながら愛らしい容姿。そして鎧とドレスが合体したような奇妙な服を身に纏い玉座の様な椅子に足を掛けている。

 

「あの子…何であんなところに」

 

士道も気づいたみたいだけど-僕の耳にはそんな言葉如何でも良かった。

だって-あの子から力。

 

何て強い力なんだろう!!!

見た目は人間と大差ない…けど、力はまるで違う。人間が持つにはあまりにも強大な力。

それで分かる…彼女は人間ではない!!じゃあ、彼女は何者なんだ?

まさしく【興味以上の対象】だ。あの子は一体何者なんだろう?

 

 

「ん……?」

 

少女がこちらに気がついたみたいだ…玉座から剣を引き抜くと。

 

「あ、ヤバそう。」

「え?」

 

此方に向けてなぎ払ってきた…すると、光の刃が此方に向けて飛んできた。

とっさに身体を伏せて避けると後ろにあった瓦礫の一角が綺麗に切り裂かれる。

 

「うわぁ、凄いねぇ…」

「いや、冗談にならないだろッ」

 

立ち上がって距離を取ろうとするが

 

「――おまえも、か……」

「「っ!」」

 

いつの間にか少女は僕らの目の前に居て、剣を突きつけていた。

近くで見るとその可憐が一層増して見える。暴力的なまでに綺麗な少女…そして、とても悲しそうな瞳の少女

 

「うわぁ…速いね…如何する、士道?」

「-君、は…」

 

呆然と士道は彼女に声を発した。こんな状況だけど…いや、こんな状況だから、これくらいしか言葉に出せないのだろう。

 

「……名、か――そんなものは、ない。」

 

 

 

 

 

「【プリンセス】の出現を感知。ASTも既に向かっているようです。」

「来ましたね…司令。」

「ええ、分かってるわ。私達の秘密兵器は?」

「それが、【プリンセス】のすぐ近くに居る模様」

「はぁ?!何やってんのよあのアホ兄は…急いで回収しなさい。」

「そうなのですが、既に【プリンセス】と接触しており、如何やらもう一人居るようです。」

「もう一人ですって?自殺志願者ならもっとマシな方法思いつきなさいよね…士道はそのまま回収してもう一人…って、何?もう一人って迅じゃない」

「確か、司令の兄のご学友でしたね…彼は如何します?」

「そうねぇ…回収したら適当に安全な場所に転移させて「いや、待て…」?珍しいわね。アンタが口を挟むなんて」

「如何でも良いだろ…それよりも、この男も引き入れる。」

「何ですって?正気とは思えないんだけど…」

「こいつが俺と同じだって言ったら…納得するか?」

「「「!」」」

「本当なの?【竜ヶ峰】」

「ああ……俺達ならお互い見て分かる。こいつは俺と同じ【契約者】だ。」

「分かったわ…作戦変更。 二人の回収を最優先!!」

「「「り、了解」」」

 

「……良い退屈しのぎになりそうだな。 なあ?【憤怒(サタン)】」

 




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