・自分が欲する者・物・場所と自分自身をリンクさせる事でそこまでのルート・位置を把握することが出来る。落し物や忘れ物、失せ物や探し人でも、この力を使えばそれが何処にあるのか、何処にいるのかが分かる。
しかし、この能力を使うためにはそれを【強く欲しなければ発動できない】欠点がある。
2話では、あくまで欲したのは【ファミレス】だったので【琴理】の居場所(フラクシナス)までは判別できなかった。
原作キャラ(鳶一折紙)で例を挙げるならこんな感じ
五河士道が何時でも、何処にいても・何をしてるのかも…例えそれが千里万里離れていても感じ取る事が出来る。そこまでの最短ルートも安全ルートも分かる。決して士道は逃げられない!!
……あれ?何時も通りじゃん………。
少女は剣先を此方に向けながら睨み付ける。
やがて、柄を握りなおすと此方に向けて振り上げる。
「って、ちょ……、待った待った!」
「……なんだ?」
士道が慌てて少女を引き止める。
と言うか、少女…結構聞き分けいいね。
「いや、如何していきなり剣を振り下ろそうとするのさ。」
「それは-お前達を早めに殺しておこうと」
「いや、何でだよ?!」
「何でとは―だってお前たちも、私を殺しに来たんだろう?」
「え?」
思わず、士道と顔を合わせてしまった。
もう本当に…何を言ってるんだこの子って感じの視線を向けてしまう。
「……な、なんだその目は?」
「いや…何で僕らが君の事を殺さなくちゃいけないのかなぁって。」
「ああ。そんなわけないだろ?」
確かに、興味深い少女だとは思うけど…でも、初対面の女の子に殺意抱くような悪魔になった覚えはない。
『悪魔と契約はしてるけどなぁ~』
はい、そこうるさーい。
「っと言うか…君は誰?名前はないって言ったけど、如何してこんな所に?」
「それは――む?」
少女が何かに気づいたのか上空へ視線を移す。
気になって士道と顔を上げると――ミサイルが落ちてきていた。
「んな…ッ!」
「え、ちょ、おま…」
此処に民間人居るんですけどぉ~~?
そんな事お構いなしと言わんばかりに落ちてくるミサイルの次に無数の銃声…完全にこっちに銃口向けて撃ってます。本当にありがとうございました。
「ぅ、わぁああああああああああああああああ!!!」
士道が無意味と分かっていても防衛反応で身体を丸くする。
だが、少女は手をミサイルの方に向ける。するとミサイルや銃弾が見えない壁に阻まれているように動きが止まってしまった。
「こんなものは無駄と、何故学習しない。」
そう言って彼女は腕に力をこめる…すると空中で止まっていたミサイルたちがまるで握り潰されたかのように全て爆発してしまった。
「うわ…凄いね。」
『魔力とは違うな…やっぱりこのお嬢ちゃん、只者じゃない。まぁ、俺にもやろうと思えば出来るけどな…。』
「ミサイルに狙われたことはないからねぇ~…ほら、士道。何かよくわかんないけど平気みたいだよ?」
「は?…え?」
ぽんぽんと丸くなってる士道の背中を叩くと士道が事態を把握して…さらに混乱してしまった。一般市民には文字通り『訳が分からないよ』な状況なのは分かるけど。
「―――ふん」
次々と打ち出されてくる銃やミサイル達を見ながら、少女は再び悲しそうな表情をする。
その表情のまま、彼女は剣を振るい、自分に向けられた敵意の塊をなぎ払う。
しかし、敵意を振り払うに比例して、少女の顔に悲しさが濃くなっていく…。
「消えろ、消えろッ。一切、合切…消えてしまえ…っ!」
「ッ-!」
少女の表情が少女の声音が記憶に照らし合う
最後に聞いた姉の悲しさに押し潰された声に少女の姿が重なって見える。
彼女を助けたい……。
そう思った瞬間、頭の血が上るような感覚になる。
「士道!お前は早く此処から離れろ!!」
「いや、けど、この子は如何するんだよ!」
「俺が何とかする!とにかく、危ないからとっとと隠れるなり何なり……ッ!?」
後ろから殺気を感じ、それに反応して振り返る。
そこに居たのは、白に近い髪の少女-見覚えのある少女だった。
士道が思わず少女の名を呟く
「鳶一折紙?」
「五河士道…?……」
少女-鳶一折紙も士道の名を呼びこちらを見る。
しかし、直ぐにドレスをまとう少女に視線を向けて光の剣を引き抜く!
「―――ふん!」
刹那、少女の剣と鳶一の光剣が激突し、凄まじい衝撃波が発せられて此方に襲い掛かる!
「ちょ……ッ!?」
「無茶苦茶だな…これは…」
『全くだ。民間人が居るってのに…しかし、これはチャンスだ。向こうに気が向いてるうちに一先ず五河士道を安全な場所に避難させるぞ』
「分かってる。士道!今のうちに行くぞ」
「待ってくれ!あの子が!!」
「俺が何とかするって言ったろ!まずはお前だ!!」
士道を抱えると衝撃波に乗って後ろに飛ぶ。
一先ず、障害物の陰にでも士道を置いて…その後に隙を見て彼女を助け出さないと。
建物の中に入れば、身を隠すことも-
思考は両者が再びぶつかり合って発生した衝撃波によって中断された。
先程よりもずっと強い衝撃波が此方に襲い掛かる!!
「く…っ!」
「うげっ!」
ゴッと言う鈍い音が一瞬聞こえて、士道が呻き声を上げて気絶してしまった。
如何やら、飛んできた瓦礫が頭に激突したようだ…けど、これでちょっと運びやすくなった。
直ぐに安全な場所に置いてあの子も救出しないと――
「あれ?」
思考をめぐらすその刹那、いきなり風景が変わってしまった。
先程までの爆音なり響く激戦区の光景が何の脈絡もなく本当に―唐突に科学的な一室へと変貌してしまったのだ。
「これは……」
『さっき魔力らしいものを感じた…転移の類だろうが、場所まではな。』
「そもそも誰が…って、おい士道?」
駄目だ…完全に気絶してる。
無理もないか、凄い音したし頭にクリティカルだったし…。
いや、それよりも…あの子、大丈夫かな。
『心配する必要は無いんじゃないか?あの子…ずっと強そうに感じたぜ?』
そうだけどさ…顔とかに傷解けつけられてないか。女の子にとって、顔に傷はことによっては命よりも重いものだよ。お姉ちゃんも美容は女の子の嗜みって良く言ってたし……。
『そりゃあそうだが、あんな状況で【力】を使うわけにもいかねぇだろ?…ッ…誰か来るぞ!!』
「!」
見知らぬ一室の自動扉らしきところがスライドして開き、一人の女性が入って来る。
軍服らしく服を身に纏う、目の下に物凄い隈の出来た見事に【不健康】を体現したような細い体格の女性…お胸は立派ですけど。
「……【鴉間迅】君…だね?」
「……ああ。」
「……そう警戒しなくて良い。私は君の敵ではない。」
「…その証拠はあるの?」
「……証拠か、ふむ……残念ながら証拠はない。」
「…………ま、そうだろうね。」
「……だが、私は君に嘘は吐かない…それだけは信じて欲しい。」
如何する?【強欲】…一暴れして士道を連れて逃げる?
『此処が何処だか分からない以上、それはあんまりお勧めできないな、相棒』
同感…一先ず、従っておくか…『表向き』にはね。
「良いよ…一応、信じてあげる」
『一応』の部分を強調して僕は言う。
「……助かるよ。色々聞きたいだろうが、詳しい事は彼が目覚めてから話そう。此処では彼の事も診辛い。場所を移させてもらっても構わないだろうか?」
「ご自由に。」
士道を抱えて女性の後に着いて歩く…科学的な作りの通路。
まるで、何処ぞの組織の秘密基地や秘密戦艦の内部みたいだ…。
『空間震ってのが起こる様になってから、こういった化学的な部分に人間はより一層力を入れるようになったからな。』
そうだね……でも、それにしたって此処は聊か、『オーバーテクノロジー』な気がする。
さっきの転移と言い、案外本当に秘密結社に拉致られた可能性が出てきたね。
『そう考えるなら、目的は何だ?連れ去るってのなら、あのお嬢ちゃんのほうが納得いくが…』
そこまでは分からないよ…
「ところで、お姉さん…僕ら初対面のはずだけど如何して僕のこと知ってたのかな?」
「……ああ。君の知り合いと私は面識があるんだ。」
「成る程ね、つまり僕達は『知り合いの知り合い』って関係かな?」
「……そういう事になる。」
「ふぅん…でも、お姉さんが僕の名前知ってるのに、僕がお姉さんの名前を知らないのはちょっと不公平じゃないかな?名前、教えてよ。」
「……【村雨令音(むらさめれいね)】だ。ここで解析官をやっている。」
「OK…村雨令音さんだね?覚えたよ…。」
『?珍しいな…お前が人の名前を態々覚えるなんて…』
忘れたの【強欲】?僕の存在は一度消滅してるんだよ…その上での知り合いなんて稀有に等しい事をさ。
『ああ、確かにそうだな…俺との契約の際にお前の存在は自分を全ての記憶から消滅し、記録も消えた筈だ。その上での知り合いってのなら…。』
【強欲】と話し合っていると、不意に村雨さんが足を止めて此方を振り返る。
「……此処が医務室だ。詳しいことは彼が目を覚ましてから話させてもらうが良いだろうか?」
「良いよ…秘密にされよりかは遥かにマシだ。僕らは巻き込まれた側なんだろうからね、知る権利ってのがあるだろうし?」
「分かった…彼をベッドに寝かせてくれ。免許は持っていないが軽い看護くらいなら出来る。君も適当に腰を掛けていてくれ」
「はいはい。って言うか…村雨さんも大丈夫なの?初見で思ったけど、凄い隈だよ?」
「……最近、寝不足なだけさ。」
「あんまり、美容に良くないよ…綺麗なのに勿体無い。」
「……気をつけるよ」
「そうしてください……。」
でも、暇だなぁ…士道が目覚めるまで何して時間潰そう?
『さぁな…俺は回復するから、また少し眠らせてもらうぜ?』
分かったよ…僕も『お姉ちゃんの歌』聞いて時間潰すか……。
『……はっ!』
暫くすると士道が目を覚ました声がイヤホン越しに聞こえた。
「うわッ!」
「……ん?目覚めたね。」
「うん、起きたみたいだね。」
端末の一時停止ボタンを押してからイヤホンを取り外す…。
「あれ?迅?…あれ?此処何処?!この人誰!?」
「此処で解析艦やってる村雨令音さん…此処は……何処だろう?」
「此処は〈フラクシナス〉の医務室だ。気絶していたのを彼に運んでもらったのさ。」
「気絶?…あ。」
士道が気絶する直前のことを思い出したみたいだ…。
でも、それよりも…此処はフラクシナスって名前の場所なのか。
「士道。色々聞きたいことあるだろうけど、詳しいことはお前目覚めてから話してくれるって言ってたから、とりあえず落ち着いたら?」
「そういうお前は何でそこまで落ち着けるんだ?」
「え?んん~~…まぁ、起きちゃった現実を目にしてるからね。」
頭から幾つも『?』マークを浮かばせてる士道を一先ず落ち着かせる。
「それよりさ…士道が目覚めたんだ。詳しいこと…ちゃんと話してもらいますよ?」
「……そうなのだが、私はどうも口下手でね。先に君達に紹介したい人物が居るから、詳しい事は彼女から聞くといい。」
「……りょーかい」
「? ?? ???」
再び移動が始まる。
途中で令音が倒れたり、薬を『食べたり』(あれは飲むなんてレベルじゃない)と士道の突っ込みが此処でも発揮されたが、通路の突き当たりで移動が終わる。
電子パネルが軽快な音を鳴らし扉がスライドする。
「……さ、入りたまえ。」
促されるまま、僕と士道は中に入る。
そこに広がる光景に思わず目を見開いてしまった。
そこはまるで戦艦などの艦橋(ブリッジ)の様な異様な光景…だが、ただの船ではない。
それこそSF映画や特撮番組とかに出て来る…【空中戦艦】のブリッジを想起させる光景だ。
「うわぁ…凄いなこれ。ひょっとして僕らテレビの世界にでも入り込んだのかな?」
「いや、流石にそれはねぇだろ…って思いたいが」
さすがの光景に士道の突っ込みの切れ味も半減している。
「……連れてきたよ」
令音の言葉に反応して、一人の長身の男が近づいてくる。整った顔立ちの美青年。
「ご苦労様です。始めましてお二人とも。私はここの副司令、【神無月恭平(かんなづききょうへい)】と申します。以後お見知りおきを」
「は、はぁ……」
「こんにちわぁ~…お兄さんも僕らの事、知ってるみたいだね?」
「ええ。司令、村雨解析官が戻りました。」
くるりと中央にあった艦長席らしき椅子が此方に向けて回転する。
そこに居た人物には士道は大いに驚いて、僕は予想外に多少驚いた…そこに居たのは自分の家の隣に住んでおり、お兄ちゃん大好きっ子な赤い髪に赤い瞳の女の子…そして、士道の義理の妹。
「歓迎するわ。ようこそ、〈ラタトスク〉へ」
-【五河琴理(いつかことり)】その人だったのだから。
以上3話目でした…誤字脱字報告、感想お待ちしてます!!